川合典子 ブログ

英語教育、英語学習、発音習得、帰国子女の言語習得について書いています。

わが子の英語力を上げたかったら、文部科学省がどのような方針を打ち出そうと、中学、高校の英語は日本語で学習させる。(3)

今日は、先回皆さんにお約束した、中学生の発音練習について、お話しします。 こちらに書きました発音練習のやり方は私の本「英語発音、日本人でもここまでできます。DVD付き」に書いてあります発音練習のやり方とほぼ同じです。  私が中学時代に実際に行っていた英語学習の方法で、「川合メソッドの原型」です。  

川合メソッドでは耳の力を重視して発音を習得します。  耳の力の重要性についてはこちらのブログをご覧ください。  

日本人が戦後70年日本語の子音で英語の子音を代用して話してきたのは、英語の子音と日本語の子音の違いを聞くことが出来なかったからです。  

その結果、日本人の英語は非常にわかりづらいといわれてきました。  この問題を解決するには、耳の力を上げていく練習が不可欠です。  

また、耳の力を鍛えながら発音を習得すると、習得後も練習に応じて発音は進歩を続け、ナチュラルスピードの英語もネイティブに近い発音で話せるようになります。  最初の練習では聞けなかった音を聞けるようになるからです。なお、最後のほうにも書きましたが、中学生、高校生は変声期にあたりますので、著書にあります発声練習は行わないでください。  著書の36ページにも「変声期の人は発声練習はやらないでください」と明記されています。




発音練習で、最も大事なのは「耳で聞いた通りに発音する能力を育てる」ということです。    

もしみなさんが、お子さんに英語の発音を習わせようと発音の先生の所に連れて行って、その先生が、「生徒は音が聞けないから先生が聞いて直します」とおっしゃったら、その先生には習わないのが賢明です。

なぜなら「生徒は音が聞けないから先生が聞いて直します」というのは、先生自ら、生徒の聞く力をもぎ取っているようなものだからです。  耳の力は、自分で音を聞くことによって、上がって行きます。 これについては2013年11月6日のブログ「私と同じことを聞き分ける生徒さん」をご覧ください。

そして、耳の力をもぎ取るということは口の力ももぎ取る、ということです。  聞けなければ同じ発音で言えません。

私は皆さんのお子さんが、ナチュラルスピードで、ネイティブと同じ発音で話せるようになる方法をここで説明いたします。  ネイティブと同じ発音でしゃべるには、一つの文の最初から最後まで、自分の耳で、音を聞く力が必要です。   

先生の言うとおりの口の形をしてしゃべる練習ではこの力は身に付きません。  中学一年生は高い耳の力を持っていますので、教材を使って一人で発音を習得することは十分可能です。  むしろ「先生が教えてくれる」「先生が直してくれる」というような態度で、発音を学んでも、耳の力は上がりませんので、「自分で習得するのだ」という心構えで始めるのがいいでしょう。

「発音は自分の耳で聞いて習得するのだ」という気持ちで、練習している人は、「後で先生が直してくれる」という気持ちで練習する人の何倍も、音に対する耳の感覚が鋭くなります。  (このことについては2013年月10月28日のブログソクラテス」をご覧ください。)  帰国子女の娘と同じくらい音が聞けるようになった私の生徒さん(こちらのブログに出てきます。)も「自分の耳で音を聞く」という発音習得の基本姿勢を持ち続けています。  

私は生徒さんにはいつも「後で先生が直してくれる、と思わないでください。  この後、誰も、直してくれない、というつもりで、自分で聞き比べて直してきてください」と言います。  この真剣さと集中力が、驚くほど、生徒の耳の感度を上げていきます。  上のブログで紹介した生徒さんも、「自分で聞いて習得する」という気持ちがあるから、集中して聞くのが当たり前の状態になってくるのです。  

生徒さんから「川合先生、アナウンサーのOOさんの言葉は日本語だけど、鼻腔に共鳴していますから、聞いてみてください。」と言われて、驚いたことがあります。  この耳の鋭さは、「先生が、発音を教えてくれる」と思って練習している人にはありません。  

子供のうちにこういう耳の能力を伸ばしてあげましょう。  あんまり大げさに言う必要はなく、「自分で発音を聞いて習得するのが当たり前なんだよ」と言えば、子供は「そうなんだ」と思って、自然に耳が鋭くなっていきます。  

