川合典子 ブログ

英語教育、英語学習、発音習得、帰国子女の言語習得について書いています。

「英語の発音を学ぶこと」は、学習者自身が、日本語とは違う音の世界があることを知ることです(2)

7月30日の続きです。

7月30日の最後に次の様に書きました。

音が聞けなかったら、両者の違いがわかるまで、聞く練習を続けていくのが、発音練習なのです。  今すぐに聞けなくてもいいのです。  聞く練習を続けていくのです。  それをしないで、先生が代わりに聞いて、「大きく発音して」とか「長く発音して」とか言っても、日本語の発音の仕方しか知らない生徒は、Sの発音も、Lの発音も、タッタッタッタと切れる日本語の発音の仕方の枠組みの中でしか思いつかないのです。  それ以外の音の出し方が有るなどと、生徒は思ってもいないのです。  2つの音の違いを聞けた時、生徒は英語という新たな言語の発音の仕方を知るわけです。
 
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学習者本人がこの違いを自分で聞けない限り(認識しない限り)、英語の発音はまだ学習されたとは言えないのです。

2つの言語の発音の仕方の違いを知れば、生徒は自分で正しく発音できるようになります。  私の生徒さんの中には、学生時代全く発音指導を受けたことのない初心者もいました。   でも、Fの音に摩擦音としての長さが有ることを自分の発音とお手本を比べて聞いてもらうと、納得をして、次回から自分でFを私にも聞こえるような長さで発音して来るようになりました。

自分の耳で聞けば出来るのです。  この何分の一秒かの子音の長さの違いを自分で聞いてください。  一秒の何分の一という微細な違いでも、そこまで長く発音しないと、ネイティブのセンサーで認識してもらえないのです。

外国語を学ぶということは母国語とは違うことばの世界が有ることを学習者本人が知ることです。  単語や文の構成の仕方ばかりでなく、音も、日本語とは違うタイプの音があることを自分の耳で聞いて知ることなのです。

川合メソッドが、

「自分で自分の発音を録音して、お手本と比べて直す」

と聞いた時、「一体、そんな練習で、何の効果があるの?  学習する人が聞いてわかるわけないじゃない」と思った方は多いと思います。  でも、そうやって、

母国語と外国語の音の違いを認識する能力を育てているのです。  

外国語の発音を習得するためには母国語の枠組みに入らない音を聞けるようになることが不可欠だと私は考えているからです。

最初は聞けなかった2者の音の違いを聞けるようになった時、学習者は、母国語とは違う英語の音の世界があることを知るのです。  これが、外国語の発音を習得するということなのです。  

英語の音を自分で聞かないから、いつまでも英語の音を日本語の枠組みの中で、発音してしまうのです。  英語の発音を身につけるのなら、日本語とどこが違うのか自分で聞いて知らなければなりません。

2年前、私がブログを書き始めた時、いつもホームページのお仕事をやってくださっている方から、「多くの人に読んでもらうために、ブログのランキングに参加しなくていいのですか?」と聞かれました。  その時私は「たとえ、一人も賛同してくださる方がいなくても、自分が大事だと思うことを皆さんに書いて行きたいと思います。  ですから、ランキングには参加しなくていいです。」と小さな声で答えました。

あれから2年と数カ月、私は、英語の音が日本語とは、違う発音の仕方をするということを発音のヒントとブログで一生懸命、皆さんに説明して来ました。  発音は先生が聞いて直してくれると思っている皆さんに自分の耳でその違いを聞いていただきたかったからです。

母国語の短い子音の言い方から、抜けないと、日本人の英語はいつまでたっても、通じないままだと思ったからでした。

今では、少しずつ、聞くことの重要性を理解してくださる方が、現れて、「川合メソッドのやり方で勉強しています」というメールを頂くと、とても嬉しいと思います。  自分で聞くことが出来るようになった人が増えていけば、必ず日本人の発音は通じるようになる、と私は思っています。

皆さんにとっては、発音練習で、自分で音を聞くなどということは考えられない方法かもしれませんが、自分の耳で、音を聞くことは、発音習得にとって最も大事なことだと私は思います。  自分で聞いて、英語は、日本語とは違う音の出し方をすると、知ってください。

