川合典子 ブログ

英語教育、英語学習、発音習得、帰国子女の言語習得について書いています。

だんだん、分かってくること

中学のとき、I’m proud of you. と言う表現を習いました。  でも、「こんな仰々しい言い方を誰がするんだろう」と私は思っていて、すごく不思議でした。  私が中学生だったころは昭和40年代の半ばですから、インターネットもDVDもありませんし、外国のことはまったく知りませんでした。

20代半ばになって、私がアメリカ人のスタッフと働いていたときのことでした。 ある日、電話を取ったアルバイトの若い女性が、顔色を変えて私のところに飛んできました。 

彼女は「多分アメリカからの電話だと思いますが、Lさんを電話に出して、と若い女の子が泣き叫んでいたんです。  Lさんにつなぎましたが、どうしたのでしょう?」と言いました。

後で、Lさんから聞きましたが、Lさんご夫婦は、大学生のお嬢さんを一人アメリカに残して、日本にいらしていました。  そのお嬢さんが、体の具合が悪くて、電話をして来たようでした。  たぶん、ご自宅にかけた時にお母さんが不在だったので、お父さんの職場に電話してきたのでしょう。

そういう時はみんな電話を聞かないようにしていますが、オフィスがシーンとしていると、耳に入ってきてしまいます。

最後に電話を切るときにLさんが

I love you. I’m proud of you. I love you. I’m proud of you.

と何回も言っていました。

その時、私は I’m proud of you. がどういう意味を持って使われるのかわかりました。  それはまるで、日本人の父親が、泣いている子供に、「大丈夫だよ。いい子だから、大丈夫だからね。」とやさしく言い聞かせているようでした。  もちろん映画などで、賞を取ったわが子に母親がI’m proud of you. と言うのは見たことがありますが、Lさんがお嬢さんにやさしく言うのを聞いてこの言葉がどういう風にアメリカ人に使われているのかわかりました。  その後何年かして、私がアメリカのテレビドラマを見ていたら、妻が精神的な問題を抱えている夫婦が、精神科医を訪ねる場面で、一人で不安そうに診察室に向かう妻に、夫がやさしく「I love you. I'm proud of you.」と言っていましたので、大人でも、同じように言うのだなあとわかりました。

中学時代「こんな仰々しい言葉を誰が使うのだろう?」と思った疑問が、そうやってだんだん、解けていきました。

英語を日本語に訳しては本当の英語の意味がわからない、とはよく言われることですが、歴史や価値観の違う国で、その言葉がどういう意味を持つかは、最初からはわかりません。  英語を知らない私の子どもたちがどのように英語を学んで行ったかは5月22日からのシリーズをお読みください。  最初は母国語の力を借りなければ何もわかりませんでした。

中学生の私が、I'm proud of you. を日本語に訳さず、I'm proud of you.  I'm proud of you. と英語のまま言っていれば、この文のニュアンスがわかるようになりますか? なりませんよね。 だから「英語を英語のまま理解する勉強法」なんてないんです。 最初は意味の分かる母国語で理解して、そのあと、いろんな場面で使われるその英語表現を勉強しながら、ニュアンスとか、アメリカ人がどういう意味でその文を使っているか、がわかってくるのです。

私も大学生のときに、こんな説明を読みました。
日本人が猫を思い出すときはコタツで丸くなっている猫を思い出すでしょう。(今から50年前の日本の様子です。) でもアメリカ人にcatと言えば、暖炉のそばでお皿でミルクを飲んでいる猫を思い出すんです。  だからイメージとして、同じではないのです。  

と書いてありました。  でもそれは、学習の最初から全部判るわけではないと私は思っています。  むしろそういうことがわかってくることが、英語力が上がることだと私は思っています。  

英語を全然知らないなら、学習の最初で日本語に訳さざるを得ませんね。  それはかまわないと思います。   けれどもそこで、勉強をやめないで下さい。  私の子どもたちもまず、母国語の力を借りて英語を理解しました。  でもその後、たくさん英語で学んでいくうちに、日本語と英語の差を理解して行きました。  ですから、たくさん英語の本を読んだり、時にはドラマや映画を見たり、ニュースを聞いたりしながら、英語を使う人たちの文化や生活、価値観について理解を深めて行ってください。  そうすると、日本語と違う言葉の意味が少しずつわかるようになります。  私はそれが英語力が上がってくることだと思っています。

