川合典子 ブログ

英語教育、英語学習、発音習得、帰国子女の言語習得について書いています。

耳を使わない発音練習では何年やっても、今より上手にはならない。

文章で発音練習しても、自分の耳を使わないで、誰かに、「ここはこう発音して」、「あそこはこうして発音して」と、ただ言われるとおり発音しているだけでは、自分の発音をそれ以上よくしていくことはできないです。

「音声のモデルを自分の耳で聞いて、それと同じに言う練習をする。」「自分の発音をモデルと比べて直して行く」という自分の耳と口を使った練習をしないと、発音をどこまでもよくしていくことはできないのです。

私は母から、「日本語は、あまり口の空間の上下を開けないのよ。」とか、「母音は引き伸ばさないのよ。」とか教わりませんでしたけれど、私は完璧な日本語の音質で、完璧な日本語の特徴で、日本語を話します。

アメリカ人の子供は親から、「口の中の上下の空間を大きく開けるんだよ。」とか「母音はチョコチョコ切らないんだよ。」とか教わらなくても、ちゃんと完璧な英語を話します。

これは耳が周りの人の言葉を聞いて、それと同じに発音するように私たちに教えるからです。

すごいのは、それは唇や舌をどうする、と言うことだけでなく、息の強さや共鳴、母音がチョコチョコ切れるとか伸ばすとかに至るまで、発音にかかわるすべての情報を耳は取り込むということです。

この点においては機械は耳に遠く及びません。なぜなら、機械は、機械が取り込むようにセットされた情報しか取り込めないからです。(その取り込み方も、現在の技術で取り込めるものだけです。)そしてその情報は、機械を作った人が、知っていることだけです。

もし私が、機械で、発音を判定してもらって練習していたら、私は、軟口蓋を上げるとか、唇の力を途中でゆるめないとか気づくことはなかったと思います。

これはみんな耳が教えてくれたことです。私たちは機械よりはるかに優れた機能を備えている耳を持っています。この耳の力を高めてください。これはいくつになっても、訓練次第で、できることです。私の生徒さんの中には50歳を過ぎてからこの訓練を始めて、アメリカ人に通じる発音で、話せるようになった人もいます。

こういうと、自分の耳はそこまで聞き取れない。と言う人がいます。最初はみんな聞き取れません。けれども、どんな初心者でも、「声が大きい」とか「ぶつぶつ切れる」とか言う特徴なら気づきますね。最初は気づいたことから直していけばいいのです。

人間の能力はやればやるほど上がってくるということは皆さんもご存知だと思います。ピアノを弾いたり、水泳をしたりすることが、練習の初日からできるわけではないことはみんな知っています。

耳の力も同じです。訓練していくと、だんだん細部まで聞こえるようになっていきます。こうやって、耳の力が変わってくるから、発音も上手になるのです。耳の力が変わらなかったら、発音は「こうするんだよ。」と教わったときのまま何十年も変わらないのです。

しゃべる英語のほうは初級の速さからナチュラルスピードまで、練習教材は、変わっていくのに、耳の能力を上げる練習をしなかったら、発音は最初に単語で発音を習ったときのまま、変わりません。だから上級者でも、単語を一つ一つ言って、つなげて、しゃべっている人がほとんどなのです。

自分の耳で、よく音を聞いてください。よく聞いて、自分の口で同じ音を出そうといろいろ試していけば、必ず、発音はお手本に似てきます。こうやって聞く力を上げて、耳と口のつながりを鍛えていくと、確実に発音をよくしていくことができます。自分の中にその能力が育っていくからです。

集中した発音練習は2年くらいで、終了しても、英語を使う限り、定期的に発音練習はしていくことになります。今の皆さんには想像できないかもしれませんが、もし仕事で英語を使うのであれば、これから5年、10年、20年と英語を使っていくことになります。 

私は、いろいろな英語の勉強会に参加していたことがあります。「時事問題をみんなで英語で話し合う。」「ある制度の是非について英語で自分の意見をのべる。」「ある問題を解決するために、自分だったら、どういう方法を選ぶか、また、その根拠は何かを英語で述べる。」など。

参加している人は学校を卒業してからも、10年、20年と英語を勉強している方々が多いですが、英語のリズムでしゃべるというより、単語を一つ一つつないで、しゃべるという方がほとんどです。

多分、英語の発音を単語で習ったときから、ずっとそういうしゃべり方をしていらしたのだろうな、と思います。文章を耳で聞いたとおりに口でしゃべるという練習をしていらしたら、10年、20年、たったら、きっと英語のリズムで、しゃべっていらしただろうな、と私は思います。

英語の発音にそんなに時間をかけたくない、と思われるのもわかりますが、最初の2年で、聞いた音と同じように口で発音すると言う耳と口のつながりを開発しておけば、そのあとは、自分の発音を録音して、モデルと比べて直すという練習を続ける限り、発音はさらに上手になっていきます。

この耳の力を開発しないで発音練習しても、習ったときに言われたとおりやった発音からほとんど変わらないです。英語学習歴ゼロと言う人を教えることから30年40年と言う人まで多くの英語学習者を見てきて、そう思っています。

