川合典子 ブログ

英語教育、英語学習、発音習得、帰国子女の言語習得について書いています。

うなるようなRの音を数多く入れて、ネイティブっぽくする必要はありません。

「ネイティブっぽい声でしゃべる」これに憧れる人は多いですね。  けれども基本の発音ができていないと、どんなに声を変えても、日本人の英語を聞いたことのない人には通じません。  また複雑なこと、聞きなれないことを話し始めると、基本の発音ができていない英語は途端に通じなくなります。  

映画のセリフとか、演説とか、すでにみんなが、なんとしゃべっているか知っている教材ばかり発音練習していると、人は「母音の区別をしなくても通じる」という錯覚に陥ります。  なるほど、すでになんと言っているか、みんながわかっているなら、母音の区別をしても、しなくても、通じますね。  長くそういう教材ばかりで練習していると勘違いを起こしてしまうのですね。発音を教えている方でもそういう勘違いをしている方がいます。 ご自分は映画のセリフで発音練習しているようですが、「細かい音の違いを気にする必要はない」とおっしゃっていました。 長く映画のセリフで練習しているので 「 hard も herd も同じ発音では英語は通じない」という当たり前のことが、わからなくなってしまったのですね。  こういう状態でいくら発音練習しても基本の発音は身に付きません。

仕事や学業で英語を使う人は、自社の製品だけが持つ特徴を説明したり、他人とは違う理論を展開したりしますから、何を言っているか、みんながすでに、わかっていることをしゃべるわけではありません。  それを正確に伝えるには正確な母音の区別が必要です。     

もう一つは、声を変えるだけで、「日本語と同じ発声のしかた」で英語をしゃべっていると、「声が弱い」ので、よく通りません。  ネイティブの中に一人で入ると、声が弱いので聞きにくくなります。  ですからぜひ、たくさんの息を使えるようになる発声練習をして、声の強さやよく通る響きも身につけてください。  「日本語と同じ発声の仕方」で喋った時の英語の声の強さは体の大きなアメリカ人男性の声の強さの5分の1くらいの強さに聞こえます。  聞き取りにくいですね。

2年前、ヨーロッパで行われた若手オペラ歌手に対するオペラの歌い方の公開レッスンの模様が、テレビで放送されたことがありました。  その時指導していたベテランのオペラ歌手が、声の響きについて解説しました。  「咽頭を押し下げると内側で声を大きく響かせられるような気がしますが、外で大きく響くわけではありません」と解説していました。  今でも私はその時のテキストを時々読むことがありますが、テキストにも同じことが書かれています。

声帯は体の中にありますから咽頭を下げると自分には響いているように聞こえますけれども、自分以外の人に、響いて聞こえているわけではないということですね。

軟口蓋を上げて、上にも響かせてください。  そうするとよく通る美しい響きが声に加わります。  2013年1月14日のブログに書きました、ゆでたまごを縦にして、口の奥に入れた形ですね。  舌の付け根を下げて、軟口蓋を上げて、口の奥を上下に縦に空間を取ります。  これが、発声練習をするとできてくる口の形です。  音は小さい空間よりも、大きい空間に入れたほうがよく響きます。  

日本語を話す時と違う空間を開けるので、日本語とは違う英語の音質に変わります。
日本語と違う空間をあけることは、今までしたことがないと思いますが、発声練習で少しずつ開けていってください。

海外旅行で使う英語でしたら、日本語の発声でもいいですが、長く仕事や学業で使っていくのでしたら、息をたくさん使える発声に変えたほうがネイティブの中に入っても同じ強さの声で話せます。  

川合メソッドで使う発声練習は、声楽の発声練習です。  声楽というのは声の美しさが全てです。  どんなに感情表現が上手でも、音程が正しくても、汚い声で歌われた歌は誰も聞きません。  声楽は声の美しさが命です。

その発声法を取り入れているので、2013年1月9日のブログhttp://d.hatena.ne.jp/creato-k/20130109 にも書いたように、川合メソッドをするとネイティブも美しいと思う英語が話せるわけです。

でも、くれぐれも、基本の発音をまずしっかり身につけてください。  発音練習の最初にこれを身につけないと、学習者はそれを矯正するのに、あとで大変苦労します。  そういう人を教えた経験がありますので、そのことを発音学習を始める人に伝えるのは私の重要な仕事の一つだと思っています。  「あとで発音矯正で苦しむ学習者を出さない」これが私の目標の一つです。



