川合典子 ブログ

英語教育、英語学習、発音習得、帰国子女の言語習得について書いています。

私と同じことを聞き分ける生徒さん

練習を開始して3年くらいたった生徒さんに、レッスンでいろいろな日本人の方々がしゃべった英語の発音を聞いてもらうことがあります。  そして、「この発音のどこを直したらいいと思いますか?」とお聞きすることがあります。

そうすると、よく練習してきた生徒さんは「ずいぶん母音の区別があいまいな発音ですね」とか、私が指摘しようと思っていたことと同じことを指摘するようになります。

よく音が聞けているなあと思います。  このように訓練すれば、だれでも音が聞けるようになります。

その力を開発しないで、「生徒に音は聞けないから、先生が聞いて直します」と、最初から音を聞くことを学習者にあきらめさせてしまうのは、良心的な指導とは言えないと思います。

今までどれほど多くの人が、「生徒に音は聞けない」といわれて、自分のこの能力を開発しようともしないで、埋もれさせてきたかと思うと本当にこの言葉が発音学習者にもたらした損失は計り知れないと思います。  これは、学習者が実際に持っている能力まで「ない」と否定するわけですから、良心的な指導とは、言えないと思います。

この生徒さんに聞いてもらった発音は、発音を教えている人の中にも絶賛する人がいた発音でした。  でも、生徒さんは一回聞いて「母音の区別があいまいな発音ですね」と私と同じことを指摘しました。

なぜこの話を皆さんにしたかといいますと、目的に合った練習をすれば、生徒でも、発音を教えている先生と同じくらい、時にはそれ以上に正確に音を聞き分けると言う事実を皆さんに知っていただきたかったからです。  この生徒さんは、私のところに発音を習いにいらした時には、母音の区別も出来ない方でしたけれど、練習をして、こんなによく音が聞けるようになりました。  聞く力は目的にあった練習さえすれば、だれでも向上させることが出来ます。

皆さんと発音を教える先生と耳の構造は何も違わないのですよ。

ただ聞くことは、漫然と行っていると10年たっても20年たっても母音の区別も聞けるようにはなりません。  発音に関しては聞くべきポイントをおさえて集中して聞くと聞く能力はどんどん上がります。これについては11月2日のブログ「聞く力を高める集中力をどこで身に付けるか」に書いたとおりです。  

初級の時は文の中の一つの音、Sの音とかLの音とか、一つ決めて聞き比べていくようにすると、聞けるようになります。  実際に私も初級の時は一つの音を比べていました。  練習というのは、上級者がやっていることを初級者がまねしてもうまくいきませんから、初級のうちは一つ一つ丁寧にやっていかれると確実に聞く力は上がります。  

音を一つ一つ丁寧に練習するなど、そんなことで、たくさんある英語の音が全部聞けるようになるのか、時間が足りなくなるのではないか、と思われるかもしれませんが、自分の聞く能力は、いつまでも練習を開始した時のままではありません。  練習開始から1,2ヶ月で、かなり上がってきますので、続けているとそれほど手間取らずに聞けるようになってきます。  なぜ、1,2ヶ月で相当あがるかというと、生徒さんは私がどこを直すか、そのポイントが2,3回のレッスンで分かってくるからです。  (私がレッスンで生徒さんに指摘するポイントは、基礎的なことは最初の本のDVDで、個々の音については2冊目の本で説明いたしました。)

文章の発音を聞く能力は、ただお手本の英語を聞いているだけでは、進歩しません。  練習の最初ではお手本の文全体を聞くことからはいりますが、より似せていく練習に入ると、お手本の発音だけ聞いていても、「ああ、英語の発音はこういうものか」と思うだけで終わります。  ところが、一つの音をお手本と自分の発音と比べる、という比較の段階に入ると、俄然、音を聞く集中力が違ってきます。  ポイントを絞って聞く練習は非常に集中力を上げます。  この集中力が、耳の力を上げます。

映画「プラダを着た悪魔」のランスルーの場面をただ見ているのと、映画の最初から23分経過したところで、「メリル・ストリープがThis ….stuff.....といったときのStuff のSと自分の発音したStuff のSの長さを比べて聞いてください」  といわれたら、Stuff のSの長さを聞き取る時の集中力は相当高いということはだれでも分かると思います。  

