川合典子 ブログ

英語教育、英語学習、発音習得、帰国子女の言語習得について書いています。

発音の正確さは初級の練習でなければ身につけられません。

母音の区別ができれば、母音に関してはもう練習することがないくらい、この母音の区別は大切なことです。そして、難しいことです。母音の区別は、いつ習得できるかと言えば、初級の8ヶ月の間しか習得できません。

多分初級の発音練習をしている人はナチュラルスピードで話している人を見ると、「いいなあ、いつになったらあんなふうに速くしゃべれるのだろう。」と思うでしょう。けれども、ナチュラルスピードで話す発音の正確さを決めるのは、初級の練習なのです。

私の生徒さんの中に上級で発音を習いに来た人がいました。母音の区別がよく出来ませんでした。彼女がナチュラルスピードで発音した英語を聞いて、「こことここが違う音です。」と言って、正しい発音の仕方を教えるのですが、何しろスピードが速いので、何回練習しても教えたとおりに言えませんでした。

けれども本人は「どうしても正しい発音で話せるようになりたい。」と言いました。「それなら、最初に戻って、本当の初歩からやってもらわないと、正確な発音は身につきませんが、それでもいいですか?」と聞きましたら、「それでいいです。」といいました。それで、彼女は、本当の初歩、Good morning. から、発音練習をやりなおしました。

今度は教材がゆっくりでしたので、一つ一つの音を非常に正確に発音できました。レッスンで、注意したことを自分で一生懸命、練習して直していくので、8ヶ月練習が終わったころ、ほとんど問題なく正しい発音で話せるようになりました。その後も練習を続けて、今では、ナチュラルスピードで、正確な発音で話しています。

このときわかったのは、母音の発音の正確さ、単語と単語のつなぎ目の変化、こういうものは、初級の速さでしか身につけることができないということでした。それ以上 速くなると、耳で、母音の特徴を聞き取ることも、微妙なつなぎ目の変化を聞き取ることもできないからです。たとえ、聞き取れても、速いので、それと同じに言うことが出来ません。

初級の8ヶ月で、こういうことを正確に身につけた人はその後はスピードを上げていく練習をすればいいだけです。ひとつひとつの音を正確に発音したり、つなぎ目をそっくり言ったりするのは手間がかかって、大変だと思うかもしれません。けれども、これをひとつひとつ、きちんと初級で練習してきた人は、中級、上級になって、とても自然な英語でしゃべれるようになります。しかも正確です。

発音練習をしている人からの質問の中に、「子音のある音は、舌をxxxxして発音するようにと説明されていますが、舌をxxxxするのが難しくて出来ません。その代わり、舌を〜〜〜して発音してもいいでしょうか?」と言うようなものがよくあります。

説明されているように出来ないので、代わりにじぶんのやりやすい〜〜〜と言うやり方でやってはだめですか?と言う質問ですね。原則的にこれはNOです。

すぐに出来ないからと言って、適当な方法で、発音を身につけようとすると、結局スピードを速くしたときに、音としてきちんと聞こえてこないような発音の仕方になることが多いです。そのやり方ですぐに出来なくても、何週間かそのやり方で出来るように努力したほうが結局は自分にとって役に立ちます。(実際には、何週間もかからないで出来るようになる場合が多いです。)

今、初級の練習をしている人はどうぞ、一日一日の練習を丁寧に行ってください。正確な発音は初級の速さでなければ身につきません。今日の練習が、今日から8ヵ月たったとき、自分の話す英語を正確にしてくれるのだと思ってください。初級で丁寧に練習すると、上級になったときの発音は、ネイティブと同じようにとても滑らかで、正確になります。

すぐには出来なくても8、9ヶ月、丁寧に練習していけば、必ず、発音できるようになりますので、少し辛抱してください。それが終われば、あとはスピードを上げていく練習をすればいいだけですから。

川合メソッドは自分で行うメソッドです。発音は誰かに習うものと思っていた人には不思議なメソッドかもしれませんが、音を身につけるには、静かなところで一人でじっと音を聞く作業をしないわけにはいかないのです。

人間の体は、じぶんの耳で音を聞いて、その音を体に浸透させることをしなければ、同じに口から、発音することが出来ないのです。本の中に書きましたが、私の娘がRの音を発音できるようになったのは、Rの音をたくさん、よく聞いたからです。

彼女は日本にいて、Rの音を聞かなかったときは冷蔵庫(refrigerator)のことをウッフィジュフィジュとしかいえなかったのです。音を耳で聞かないで自分の話す言葉を習得することは不可能です。特に、イントネーションになってくると、口の動きだけ知っていても、習得できません。今度は音の高低ですからじぶんの耳で聞くことがどうしても必要です。