日本語の音の出し方しか知らない中で、どんなに英語の発音の仕方の解説を聞いてもだめなのです。  日本人の多くはSの発音の仕方を習っても、Lの発音の仕方を習っても、Nの発音の仕方を習っても、みんな一瞬しか音を言わない日本語の子音の言い方に直して発音してしまうのです。  

LやNは舌を歯茎につけて発音することは学習した人ならだれでも知っています。  けれども、いざ文章の中で発音しだすと、舌が歯茎にあるときには音を出さないで、舌が歯茎から離れるときに音を出す、日本語のような言い方にみんな直して、発音してしまうのです。  だから子音が短くなってわかりにくくなってしまうのです。

「日本人は流暢に英語を話していても何を言っているのかわからない」といわれるのは、この子音の短さが大きな原因の一つです。  一つ一つの子音の発音の仕方ならほとんどの人はもう十分、学ばれていると思います。  通じない原因は発音の仕方を知らないからではなく、学んだ子音の言い方を、

全部母国語の言い方にすり替えて発音しているからなのです。  

母国語の言い方は長い間、当たり前にしてきていますから、それに対して、何の疑問も持たないのです。        

特に、日本人どうしで英語を話す事が当たり前になっている場合は、しゃべる方も、聞く方も、すり替えられた子音に全く気が付きません。  

日本語特有の子音の短さは、初級のゆっくりな発音練習ではそれほど目立ちませんし、演説のような一つ一つ単語がはっきり言われる喋り方でもあまりわかりません。  それが顕著に出てくるのは普通のスピードで、会話した時だというのも、みんながなかなか気づけない理由だと思います。    

会話をする時というのは、しゃべる内容を考えるのに精一杯で、発音のことに気を使っていられませんね。  そうすると慣れ親しんだ母国語の言い方が、自然に出て来て、英語の子音とすり替わるのです。  ですから、私はまだ、「子音が短くなる癖」が、それほどわからない初級の練習の最初から、この生徒さんが、やがて、発音に注意を払わずに会話する時が来ても、子音が短くならないように、長さを持った子音で話すことを徹底して、英語をしゃべる練習をしてもらうのです。  

「Fの音は、いつもそばにいる私に摩擦が聞こえるようにしゃべってくださいね」と私が、最初のレッスンから、毎回生徒さんに言うことは2012年10月の発音のヒントでお話したとおりです。  皆さんも、文章を発音するとき、Fの摩擦が聞こえるようにいつも気をつけて発音練習してくださいね。

私が生徒さんに言う注意点はDVDで皆さんも聞くことができますし、2冊めの本には、私が生徒さんにする注意と同じ事が書いてあります。  

川合メソッドは、ナチュラルスピードで会話するようになった私が突き当たった発音の問題を初級の時から解決していけるよう練習します。   

母国語と外国語、2者の音の違いを認識できるように、初級の易しい文章から聞く練習を開始しましょう。 そうすれば、会話のスピードで自分の子音が、母国語の言い方にすり替わっても聞いて直す事ができます。

川合メソッドでは、口だけでなく、耳も訓練していきます。  集中力を持って、英語の音の、日本語とは違う特徴を自分で聞けるようにしていきます。


英語の発音を学ぶということは、「母国語の発音の枠組み」とは違う音を聞けるようになることであり、言えるようになることです。 

通じる英語を話すのにほんとうに必要なことを聞けるように練習してください。  そこを避けて、他のところに莫大な時間とお金を使っても、通じる英語は話せるようにはなりません。

母国語の癖というのは、長い間に、空気のように自然に体の中に入っていますから、これに気づくのは難しいですが、集中して、音を聞けば、必ず、わかるようになります。  母国語とは違う音の出し方があることを、聞けるようになること、言えるようになること、これが、外国語の発音を学ぶということです。 

* * * お知らせ * * *

新しい「自分で発音を直していく時のヒント」制作準備のため、8月から発音のヒントの更新はしばらくお休みさせて頂きます。
準備が完了いたしましたら、ブログにてお知らせいたします。


発音のヒントがお休みの間も、子音に関係するテーマの発音のヒントを時々お聞きになって、子音の長さの違いが聞いてわかるようになっていただきたいと思います。 そうすると、通じる英語で話せます。