比較を聞き取る集中力の高い状態で毎日、練習を続けた生徒さんの聞く力は、発音を教える先生より上がってきます。

どうぞ皆さん、自分で音を聞いてください。  11月2日のブログで述べた、(2)から(4)を行う時(比較を聞き取る時)、集中力は非常に高まります。

機械や先生に発音を聞いて直してもらっていると、この「集中力がもっとも高まる部分」つまり耳の力をもっとも上げる練習は、すっぽり抜けることになります。  発音練習のもっとも重要な部分を誰か(あるいは機械)に任せてしまってはだめなんですね。  発音練習は、「手間がかかる、集中力がいる」とその部分を「丸投げ」してしまうとだめなんですね。  その、手間がかかり、集中力のいるところが、自分の実力を育てるわけです。  ここを「外部委託」してしまうと、通じる発音で話せません。  子音の日本語化も自分で聞けるようになりません。

通じる発音で話したかったら、自分で音を聞いてください。  訓練の仕方は私の本「英語発音、日本人でもここまでできます。」続・英語発音日本人でもここまでできます。」に書きました。 

 

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高校入試で子供たちが親の収入によって差別されない為に以下のお知らせを書かせていただきます。

高校入試のスピーキングテストについて(大学入試のスピーキングテストについても同様です)

高校入試のスピーキングテストは本来文部科学省が学校教育で正しい発音を生徒に教えてから行うべきものです。  しかし、文部科学省が教科書にCDもつけず、正しい発音の仕方も学校で教えないまま、高校入試でスピーキングテストを実施する動きが都立高校などで始まっています。 (大学入試でもスピーキングテストが行われようとしています)  これは、スピーキングスキルの習得を塾や予備校、会話学校に丸投げするものです。  学校で教えていないスキルを入試でテストすることはあり得ません。

これでは経済的に余裕のない、塾や会話学校にいけない家庭の子供は誰にも正しい発音を教えてもらえず、練習するCD(音声モデル)も与えられないまま、高校入試でスピーキングテストをされることになり、明らかに親の収入による進路の差別が始まります。(詳しくは2018年3月8日のブログ「高校入試のスピーキングテストは子供を親の収入で差別するもの」をお読みください。)

皆さんの身近に教育関係者がいらっしゃいましたら、ぜひ「高校入試のスピーキングテストは子供を親の収入で差別するもの」であることをお伝えください。  (大学入試のスピーキングテストについても同じことです)  
15歳で親の収入のために進路を差別されるのでは子供たちがあまりにもかわいそうです。

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英語教育については、下のブログも併せてご参照ください。  日付をクリックすると移動できます。
2017年10月12日
文部科学省 新中学校学習指導要領 英語 「4技能」は全く効果がない(子供たちが通じる発音でスラスラ話せるようになる学習指導要領の見本付き)



高校英語教育を文部科学省の誤解に基づいた方針から守るため、以下のご案内を書かせていただきます。

現在文部科学省が「グローバル化に対応した英語教育改革」の目玉として掲げているCAN-DO方式は、ヨーロッパの人々にはできますが、日本語を母国語とする人にはできない方式です。

文部科学省は「CAN-DO方式が日本人には不可能な方式である」と気づいておりません。  導入されれば教育現場は大変迷惑します。  中止する必要があります。  なぜCAN-DO方式が不可能なのかはこちらのブログをお読みください。

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何度もお願いをしているのですが、アマゾンのページで私の本のランキングを下げて妨害をしている人がやめてくれないので、(詳細はこちらです)しばらく以下の文章を掲載させていただくことにしました。

「本を出版する人は、他の著者の妨害をしない。  他の著者を妨害する人は自分の本も出版できない。」
出版社におかれましては、このことを出版の際、著者に理解していただいてください。

私のランキングを妨害している人は、たぶん、現実を受け入れられないのでしょう。
アマゾンの順位を1ペ―ジ目から2ページ目に下げられ、数日でまた2ページ目から3ページ目に下げられて、私は、この方の激しい妨害に驚いています。 

「学習者に正しい発音を習得してほしい」というのが自分の目標でしたら、他人を妨害する必要はありませんね。  他人を妨害してまで、何を手に入れたいのでしょうか。  ベストセラーの著者という名声ですか。  それなら、もうアマゾンで、ご自身の本はベストセラーに認定されているのですから、それで十分でしょう。  この上何が欲しくて私を妨害するのでしょうか?  もう英語教育とは関係ないことですか。  私はとても困っています。  

私は、こちらに書いてある3つのことをするのが、目的です。  日本人が子音の日本語化を知っているか、いないかで、通じる英語で話せるか話せないかが、決まります。  ですから、このことを読者の皆さんに理解していただくのは、とても大事なことなのです。  私の仕事の妨害をしないでください。 

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クマさん、ウサギさん、ブタさん、それぞれが持っている旗に書かれたことの理由は、2017年7月30日のブログをご覧になるとわかります。