川合典子 ブログ

英語教育、英語学習、発音習得、帰国子女の言語習得について書いています。

読者の方の質問にお答えします。

今日は、読者の方からの質問についてお答えしたいと思います。
おそらく、川合メソッドを始めた方の多くが、この疑問をもたれるのではないかと思いましたので、ブログで答えさせていただきたいと思います。
多くの方に役立つ質問だと思います。

ご質問の部分だけをここに書かせていただきます。

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私にとって必要だと思う、やりたい勉強はたくさんあります。

文法、英文構成の勉強、単語を覚えること、音読や読書をする、などなどです。

特に、持っているテープやCDの文章にあわせての音読や、本の音読もしていきたいと思っているのですが、先生のメソッドを始めたばかりで、きちんと発音できていない状態で、音読の練習は避けたほうがいいのでしょうか?

音読に限らず、適当な発音で話すことは避けたほうがいいかどうか、ということなのですが
避けたほうがいいとしたら、先生のメソッドの勉強が順調に進んだとして、どのくらいしてから音読の練習を始めたほうがいいのでしょうか?
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この中には2つの質問があります。ひとつは

「音読に限らず、適当な発音で話すことは避けたほうがいいでしょうか?」

これに関して私の回答は、

そのとおりです。川合メソッドを始めたら、適当な発音で話すことはしないでください。

生徒さんの一回目のレッスンから、私は基本の発音を一緒にやって、お教えします。(DVDの中でやっていますね。)そうしたら、「これから英語を話すときは、今勉強した基本の発音をいつもするように努力してください。今日勉強した発音以外の音で、英語を話すことはしないでください。」とお願いします。

これは、最初から、パーフェクトな発音でなければ話してはいけない、と言うことではありません。いつも正しい発音をしようと「努力しながら」発音してください。と言うことです。何も気をつけないで、ただぺらぺらと英語をしゃべることはしないでください。と言うことです。

学習する人が、川合メソッドで、発音練習を終えた後、単語のスペリングを覚えるため、その単語を発音しながらつづり字を練習しているところを思い浮かべてください。

もし、「book」という単語を発音しながら書いて、つづり字を覚えているなら、(この音の発音記号はbukですね)
口でブックと言うときにbは両唇で破裂をさせてbと言い、「u」は、唇を少し丸めて、日本語のオの口をしながら、ウと言うように発音して、「u」と言う。kは口蓋の後ろのほうで破裂をさせてクと言う。この正しい発音をしながら、b-o-o-k というつづり字を練習してください。

何も考えないで、ただ、ブック、ブックと言いながらつづり字を練習することはしないでください。英語を話すときはいつでも、ひとつひとつ正しい発音で言ってください。bとkは問題ないと思いますが、母音のu (ウに近い音で聞こえます)もちゃんと正しい発音で言いながらつづり字を練習してください。

つまり、何を学習するときでも、発音するときは基本の音で発音するように気をつけて発音してください。

「発音練習では、正しい発音をして、その他の英語学習をする時はやりやすい適当な発音で言う。」という2本立ての発音をしていますと、とっさに話しかけられて英語で答えようとするとき、必ず、やりやすい適当な発音が口から出ます。初級、中級、上級どのレベルの方でも、2本立ての発音練習をしている人は、緊張した状態になると必ず、やりやすい適当な発音でしゃべることになります。

ネイティブと話すときは誰でも少しは緊張しますので、こういう人は、いつまでたってもやりやすい適当な発音で話すことになります。「いつでも、正しい発音でしゃべる」、と言う意識を持ってください。

このように決めると、今までのようにぺらぺらしゃべれなくて、じれったい、まどろっこしい、と思うかもしれませんが、この姿勢を崩してしまうと正しい発音は身につきません。パーフェクトな発音が出来なくてもいいですから、ただしい発音をしようと意識して、英語を話してください。

2番目の質問は、

避けたほうがいいとしたら、先生のメソッドの勉強が順調に進んだとして、どのくらいしてから音読の練習を始めたほうがいいのでしょうか?

