川合典子 ブログ

英語教育、英語学習、発音習得、帰国子女の言語習得について書いています。

子音が聞こえないという問題

私が中学生のころ発音練習をしていて、「自分のしゃべった英語の子音が聞こえない」という問題に直面したことはありませんでした。  確かに、お手本の発音に比べて子音が弱いと思い、強く発音しようとしたことはありましたが、「子音が聞こえない」「子音が落ちる」と感じたことはありませんでした。  練習している英文の速度がゆっくりだと、子音の問題はそれほど気がつきません。

私が「子音が聞こえない問題」に直面したのは、ナチュラルスピードで話すようになってしばらくたってからでした。  練習を始めてから30年くらいたったときだったと思います。  (OL時代は、通勤時間中に勉強していましたので、自分の発音を録音することがあまりできませんでしたし、子育て中は、「とにかく一日30分音読が出来ればいい」と言う日々が何年も続いてましたので、結局気づくまでに30年もたってしまったのだと思います)

ナチュラルスピードで話すと次々単語をつなげて言わなければなりません。  それだけでも口の動きは大変です。  余裕がありませんので、そこへ母国語の言い方が現れてきます。

最初の本の28,29ページに書きましたが、日本語はいつも子音と母音がセットになって言われますので、それに適した子音の言い方をします。  子音はちょっと触れるほどにしか発音されないで、すぐに次の母音に移ります。 速く口を動かさなければならなくなると、 長年言いなれた母国語の子音の言い方が、英語に出てくるわけです。  

これはナチュラルスピードでしゃべっている自分の英語を録音してみるとよくわかります。  最もよくわかるのはナチュラルスピードでシャドウイングしているときの録音だと思います。  子音は落ちて、落ちて、落ちまくります。

これを直すには、速く動かしている口を、単語の最初の子音のところで一瞬保持して、摩擦音だったら長く、破裂音だったら強く言うようにします。 ほんの一瞬保持するだけですけれど、リズムを崩さずに速さを保ってこのように言うのは、少し努力が要ります。

こういう経験をした私は英語を教える立場になったとき、自分の練習を振り返って、「初級では確かに子音が落ちる問題はなかったけれど、口の形を一瞬保持して、子音を長く言う、強く言う、練習をした方がいい」と思うようになりました。 母国語の癖が、速い英語になっても出てこないようにするには初級のときからその意識を持って練習してもらうことが大事だと思いました。 

初級のゆっくりな文章で、学習者に余裕があるときに、この口の形を保持するコツを体得してもらっておくと、上級になって英文が速くなっても少しのアドバイスで子音がよく聞こえるようにしゃべることが出来ます。  第一にそういう口の形を保持する練習を初級からやってきた人は子音の言い方が上級になっても非常に強くきれいです。

「初級ではそんなことをしなくても子音は聞こえる」と言うことは私も十分承知しています。  けれども初級のときに、

Fの音はどんなに小さく発音するときでも、横に座っている人に摩擦の音が聞こえるように発音する。
Wの音は唇を丸めて、そこで、息を送って音を出してから次の音に行くように注意する
Sは息を持続させて長さを保って発音する

と言うことを身につけておくと、ナチュラルスピードで話すとき、非常にきれいに子音が強く言えるようになります。  初級の時から積み重ねたこの口の動きから生まれる子音の強さと美しさは、短期間で発音を身につけた人には到底真似できません。

私が練習を始めて、20年位して分かったこと(音質)、30年位して分かったこと(子音)、40年位して分かったこと(唇と口角)、そういうことを私は、これから発音練習を始める方に初級、中級、上級と適切な段階で、お話して、訓練していただきたいと思っています。

そういう意味では川合メソッドで練習している初級の方は、かなりレベルの高い発音練習をおこなっていらっしゃると思います。  ナチュラルスピードで通じる英語を話すようになった日本人が、「この練習はやっておいたほうがいいよ」と思うことを初級の段階から取り入れているからです。  

まず、文章で発音練習すること自体が、今までの単語だけの発音練習に比べて、かなりハイレベルです。  

「文章の発音をモデルと比べてどこが違うか気づくことが出来る」と言うのは、初級のやさしい文章から比べる練習をしていないと出来ません。 上級者でも留学していた人でも、発音の先生でもこれは自分でやって来なければ、出来ません。  なぜそんなことが分かるかと言えば、私の生徒さんの中に留学経験者も発音の先生もいらっしゃるからです。  どちらの方も大変練習熱心で優秀な方です。

でも、従来の練習方法で発音を学んでいらしたので、最初は文章の発音を比べて違いを直すことは出来ませんでした。  けれども、川合メソッドのやり方で練習して、文章の発音の違いが聞いて分かるようになりました。  音質の違いも聞いてわかるようになりました。  今はとても滑らかで、明確に子音が聞こえる発音で話していらっしゃいます。  