今は基本の発音はDVDなどで勉強できますし、率直に申し上げれば、中学1年生は、発音の先生より耳はいいですから、中学生は先生に習わなくても十分発音習得は出来ます。  特に英語のリズムについては、彼らの方がよく真似できますので、大人が、余計なことを言わない方がいいでしょう。

ブログ「ソクラテス」を読んでいただくとわかりますが、発音練習は、「音を習得すること」を最終目標にしているとだめなんです。  聞いた音と同じ音を出す「耳と口の能力」を身に付けることを目標にすると、ナチュラルスピードでネイティブと同じ発音で話せるようになります。

「自分では、音が聞けない」、「正しい音かどうかわからない」、その状態で、先生にみてもらって、先生の言うとおり発音しても、ナチュラルスピードの英語を聞いて同じ発音で話せる能力は身に付きません。  

「自分では、音が聞けない」、「正しい音かどうかわからない」、その状態を「自分で音が聞けるようになった」「お手本と同じ音かどうかわかるようになった」そういう状態に持っていくのが、本当の発音練習です。  その過程で、「聞いた通りの音は自分の体をどうすると出てくるのか」、それがわかってくるのです。  

そうするとやがて、ネイティブの発音を聞いた瞬間、「この音を出すには自分の口(舌、唇、その他の発声器官)をこうすると同じ音が出てくる」ということが自分でわかってくるのです。  それがわかると、ネイティブと同じ発音で話せるようになります。 

中学1年生はこの能力が高いですから、発音の先生に付く必要はありません。  

親御さんは、ただ、「自分で、聞こえた通り発音する練習をすればいいんだよ。」と言ってあげれば、それで十分です。 お子さんは、「ふ〜ん、そうなんだ。」とそれが当たり前のように、練習を始められるでしょう。

それから、中学生に演説やプレゼンテーションで発音練習をさせないことです。  発音習得の最初にこれをしてしまうと、英語がドタッ、ドタッと、等間隔の重たいリズムで身に付きます。  日本人にはこちらの方が言いやすいからです。  中学生は、「聞いた通りに発音する」という練習をすると、英語を英語のリズムで流れるように言うことができます。  「流れるように言うことができる」これは、とても貴重なことです。  なぜなら、日本人は英語を流れるように言うことができないからです。(これは日本語の特徴から来ています。)  中学生のこの力を活かすためにも教科書にある「普通の文」あるいは「会話文」を使って発音練習をさせてください。  

中学生のこの能力を活用することが、日本人の英語発音を向上させるのに役立ちます。  彼らの貴重な「英語を流れるように言える」能力を育てましょう。 


最後にこれは非常に重要なことですが、日本人が発音練習をするときは、発音練習とフォニックスの学習をくっつけて行わないでください。  最初は、「初めて見た英単語」が読めるようになることよりも、「正しい発音で言えるようにすること」のほうが大事だからです。  

アメリカにいる子供たちはすでに「正しい発音でしゃべっている」状態でフォニックスチャンツをやっているので、問題は生じません。  ところが日本人は、最初に正しい発音で言えるようにしないと、フォニックスチャンツをやっても、日本語の子音の言い方をそのまま英語に持ち込んで、しゃべってしまうのです。

なぜか。  英語と日本語では、音の成り立ちが全く違うからです。  英語は子音一つで音を言うことが出来ますが、日本語は子音一つで音を言うことはできません。  日本語の子音はいつも母音とセットになって初めて一つの音を言い表します。 (例えば 「た」(TA)  「め」(ME) という具合です)

その結果、日本語と英語では子音の長さが少し違います。(こちらのブログを参考にしてください。)  特に単語の最初の子音の長さが違います。

この違いは非常に小さな違いなので、この違いを聞き分けられなかった日本人は、戦後70年、日本語の子音の言い方で英語の子音を代用してしゃべってきました。  その結果日本人の英語は、非常にわかりづらい(最悪の場合通じない)と言われてきました。

私の生徒さんは、100%の注意を集中して、お手本の音を聞き、100%の注意を集中して、聞こえた通り発音するように練習して来ますが、それでも、この子音の長さの違いが聞き取れないことがあるので、私はレッスンでアドバイスをします。  (このアドバイスは、私の2冊目の本(緑色の本)の中にまとめられています。  また、ブログでも解説しています。  2月1日のブログを聞いていただくと、Wの音の日本語化が皆さんにもわかるようになります。)

注意を耳に集中して発音練習しないと、この日本語の子音の長さと英語の子音の長さの違いは、聞き取れません。  日本語を長く聞いてきた耳が、英語の子音の長さを「言語の音ではない」「関係ない」と無意識に耳からはじいて取り込まないからです。  

