川合典子 ブログ

英語教育、英語学習、発音習得、帰国子女の言語習得について書いています。

子音が聞こえないという問題(2)

4月17日の続きです。

子音が聞こえないと何を言っているのか分かりませんから、子音が聞こえるように言うのはとても大事なことです。

ここで、英語と日本語の子音の違いを少しお話したいと思います。
私の最初の本を持っていらっしゃる方は28,29ページも参考になさってください。

日本語はいつも子音と母音がセットになって言われます。  こういう言い方を速く滑らかに言うには、子音を少し言って、すばやく母音に移った方が都合がいいですね。  ですから日本語の子音はほんの少し触れるくらいに言われてすぐに次の母音に移行します。  

英語は子音と母音がいつもセットになって言われるわけではありません。  子音だけがつながって言われることも多いです。  こういう言い方では子音も母音と同じくらいの比重を持って言われます。

私が初めて英語の発音練習をしたのは中学一年生のときでした。  教材は会話文でしたが、初級でしたからスピードは速くありませんでした。  ゆっくり文章を言っていると、日本語の子音の言い方、つまりほんの少し触れる程度にしか言わない子音の言い方でも、それほど、子音が聞こえないという問題は表面化しません。  子音は少し触れる程度にしか言われなくても、ゆっくり言っていれば、聞こえるには聞こえます。  弱いと感じても、少し大きく言えば、済むことですから、この段階で、「日本語の子音が英語の子音に比べて短い」という問題に気がつきませんでした。

たいていの人は最初に発音練習をするときはゆっくりな文章からはじめると思います。  ですからおそらく私と同じように初級の段階で、自分の子音が弱いと感じることはあっても「短い」と気づく方はいらっしゃらないと思います。

そして、英語学習の初期の段階で、注意深く発音練習をして発音を習得したと思ったら、普通はもう、発音を気にすることなく中級、上級へと進んでいきます。

子音の問題が厄介なのはみんなが、注意深く発音練習をする初級のときには現れてこなくて(と言うか気づかない程度にしか現れなくて)、上級のナチュラルスピードになったときに、大きく現れてくる、と言うことです。

ふつうは「初級の段階で、発音はきちんと習得した」と思っていますので、上級になると、自分の発音をそれほど熱心にチェックはしなくなりますね。  ですから日本語の短い子音の言い方が出てきていると気づく人はいないのだと思います。

私の場合は、いくつになっても、中学生のときに聞いたあのきれいな英語でしゃべりたいという想いが消えなくて、いつもいつも自分の発音を録音してチェックしていました。  発音練習を始めて40年以上たった今でも、毎日、5400語音読して録音してチェックしています。  だからゆっくりだった中学生の時の発音練習では気がつかなかった日本語の子音の特徴が英語の中に出てきていることに気づいたのだと思います。

特に単語の最初の子音は、ほんの少し、触れる程度にしか発音されないで、次の音に移行してしまうというのが、良く分かりました。

こういう短くて聞きにくい子音を、相手によく聞こえるように言う為には、本の28ページにも書きましたが、音が一つずつマスを持っているとしたら、母音も1マス、子音も1マス持っているようにしゃべらなければなりません。

日本語の言い方だと母音は1マス持っていても、子音は1/3マスくらいしか持っていない感じですね。

こういうことは、言葉で説明するよりイメージで説明する方が練習のとき、ぱっと思い出せますので、劇場の客席を例にして説明してみますね。

皆さんはオペラ劇場の舞台に立っていると思ってください。客席を見ると、半分から右が「日本語の席」、半分から左が「英語の席」です。

日本語の席に座っている大人の観客は全員、赤ちゃんをひざの上に乗せています。  
英語の席に座っている観客は赤ちゃんも大人も一人一席ずつ与えられて座っています。 赤ちゃんをひざの上に乗せている観客は一人もいません。

このときの赤ちゃんを子音、大人を母音だと思ってください。 日本語の席では子音は一席ずつは与えられていません。  母音の上にちょっと乗っているだけです。  英語の席では赤ちゃん(子音)にも、大人(母音)と同じ一つずつ席が与えられています。

日本語の席から英語の席に移動したら「子音にも一つの席が必要なのだ」と思ってください。  そうするとSもFもWも聞こえるように発音しようと注意できると思います。 発音練習のときは頭で考えるより、パッと見えるイメージで覚えておく方が便利ですから、単語の最初が子音だったら、「赤ちゃんはひざの上に乗せないで、一つ席を与えなければ」と思って、十分強く(あるいは長さを保って)発音してください。