ですから皆さんは、従来のやり方で練習してきた上級者でも出来ないことを初級の最初の練習からおこなっているわけです。  

その上、川合メソッドで学ぶ初級の方は、文章での発音練習をしながら、「口の形を一瞬保持して子音を言う」という新しい口の動きも訓練しているわけです。  

私が上級になってナチュラルスピードになって初めて気づいて練習し始めたことを初級の段階ですでにしているわけですね。    けれども内容的にはレベルが高くても、川合メソッドの例文はゆっくり言われる単語3つの文章(I like music.) から入りますので、誰でも始められます。  私も本やブログで学習者をサポートしています。  ハイレベルな練習も教材がゆっくりで、やさしいので、誰でもできるわけです。 


川合メソッドは、「英語を通じなくする日本語の癖」を持つ私が、その日本語の癖を乗り越えて通じる英語を身につけるまでにやってきた練習を元にして出来上がっています。

母国語の癖を乗り越えるのですから、日本人にとってやりにくい練習が入っています。  でもやり通せば、通じる英語で話せるようになります。  母国語の癖が英語を通じなくするものでなかったらこういう練習はしなくても良かったかもしれませんが、子音が聞こえなければ何をしゃべっているか相手には分かりませんので、どうしてもこの練習は必要だったわけです。  

母国語の癖を乗り越えて通じる英語を身につけたい方はぜひ川合メソッドにチャレンジしてください。  やりにくい練習をやり通したとき、通じる発音でしゃべれるようになります。  やりにくいことに果敢にチャレンジしていく人たちによって、日本人の英語は変わっていくと思います。



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高校入試で子供たちが親の収入によって差別されない為に以下のお知らせを書かせていただきます。

高校入試のスピーキングテストについて(大学入試のスピーキングテストについても同様です)

高校入試のスピーキングテストは本来文部科学省が学校教育で正しい発音を生徒に教えてから行うべきものです。  しかし、文部科学省が教科書にCDもつけず、正しい発音の仕方も学校で教えないまま、高校入試でスピーキングテストを実施する動きが都立高校などで始まっています。 (大学入試でもスピーキングテストが行われようとしています)  これは、スピーキングスキルの習得を塾や予備校、会話学校に丸投げするものです。  学校で教えていないスキルを入試でテストすることはあり得ません。

これでは経済的に余裕のない、塾や会話学校にいけない家庭の子供は誰にも正しい発音を教えてもらえず、練習するCD(音声モデル)も与えられないまま、高校入試でスピーキングテストをされることになり、明らかに親の収入による進路の差別が始まります。(詳しくは2018年3月8日のブログ「高校入試のスピーキングテストは子供を親の収入で差別するもの」をお読みください。)

皆さんの身近に教育関係者がいらっしゃいましたら、ぜひ「高校入試のスピーキングテストは子供を親の収入で差別するもの」であることをお伝えください。  (大学入試のスピーキングテストについても同じことです)  
15歳で親の収入のために進路を差別されるのでは子供たちがあまりにもかわいそうです。

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英語教育については、下のブログも併せてご参照ください。  日付をクリックすると移動できます。
2017年10月12日
文部科学省 新中学校学習指導要領 英語 「4技能」は全く効果がない(子供たちが通じる発音でスラスラ話せるようになる学習指導要領の見本付き)





高校英語教育を文部科学省の誤解に基づいた方針から守るため、以下のご案内を書かせていただきます。

現在文部科学省が「グローバル化に対応した英語教育改革」の目玉として掲げているCAN-DO方式は、ヨーロッパの人々にはできますが、日本語を母国語とする人にはできない方式です。

文部科学省は「CAN-DO方式が日本人には不可能な方式である」と気づいておりません。  導入されれば教育現場は大変迷惑します。  中止する必要があります。  なぜCAN-DO方式が不可能なのかはこちらのブログをお読みください。

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何度もお願いをしているのですが、アマゾンのページで私の本のランキングを下げて妨害をしている人がやめてくれないので、(詳細はこちらです)しばらく以下の文章を掲載させていただくことにしました。

「本を出版する人は、他の著者の妨害をしない。  他の著者を妨害する人は自分の本も出版できない。」
出版社におかれましては、このことを出版の際、著者に理解していただいてください。

私のランキングを妨害している人は、たぶん、現実を受け入れられないのでしょう。
アマゾンの順位を1ペ―ジ目から2ページ目に下げられ、数日でまた2ページ目から3ページ目に下げられて、私は、この方の激しい妨害に驚いています。 

「学習者に正しい発音を習得してほしい」というのが自分の目標でしたら、他人を妨害する必要はありませんね。  他人を妨害してまで、何を手に入れたいのでしょうか。  ベストセラーの著者という名声ですか。  それなら、もうアマゾンで、ご自身の本はベストセラーに認定されているのですから、それで十分でしょう。  この上何が欲しくて私を妨害するのでしょうか?  もう英語教育とは関係ないことですか。  私はとても困っています。  

私は、こちらに書いてある3つのことをするのが、目的です。  日本人が子音の日本語化を知っているか、いないかで、通じる英語で話せるか話せないかが、決まります。  ですから、このことを読者の皆さんに理解していただくのは、とても大事なことなのです。  私の仕事の妨害をしないでください。 

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クマさん、ウサギさん、ブタさん、それぞれが持っている旗に書かれたことの理由は、2017年7月30日のブログをご覧になるとわかります。