英語の発音を習得するときには、今まで耳が取り込んだことのなかった新しい音(子音の長さ)を聞かなければなりません。  それをするためには、100%の注意を耳に集中して音を聞いてください。  音とつづり字の関係にも注意を向けていると、この日本語になかった音は聞き取れないのです。

 「音とつづり字の関係」を勉強したかったら、「音とつづり字の関係」を目標に学習してください。  通じる「発音」を身に付けたかったら、「発音」だけに集中して学習してください。  発音練習は音だけに注意を集中した時、今まで聞けなかった日本語にない音が聞けるようになります。  

私は、すでにアメリカで正しい発音でしゃべっている子供たちが行なっているフォニックスチャンツで、日本人が発音習得を行っても、日本人特有の発音の問題を解決することはできないと思っています。  日本人が抱える発音の問題は、日本語を母国語とするからこそ起こってくる問題です。  日本語を知らないアメリカの子供たちが行っているフォニックスチャンツでは、日本人特有の発音の問題を解決することはできないと思っています。

チャンツはリズムに乗って言わせても、英語の音を大量に聞いていない日本人は、それを正しい発音で言っているのかどうかわかりません。  フォニックスで初めて見た単語が読めても、発音した子音は日本語の子音で代用した言い方になっている場合がほとんどです。

発音練習をフォニックスチャンツですることについては、下のブログにも書いてあります。
2017年8月6日のブログ「RとFの練習1回目(再掲載2017  私がフォニックスチャンツで「発音を学ぶこと」に賛成できない理由)





それでは実際の発音練習のやり方を説明します。

まず、教科書の文章を録音してあるCDを書店で購入してください。  2000円くらいだと思います。  少し高いですが、中学生で発音を身に付ければ、その後、一生、発音を学びなおす必要はありませんので、高くても買う価値があります。

そして、教科書の学習が終わって、単語の意味も文章の意味も文法事項もすべて理解した英文を発音練習していきます。  

発音練習の最初は、まず、発音記号ごとの発音を学びます。

発音記号ごとの発音を学ぶ場合、以下の2つの点を満たしていればどの教材を使っても結構です。

1.一つの音について注意する点が1つか2つであること。  

細かすぎる解説は、発音の「研究者」に任せましょう。  発音の「練習者」には、重要なことだけのシンプルな指示が最も効果的です。 文章をしゃべる時に、一つ一つの音にそんなにたくさんの注意を思い出していられないのです。(3月13日のブログ「一つのことが出来るように練習していくと、なぜ全体が出来るようになるのか。」も参照してください) 特に中学生に細かな指示は禁物です。  嫌になって、やめてしまいます。  文章の発音練習の時、すぐ頭に浮かぶような一言(ひとこと)で言える音の特徴を覚えておくほうがいいです。   

2.中学生でも理解できるやさしい言葉で発音を説明していること。  

中学生が自分で勉強しますので、中学一年生でも理解できるやさしい言葉で発音を説明してあることは言うまでもありません。

3.音を解説している人が自分の文章の発音を公開していること。その子音が日本語化していないこと。
音の解説は出来るが、自分の文章の発音は公開できない、ということは、その先生はまだ、「文になると正しい発音ができない」ということです。 文を最初から最後まで正しい発音でしゃべれるようにするにはそのための指導があります。 文の中で日本語化している子音も聞き取って、生徒さんに適切なアドバイスができなくてはなりません。 それがまだその先生には「出来ない」ということです。 文になったときも発音指導の出来る先生に習いましょう。

公開していらっしゃる先生の発音を聞いてみて、英語本来の長さを持った子音で文章が発音されていれば大丈夫です。  その先生が、日本語の短い子音で英語を話している場合は、その教材は使わないでください。  英語本来の子音で話せるようになりません。  発音の先生でも、DVDやネット上にアップされている発音を聞かせていただくと短い日本語化した子音で発音している先生もいらっしゃいますので、その点は良く確かめてください。