音の中にじっと自分自身を沈めて聞いていると、音のほうから、発音の仕方を教えてくれるように感じることがあります。音を静かに聞かない人に音が自分の秘密を開示してくれることはありません。ですから、初級の練習では、面倒でも、じぶんの耳でじっと音を聞いてください。その作業が、あなたが話す英語を正確にしてくれます。大事なのは初級の練習です。ぜひ、丁寧に行ってください。

それから、発音を一番大事に考える人は、シャドウイングは行わないでください。
理由は8月15日のブログ「シャドウイングその2」をお読みください。シャドウイングしている時の発音は、速さについていこうとするあまり、母音の区別どころか、私にはめちゃくちゃな発音に聞こえます。

そういう発音で練習すればするほど、母音が短くめちゃくちゃな発音をじぶんの中に定着させることになりますので、やめてください。シャドウイングしているときの自分の発音を録音して聞いてみれば、私の言うことに、納得していただけると思います。

なお、発音習得と英語の歌の関係については、10月7日のブログ、「萩原先生の一言」をあわせてお読みください。




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高校入試で子供たちが親の収入によって差別されない為に以下のお知らせを書かせていただきます。

高校入試のスピーキングテストについて(大学入試のスピーキングテストについても同様です)

高校入試のスピーキングテストは本来文部科学省が学校教育で正しい発音を生徒に教えてから行うべきものです。  しかし、文部科学省が教科書にCDもつけず、正しい発音の仕方も学校で教えないまま、高校入試でスピーキングテストを実施する動きが都立高校などで始まっています。 (大学入試でもスピーキングテストが行われようとしています)  これは、スピーキングスキルの習得を塾や予備校、会話学校に丸投げするものです。  学校で教えていないスキルを入試でテストすることはあり得ません。

これでは経済的に余裕のない、塾や会話学校にいけない家庭の子供は誰にも正しい発音を教えてもらえず、練習するCD(音声モデル)も与えられないまま、高校入試でスピーキングテストをされることになり、明らかに親の収入による進路の差別が始まります。(詳しくは2018年3月8日のブログ「高校入試のスピーキングテストは子供を親の収入で差別するもの」をお読みください。)

皆さんの身近に教育関係者がいらっしゃいましたら、ぜひ「高校入試のスピーキングテストは子供を親の収入で差別するもの」であることをお伝えください。  (大学入試のスピーキングテストについても同じことです)  
15歳で親の収入のために進路を差別されるのでは子供たちがあまりにもかわいそうです。

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英語教育については、下のブログも併せてご参照ください。  日付をクリックすると移動できます。
2017年10月12日
文部科学省 新中学校学習指導要領 英語 「4技能」は全く効果がない(子供たちが通じる発音でスラスラ話せるようになる学習指導要領の見本付き)





高校英語教育を文部科学省の誤解に基づいた方針から守るため、以下のご案内を書かせていただきます。

現在文部科学省が「グローバル化に対応した英語教育改革」の目玉として掲げているCAN-DO方式は、ヨーロッパの人々にはできますが、日本語を母国語とする人にはできない方式です。

文部科学省は「CAN-DO方式が日本人には不可能な方式である」と気づいておりません。  導入されれば教育現場は大変迷惑します。  中止する必要があります。  なぜCAN-DO方式が不可能なのかはこちらのブログをお読みください。

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何度もお願いをしているのですが、アマゾンのページで私の本のランキングを下げて妨害をしている人がやめてくれないので、(詳細はこちらです)しばらく以下の文章を掲載させていただくことにしました。

「本を出版する人は、他の著者の妨害をしない。  他の著者を妨害する人は自分の本も出版できない。」
出版社におかれましては、このことを出版の際、著者に理解していただいてください。

私のランキングを妨害している人は、たぶん、現実を受け入れられないのでしょう。
アマゾンの順位を1ペ―ジ目から2ページ目に下げられ、数日でまた2ページ目から3ページ目に下げられて、私は、この方の激しい妨害に驚いています。 

「学習者に正しい発音を習得してほしい」というのが自分の目標でしたら、他人を妨害する必要はありませんね。  他人を妨害してまで、何を手に入れたいのでしょうか。  ベストセラーの著者という名声ですか。  それなら、もうアマゾンで、ご自身の本はベストセラーに認定されているのですから、それで十分でしょう。  この上何が欲しくて私を妨害するのでしょうか?  もう英語教育とは関係ないことですか。 私は、とても困っています。  

私は、こちらに書いてある3つのことをするのが、目的です。  日本人が子音の日本語化を知っているか、いないかで、通じる英語で話せるか話せないかが、決まります。  ですから、このことを読者の皆さんに理解していただくのは、とても大事なことなのです。  私の仕事の妨害をしないでください。 

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クマさん、ウサギさん、ブタさん、それぞれが持っている旗に書かれたことの理由は、2017年7月30日のブログをご覧になるとわかります。