Rの音は英語っぽく聞こえるので、注意が必要ですね。  発音を教えている人でも、your のように小さく言われるRの音が頻繁に出てくる教材を生徒が唸るように舌を反らせて何回も発音していくと、他の子音や母音ができていなくても「おお、ネイティブ発音」と絶賛してしまう方もいるくらいですから、初級者は特に気をつけてくださいね。  your のような小さなRの音は文章の中でそんなに強く強調して言われるわけではありません。  それを出てくるたびに舌を反らせて、強調して発音していると、それが高ずると、「ネイティブっぽく話しているけれど、何を言っているかわからない」という発音になります。  初期の段階で、そういうことはやめたほうがいいです。 ネイティブのような音質は発声を変えることによって身につけます。  Rの音をたくさん強調することによって、表すものではありません。  your に出てくるような小さいRの音まで、舌をそらせて、繰り返し強く発音されると、聞いている人にとっては、煩わしくなります。  

基本の音の特徴は、音質の練習とは別に、それだけに集中して練習して身につけてください。  正しい基本の発音を身につけることが最も大事です。




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高校入試で子供たちが親の収入によって差別されない為に以下のお知らせを書かせていただきます。

高校入試のスピーキングテストについて(大学入試のスピーキングテストについても同様です)

高校入試のスピーキングテストは本来文部科学省が学校教育で正しい発音を生徒に教えてから行うべきものです。  しかし、文部科学省が教科書にCDもつけず、正しい発音の仕方も学校で教えないまま、高校入試でスピーキングテストを実施する動きが都立高校などで始まっています。 (大学入試でもスピーキングテストが行われようとしています)  これは、スピーキングスキルの習得を塾や予備校、会話学校に丸投げするものです。  学校で教えていないスキルを入試でテストすることはあり得ません。

これでは経済的に余裕のない、塾や会話学校にいけない家庭の子供は誰にも正しい発音を教えてもらえず、練習するCD(音声モデル)も与えられないまま、高校入試でスピーキングテストをされることになり、明らかに親の収入による進路の差別が始まります。(詳しくは2018年3月8日のブログ「高校入試のスピーキングテストは子供を親の収入で差別するもの」をお読みください。)

皆さんの身近に教育関係者がいらっしゃいましたら、ぜひ「高校入試のスピーキングテストは子供を親の収入で差別するもの」であることをお伝えください。  (大学入試のスピーキングテストについても同じことです)  
15歳で親の収入のために進路を差別されるのでは子供たちがあまりにもかわいそうです。

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英語教育については、下のブログも併せてご参照ください。  日付をクリックすると移動できます。
2017年10月12日
文部科学省 新中学校学習指導要領 英語 「4技能」は全く効果がない(子供たちが通じる発音でスラスラ話せるようになる学習指導要領の見本付き)





高校英語教育を文部科学省の誤解に基づいた方針から守るため、以下のご案内を書かせていただきます。

現在文部科学省が「グローバル化に対応した英語教育改革」の目玉として掲げているCAN-DO方式は、ヨーロッパの人々にはできますが、日本語を母国語とする人にはできない方式です。

文部科学省は「CAN-DO方式が日本人には不可能な方式である」と気づいておりません。  導入されれば教育現場は大変迷惑します。  中止する必要があります。  なぜCAN-DO方式が不可能なのかはこちらのブログをお読みください。

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何度もお願いをしているのですが、アマゾンのページで私の本のランキングを下げて妨害をしている人がやめてくれないので、(詳細はこちらです)しばらく以下の文章を掲載させていただくことにしました。

「本を出版する人は、他の著者の妨害をしない。  他の著者を妨害する人は自分の本も出版できない。」
出版社におかれましては、このことを出版の際、著者に理解していただいてください。

私のランキングを妨害している人は、たぶん、現実を受け入れられないのでしょう。
アマゾンの順位を1ペ―ジ目から2ページ目に下げられ、数日でまた2ページ目から3ページ目に下げられて、私は、この方の激しい妨害に驚いています。 

「学習者に正しい発音を習得してほしい」というのが自分の目標でしたら、他人を妨害する必要はありませんね。  他人を妨害してまで、何を手に入れたいのでしょうか。  ベストセラーの著者という名声ですか。  それなら、もうアマゾンで、ご自身の本はベストセラーに認定されているのですから、それで十分でしょう。  この上何が欲しくて私を妨害するのでしょうか?  もう英語教育とは関係ないことですか。  私はとても困っています。  

私は、こちらに書いてある3つのことをするのが、目的です。  日本人が子音の日本語化を知っているか、いないかで、通じる英語で話せるか話せないかが、決まります。  ですから、このことを読者の皆さんに理解していただくのは、とても大事なことなのです。  私の仕事の妨害をしないでください。 

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クマさん、ウサギさん、ブタさん、それぞれが持っている旗に書かれたことの理由は、2017年7月30日のブログをご覧になるとわかります。