川合典子 ブログ

英語教育、英語学習、発音習得、帰国子女の言語習得について書いています。

英語の深さ(1)

7月3日のブログ「初級、中級の勉強の仕方」http://d.hatena.ne.jp/creato-k/20130703の中で次のように述べました。

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同じように英文を勉強するのでも、深く内容に入っておくと、英語力は更に上ります。  具体的にはどうするのかというと、自分が勉強した英文(どんなに短いものでも結構です。)の要旨を誰かに聞かせるつもりで、英語で頭のなかでまとめてから喋ってみるんですね。 中級後半の方はやってみてください。 

教材の英語を日本語に訳して理解するだけでなく理解したら、その内容で「思考しておく」わけです。  そうするとその英文が自分のものになってくるんですね。  もちろん日本語の助けを借りて作業して結構です。  新出単語の意味はまだ日本語の助けを借りなければしっくりわからないでしょうから。

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自分が学んだ英文を使って、思考しておくとその内容が、その内容を表す英語とともに深く自分の中に定着して行きます。  英語が、深く頭のなかに定着すると言うのは、母国語のように言葉が深く自分の中に入っていく最初の段階のようなものです。

私は二人の子どもたちがバイリンガルになる過程を横でずっと見ていましたが、日本で英語を学んだ私と決定的に違うと思ったのが、この英語が体の中に入っていく「深さ」の違いでした。

私も日本でたくさん英語を学びましたけれど、子どもたちのように深くは入っていないと思いました。

易しい英語でそれをわかりやすく説明しましょう。

渡米して3ヶ月くらいたったある日、娘の部屋を掃除していたら、娘が昨日、家庭教師の先生と一緒に勉強したドリルが広げてありました。  絵がたくさん描いてあり、英文が数行書いてありました。

以下がドリルに書かれていた英文です。

1.池に3種類の魚が泳いでいます。  
2.赤い魚は池の一番浅いところを泳いでいます、
3.黄色い魚は池の真ん中くらいの深さのところを泳いでいます。
4.青い魚は池の底のほうを泳いでいます。
5.大きな鳥が飛んできて、池にくちばしを突っ込んで魚を一匹くわえて、飛び去りました。  鳥がとった魚は何色だったでしょうか。

私はこれを読んだ時、「なるほど」と思いました。
(娘はアメリカに行ったばかりですから、英単語は先生が似たような色を指し示して教えてくれる色を日本語で理解していたと思います。  Redって赤い色のことだな、と対応させて覚えようとしていたと思います。)

上のドリルを読んだ時、まず、1から4で英語で言われたことを頭の中で描きますね。
そして、その描いた絵を頭のなかで保持しますね。
1から4の情報を保持しながら5で、その上にまた新しい情報を追加します。1から5の情報を保持しながら、自分で答を考えます。  この時、心の中に描かれた情景の上にたって、鳥は浅いところにくちばしを突っ込んだのだから、浅いところを泳いでいる魚は赤い色だと考えるわけですね。

これは非常に易しい例です。  ですから、英語で言われたことを頭のなかに保持して考えるのは簡単です。  

けれども子どもたちの勉強というのは、だんだん複雑になって行きましたが、基本的にはいつもこのパターンでした。  英語で言われたことを理解して、頭に思い描き、保持する。  その情報の上にたって問題を解く。

例えばサイエンスでは、火山が噴火するまでのメカニズムを教科書を読みながら、頭にその様子を描き出して理解していくわけですね。  それをきちんと頭のなかで保持しているかどうかは、読んだことをまとめて、英語で人に説明してみるとわかります。  わかったような気になっても、本を閉じて英語で今読んだメカニズムを説明しようとすると、英語では出来ない、ということが起こってくるんですね。  正確に深く心のなかに定着させないとそれは出来ないんですね。

正確に深く定着させるためには読んだことを自分で図に書いたり、情景を思い出しながら何度も言ってみたりしながら、頭のなかに定着させていくわけですね。  この時新しく覚えた単語は日本語訳をつけながら使っていきますが、それを繰り返すうちに、その英単語がその意味を帯びてくるわけです。

私は英語を英語で理解することは初級中級の学習者には出来ない、と言いました。  (5月22日のブログ「こんなもの、いくら英語で説明されたってわかんないんだよ」http://d.hatena.ne.jp/creato-k/20130522、5月28日のブログ「2つの「英語を英語で理解する」は全然違うこと」http://d.hatena.ne.jp/creato-k/20130528)    だから、英文は日本語に訳して、正確に理解してください。  と言いました。  でも、ここで、日本語訳のまま理解を止めてしまわずに、理解したことを今自分が勉強した英語を使って、他人に説明できるまでにしておく、つまり、今勉強した英語を正確に深く頭に入れながら使っておくと、だんだん英語力は上がってきます。  日本語訳と共に使っていた新しい英単語もそういう練習をするうちにだんだんその意味を帯びて、心のなかに定着していくわけですね。  