日本語化している子音かどうかはどうやってわかるか、というと、こちらは私がホームページで公開している発音です。  W や N や R のところで、一瞬ためるように(止まるように)子音を発音しているのが、わかると思います。  日本語化している発音の場合は、全部同じような短い音がつながって、文が流れていきます。  どこにもためるような感じがなく、すべての音がとても短いです。 特に文の最初の子音を注意して聞いていると短いのがよくわかります。 そういう発音は、発音の先生が発音していらしても日本語化しています。  流ちょうにしゃべっているのですが、文の最初の子音が短いので、何を言っているのかわかりづらいときがあります。  (そういう英語を聞くと、私の知人の中には「ツルツル、ツルツルした発音」という人もいます。)私のこの発音の後に続けて、その先生の発音の音声を流して聞いてみてください。 その時、「子音が短いな」と感じたら、子音が日本語化している可能性が高いです。  そういう場合はお手本として使うのは避けてください。 自分も日本語化した子音で話すようになります。



以上の点を満たしていればどの教材を使っても結構です。  私も基本の発音を解説したDVDを出しています。  それを使っていただくと、LやRなどは子音の日本語化を防ぐことを考慮した説明になっていますので、役に立つと思います。  

それから、歌で発音習得を勧めている本もありますが、それはやめてください。  理由は2015年12月1日のブログの最後をご覧ください。  端的に言うと、歌は、母音の特徴が違ってくるからです。  ですから、発音指導の専門家は歌で発音習得を勧めることはありません。  基本の発音は文章で、正確に習得してください。    

基本の発音を中学生が学ぶ時に「英語の子音には長さがあるんだよ。」と教えてください。  日本人の話す英語の子音は短いので、それが通じない原因になっていることを話してあげてください。  そして、私の3冊目の本「帰国子女に見る世界に通用する英語力の作り方」67ページに書いてあります日本語化しないように子音を発音するやり方も、一緒に教えてください。  その時、自分が発音した子音の長さが聞こえることを自分の耳で、確認させてください。  そうしないと、口の形だけして、息を送らず、子音が長く聞こえない場合があります。

発音記号ごとの発音の仕方を学んだら、まず、学習したレッスンの単語の発音を練習し、その後、文を一つずつ、聞いた通りに言う練習をしてください。  (最後にも繰り返して、書いてありますが、時間に余裕があれば、自分の発音を録音して、お手本と比べて直してください。  大人の生徒さんの場合は、必ずこれをやってもらっていますが、中学生の場合は大変耳がよいので、時間がなくて、録音できなくても、それほど違った発音にはなりませんので、大丈夫です。  夏休みや春休みなど、時間のある時にやってください。)、    

** 注意するポイント **
単語の練習の時は発音記号を見ても結構ですが、文章の発音練習になったら、発音記号は一切見ないでください。  発音のわからない単語の発音記号を調べて単語の発音練習をするのは結構ですが、発音記号を文章に書き込んで発音練習するのはやめてください。 

文章の練習の時に発音記号を見ていると耳で聞こえた通り発音するのではなく、自分が頭でこうだと思っている音で発音するようになります。  これをやっていると、「聞いた通りに発音する能力」が付きませんのでやめてください。  「聞いた通りに発音する能力」は発音習得において最も重要な能力です。  

これは、小さなポイントですが、影響が非常に大きいので重要です。  発音記号を見ながら文章の発音練習をしている限り、ネイティブと同じ発音でしゃべる能力は身に付きません。  英文は見ながらでも結構ですが、発音記号は見ないで、聞こえた通り文章を発音するようにしてください。
部活などで、忙しい場合はここまでやって下の==== の間の練習は飛ばして、最後の書き取りに移って結構です。  時間がある人は、以下の同時音読の練習も行ってください。

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文を一つずつ発音する練習が終わったら、そのページ全体を最初から最後まで、お手本と鏡のようにぴったり同じに発音する練習をします。  リズムやイントネーションがぴったり同じに言えないところがありましたら直してください。  これが同時音読です。(同時音読の時も、英文は見て結構ですが、発音記号は見ないでください。)  シャドウイングのように少し遅れて発音するのではなく、文の出だしからぴったり同じに発音します。

同時音読とシャドウイングは英語を言うタイミングが少し違うだけですが、2つを取り違えないでください。  シャドウイングには発音をよくする効果はまったくありません。  それどころか、速さに追われて、日本語の癖が丸出し(母音が短い。子音が短い)になりますので「発音練習として」行うのはやめてください。 「シャドウイングに発音をよくする効果はない」ということが納得できない方は、自分がシャドウイングしているときの発音を録音して聞いてみてください。  母音が短くてちょこちょこ切れるし、子音が短くてわかりにくいし、とても良い発音だとは言えないことに気付くでしょう。

