川合典子 ブログ

英語教育、英語学習、発音習得、帰国子女の言語習得について書いています。

正しい発音とは

アメリカに行って、一年たって、PTAの役員から、電話がありました。クラスペアレントをしてくれる保護者を探しているようでした。娘は一年たってもまだ、片言しか英語はしゃべれなかったし、先生の言っていることも全部はわかりませんでした。けれども、「宿題やっていきたいの。だって、先生、好きなんだ。」といいました。(教科ごとに先生は変わりますが、どの先生も優しかったようです。)

言葉のわからない子がクラスに一人いるだけで、先生の負担は増します。けれども、それをいとわず、やさしく接してくださっていることが、よくわかりました。何かの形で、学校にお返しをしたいと思っていたので、電話があったとき、「私は、まだ、アメリカに来て、一年しかたちませんが、それでもクラスペアレントという仕事は出来ますか?」とお聞きしたら、「出来ますよ。」といわれたので、役員を引き受けました。

ただ、クラス全員の子供の顔を覚えることが出来なかったので、フィールドトリップ(校外学習)の付き添いだけはほかの方に代わってもらいました。かえって迷惑をかけてはいけないと思ったからです。でも、できることと出来ないことをはっきり言って、できることで、協力するということは、快く受け入れてもらえます。

クラスペアレントのそのほかの仕事は、学期末に軽食と飲み物などを用意して、子供たちの小さなランチパーティを準備すること。緊急の連絡があったとき、二人のクラスペアレントで、分担して、保護者に伝えることなどでした。

私が、係りをした年は、例年になく雪がたくさん降りました。学校が休校になったり、開始時刻を少し遅らせたり、よく緊急連絡網が回りました。かわったところでは、その年選挙があって、学校教育に熱心な候補者を支援する集会の連絡などもありました。

アメリカでは両親が、仕事でいないときはベビーシッターを頼まなければいけません。州によって年齢は多少違うかもしれませんが、13歳未満の子供だけで家においておくと、警察に通報された場合、親は警察に捕まってしまいます。

シカゴに赴任するとき、この点はとても重要なので、覚えて置いてくださいといわれました。実際、赴任してから、カリフォルニアのあるショッピングセンターの駐車場で、子供を車において、買い物をしていた日本人が、通報で駆けつけた、警察に捕らえられたニュースを見ました。

ですから、休校が決まった時点で、親はベビーシッターを頼まなければなりませんので、連絡網は朝5時前に回しました。私のところに連絡が来るのは4時半ごろでした。

電話を受け取って、今日は休校です。といわれると、まず、ドアを開けて、一応雪が積もっていることを確認しました。それから、クラスの半数に当たる、12人のリストを電話の横に置いて、順番にかけていきます。雪の具合で、「いつもより、スクールの開始を何時間遅くする」という決定のこともありました。

リストの一番上の保護者に、電話しようと思って受話器を持った私は一瞬、思いました。「正しい発音て、なんだろう。」あごをこのくらい開くとか、舌の位置をどこにするかとかそういうこと? 「違う、」と即座に体が反応しました。口の形や、舌の位置に注意を集中すると、自分の口からでてきた音は「お手本として聞いた音」から微妙にずれるということを私は長い経験から知っていました。

正しい発音というのは、中学生のときから聞いてきたあの音と同じ音がでていること。たくさん聞いて、思い出せば今も耳に聞こえる英語の音(文章でも単語でも)に神経を集中して、それと同じ音を出そうとすると、自分の口から、そっくりな音がでてくる。集中するのは口ではなくて耳。私はそれを長い経験から知っていました。「それなら、いつものとおりしゃべればいい。」そう思って、12人に連絡事項を回しました。

そのときまで、改めて、「正しい発音とは、」なんて、考えたことはありませんでしたが、あの時、受話器を持って一瞬「正しい発音とは?」と考えたことはその後、生徒さんを教えるときにとても役に立ちました。まじめな生徒さんほど、口の形や唇の形を完璧にしているから、正しい音が出ているはず、と思い込みやすいです。

そういう生徒さんは、耳に注意が集中していませんので、発音した音が、微妙にモデルと違ってきます。

口の形というのはそういう風にしておくと、正しい音が出しやすい、という目安でしかありません。(なぜなら、同じ口の形で、微妙に違う音が幾通りも出せるからです。)今、聞いたモデルの音に注意を集中し、その音と同じ音を出すように発音します。次に自分の発音した音がモデルと同じかどうか、続けて耳に神経を集中して聞きます。

