川合典子 ブログ

英語教育、英語学習、発音習得、帰国子女の言語習得について書いています。

発音記号(2)

文章の発音練習になったときは一切発音記号は見ないで下さい。なぜかと言いますと、文章になって単語がつながると、基本の音にさまざまな変化が現れます。単語のつなぎ目や強弱のリズムの弱いところに入った音が変化してきます。

発音記号を見ながら文章の発音練習をすると、耳はこういう変化を聞かなくなります。発音記号を見て、「この発音はこうだ」と頭で思いこんだ音で発音するようになります。つまり、一つ一つ発音記号のとおり発音して、単語をつなげて発音するようになります。多くの上級者がやっている発音の仕方ですね。これでは文章の発音練習になりません。

「文章の発音練習になったときは発音記号は見ない。」を鉄則にしてください。単語のつなぎ目や強弱のリズムの弱いところに入った音の変化を、自分の耳でよく聞いてください。文章の練習は耳以外に注意を散らすものは一切排除して行ってください。

発音記号を見ると見ないでは小さな差のようですが、耳を鍛えるという観点から言うと、この差は天と地ほどの違いになります。文章の発音練習のとき、発音記号を見ている限り、まったく耳はよくなりませんので、気をつけてください。

まとめると、

単語の発音練習は発音記号を見て、正確に練習する。
文章になったら、耳だけに注意を集中して、単語のつなぎ目やリズムの弱いところの音を聞いたとおりに言う練習をする。

と言うことになります。

結局文章になったときは聞こえたとおりに言うのだから、最初の「単語を発音記号どおり言う練習」はしなくてもいいのではないかと思う方もいらっしゃると思いますが、私自身は、単語を発音記号のとおり練習することは省略できない過程だと考えています。

ネイティブの発音は確かに人によって違うし、そんなに母音の区別が明確にわからない人もいます。けれども、自分が話すときは、少なくともこの発音の基本の音はこうだ、と知っておくことは非常に大事だと思っています。

なぜならわかりにくいネイティブの発音でも、聞いた瞬間に、基本の音で、何度も練習したその音を特徴づける音が、一瞬ぱっと聞こえる瞬間が今まで何回もあったからです。

古い映画で恐縮ですが、「赤ちゃんはトップレディがお好き」(原題Baby Boom) と言う映画があります。始まって14分30秒ぐらいのところにJ.C.ワイアット(ダイアン・キートン)が「I was just so knocked out when Fritz told me about your call.」と言うところがあります。

このknock の「ア」の音は映画のせりふなので、ダイアン・キートンは見た目はあまり口を開けて発音していませんが、私がDVDで4番目に解説した澄んだ「ア」の母音の特徴があるのが聞いた瞬間にわかります。ですから、その音の特徴を常に掴んで練習しておくことは通じる英語を話す上で大変重要だと思います。つまり、基本の発音練習をして、その音を特徴付ける音を常に言えるようにしておくことが必要なのです。

以前生徒さんから、「ネイティブはいろんな人がいろんな発音をするので、どの音なのかよくわからない。」と質問されたときがありました。私の答えは次のようなものでした。

『画用紙の上に直径3センチメートルくらいの灰色の円が5つ描かれているのを想像してください。その5つの円は、ばらばらにあるのではなく、中心に集まって来て、5枚の花びらのように重なり、真ん中に5つの円すべてが一部分重なって黒く見えるところがあります。

この黒く見えるところが、基本の音が持っている特徴だと思ってください。5人のネイティブの発音は同心円のようにぴったり重ならないけれども、どの人の発音の中にも、その音を特徴づける音(黒く見える部分)がちゃんと含まれていると思ってください。

ネイティブは発音の中にこの特徴を認めることによって(私がダイアン・キートンのknocked outを聞いたときのように)、相手の言っていることがわかるのだと思います。』

基本の音を練習するというのはこの特徴を決定づける黒い部分を自分の発音の中に聞こえるように練習しているのだと考えてください。

私が、DVDの中で各音に「暗く、鋭く」とか「澄んでいる。」とか言うのは、「それが、この音を決定する黒い部分だ。」と長い経験から感じるからなのです。

皆さんにもその特徴がわかるような発音をしていただきたいので、単語を発音記号のとおり言う練習をすることは省略できないと私は考えているわけです。



くれぐれも、「発音記号を見るのは単語の練習のときだけ、文章の発音練習では発音記号は見ない。」を徹底してください。文章の発音練習のとき、発音記号を見ると、その練習はまったく無駄になります。基本の音を習得した上で、文章は聞こえたとおり、言ってください。




