川合典子 ブログ

英語教育、英語学習、発音習得、帰国子女の言語習得について書いています。

教育心理学の授業

津田塾大学に在籍していたとき、教師になる学生は教育原理と教育心理が必修でした。 
私が大学生だったころはまだ戦前、戦中の教育の反省が色濃く残り、教育の現場で体罰がいけないということも重要事項として、教えられました。 戦後、現場の先生方がどれほど努力して、その意識を変えて来られたか、その活動についても学生は学びました。 

教育心理学の私のクラスを教えてくださったのは仁科弥生先生でした。先生は、津田塾大学卒業後、アメリカの大学で心理学を学ばれて、大学院もアメリカでした。

ちょうど私が教育心理学の授業を履修した年に、エリクソンの「幼児期と社会」と言う本を訳されて、それが日本で出版されました。 新聞の出版の広告に「名著の新訳」と書かれてあって、授業のときに、「新聞をご覧になった方もいらっしゃるかもしれませんが、広告の文章は、『名著の新訳』となっていましたね、『名著の名訳』、ではありませんでしたけれど。。。」とおっしゃって、少し、笑っていらしたのを覚えています。この本は今でも、みすず書房から出ていますから、やはり、名著の名訳だったのでしょう。

授業では「リンゴ」と「ジンゴ」の話、積み木で高い尖塔を作った男の子の話など、とても興味深いお話をしてくださいました。 でも、先生の授業で、私が一番印象に残っているのは、先生の発音でした。

授業は日本語で行われましたけれど、先生のお話になる日本語のKの発音がとても鋭く明確に発音されていました。「だから(dakara)」とか「これ(kore)は」とかおっしゃるときのKの音でさえ、とても鋭くクリアーでした。あんなにいつも鋭く発音なさっていて、お疲れにならないのかしらと思うほど、日本語を話していても、鋭く明確なKを発音されていました。 先生にとっては、それが普通の発音の仕方だったのだと思います。

もう一つは、日本語より唇に力を入れて一定の形に保って発音される母音があったことです。特にドイツの心理学者の名前を言われるときの母音がそういう発音の仕方で、固定された母音の唇の形が印象的でした。

20代で長く留学していらしたので、そういう発音になられたのだろうなあといつも思って先生の講義を聞いていました。 

私は今でも毎日音読の練習をして、そのあと、自分の発音の録音をチェックしますが、Kの破裂が弱いと、仁科先生のKの発音を思い出します。 特に語頭の鋭いKの破裂をスピードを速くしたときも忘れないように努力しています。

***発音習得について***

発音は自分の耳、口、脳を使って学びましょう。 これらの器官がすることを他人に任せないで下さい。 「もう必要がないんだ」と判断された自分の能力はだんだん衰退していきます。 

特に10代の学習者の方、これから自分の耳の力、発音習得の力がどれほどのびていくか分からないわけですから、この「音を似せていくプロセス」を他人に任せないで自分でやってください。 私も中学一年のときから川合メソッドのやり方で発音を学び、今のような発音になりました。 32歳まで英語圏に住んだことはありません。 能力は使えば使うほど向上します。



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高校入試で子供たちが親の収入によって差別されない為に以下のお知らせを書かせていただきます。

高校入試のスピーキングテストについて(大学入試のスピーキングテストについても同様です)

高校入試のスピーキングテストは本来文部科学省が学校教育で正しい発音を生徒に教えてから行うべきものです。  しかし、文部科学省が教科書にCDもつけず、正しい発音の仕方も学校で教えないまま、高校入試でスピーキングテストを実施する動きが都立高校などで始まっています。 (大学入試でもスピーキングテストが行われようとしています)  これは、スピーキングスキルの習得を塾や予備校、会話学校に丸投げするものです。  学校で教えていないスキルを入試でテストすることはあり得ません。

これでは経済的に余裕のない、塾や会話学校にいけない家庭の子供は誰にも正しい発音を教えてもらえず、練習するCD(音声モデル)も与えられないまま、高校入試でスピーキングテストをされることになり、明らかに親の収入による進路の差別が始まります。(詳しくは2018年3月8日のブログ「高校入試のスピーキングテストは子供を親の収入で差別するもの」をお読みください。)

皆さんの身近に教育関係者がいらっしゃいましたら、ぜひ「高校入試のスピーキングテストは子供を親の収入で差別するもの」であることをお伝えください。  (大学入試のスピーキングテストについても同じことです)  
15歳で親の収入のために進路を差別されるのでは子供たちがあまりにもかわいそうです。

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英語教育については、下のブログも併せてご参照ください。  日付をクリックすると移動できます。
2017年10月12日
文部科学省 新中学校学習指導要領 英語 「4技能」は全く効果がない(子供たちが通じる発音でスラスラ話せるようになる学習指導要領の見本付き)




高校英語教育を文部科学省の誤解に基づいた方針から守るため、以下のご案内を書かせていただきます。

現在文部科学省が「グローバル化に対応した英語教育改革」の目玉として掲げているCAN-DO方式は、ヨーロッパの人々にはできますが、日本語を母国語とする人にはできない方式です。

文部科学省は「CAN-DO方式が日本人には不可能な方式である」と気づいておりません。  導入されれば教育現場は大変迷惑します。  中止する必要があります。  なぜCAN-DO方式が不可能なのかはこちらのブログをお読みください。

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何度もお願いをしているのですが、アマゾンのページで私の本のランキングを下げて妨害をしている人がやめてくれないので、(詳細はこちらです)しばらく以下の文章を掲載させていただくことにしました。

「本を出版する人は、他の著者の妨害をしない。  他の著者を妨害する人は自分の本も出版できない。」
出版社におかれましては、このことを出版の際、著者に理解していただいてください。

私のランキングを妨害している人は、たぶん、現実を受け入れられないのでしょう。
アマゾンの順位を1ペ―ジ目から2ページ目に下げられ、数日でまた2ページ目から3ページ目に下げられて、私は、この方の激しい妨害に驚いています。 

「学習者に正しい発音を習得してほしい」というのが自分の目標でしたら、他人を妨害する必要はありませんね。  他人を妨害してまで、何を手に入れたいのでしょうか。  ベストセラーの著者という名声ですか。  それなら、もうアマゾンで、ご自身の本はベストセラーに認定されているのですから、それで十分でしょう。  この上何が欲しくて私を妨害するのでしょうか?  もう英語教育とは関係ないことですか。  私はとても困っています。  

私は、こちらに書いてある3つのことをするのが、目的です。  日本人が子音の日本語化を知っているか、いないかで、通じる英語で話せるか話せないかが、決まります。  ですから、このことを読者の皆さんに理解していただくのは、とても大事なことなのです。  私の仕事の妨害をしないでください。 

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クマさん、ウサギさん、ブタさん、それぞれが持っている旗に書かれたことの理由は、2017年7月30日のブログをご覧になるとわかります。