私の本の102ページが終わったところに「効果的に練習するためのDVD使い方マニュアル」と言うのがついています。その5ページに「DVDの練習メニューと練習方法」と言うのが載っています。最初はこれに従ってやってください。

練習3ヶ月目の第3週以降は自分が選んだ教材で、同じように練習していくことになります。どのような教材を使ったらよいかわからない人は本の101ページに「発音練習のための教材」を載せましたので、参考にしてください。

このとき、なるべく会話の英語を教材に使ってください。なぜなら、文章の音読よりも、会話のほうがイントネーションとリズムがはっきりわかるからです。文が5個から7個くらい入っているものをワンレッスンとして勉強してみてください。最初に学ぶ教材というのは頭によく残ります。私は40年以上たった今でも13歳のときに勉強した教材の英語が浮かんできます。

ですから、発音、リズム、イントネーションがよくわかる、きれいにしゃべっている英語を使ってください。自分がこういう英語をしゃべりたいなと思うものを選んでください。

そういう教材で8,9ヶ月目まで勉強してください。そうすると、ナチュラルスピードよりは少し遅いですが、ただしい発音で、しゃべれるようになります。文章の音読の教材を使いたい場合は、ここまで、会話文で練習したあと使ってください。。

普通、文章の教材は、分量が多いですね。そういう場合は、一気に音読練習するのは待ってください。その文章を5文から7文ずつ位のパートに分けて、音読練習をしていきます。

最初のパートを川合メソッドのやり方で発音練習して完成させてください。次のパートをまた川合メソッドのやり方で、発音練習を完成させます。すべてのパートが終わったら、全体を正しい発音で読めますね。こうして音読の練習につなげてください。

そんな面倒くさいことは出来ないと思う方がいるかもしれませんが、英語というのはどんな教材でも、出てくる音は同じです。ですから、たとえば発音練習のための教材が30個あるとしたら、そのうちの20個くらいを徹底的に発音練習すると、残りの10個の課題はそれほど時間をかけなくても出来るようになります。ところが、最初の20個の課題を適当に発音していくと30個目の課題を終了しても、最初と同じ適当な発音のまま変わりません。自己流で、何百個の音読練習をしても、正確さと言う点では1個目の課題と100個目の課題はなんら変わらないことになります。

ですから、初級のときは丁寧に練習をしてください。最初から、文章の音読はちょっと無理だと思いますので、まず、会話の文章で、8,9ヶ月練習してから、文章の音読練習に入ってください。


皆さんの参考になりますので、ある生徒さんの例をここでお話しますね。その生徒さんは初級用の教材を使って発音練習をしました。一年たって、母音も正確になったので、違う教材を選ぶことにしました。彼女は英語力が高かったので、少しゆっくり目のCNNのニュースを音読の教材として選びました。

それで、発音練習をして、レッスンに見えました。そこで彼女の発音を聞いて、私は、驚きました。あんなに正確に出来ていた母音が、がたがたに崩れていました。それで、「せっかく身につけた正確な母音の区別が、めちゃくちゃになってしまうので、この教材は、やめたほうがいいです。速度が速すぎると思います。」と、彼女に言いました。彼女の母音が違っているところもひとつひとつ説明しました。

彼女もそれを理解して、よく考えた結果、前に使っていた教材の続きにもどして勉強する、と言ってきました。それから、8ヶ月くらい続けて、正確な発音が安定して話せるようになりました。

こういうことがありますから、音読の教材を選ぶときは今まで使ったものより、極端に速度が速くなったり、文章が長くなったり、しないものの方がいいです。

でも、この生徒さんのような試行錯誤をすることは悪いことではないと、私は思っています。と言うのはCNNの音読で、母音が乱れてしまった経験があったので、そのあと、やさしい教材で、発音練習を再開したときは、前以上に安定して正しい母音が出せるように非常に努力して練習しているのがわかりました。

速度を速くしたら「発音が乱れた。」と言う経験から、彼女は今度は「速度を速くしても乱れないくらいしっかり発音を身につけよう」、と言う強い気持ちで発音練習しているのが、よくわかりました。ですから、試行錯誤することは悪いことではないと思います。


それからご質問の中に、

川合メソッドを学びつつ発音、発声するときに初心者が注意することはありますでしょうか?

と言うお尋ねがありました。

発声練習に関しては、最初はあまり細かいことにこだわらないようにしてください。皆さんは、声楽家になるために発声練習しているわけではありませんので、おなかに息を入れて、口先でなくおなかから声が出るようになることをまず、目指してください。

響きとか細かいことは、最初はあまり考えなくて結構です。何ヶ月か続けて、余裕が出来てくると、自然にそういうことにも気を配れるようになりますので、最初は、まず、「体をリラックスさせて、おなかから声を出す」ことが出来るように練習してください。

発音については、ヘッドフォンをつけて、聞いてください。音の特徴がわかりやすく、響きなども逃がさず、聞こえます。舌が歯茎と擦れ合うような音も全部聞き取るように聞いてください。

英検のリスニングなどではスピーカーから聞こえる英語を聞くことになるので、ヘッドフォンをつけないで練習しようという考え方もありますが、音の特徴をまず掴むのが、発音練習の基本ですので、ヘッドフォンで聞いたほうがよくわかります。