そうやって自分でたくさんの英語に触れていくと勉強の初期にはわからなかった言葉の持つ意味がわかるようになります。   自分で学んだことと言うのは、自分の財産になります。 そして本当に英語の意味で英語がわかってくるのは自分でそういう努力を積み重ねたときだと思います。




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高校入試で子供たちが親の収入によって差別されない為に以下のお知らせを書かせていただきます。

高校入試のスピーキングテストについて(大学入試のスピーキングテストについても同様です)

高校入試のスピーキングテストは本来文部科学省が学校教育で正しい発音を生徒に教えてから行うべきものです。  しかし、文部科学省が教科書にCDもつけず、正しい発音の仕方も学校で教えないまま、高校入試でスピーキングテストを実施する動きが都立高校などで始まっています。 (大学入試でもスピーキングテストが行われようとしています)  これは、スピーキングスキルの習得を塾や予備校、会話学校に丸投げするものです。  学校で教えていないスキルを入試でテストすることはあり得ません。

これでは経済的に余裕のない、塾や会話学校にいけない家庭の子供は誰にも正しい発音を教えてもらえず、練習するCD(音声モデル)も与えられないまま、高校入試でスピーキングテストをされることになり、明らかに親の収入による進路の差別が始まります。(詳しくは2018年3月8日のブログ「高校入試のスピーキングテストは子供を親の収入で差別するもの」をお読みください。)

皆さんの身近に教育関係者がいらっしゃいましたら、ぜひ「高校入試のスピーキングテストは子供を親の収入で差別するもの」であることをお伝えください。  (大学入試のスピーキングテストについても同じことです)  
15歳で親の収入のために進路を差別されるのでは子供たちがあまりにもかわいそうです。

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英語教育については、下のブログも併せてご参照ください。  日付をクリックすると移動できます。
2017年10月12日
文部科学省 新中学校学習指導要領 英語 「4技能」は全く効果がない(子供たちが通じる発音でスラスラ話せるようになる学習指導要領の見本付き)




高校英語教育を文部科学省の誤解に基づいた方針から守るため、以下のご案内を書かせていただきます。

現在文部科学省が「グローバル化に対応した英語教育改革」の目玉として掲げているCAN-DO方式は、ヨーロッパの人々にはできますが、日本語を母国語とする人にはできない方式です。

文部科学省は「CAN-DO方式が日本人には不可能な方式である」と気づいておりません。  導入されれば教育現場は大変迷惑します。  中止する必要があります。  なぜCAN-DO方式が不可能なのかはこちらのブログをお読みください。

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何度もお願いをしているのですが、アマゾンのページで私の本のランキングを下げて妨害をしている人がやめてくれないので、(詳細はこちらです)しばらく以下の文章を掲載させていただくことにしました。

「本を出版する人は、他の著者の妨害をしない。  他の著者を妨害する人は自分の本も出版できない。」
出版社におかれましては、このことを出版の際、著者に理解していただいてください。

私のランキングを妨害している人は、たぶん、現実を受け入れられないのでしょう。
アマゾンの順位を1ペ―ジ目から2ページ目に下げられ、数日でまた2ページ目から3ページ目に下げられて、私は、この方の激しい妨害に驚いています。 

「学習者に正しい発音を習得してほしい」というのが自分の目標でしたら、他人を妨害する必要はありませんね。  他人を妨害してまで、何を手に入れたいのでしょうか。  ベストセラーの著者という名声ですか。  それなら、もうアマゾンで、ご自身の本はベストセラーに認定されているのですから、それで十分でしょう。  この上何が欲しくて私を妨害するのでしょうか?  もう英語教育とは関係ないことですか。  私はとても困っています。  

私は、こちらに書いてある3つのことをするのが、目的です。  日本人が子音の日本語化を知っているか、いないかで、通じる英語で話せるか話せないかが、決まります。  ですから、このことを読者の皆さんに理解していただくのは、とても大事なことなのです。  私の仕事の妨害をしないでください。 

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クマさん、ウサギさん、ブタさん、それぞれが持っている旗に書かれたことの理由は、2017年7月30日のブログをご覧になるとわかります。