川合典子 ブログ

英語教育、英語学習、発音習得、帰国子女の言語習得について書いています。

松のことは松にならえ、竹のことは竹にならえ。

「松のことは松にならえ、竹のことは竹にならえ。」と松尾芭蕉は言った。と中学の国語の授業で俳句を習ったとき、先生から聞きました。松についてどんなに詳しく説明をしてもらうより、自分自身が松と向き合って、松そのものをよく見て、捕らえていくことが大事だということでしょう。

英語の音に関して言えば、「英語の音は英語の音に習え。」と言うことだと私は思っています。じっと音の中に自分を沈めるようにして聞いているとわかってくることがたくさんあります。

文になったときの微妙な音の変化やリズム。もはや、誰も説明してあげられない微妙な変化もじっと自分の耳できけば、手に取るようにわかってきます。

聞けるようになったとき、口の動きも想像できるようになってきます。発音練習と言うのはこのプロセスを自分の体でやっていくことです。

このように言うと、「英語の音を聞いて同じに言うなんて、自分にはできない。」とおっしゃる方がいつもいるのですが、みんな最初からできるわけではないんですね。

最初は、どうやったらああいう音が出るのかわからない、と言うのが、誰でも経験することです。私も中学一年生のときはわかりませんでした。それで、どうやったらそういう音が出るのか、学校の先生の説明はもちろん、本で口の形の写真を見たり、ラジオの語学番組を聞いて、教えてもらいました。その後、大学でも学びました。

そうやって私がやってきた口の形や舌の位置や音から受ける感じは全部DVDの中で皆さんにお話しています。耳で、その音がよく捕らえられるようになってくると、発音のほうもよくできるようになってきます。

耳の力と発音の上手さはほぼ比例します。生徒さんが上手になってくる過程を見ているとそう思います。自分で音は聞けないけれど、発音だけはすごく上手だ。と言う生徒さんには、会ったことがありません。この2つには深い関係があるからなのでしょう。両方とも一緒に鍛えていくと、無理なく発音学習が進んでいきます。

結局自分の耳を使わない発音練習は無駄だと私は思っています。誰かに教えてもらって、その通り言って、その時、その教材は上手に言えても、結局、それを繰り返しても、言いたいことを英語のリズムで言えるようにはならないのですから。

息子が「これ英語?」と私に聞いたこと(4月4日のブログ「日本語のリズムで話された英語は、英語には聞こえない。」 http://d.hatena.ne.jp/creato-k/20120404 )を思うとき、勉強会で、10年、20年、30年、40年と、単語をつないで英語を話している方々を思い出して、すごく残念な気持ちになることがあります。練習のやり方が違うだけなのに、と思います。

どうぞ、発音練習は自分の耳を使ってください。それしか通じる英語のリズムで、話せるようになる方法はないんです。どんな偉い先生も、あなたにアドバイスするだけで、あなたをナチュラルスピードで、通じるリズムで話せるようにはしてあげられないのです。それは、自分の耳で聞いて自分の体で掴まないと同じには言えないからです。

私は時々未来の学習者が、こんな風に会話しているところを想像します。

   *   *   *

生徒A: 昔は発音練習って言うのは、先生に言われたとおり発音するんだったらしいよ。
生徒B: それじゃ、音が違っていたときはどうするの?
生徒A: 音があってるか違っているかも、自分じゃわからないって
    みんな思っていたみたい。だから、先生に聞いてもらって、
    “こう直しなさい”って言われたとおり、発音していたらしいよ。

生徒B: それじゃ、自分は、どう違っているか、
    モデルと自分の発音を比べて聞かなかったの?
生徒A: うん、聞かないの。生徒の発音を聞くのは先生で、
    生徒は先生からこうしなさいって言われたとおりに発音してれば、
    それでいいと思っていたみたいよ。

生徒B: それじゃ、自分がどんな発音でしゃべっているかもわからなかったの?」
生徒A: わからないから先生に聞いてもらえば、うまくなると思ってたらしいよ。

生徒B: 発音するのは自分の口なんでしょう?
生徒A: うん。だけど、自分は音のことはわからないから、
    先生にみてもらえばいいと思っていたんだって。
生徒B:  すごい時代だったんだね。