それが終わりましたら、文章全体を10回でも20回でも結構ですから、自分で読んでください。  中学生の教科書は70回くらい読んでほしいのですが、先日、中学校の勉強をやり直している高校生に「中学校の教科書を70回くらい音読してみて」といったら「70回なんて読めない」と言われてしまいましたので、お子さんがそう言った場合は10回でも20回でも結構です。  上手になり始めると、熱心になる子もいますので、最初はとにかく続ければいい、くらいの気持ちで、見守ってください。 中学時代、ここに書かれているように発音習得をした場合、高校生になったら、学習の終わった英文を70回も音読しなくて大丈夫です。  また、高校の場合と中学の場合の勉強の仕方は違います。 中学生は基本を徹底的に。 高校生は、「出来るだけたくさんの文に接していく」「たくさんの語彙を習得していく」ことが重要ですので、一つの教材を10回くらい音読したら、次に勉強した文章の音読に移ったほうがいいでしょう。 それでなくても、高校生は複雑ないろいろなタイプの英文を読んで分かるようにしていかなければならないので、出来るだけたくさんの英文に接していってください。  高校生の音読の目的は、発音練習というよりは、勉強した英文を語順の通り処理していくことに主眼が置かれます。

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最後に文を全部書きとってください。  この時、綴り字が書けない単語は書けるようにしてください。 英語の文章は発音練習によって、完璧に頭の中に入っていますから、単語を書けるように練習すれば、文はおのずとかけるようになっています。  これで4技能の一つ書くこと(Writing) の技能も身に着けることができます。 文がすべて頭の中に暗記されてしまうまで発音練習をすると4技能すべてが身に付きます。
Speaking はもちろん発音練習で完璧です。
Listening も音が全部頭に残っていますので、完璧です。
Reading 何度も発音練習している文ですので、読むこともできます。
Writing 上に書きましたように完璧に書けます。

私の発音の生徒さんの中に大学生のころ中学生に英語の家庭教師をしていたという人がいて、「教科書の文章を毎回暗記させていたら、その子はテストで95点より低い点数はとったことがなかった」と言っていました。  発音練習を何度もして、教科書の文章を暗記してしまうと、定期試験対策も万全です。

先にも書きましたが、中学生は部活もありますから自分の発音を録音してお手本と比べるのは、週末や連休、夏休み中など、時間が取れるお休みを利用して、やってください。  中学生は耳がいいですし、子音の日本語化も最初に教えてありますので、それでも、発音習得上、大きな問題は起きません。

私のDVDには発声練習もついていますが、中学、高校は変声期に当たりますので、発声練習はやらないでください。

また、「変声期で声を出すと喉が痛い」「声がかすれる」という場合は、「声を出す発音練習」は行わないでください。  これは大人も同じです。  「喉が痛い」「声がかすれる」などという症状がある時は、「声を出す発音練習」は、行わないで下さい。  喉の状態がよくなったときに「声を出す発音練習」を行ってください。

では、声が出せないと発音練習はできないか、というとそういうことはありません。  川合メソッドで最も重要なことは「耳の聞く力を上げる」ことです。  声を出せない時は、聞く練習を行います。  例えば、

CDを聞きながら、母音や子音の音の特徴を認識する練習をする。
イントネーションやリズムを認識する練習をします。
何度も聞いて慣れてきたら、単語と単語のつなぎ目の音の変化を聞き取る練習をする。  (著書「英語発音、日本人でもここまでできます。」18ページにはatという単語を例にして、次に来る単語によって、Tの音の言い方が違ってくることが書いてあります。)
子音の長さを聞く練習をする。

など、声が出せない時は、聞く練習を行います。  聞く練習を積み重ねていると、声を出す発音練習ができるようになったとき、同じように言えるようになります。  聞く練習はとても大事な練習です。  



発音練習については以上です。

私は、中学時代のもっとも大事な課題は発音習得だと思っています。  正しい発音で、中学3年間に習う文章をすらすら話せたら、中学3年生のレベルで、「英語コミュニケーション能力は完璧だ」ということです。  文部科学省が目標とする「中学校で身に着ける英語コミュニケーション能力」は、これで完璧です。

次回は、「わが子の英語力を上げたかったら、文部科学省がどのような方針を打ち出そうと、中学、高校の英語は日本語で学習させる」シリーズの最終回です。 

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私の本「続・英語発音、日本人でもここまでできます。」を購入された方で、付属CDトラック6に収録されております、Where’s my bag? のWの音の比較が聞き取れない方は、2015年2月1日のブログをお聞きください。  そうすると、生徒さんと私のWの発音の違いが聞き取れるようになります。


