川合典子 ブログ

英語教育、英語学習、発音習得、帰国子女の言語習得について書いています。

耳は人間の体の中で唯一、音をとらえられる器官です。(1)

シカゴの赴任から帰ってきたとき、姉の家族と一緒に食事をしました。 そのとき、姉が子供たちに「中学生のときの、典子おばちゃんの発音練習は本当にうるさかったのよ。こうやって、口をカクカク(口というよりあご)を動かして、本当にうるさかったのよ」と私の発音練習の物まねをして見せました。

その様子は、あごをカクカクさせながら、口の動きが大きく、顔じゅう口にして発音しているようだったので、子供たちが、笑いました。 私も一緒になって笑いました。そうやって、私は発音練習していたんだなあと思いました。中学生のとき、私の発音を聞くに堪えなくて、姉が部屋を出て行ったことは皆さんにもお話ししたとおりです。 

子供たちが食事を終えた後、姉が「今はね、みんな何でも早く身につけたいのよ。典子みたいなやり方は、やらないわ」と言いました。私も、そうなんだろうなと思いました。だから私は、特に「川合先生に発音を習いたい」という希望がある人以外は積極的に教えることはありませんでした。

あのときから、20年がたちました。 これまでに、いろいろな方法が出てきました。書店に行けば私が若かったころの何倍もの発音の本が置かれるようになりました。 「早く発音を習得したい」という読者にアピールする方法は、本ばかりでなく、ネット上にもたくさん載っています。

けれども、正しい発音で話せるようになった人は、増えないのです。それどころか、アメリカでMBAを取ろうと言うような人の発音まで、通じないという現実が今も続いています。(10月10日のブログ「読者の方からのメール(日本人の英語は通じない)http://d.hatena.ne.jp/creato-k/20121010 に書いてあります。)

姉に、「今の時代、みんなもっと早く発音を身につけたいのよ」と言われたときから20年たった今、私は、「やはり、口の形だけ覚える(あるいは教える)、発音練習ではだめだったのだ」と思いました。 「耳を使わない練習では発音は習得できないのだ」と思いました。 理由は明白です。人間は自分の耳で認識した音しか口で再生できないからです。

人間の体の中で、音を聞き、認識できる器官は耳だけです。耳に代わって音を捉えられる体の部分はありません。 

発音という「音」を身につけるのに、日本人は、人間が音をとらえることができる唯一の器官、耳と口のつながりを除外して発音練習を行っているのです。

皆さんは矛盾を感じませんか?

赤ん坊も帰国子女も、話し始めるまでに、耳でたくさん言葉を聞いて、それから話し始めます。 

日本語も外国語もそうやって、まず、聞いてから話し始めるのに、なぜ、英語発音を習得するときだけは、自分の耳と口のつながりを使わなくて、口の形だけを練習して習得できると思うのでしょうか? 


川合メソッドのやり方は面倒だと思われるかもしれませんが、川合メソッドでは耳の力を上げていく練習を口の練習といつもセットで行います。その結果、口の力だけでなく耳の力が上がります。 モデルの発音と自分の発音を比べて「違いを認識する」ことにより、「脳の働き」も訓練していきます。

しゃべる言葉を習得するときに人間が使う一連の活動、「有機的につながる耳、口、脳の活動」を丸ごと訓練して、発音能力を上げていきます。

(11月21日に続く)




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高校入試で子供たちが親の収入によって差別されない為に以下のお知らせを書かせていただきます。

高校入試のスピーキングテストについて(大学入試のスピーキングテストについても同様です)

高校入試のスピーキングテストは本来文部科学省が学校教育で正しい発音を生徒に教えてから行うべきものです。  しかし、文部科学省が教科書にCDもつけず、正しい発音の仕方も学校で教えないまま、高校入試でスピーキングテストを実施する動きが都立高校などで始まっています。 (大学入試でもスピーキングテストが行われようとしています)  これは、スピーキングスキルの習得を塾や予備校、会話学校に丸投げするものです。  学校で教えていないスキルを入試でテストすることはあり得ません。

これでは経済的に余裕のない、塾や会話学校にいけない家庭の子供は誰にも正しい発音を教えてもらえず、練習するCD(音声モデル)も与えられないまま、高校入試でスピーキングテストをされることになり、明らかに親の収入による進路の差別が始まります。(詳しくは2018年3月8日のブログ「高校入試のスピーキングテストは子供を親の収入で差別するもの」をお読みください。)

皆さんの身近に教育関係者がいらっしゃいましたら、ぜひ「高校入試のスピーキングテストは子供を親の収入で差別するもの」であることをお伝えください。  (大学入試のスピーキングテストについても同じことです)  
15歳で親の収入のために進路を差別されるのでは子供たちがあまりにもかわいそうです。

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英語教育については、下のブログも併せてご参照ください。  日付をクリックすると移動できます。
2017年10月12日
文部科学省 新中学校学習指導要領 英語 「4技能」は全く効果がない(子供たちが通じる発音でスラスラ話せるようになる学習指導要領の見本付き)





高校英語教育を文部科学省の誤解に基づいた方針から守るため、以下のご案内を書かせていただきます。

現在文部科学省が「グローバル化に対応した英語教育改革」の目玉として掲げているCAN-DO方式は、ヨーロッパの人々にはできますが、日本語を母国語とする人にはできない方式です。

文部科学省は「CAN-DO方式が日本人には不可能な方式である」と気づいておりません。  導入されれば教育現場は大変迷惑します。  中止する必要があります。  なぜCAN-DO方式が不可能なのかはこちらのブログをお読みください。

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何度もお願いをしているのですが、アマゾンのページで私の本のランキングを下げて妨害をしている人がやめてくれないので、(詳細はこちらです)しばらく以下の文章を掲載させていただくことにしました。

「本を出版する人は、他の著者の妨害をしない。  他の著者を妨害する人は自分の本も出版できない。」
出版社におかれましては、このことを出版の際、著者に理解していただいてください。

私のランキングを妨害している人は、たぶん、現実を受け入れられないのでしょう。
アマゾンの順位を1ペ―ジ目から2ページ目に下げられ、数日でまた2ページ目から3ページ目に下げられて、私は、この方の激しい妨害に驚いています。 

「学習者に正しい発音を習得してほしい」というのが自分の目標でしたら、他人を妨害する必要はありませんね。  他人を妨害してまで、何を手に入れたいのでしょうか。  ベストセラーの著者という名声ですか。  それなら、もうアマゾンで、ご自身の本はベストセラーに認定されているのですから、それで十分でしょう。  この上何が欲しくて私を妨害するのでしょうか?  もう英語教育とは関係ないことですか。 私は、とても困っています。  

私は、こちらに書いてある3つのことをするのが、目的です。  日本人が子音の日本語化を知っているか、いないかで、通じる英語で話せるか話せないかが、決まります。  ですから、このことを読者の皆さんに理解していただくのは、とても大事なことなのです。  私の仕事の妨害をしないでください。 

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クマさん、ウサギさん、ブタさん、それぞれが持っている旗に書かれたことの理由は、2017年7月30日のブログをご覧になるとわかります。