   *   *   *

「すごい時代」は私たちの代で終わらせましょう。
発音は自分の耳を使って習得しましょう。
自分の口で発音する言葉なのですから。


「自分の耳で聞いて同じに言う。」「よく聞いて、モデルと比べて、自分で直す。」早くこれが、発音練習の常識になる日が来ればいいと思っています。そうすれば、みんなが無駄な練習をしなくてすみます。

初級のときから、聞いて同じに言う練習をすれば、難しくはないです。はじめるのは早ければ早いほど、楽です。ぜひ、この連休からスタートしてください。




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高校入試で子供たちが親の収入によって差別されない為に以下のお知らせを書かせていただきます。

高校入試のスピーキングテストについて(大学入試のスピーキングテストについても同様です)

高校入試のスピーキングテストは本来文部科学省が学校教育で正しい発音を生徒に教えてから行うべきものです。  しかし、文部科学省が教科書にCDもつけず、正しい発音の仕方も学校で教えないまま、高校入試でスピーキングテストを実施する動きが都立高校などで始まっています。 (大学入試でもスピーキングテストが行われようとしています)  これは、スピーキングスキルの習得を塾や予備校、会話学校に丸投げするものです。  学校で教えていないスキルを入試でテストすることはあり得ません。

これでは経済的に余裕のない、塾や会話学校にいけない家庭の子供は誰にも正しい発音を教えてもらえず、練習するCD(音声モデル)も与えられないまま、高校入試でスピーキングテストをされることになり、明らかに親の収入による進路の差別が始まります。(詳しくは2018年3月8日のブログ「高校入試のスピーキングテストは子供を親の収入で差別するもの」をお読みください。)

皆さんの身近に教育関係者がいらっしゃいましたら、ぜひ「高校入試のスピーキングテストは子供を親の収入で差別するもの」であることをお伝えください。  (大学入試のスピーキングテストについても同じことです)  
15歳で親の収入のために進路を差別されるのでは子供たちがあまりにもかわいそうです。

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英語教育については、下のブログも併せてご参照ください。  日付をクリックすると移動できます。
2017年10月12日
文部科学省 新中学校学習指導要領 英語 「4技能」は全く効果がない(子供たちが通じる発音でスラスラ話せるようになる学習指導要領の見本付き)






高校英語教育を文部科学省の誤解に基づいた方針から守るため、以下のご案内を書かせていただきます。

現在文部科学省が「グローバル化に対応した英語教育改革」の目玉として掲げているCAN-DO方式は、ヨーロッパの人々にはできますが、日本語を母国語とする人にはできない方式です。

文部科学省は「CAN-DO方式が日本人には不可能な方式である」と気づいておりません。  導入されれば教育現場は大変迷惑します。  中止する必要があります。  なぜCAN-DO方式が不可能なのかはこちらのブログをお読みください。

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何度もお願いをしているのですが、アマゾンのページで私の本のランキングを下げて妨害をしている人がやめてくれないので、(詳細はこちらです)しばらく以下の文章を掲載させていただくことにしました。

「本を出版する人は、他の著者の妨害をしない。  他の著者を妨害する人は自分の本も出版できない。」
出版社におかれましては、このことを出版の際、著者に理解していただいてください。

私のランキングを妨害している人は、たぶん、現実を受け入れられないのでしょう。
アマゾンの順位を1ペ―ジ目から2ページ目に下げられ、数日でまた2ページ目から3ページ目に下げられて、私は、この方の激しい妨害に驚いています。 

「学習者に正しい発音を習得してほしい」というのが自分の目標でしたら、他人を妨害する必要はありませんね。  他人を妨害してまで、何を手に入れたいのでしょうか。  ベストセラーの著者という名声ですか。  それなら、もうアマゾンで、ご自身の本はベストセラーに認定されているのですから、それで十分でしょう。  この上何が欲しくて私を妨害するのでしょうか?  もう英語教育とは関係ないことですか。 私は、とても困っています。  

私は、こちらに書いてある3つのことをするのが、目的です。  日本人が子音の日本語化を知っているか、いないかで、通じる英語で話せるか話せないかが、決まります。  ですから、このことを読者の皆さんに理解していただくのは、とても大事なことなのです。  私の仕事の妨害をしないでください。 

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クマさん、ウサギさん、ブタさん、それぞれが持っている旗に書かれたことの理由は、2017年7月30日のブログをご覧になるとわかります。