10年、20年、音読しても、最初に発音を習ったときと、発音の上手さが変わらないというのは、その人にとっては、大きな損失だなあと私は思ってしまいます。 耳で聞いた文章と同じに発音する練習をしてきたなら、10年、20年、発音が変わらないということはありません。

英語を習い始めた人はみんな、「いつかはネイティブのように話したいなあ」と思うと思います。でも、今までのように自分の耳を使わない発音練習の仕方では、20年たってもネイティブのように話せるようにはならないです。

私が言っているのは声だけがネイティブっぽく聞こえるということではありません。子音が聞こえること、母音が区別できていること、つまり、基本の音ができて、英語のリズムで話せることなどを言っています。

短期間で、発音が習得できる方法があるといっても、そのあと、何十年も、その短期間で習得した、発音のままで話していくことになります。聞き流すだけで、ぺらぺらなどと言う方法はそのよい例ですね。

実際に自分の口を使って、基本の音の発音練習をしないのですから、何年たっても、日本語のラだか、英語のLだかわからないような発音で話すことになります。

語学を学ぶ方は、こつこつ努力をする方が多いです。でしたら、何十年やっても発音が変わらないやり方はやめて、自分の中にある発音習得の能力、(つまり、「自分の耳で聞いた音と同じように口で再生する力。」)を育てるような練習で、こつこつ努力をしていただきたいと思います。

そうすれば、練習を続ける限り、どこまでも自分の発音を上手にしていけます。自分の耳を使わない発音練習では、何十年たっても、発音は今のままです。




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高校入試で子供たちが親の収入によって差別されない為に以下のお知らせを書かせていただきます。

高校入試のスピーキングテストについて(大学入試のスピーキングテストについても同様です)

高校入試のスピーキングテストは本来文部科学省が学校教育で正しい発音を生徒に教えてから行うべきものです。  しかし、文部科学省が教科書にCDもつけず、正しい発音の仕方も学校で教えないまま、高校入試でスピーキングテストを実施する動きが都立高校などで始まっています。 (大学入試でもスピーキングテストが行われようとしています)  これは、スピーキングスキルの習得を塾や予備校、会話学校に丸投げするものです。  学校で教えていないスキルを入試でテストすることはあり得ません。

これでは経済的に余裕のない、塾や会話学校にいけない家庭の子供は誰にも正しい発音を教えてもらえず、練習するCD(音声モデル)も与えられないまま、高校入試でスピーキングテストをされることになり、明らかに親の収入による進路の差別が始まります。(詳しくは2018年3月8日のブログ「高校入試のスピーキングテストは子供を親の収入で差別するもの」をお読みください。)

皆さんの身近に教育関係者がいらっしゃいましたら、ぜひ「高校入試のスピーキングテストは子供を親の収入で差別するもの」であることをお伝えください。  (大学入試のスピーキングテストについても同じことです)  
15歳で親の収入のために進路を差別されるのでは子供たちがあまりにもかわいそうです。

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英語教育については、下のブログも併せてご参照ください。  日付をクリックすると移動できます。
2017年10月12日
文部科学省 新中学校学習指導要領 英語 「4技能」は全く効果がない(子供たちが通じる発音でスラスラ話せるようになる学習指導要領の見本付き)





高校英語教育を文部科学省の誤解に基づいた方針から守るため、以下のご案内を書かせていただきます。

現在文部科学省が「グローバル化に対応した英語教育改革」の目玉として掲げているCAN-DO方式は、ヨーロッパの人々にはできますが、日本語を母国語とする人にはできない方式です。

文部科学省は「CAN-DO方式が日本人には不可能な方式である」と気づいておりません。  導入されれば教育現場は大変迷惑します。  中止する必要があります。  なぜCAN-DO方式が不可能なのかはこちらのブログをお読みください。

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何度もお願いをしているのですが、アマゾンのページで私の本のランキングを下げて妨害をしている人がやめてくれないので、(詳細はこちらです)しばらく以下の文章を掲載させていただくことにしました。

「本を出版する人は、他の著者の妨害をしない。  他の著者を妨害する人は自分の本も出版できない。」
出版社におかれましては、このことを出版の際、著者に理解していただいてください。

私のランキングを妨害している人は、たぶん、現実を受け入れられないのでしょう。
アマゾンの順位を1ペ―ジ目から2ページ目に下げられ、数日でまた2ページ目から3ページ目に下げられて、私は、この方の激しい妨害に驚いています。 

「学習者に正しい発音を習得してほしい」というのが自分の目標でしたら、他人を妨害する必要はありませんね。  他人を妨害してまで、何を手に入れたいのでしょうか。  ベストセラーの著者という名声ですか。  それなら、もうアマゾンで、ご自身の本はベストセラーに認定されているのですから、それで十分でしょう。  この上何が欲しくて私を妨害するのでしょうか?  もう英語教育とは関係ないことですか。 私は、とても困っています。  

私は、こちらに書いてある3つのことをするのが、目的です。  日本人が子音の日本語化を知っているか、いないかで、通じる英語で話せるか話せないかが、決まります。  ですから、このことを読者の皆さんに理解していただくのは、とても大事なことなのです。  私の仕事の妨害をしないでください。 

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クマさん、ウサギさん、ブタさん、それぞれが持っている旗に書かれたことの理由は、2017年7月30日のブログをご覧になるとわかります。