この段階では日本語の助けを借りて、習った英文で思考しておいて結構です。  このように、勉強した英文を使って「思考しておく」と英語が心のなかに深く浸透して、英語力は上がっていきます。

続きは明日15日(月曜日)に書きます。

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英語学習に役立つ過去のブログはこちらです。http://d.hatena.ne.jp/creato-k/20110531  「続・英語発音、日本人でもここまで出来ます。」出版以降のブログは最後の方にまとめてあります。  その(8)では昔から言われてきた「英語で考える」学習法は初級者、中級者には出来ない、誤った方法であることを子どもたちの英語習得の過程を述べながら明らかにしています。




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高校入試で子供たちが親の収入によって差別されない為に以下のお知らせを書かせていただきます。

高校入試のスピーキングテストについて(大学入試のスピーキングテストについても同様です)

高校入試のスピーキングテストは本来文部科学省が学校教育で正しい発音を生徒に教えてから行うべきものです。  しかし、文部科学省が教科書にCDもつけず、正しい発音の仕方も学校で教えないまま、高校入試でスピーキングテストを実施する動きが都立高校などで始まっています。 (大学入試でもスピーキングテストが行われようとしています)  これは、スピーキングスキルの習得を塾や予備校、会話学校に丸投げするものです。  学校で教えていないスキルを入試でテストすることはあり得ません。

これでは経済的に余裕のない、塾や会話学校にいけない家庭の子供は誰にも正しい発音を教えてもらえず、練習するCD(音声モデル)も与えられないまま、高校入試でスピーキングテストをされることになり、明らかに親の収入による進路の差別が始まります。(詳しくは2018年3月8日のブログ「高校入試のスピーキングテストは子供を親の収入で差別するもの」をお読みください。)

皆さんの身近に教育関係者がいらっしゃいましたら、ぜひ「高校入試のスピーキングテストは子供を親の収入で差別するもの」であることをお伝えください。  (大学入試のスピーキングテストについても同じことです)  
15歳で親の収入のために進路を差別されるのでは子供たちがあまりにもかわいそうです。

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英語教育については、下のブログも併せてご参照ください。  日付をクリックすると移動できます。
2017年10月12日
文部科学省 新中学校学習指導要領 英語 「4技能」は全く効果がない(子供たちが通じる発音でスラスラ話せるようになる学習指導要領の見本付き)




高校英語教育を文部科学省の誤解に基づいた方針から守るため、以下のご案内を書かせていただきます。

現在文部科学省が「グローバル化に対応した英語教育改革」の目玉として掲げているCAN-DO方式は、ヨーロッパの人々にはできますが、日本語を母国語とする人にはできない方式です。

文部科学省は「CAN-DO方式が日本人には不可能な方式である」と気づいておりません。  導入されれば教育現場は大変迷惑します。  中止する必要があります。  なぜCAN-DO方式が不可能なのかはこちらのブログをお読みください。

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何度もお願いをしているのですが、アマゾンのページで私の本のランキングを下げて妨害をしている人がやめてくれないので、(詳細はこちらです)しばらく以下の文章を掲載させていただくことにしました。

「本を出版する人は、他の著者の妨害をしない。  他の著者を妨害する人は自分の本も出版できない。」
出版社におかれましては、このことを出版の際、著者に理解していただいてください。

私のランキングを妨害している人は、たぶん、現実を受け入れられないのでしょう。
アマゾンの順位を1ペ―ジ目から2ページ目に下げられ、数日でまた2ページ目から3ページ目に下げられて、私は、この方の激しい妨害に驚いています。 

「学習者に正しい発音を習得してほしい」というのが自分の目標でしたら、他人を妨害する必要はありませんね。  他人を妨害してまで、何を手に入れたいのでしょうか。  ベストセラーの著者という名声ですか。  それなら、もうアマゾンで、ご自身の本はベストセラーに認定されているのですから、それで十分でしょう。  この上何が欲しくて私を妨害するのでしょうか?  もう英語教育とは関係ないことですか。  私はとても困っています。  

私は、こちらに書いてある3つのことをするのが、目的です。  日本人が子音の日本語化を知っているか、いないかで、通じる英語で話せるか話せないかが、決まります。  ですから、このことを読者の皆さんに理解していただくのは、とても大事なことなのです。  私の仕事の妨害をしないでください。 

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クマさん、ウサギさん、ブタさん、それぞれが持っている旗に書かれたことの理由は、2017年7月30日のブログをご覧になるとわかります。