発音練習のとき、英語と日本語では言い方が違うということを知らないで、ただ聞こえてきたとおり言っていると、何の疑問も持たずに、「日本語式の触れる程度にしか言わない子音でしゃべって発音練習は終わり」と言うことになりますので、気をつけてください。  これに気づくには自分の発音を録音してモデルと比べるのが一番良い方法です。 



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高校入試で子供たちが親の収入によって差別されない為に以下のお知らせを書かせていただきます。

高校入試のスピーキングテストについて(大学入試のスピーキングテストについても同様です)

高校入試のスピーキングテストは本来文部科学省が学校教育で正しい発音を生徒に教えてから行うべきものです。  しかし、文部科学省が教科書にCDもつけず、正しい発音の仕方も学校で教えないまま、高校入試でスピーキングテストを実施する動きが都立高校などで始まっています。 (大学入試でもスピーキングテストが行われようとしています)  これは、スピーキングスキルの習得を塾や予備校、会話学校に丸投げするものです。  学校で教えていないスキルを入試でテストすることはあり得ません。

これでは経済的に余裕のない、塾や会話学校にいけない家庭の子供は誰にも正しい発音を教えてもらえず、練習するCD(音声モデル)も与えられないまま、高校入試でスピーキングテストをされることになり、明らかに親の収入による進路の差別が始まります。(詳しくは2018年3月8日のブログ「高校入試のスピーキングテストは子供を親の収入で差別するもの」をお読みください。)

皆さんの身近に教育関係者がいらっしゃいましたら、ぜひ「高校入試のスピーキングテストは子供を親の収入で差別するもの」であることをお伝えください。  (大学入試のスピーキングテストについても同じことです)  
15歳で親の収入のために進路を差別されるのでは子供たちがあまりにもかわいそうです。

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英語教育については、下のブログも併せてご参照ください。  日付をクリックすると移動できます。
2017年10月12日
文部科学省 新中学校学習指導要領 英語 「4技能」は全く効果がない(子供たちが通じる発音でスラスラ話せるようになる学習指導要領の見本付き)




高校英語教育を文部科学省の誤解に基づいた方針から守るため、以下のご案内を書かせていただきます。

現在文部科学省が「グローバル化に対応した英語教育改革」の目玉として掲げているCAN-DO方式は、ヨーロッパの人々にはできますが、日本語を母国語とする人にはできない方式です。

文部科学省は「CAN-DO方式が日本人には不可能な方式である」と気づいておりません。  導入されれば教育現場は大変迷惑します。  中止する必要があります。  なぜCAN-DO方式が不可能なのかはこちらのブログをお読みください。

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何度もお願いをしているのですが、アマゾンのページで私の本のランキングを下げて妨害をしている人がやめてくれないので、(詳細はこちらです)しばらく以下の文章を掲載させていただくことにしました。

「本を出版する人は、他の著者の妨害をしない。  他の著者を妨害する人は自分の本も出版できない。」
出版社におかれましては、このことを出版の際、著者に理解していただいてください。

私のランキングを妨害している人は、たぶん、現実を受け入れられないのでしょう。
アマゾンの順位を1ペ―ジ目から2ページ目に下げられ、数日でまた2ページ目から3ページ目に下げられて、私は、この方の激しい妨害に驚いています。 

「学習者に正しい発音を習得してほしい」というのが自分の目標でしたら、他人を妨害する必要はありませんね。  他人を妨害してまで、何を手に入れたいのでしょうか。  ベストセラーの著者という名声ですか。  それなら、もうアマゾンで、ご自身の本はベストセラーに認定されているのですから、それで十分でしょう。  この上何が欲しくて私を妨害するのでしょうか?  もう英語教育とは関係ないことですか。  私はとても困っています。  

私は、こちらに書いてある3つのことをするのが、目的です。  日本人が子音の日本語化を知っているか、いないかで、通じる英語で話せるか話せないかが、決まります。  ですから、このことを読者の皆さんに理解していただくのは、とても大事なことなのです。  私の仕事の妨害をしないでください。 

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クマさん、ウサギさん、ブタさん、それぞれが持っている旗に書かれたことの理由は、2017年7月30日のブログをご覧になるとわかります。