それから、時間がかかっても結構ですから、一つ一つの音を正確に発音してください。出来ないことを出来るようにするのが練習ですから、適当に発音してしまわないで、丁寧に練習してください。

最後に、あせらないで練習してください。英語でしゃべることは頭の中に英語の新しい回路を作り、口の周りに英語をしゃべる筋肉を作ることです。新しいことは、練習しないと身につきませんので、8ヶ月くらいは腰を落ち着けて、毎日日課のように一定の練習をしてください。そうすれば必ず、英語は正しい発音で話せるようになります。あせって英語学習の袋小路(10月3日のブログ「3ヶ月でぺらぺら」に書いてあります)に入り込まないよう気をつけてください。

努力は貴重です。random にするのではなく、きのうの努力の上に今日の努力が積み上がるように努力してください。そうすれば、必ず結果を得ます。自分が正しい発音で英語を話しているところをイメージしながら、その日を楽しみに練習を続けてくださいね。




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高校入試で子供たちが親の収入によって差別されない為に以下のお知らせを書かせていただきます。

高校入試のスピーキングテストについて(大学入試のスピーキングテストについても同様です)

高校入試のスピーキングテストは本来文部科学省が学校教育で正しい発音を生徒に教えてから行うべきものです。  しかし、文部科学省が教科書にCDもつけず、正しい発音の仕方も学校で教えないまま、高校入試でスピーキングテストを実施する動きが都立高校などで始まっています。 (大学入試でもスピーキングテストが行われようとしています)  これは、スピーキングスキルの習得を塾や予備校、会話学校に丸投げするものです。  学校で教えていないスキルを入試でテストすることはあり得ません。

これでは経済的に余裕のない、塾や会話学校にいけない家庭の子供は誰にも正しい発音を教えてもらえず、練習するCD(音声モデル)も与えられないまま、高校入試でスピーキングテストをされることになり、明らかに親の収入による進路の差別が始まります。(詳しくは2018年3月8日のブログ「高校入試のスピーキングテストは子供を親の収入で差別するもの」をお読みください。)

皆さんの身近に教育関係者がいらっしゃいましたら、ぜひ「高校入試のスピーキングテストは子供を親の収入で差別するもの」であることをお伝えください。  (大学入試のスピーキングテストについても同じことです)  
15歳で親の収入のために進路を差別されるのでは子供たちがあまりにもかわいそうです。

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英語教育については、下のブログも併せてご参照ください。  日付をクリックすると移動できます。
2017年10月12日
文部科学省 新中学校学習指導要領 英語 「4技能」は全く効果がない(子供たちが通じる発音でスラスラ話せるようになる学習指導要領の見本付き)





高校英語教育を文部科学省の誤解に基づいた方針から守るため、以下のご案内を書かせていただきます。

現在文部科学省が「グローバル化に対応した英語教育改革」の目玉として掲げているCAN-DO方式は、ヨーロッパの人々にはできますが、日本語を母国語とする人にはできない方式です。

文部科学省は「CAN-DO方式が日本人には不可能な方式である」と気づいておりません。  導入されれば教育現場は大変迷惑します。  中止する必要があります。  なぜCAN-DO方式が不可能なのかはこちらのブログをお読みください。

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何度もお願いをしているのですが、アマゾンのページで私の本のランキングを下げて妨害をしている人がやめてくれないので、(詳細はこちらです)しばらく以下の文章を掲載させていただくことにしました。

「本を出版する人は、他の著者の妨害をしない。  他の著者を妨害する人は自分の本も出版できない。」
出版社におかれましては、このことを出版の際、著者に理解していただいてください。

私のランキングを妨害している人は、たぶん、現実を受け入れられないのでしょう。
アマゾンの順位を1ペ―ジ目から2ページ目に下げられ、数日でまた2ページ目から3ページ目に下げられて、私は、この方の激しい妨害に驚いています。 

「学習者に正しい発音を習得してほしい」というのが自分の目標でしたら、他人を妨害する必要はありませんね。  他人を妨害してまで、何を手に入れたいのでしょうか。  ベストセラーの著者という名声ですか。  それなら、もうアマゾンで、ご自身の本はベストセラーに認定されているのですから、それで十分でしょう。  この上何が欲しくて私を妨害するのでしょうか?  もう英語教育とは関係ないことですか。 私は、とても困っています。  

私は、こちらに書いてある3つのことをするのが、目的です。  日本人が子音の日本語化を知っているか、いないかで、通じる英語で話せるか話せないかが、決まります。  ですから、このことを読者の皆さんに理解していただくのは、とても大事なことなのです。  私の仕事の妨害をしないでください。 

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クマさん、ウサギさん、ブタさん、それぞれが持っている旗に書かれたことの理由は、2017年7月30日のブログをご覧になるとわかります。