川合典子 ブログ

英語教育、英語学習、発音習得、帰国子女の言語習得について書いています。

発音を教えると言うこと

さいころから体が弱かったので、若いころの私は、あまり晴れやかな顔をしたことがありませんでした。高校生のころはとても厭世的でした。

そういう毎日から抜け出したくて、大学1,2年のころは心理学の本、カウンセリングの本など、たくさん読みました。あるとき岩波新書の「どうしたら幸福になれるか」(B.W.ウルフ著、周郷博 訳)という本を読んでいましたら、
その中にこんなことが書いてありました。

食事を自分で作って食べられない人を助けようとするとき、その人に毎食作って食べさせてあげるのは、本当にその人を助けることにはならない。その人に食事の作り方を教えて、その人が自分で食事を作って食べられるようにしてあげるのが、本当にその人を助けるということだ。

なるほど、と思いました。発音の先生も、それと同じです。「生徒は先生の言うとおり、やっていればいい。」というのではなく、生徒さんに、「自分で正しい発音を身につける力」をつけさせてあげるのが、発音の先生の仕事だと私は思っています。

なぜなら、発音練習は、基本の音を習得しただけでは終わらないのです。むしろ、私の経験から言えば、単語で基本の発音を身につけたあとから、本当の発音練習が始まりました。そのあと文章をネイティブのようにしゃべる発音練習があり、最後はナチュラルスピードでしゃべるときの発音練習があります。

このそれぞれの段階で、習得しなければならない、(基本の音とは少し違う)発音のしかたが、無数に出て来るのです。(詳しくは私の本の18ページに書いてあります。)単語の最後の音が変化しながら次の単語につながって文章になる場合の発音を、教師がすべて教えることは不可能です。このときの発音は耳で聞いた音を口で再生すると言う練習をしている人にしか出来ません。

川合メソッドでは、発音は自分で身につけます。モデルと自分の発音を比べて自分で直します。生徒さんは自分で直したあと、レッスンを受けます。
私がそこで、生徒さんの発音を聞いて、生徒さんが、直せなかったところをアドバイスして、一緒に練習します。

こういうレッスンを2,3回受けると、生徒さんは次のレッスンから、とても上手になってやってきます。 私がどういうところを直すか、わかっているので、そういう部分をモデルとよく比べて練習してくるのです。

私が初心者でよく直すのは、I like music. というときの「I」の口の中の上下の間隔が狭いので広くあけてください。ということ。摩擦音、特にFやVの音が、私には聞こえないので、もっと、聞こえるように出してください。ということが多いです。

生徒さんは自分の発音の問題点を見つけるとそれを直そうといろいろ工夫をします。ある生徒さんは舌を動かす力が弱いからだと思い、自分独自の舌の体操を考案して、私に見せてくれました。「こうすると、舌がよく動くんです。」その体操をしたあとは英語がしゃべりやすくなるそうです。

私のレッスンを受けながら、発音の仕方だけでなく、発音を直していくプロセスも一緒に学んでいきます。こうして学んでいくと聞き比べる力も上がり、自分で、正しい発音ができるようになります。

生徒さんがこのプロセスを学び、自分の力でネイティブと同じように発音出来るようにすることが、発音の先生の仕事だと私は思っています。




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高校入試で子供たちが親の収入によって差別されない為に以下のお知らせを書かせていただきます。

高校入試のスピーキングテストについて(大学入試のスピーキングテストについても同様です)

高校入試のスピーキングテストは本来文部科学省が学校教育で正しい発音を生徒に教えてから行うべきものです。  しかし、文部科学省が教科書にCDもつけず、正しい発音の仕方も学校で教えないまま、高校入試でスピーキングテストを実施する動きが都立高校などで始まっています。 (大学入試でもスピーキングテストが行われようとしています)  これは、スピーキングスキルの習得を塾や予備校、会話学校に丸投げするものです。  学校で教えていないスキルを入試でテストすることはあり得ません。

これでは経済的に余裕のない、塾や会話学校にいけない家庭の子供は誰にも正しい発音を教えてもらえず、練習するCD(音声モデル)も与えられないまま、高校入試でスピーキングテストをされることになり、明らかに親の収入による進路の差別が始まります。(詳しくは2018年3月8日のブログ「高校入試のスピーキングテストは子供を親の収入で差別するもの」をお読みください。)

皆さんの身近に教育関係者がいらっしゃいましたら、ぜひ「高校入試のスピーキングテストは子供を親の収入で差別するもの」であることをお伝えください。  (大学入試のスピーキングテストについても同じことです)  
15歳で親の収入のために進路を差別されるのでは子供たちがあまりにもかわいそうです。

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英語教育については、下のブログも併せてご参照ください。  日付をクリックすると移動できます。
2017年10月12日
文部科学省 新中学校学習指導要領 英語 「4技能」は全く効果がない(子供たちが通じる発音でスラスラ話せるようになる学習指導要領の見本付き)






高校英語教育を文部科学省の誤解に基づいた方針から守るため、以下のご案内を書かせていただきます。

現在文部科学省が「グローバル化に対応した英語教育改革」の目玉として掲げているCAN-DO方式は、ヨーロッパの人々にはできますが、日本語を母国語とする人にはできない方式です。

文部科学省は「CAN-DO方式が日本人には不可能な方式である」と気づいておりません。  導入されれば教育現場は大変迷惑します。  中止する必要があります。  なぜCAN-DO方式が不可能なのかはこちらのブログをお読みください。

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何度もお願いをしているのですが、アマゾンのページで私の本のランキングを下げて妨害をしている人がやめてくれないので、(詳細はこちらです)しばらく以下の文章を掲載させていただくことにしました。

「本を出版する人は、他の著者の妨害をしない。  他の著者を妨害する人は自分の本も出版できない。」
出版社におかれましては、このことを出版の際、著者に理解していただいてください。

私のランキングを妨害している人は、たぶん、現実を受け入れられないのでしょう。
アマゾンの順位を1ペ―ジ目から2ページ目に下げられ、数日でまた2ページ目から3ページ目に下げられて、私は、この方の激しい妨害に驚いています。 

「学習者に正しい発音を習得してほしい」というのが自分の目標でしたら、他人を妨害する必要はありませんね。  他人を妨害してまで、何を手に入れたいのでしょうか。  ベストセラーの著者という名声ですか。  それなら、もうアマゾンで、ご自身の本はベストセラーに認定されているのですから、それで十分でしょう。  この上何が欲しくて私を妨害するのでしょうか?  もう英語教育とは関係ないことですか。 私は、とても困っています。  

私は、こちらに書いてある3つのことをするのが、目的です。  日本人が子音の日本語化を知っているか、いないかで、通じる英語で話せるか話せないかが、決まります。  ですから、このことを読者の皆さんに理解していただくのは、とても大事なことなのです。  私の仕事の妨害をしないでください。 

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クマさん、ウサギさん、ブタさん、それぞれが持っている旗に書かれたことの理由は、2017年7月30日のブログをご覧になるとわかります。