特に聞いていただきたい子音については、「針が落ちた音も聞こえるくらい静かな所で音を聞いてください」と書いた7月17日のブログhttp://d.hatena.ne.jp/creato-k/20130717に行っていただくと、それらの子音の発音のヒントと解説ブログにジャンプできるようになっています。




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高校入試で子供たちが親の収入によって差別されない為に以下のお知らせを書かせていただきます。

高校入試のスピーキングテストについて(大学入試のスピーキングテストについても同様です)

高校入試のスピーキングテストは本来文部科学省が学校教育で正しい発音を生徒に教えてから行うべきものです。  しかし、文部科学省が教科書にCDもつけず、正しい発音の仕方も学校で教えないまま、高校入試でスピーキングテストを実施する動きが都立高校などで始まっています。 (大学入試でもスピーキングテストが行われようとしています)  これは、スピーキングスキルの習得を塾や予備校、会話学校に丸投げするものです。  学校で教えていないスキルを入試でテストすることはあり得ません。

これでは経済的に余裕のない、塾や会話学校にいけない家庭の子供は誰にも正しい発音を教えてもらえず、練習するCD(音声モデル)も与えられないまま、高校入試でスピーキングテストをされることになり、明らかに親の収入による進路の差別が始まります。(詳しくは2018年3月8日のブログ「高校入試のスピーキングテストは子供を親の収入で差別するもの」をお読みください。)

皆さんの身近に教育関係者がいらっしゃいましたら、ぜひ「高校入試のスピーキングテストは子供を親の収入で差別するもの」であることをお伝えください。  (大学入試のスピーキングテストについても同じことです)  
15歳で親の収入のために進路を差別されるのでは子供たちがあまりにもかわいそうです。

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英語教育については、下のブログも併せてご参照ください。  日付をクリックすると移動できます。
2017年10月12日
文部科学省 新中学校学習指導要領 英語 「4技能」は全く効果がない(子供たちが通じる発音でスラスラ話せるようになる学習指導要領の見本付き)





高校英語教育を文部科学省の誤解に基づいた方針から守るため、以下のご案内を書かせていただきます。

現在文部科学省が「グローバル化に対応した英語教育改革」の目玉として掲げているCAN-DO方式は、ヨーロッパの人々にはできますが、日本語を母国語とする人にはできない方式です。

文部科学省は「CAN-DO方式が日本人には不可能な方式である」と気づいておりません。  導入されれば教育現場は大変迷惑します。  中止する必要があります。  なぜCAN-DO方式が不可能なのかはこちらのブログをお読みください。

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何度もお願いをしているのですが、アマゾンのページで私の本のランキングを下げて妨害をしている人がやめてくれないので、(詳細はこちらです)しばらく以下の文章を掲載させていただくことにしました。

「本を出版する人は、他の著者の妨害をしない。  他の著者を妨害する人は自分の本も出版できない。」
出版社におかれましては、このことを出版の際、著者に理解していただいてください。

私のランキングを妨害している人は、たぶん、現実を受け入れられないのでしょう。
アマゾンの順位を1ペ―ジ目から2ページ目に下げられ、数日でまた2ページ目から3ページ目に下げられて、私は、この方の激しい妨害に驚いています。 

「学習者に正しい発音を習得してほしい」というのが自分の目標でしたら、他人を妨害する必要はありませんね。  他人を妨害してまで、何を手に入れたいのでしょうか。  ベストセラーの著者という名声ですか。  それなら、もうアマゾンで、ご自身の本はベストセラーに認定されているのですから、それで十分でしょう。  この上何が欲しくて私を妨害するのでしょうか?  もう英語教育とは関係ないことですか。  私はとても困っています。  

私は、こちらに書いてある3つのことをするのが、目的です。  日本人が子音の日本語化を知っているか、いないかで、通じる英語で話せるか話せないかが、決まります。  ですから、このことを読者の皆さんに理解していただくのは、とても大事なことなのです。  私の仕事の妨害をしないでください。 

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クマさん、ウサギさん、ブタさん、それぞれが持っている旗に書かれたことの理由は、2017年7月30日のブログをご覧になるとわかります。