川合典子 ブログ

英語教育、英語学習、発音習得、帰国子女の言語習得について書いています。

耳の力を鍛えることなく、正しい発音でしゃべれるのか。

私が川合メソッドで教え始めたころ、発音は誰かに教わるもの、直してもらうものと言う考え方が一般的でした。(今でも一般的でしょうか?)

それで私は、生徒さんに、「自分の発音と、モデルの発音を聞き比べて直すとき、そのあと、先生が直してくれると思わないで下さい、誰も直してくれない、だから自分で直すのだという気持ちで聞き比べてください。」とお話しました。

本当に「誰も直してくれないから自分で直す」と思うと、耳はすごい力を発揮してきます。まるで、非常事態宣言が出たみたいに、集中して音を聞こうとするんですよ。

レッスンが進んでくると、生徒さんは急に上手になります。なぜかとたずねると、「川合先生がどこを直すか大体わかってきました。」と言います。(私が直すのは子音が聞こえないところ、母音がその音らしく聞こえないところが多いです。)

私はそれはとてもいいことだと思います。私が直すところを知って、そこを自分で、聞き比べて、同じに聞こえるように練習してくるのですね。回を重ねれば重ねるほど生徒さんの耳の力は上がってきます。すごくうれしいです。

私が最近思うのは、耳の力を鍛えることなく、口で発音する音だけを上手にできるのだろうか? と言うことです。 

目標とする発音と今の自分の発音の違いを本人が聞いてわかっているから発音を直していけるのではないでしょうか。

先生が生徒さんにモデルの発音と生徒さんの発音を聞かせて、「違いはここです。」と教えてあげれば、生徒さんは自分の耳で違いを認識できるようになります。今まで耳で認識できなかったことが聞こえるようになります。聞く力が開発されてきます。そうすると、どうやって正しい発音をするのか自分でわかってきます。 

自分の耳で認識できたことは、自分の発音に反映できるのです。

耳で聞く力と口で発音する力とは密接に関係しています。言葉をしゃべる上で、聞くことと話すことは切り離せない関係にあります。

発音は先生が直してくれるから、自分は言われたとおりにやっていればいいと生徒さんが思っていたら、生徒さんの耳の力はまったく開発されることはありません。

私は以前、「アメリカにいたとき、英文法は理解していましたが、どのように教えるのか興味があって、外国からアメリカに来た大人向けの英文法のクラスに出席したことがある。」と書きました。

その授業に出席したとき、先生から、「初めて、なまりのない英語を話すESL(English as a second language) student に会った。」と言われました。そして、「君は、耳がいいんだね。」と言われました。(そのとき、先生の周りにいた生徒たちが「ノリコは、口の動かし方がうまいんじゃないの?」 と、口々に言うと、この先生は、「いや、発音が上手になるには、よく聞けていないとだめなんだよ。」と説明していました。)けれども、私の耳はほかの人に比べて特別に、いいわけではありません。

特にこのごろは夫から、「ママは、最近、声が大きいし、家族が何か言っても一回じゃわからなくて、もう一回聞きなおしてくることが多い。耳が遠くなったんじゃないか。健康診断で、聴力検査をちゃんとした方がいい。」と、言われます。それでも生徒さんの送ってくる英語は聞いた瞬間に、発音の違うところはわかります。

なぜ、それができるかと言えば、何回もそれをやってきたからです。中学生のときから40年間、何千個、何万個と言う音を聞き比べてきたからです。ですから、先の英文法の先生の言葉は「君は、耳がいいんだね。」ではなく正確には「君は、音をよく聞いているんだね。」と言うことですね。

一回違いを耳で認識するごとに耳の力は上がります。最初は「声が大きい。声の大きさが違う。」ぐらいしかわからなくても、それを「違い」と認識したときから、耳の力は最初とは違います。「違いを認識する」訓練がなされたからです。あとは同じ訓練の延長線上の活動です。回を重ねるごとに上手になっていきます。