そうすると、発声にかかわる器官全部が、モデルの音と同じ音を出すようにはたらき出します。発音練習で一番大事なことは自分の耳をよく使うことなのです。

私の生徒さんは、文の発音練習になったときは、単語ごとの発音練習で見ていた発音記号も、もう見ません。ただ、自分の耳に聞こえる音だけに神経を集中して発音します。文の発音はそうしなければ同じに発音できません。そして、そうやって、聞くことだけに集中して、文の発音を身につけた人しか、生徒さんの文の発音を直すことが出来ません。

そういう先生は、あまりいませんから、学習する人は自分の耳を使って、発音を習得したほうが早いです。まさに、「自分の発音は自分で身につける。」これが確かな方法です。

発音練習では、自分の発音が「その音らしく聞こえる。」ということもとても大事です。特に母音は、その音が、どういう特徴を持って聞こえるかということを自分で感じてください。暗い音、鋭い音、明るい音、緊張した音、どんな感じでもいいですから、その音に特徴的な感じを自分なりに、捕まえるように発音練習すると上手になります。発音練習は「自分の耳」でよく聞いて、音に対する「自分の感性」を磨きながら、おこなって行きましょう。




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高校入試で子供たちが親の収入によって差別されない為に以下のお知らせを書かせていただきます。

高校入試のスピーキングテストについて(大学入試のスピーキングテストについても同様です)

高校入試のスピーキングテストは本来文部科学省が学校教育で正しい発音を生徒に教えてから行うべきものです。  しかし、文部科学省が教科書にCDもつけず、正しい発音の仕方も学校で教えないまま、高校入試でスピーキングテストを実施する動きが都立高校などで始まっています。 (大学入試でもスピーキングテストが行われようとしています)  これは、スピーキングスキルの習得を塾や予備校、会話学校に丸投げするものです。  学校で教えていないスキルを入試でテストすることはあり得ません。

これでは経済的に余裕のない、塾や会話学校にいけない家庭の子供は誰にも正しい発音を教えてもらえず、練習するCD(音声モデル)も与えられないまま、高校入試でスピーキングテストをされることになり、明らかに親の収入による進路の差別が始まります。(詳しくは2018年3月8日のブログ「高校入試のスピーキングテストは子供を親の収入で差別するもの」をお読みください。)

皆さんの身近に教育関係者がいらっしゃいましたら、ぜひ「高校入試のスピーキングテストは子供を親の収入で差別するもの」であることをお伝えください。  (大学入試のスピーキングテストについても同じことです)  
15歳で親の収入のために進路を差別されるのでは子供たちがあまりにもかわいそうです。

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英語教育については、下のブログも併せてご参照ください。  日付をクリックすると移動できます。
2017年10月12日
文部科学省 新中学校学習指導要領 英語 「4技能」は全く効果がない(子供たちが通じる発音でスラスラ話せるようになる学習指導要領の見本付き)





高校英語教育を文部科学省の誤解に基づいた方針から守るため、以下のご案内を書かせていただきます。

現在文部科学省が「グローバル化に対応した英語教育改革」の目玉として掲げているCAN-DO方式は、ヨーロッパの人々にはできますが、日本語を母国語とする人にはできない方式です。

文部科学省は「CAN-DO方式が日本人には不可能な方式である」と気づいておりません。  導入されれば教育現場は大変迷惑します。  中止する必要があります。  なぜCAN-DO方式が不可能なのかはこちらのブログをお読みください。

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何度もお願いをしているのですが、アマゾンのページで私の本のランキングを下げて妨害をしている人がやめてくれないので、(詳細はこちらです)しばらく以下の文章を掲載させていただくことにしました。

「本を出版する人は、他の著者の妨害をしない。  他の著者を妨害する人は自分の本も出版できない。」
出版社におかれましては、このことを出版の際、著者に理解していただいてください。

私のランキングを妨害している人は、たぶん、現実を受け入れられないのでしょう。
アマゾンの順位を1ペ―ジ目から2ページ目に下げられ、数日でまた2ページ目から3ページ目に下げられて、私は、この方の激しい妨害に驚いています。 

「学習者に正しい発音を習得してほしい」というのが自分の目標でしたら、他人を妨害する必要はありませんね。  他人を妨害してまで、何を手に入れたいのでしょうか。  ベストセラーの著者という名声ですか。  それなら、もうアマゾンで、ご自身の本はベストセラーに認定されているのですから、それで十分でしょう。  この上何が欲しくて私を妨害するのでしょうか?  もう英語教育とは関係ないことですか。 私は、とても困っています。  

私は、こちらに書いてある3つのことをするのが、目的です。  日本人が子音の日本語化を知っているか、いないかで、通じる英語で話せるか話せないかが、決まります。  ですから、このことを読者の皆さんに理解していただくのは、とても大事なことなのです。  私の仕事の妨害をしないでください。 

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クマさん、ウサギさん、ブタさん、それぞれが持っている旗に書かれたことの理由は、2017年7月30日のブログをご覧になるとわかります。