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高校入試で子供たちが親の収入によって差別されない為に以下のお知らせを書かせていただきます。

高校入試のスピーキングテストについて(大学入試のスピーキングテストについても同様です)

高校入試のスピーキングテストは本来文部科学省が学校教育で正しい発音を生徒に教えてから行うべきものです。  しかし、文部科学省が教科書にCDもつけず、正しい発音の仕方も学校で教えないまま、高校入試でスピーキングテストを実施する動きが都立高校などで始まっています。 (大学入試でもスピーキングテストが行われようとしています)  これは、スピーキングスキルの習得を塾や予備校、会話学校に丸投げするものです。  学校で教えていないスキルを入試でテストすることはあり得ません。

これでは経済的に余裕のない、塾や会話学校にいけない家庭の子供は誰にも正しい発音を教えてもらえず、練習するCD(音声モデル)も与えられないまま、高校入試でスピーキングテストをされることになり、明らかに親の収入による進路の差別が始まります。(詳しくは2018年3月8日のブログ「高校入試のスピーキングテストは子供を親の収入で差別するもの」をお読みください。)

皆さんの身近に教育関係者がいらっしゃいましたら、ぜひ「高校入試のスピーキングテストは子供を親の収入で差別するもの」であることをお伝えください。  (大学入試のスピーキングテストについても同じことです)  
15歳で親の収入のために進路を差別されるのでは子供たちがあまりにもかわいそうです。

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英語教育については、下のブログも併せてご参照ください。  日付をクリックすると移動できます。
2017年10月12日
文部科学省 新中学校学習指導要領 英語 「4技能」は全く効果がない(子供たちが通じる発音でスラスラ話せるようになる学習指導要領の見本付き)





高校英語教育を文部科学省の誤解に基づいた方針から守るため、以下のご案内を書かせていただきます。

現在文部科学省が「グローバル化に対応した英語教育改革」の目玉として掲げているCAN-DO方式は、ヨーロッパの人々にはできますが、日本語を母国語とする人にはできない方式です。

文部科学省は「CAN-DO方式が日本人には不可能な方式である」と気づいておりません。  導入されれば教育現場は大変迷惑します。  中止する必要があります。  なぜCAN-DO方式が不可能なのかはこちらのブログをお読みください。

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何度もお願いをしているのですが、アマゾンのページで私の本のランキングを下げて妨害をしている人がやめてくれないので、(詳細はこちらです)しばらく以下の文章を掲載させていただくことにしました。

「本を出版する人は、他の著者の妨害をしない。  他の著者を妨害する人は自分の本も出版できない。」
出版社におかれましては、このことを出版の際、著者に理解していただいてください。

私のランキングを妨害している人は、たぶん、現実を受け入れられないのでしょう。
アマゾンの順位を1ペ―ジ目から2ページ目に下げられ、数日でまた2ページ目から3ページ目に下げられて、私は、この方の激しい妨害に驚いています。 

「学習者に正しい発音を習得してほしい」というのが自分の目標でしたら、他人を妨害する必要はありませんね。  他人を妨害してまで、何を手に入れたいのでしょうか。  ベストセラーの著者という名声ですか。  それなら、もうアマゾンで、ご自身の本はベストセラーに認定されているのですから、それで十分でしょう。  この上何が欲しくて私を妨害するのでしょうか?  もう英語教育とは関係ないことですか。 私は、とても困っています。  

私は、こちらに書いてある3つのことをするのが、目的です。  日本人が子音の日本語化を知っているか、いないかで、通じる英語で話せるか話せないかが、決まります。  ですから、このことを読者の皆さんに理解していただくのは、とても大事なことなのです。  私の仕事の妨害をしないでください。 

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クマさん、ウサギさん、ブタさん、それぞれが持っている旗に書かれたことの理由は、2017年7月30日のブログをご覧になるとわかります。