つまり、川合メソッドは、回数を重ねていくことができる人は、みんな発音が上手になっていくメソッドなのです。

聞く力を鍛えてください。耳の力を鍛えないで、発音をよくすることはできません。耳で認識できない音は口で再生できません。発音習得のためには口だけでなく、耳も一緒に鍛えてください。




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高校入試で子供たちが親の収入によって差別されない為に以下のお知らせを書かせていただきます。

高校入試のスピーキングテストについて(大学入試のスピーキングテストについても同様です)

高校入試のスピーキングテストは本来文部科学省が学校教育で正しい発音を生徒に教えてから行うべきものです。  しかし、文部科学省が教科書にCDもつけず、正しい発音の仕方も学校で教えないまま、高校入試でスピーキングテストを実施する動きが都立高校などで始まっています。 (大学入試でもスピーキングテストが行われようとしています)  これは、スピーキングスキルの習得を塾や予備校、会話学校に丸投げするものです。  学校で教えていないスキルを入試でテストすることはあり得ません。

これでは経済的に余裕のない、塾や会話学校にいけない家庭の子供は誰にも正しい発音を教えてもらえず、練習するCD(音声モデル)も与えられないまま、高校入試でスピーキングテストをされることになり、明らかに親の収入による進路の差別が始まります。(詳しくは2018年3月8日のブログ「高校入試のスピーキングテストは子供を親の収入で差別するもの」をお読みください。)

皆さんの身近に教育関係者がいらっしゃいましたら、ぜひ「高校入試のスピーキングテストは子供を親の収入で差別するもの」であることをお伝えください。  (大学入試のスピーキングテストについても同じことです)  
15歳で親の収入のために進路を差別されるのでは子供たちがあまりにもかわいそうです。

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英語教育については、下のブログも併せてご参照ください。  日付をクリックすると移動できます。
2017年10月12日
文部科学省 新中学校学習指導要領 英語 「4技能」は全く効果がない(子供たちが通じる発音でスラスラ話せるようになる学習指導要領の見本付き)






高校英語教育を文部科学省の誤解に基づいた方針から守るため、以下のご案内を書かせていただきます。

現在文部科学省が「グローバル化に対応した英語教育改革」の目玉として掲げているCAN-DO方式は、ヨーロッパの人々にはできますが、日本語を母国語とする人にはできない方式です。

文部科学省は「CAN-DO方式が日本人には不可能な方式である」と気づいておりません。  導入されれば教育現場は大変迷惑します。  中止する必要があります。  なぜCAN-DO方式が不可能なのかはこちらのブログをお読みください。

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何度もお願いをしているのですが、アマゾンのページで私の本のランキングを下げて妨害をしている人がやめてくれないので、(詳細はこちらです)しばらく以下の文章を掲載させていただくことにしました。

「本を出版する人は、他の著者の妨害をしない。  他の著者を妨害する人は自分の本も出版できない。」
出版社におかれましては、このことを出版の際、著者に理解していただいてください。

私のランキングを妨害している人は、たぶん、現実を受け入れられないのでしょう。
アマゾンの順位を1ペ―ジ目から2ページ目に下げられ、数日でまた2ページ目から3ページ目に下げられて、私は、この方の激しい妨害に驚いています。 

「学習者に正しい発音を習得してほしい」というのが自分の目標でしたら、他人を妨害する必要はありませんね。  他人を妨害してまで、何を手に入れたいのでしょうか。  ベストセラーの著者という名声ですか。  それなら、もうアマゾンで、ご自身の本はベストセラーに認定されているのですから、それで十分でしょう。  この上何が欲しくて私を妨害するのでしょうか?  もう英語教育とは関係ないことですか。 私は、とても困っています。  

私は、こちらに書いてある3つのことをするのが、目的です。  日本人が子音の日本語化を知っているか、いないかで、通じる英語で話せるか話せないかが、決まります。  ですから、このことを読者の皆さんに理解していただくのは、とても大事なことなのです。  私の仕事の妨害をしないでください。 

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クマさん、ウサギさん、ブタさん、それぞれが持っている旗に書かれたことの理由は、2017年7月30日のブログをご覧になるとわかります。