私の書いた3冊の本の中で、2冊目の本「続・英語発音、日本人でもここまでできます。」は、最も難しい本です。  これが、読んですぐわかる方は、相当、音をよく聞いて発音練習していらした方だと思います。  むしろ、一回読んだくらいでは理解できない人の方が多いと思います。  けれども、川合メソッドのやり方で練習していくうちに、必ず、わかるようになりますので、心配しないで、練習を続けてください。

子音と母音が常にセットになって発音される日本語は、独特な子音の言い方をします。  英語の音との違いが分かるには、少し辛抱して音を聞いてください。

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高校入試で子供たちが親の収入によって差別されない為に以下のお知らせを書かせていただきます。

高校入試のスピーキングテストについて(大学入試のスピーキングテストについても同様です)

高校入試のスピーキングテストは本来文部科学省が学校教育で正しい発音を生徒に教えてから行うべきものです。  しかし、文部科学省が教科書にCDもつけず、正しい発音の仕方も学校で教えないまま、高校入試でスピーキングテストを実施する動きが都立高校などで始まっています。 (大学入試でもスピーキングテストが行われようとしています)  これは、スピーキングスキルの習得を塾や予備校、会話学校に丸投げするものです。  学校で教えていないスキルを入試でテストすることはあり得ません。

これでは経済的に余裕のない、塾や会話学校にいけない家庭の子供は誰にも正しい発音を教えてもらえず、練習するCD(音声モデル)も与えられないまま、高校入試でスピーキングテストをされることになり、明らかに親の収入による進路の差別が始まります。(詳しくは2018年3月8日のブログ「高校入試のスピーキングテストは子供を親の収入で差別するもの」をお読みください。)

皆さんの身近に教育関係者がいらっしゃいましたら、ぜひ「高校入試のスピーキングテストは子供を親の収入で差別するもの」であることをお伝えください。  (大学入試のスピーキングテストについても同じことです)  
15歳で親の収入のために進路を差別されるのでは子供たちがあまりにもかわいそうです。

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英語教育については、下のブログも併せてご参照ください。  日付をクリックすると移動できます。
2017年10月12日
文部科学省 新中学校学習指導要領 英語 「4技能」は全く効果がない(子供たちが通じる発音でスラスラ話せるようになる学習指導要領の見本付き)




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高校英語教育を文部科学省の誤解に基づいた方針から守るため、以下のご案内を書かせていただきます。

現在文部科学省が「グローバル化に対応した英語教育改革」の目玉として掲げているCAN-DO方式は、ヨーロッパの人々にはできますが、日本語を母国語とする人にはできない方式です。

文部科学省は「CAN-DO方式が日本人には不可能な方式である」と気づいておりません。  導入されれば教育現場は大変迷惑します。  中止する必要があります。  なぜCAN-DO方式が不可能なのかはこちらのブログをお読みください。

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何度もお願いをしているのですが、アマゾンのページで私の本のランキングを下げて妨害をしている人がやめてくれないので、(詳細はこちらです)しばらく以下の文章を掲載させていただくことにしました。

「本を出版する人は、他の著者の妨害をしない。  他の著者を妨害する人は自分の本も出版できない。」
出版社におかれましては、このことを出版の際、著者に理解していただいてください。

私のランキングを妨害している人は、たぶん、現実を受け入れられないのでしょう。
アマゾンの順位を1ペ―ジ目から2ページ目に下げられ、数日でまた2ページ目から3ページ目に下げられて、私は、この方の激しい妨害に驚いています。 

「学習者に正しい発音を習得してほしい」というのが自分の目標でしたら、他人を妨害する必要はありませんね。  他人を妨害してまで、何を手に入れたいのでしょうか。  ベストセラーの著者という名声ですか。  それなら、もうアマゾンで、ご自身の本はベストセラーに認定されているのですから、それで十分でしょう。  この上何が欲しくて私を妨害するのでしょうか?  もう英語教育とは関係ないことですか。  

私は、こちらに書いてある3つのことをするのが、目的です。  日本人が子音の日本語化を知っているか、いないかで、通じる英語で話せるか話せないかが、決まります。  ですから、このことを読者の皆さんに理解していただくのは、とても大事なことなのです。  私の仕事の妨害をしないでください。 

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クマさん、ウサギさん、ブタさん、それぞれが持っている旗に書かれたことの理由は、2017年7月30日のブログをご覧になるとわかります。