川合典子 ブログ

英語教育、英語学習、発音習得、帰国子女の言語習得について書いています。

お手本の発音を聞くだけでなく、日本語の癖(くせ)を持った自分の発音もよく聞くこと。

昨日の続きです。

川合メソッドは「聞いた音と同じ発音でしゃべる能力」を育てるメソッドですので、まず、「自分で発音を聞いて比べて違うところを直していく能力」を育てます。

ですから

自分で聞いて、違いを認識し、
どうしたら同じ音が出るか考えて、
実際にいろいろな口の形で言ってみて
最も近い音が出る言い方を自分で、覚えていく

この活動をたくさんしたAさんの発音練習をとても高く評価します。
(私の2冊目の本を読んでくださった方は、ここでAさんが学んだのは決してI(アイ)の発音だけではないとお分かりですね。 どれほどたくさんの自分の体から出る音の情報をインプットしたか、もう十分お分かりになっていらっしゃると思います。)

能力を育てるプロセスよりも「出来上がった形」を大事にする評価基準をいつも使ってきた方々にはなかなか受け入れがたいことだと思いますが、川合メソッドではAさんの練習を非常に高く評価します。  川合メソッドが最終的に目指す「聞いた音と同じ発音で話す能力」はAさんのようなプロセスを行っているまさにその最中に出来上がります。  

自分の体をどうするとどういう音が出るか知る。
お手本の音は、体をどうしたときに出てきた音か、考えて、試して、比べて知っていく。  この二つが合体したところで、お手本の音の出し方がわかる、このプロセスを自分で行わない場合、川合メソッドが目指す「聞いた音と同じに発音する能力」はまったく育ちません。 ましてや他人に聞くことを任せてしまったら、日本語とは違う出し方をする音があると言うことも、本人は知らないことになります。

私の経験から言うと、アイ(I)の音を言われたとおりに発音したり、Lの音を言われたとおりに発音したりすることは、自分の発音とお手本の発音を比べて、違いを認識して自分で考えて直すことに比べたら、はるかに易しいことです。 (でも、そうやっていわれたことだけやっていたから、Lを日本語の言い方にすり替えて発音していることにも気付かなかったのですよね。  その結果、先生に聞いてもらった文と違う文をしゃべるとまた、Lは日本語の言い方にすり替わってしまうのですよね。) だから最初は皆さんがどう直していいのかわからない、という気持ちはわかります。

でも、私は出来るところから直していくことで構いません、と言っているのです。  自分の声はお手本の声に比べて小さい。  自分の英語はぶつぶつ切れているみたい。  自分の発音は口の上下の開け方が小さいみたい。  こういうことなら気づけると思います。  最初から子音が短いとか、口角をバウンドするようにきゅっと力を入れて使っていないとかそういうことに気づかなければならないわけではありません。  

「レベルの高いことに気づけなければ意味が無い」と思っている方がいたら、それは間違いです。  どんなに易しいことでもいいですから、まず、自分の発音とお手本の発音はOOOのところが違う、(例えば、アイのアの音が違う)と特定してください。  

その瞬間から、「自分の発音はお手本の発音となんか違う」と「漠然」といっていた時とは自分の能力はまったく違う段階に入ります。  つまり「違いを特定し認識した」わけです。  「違いを特定し認識する能力」を使う経験を一つ蓄積したわけです。  能力は使えば使うほど伸びます。  ですから、この先、次々同じことをしていけばいいのです。  

「違いを特定し認識する」という観点においては声の大きさの違いも子音の長さの違いも、どちらに気づいても「違いを特定し認識した」と言う価値は同じなのです。  これを続けると違いを認識する力が回を重ねるごとに伸びていきます。  そうすると、最初のころは気付かなかったことにも気付くようになります。  

 
「自分の中に今までなかった能力を作っていく」と言うのは毎日毎日地味な練習の積み重ねですが、非常にエキサイティングな経験です。  同じ音を聞いても今までとは体の中の反応が違ってくるのです。  続けていくと、英語を聞いたとき、「こうしたらこの音は出せるなあ」と口の形や力の入れ具合がわかってくるのです。  それは、もう皆さんの新たな能力なのです。  この練習をしていない人には、感じることのできないことなのですから。       

やろうと思ったら、誰にでも、始められることです。  小さな努力を積み重ねても、たいした効果はないと思えるかもしれませんが、小さな努力を、長期間続けた場合(つまりそこに時間の要素が入ってきたとき)、現れる結果は驚くべきものです。  毎日地道に積み上げた努力によって習得した発音に勝る発音などどこにもありません。 (これについては、今後書きたいと思っています。)

こういう学び方をしていると、2年で、ひと通りのことは正しい発音で言えるようになります。  そして、その後もこういう学習の仕方を続けていくと耳の力も考える力も考えたとおりに口を動かす力も引き続き向上しますので、3年目、4年目、5年目とかなり発音は上手になってきます。  ネイティブさえ、綺麗だと思う発音で話すことも可能です。 (2013年1月9日のブログ「ネイティブも美しいと思う英語」http://d.hatena.ne.jp/creato-k/20130109 をお読みください)

「能力を育てる」と言う勉強の仕方は「正しい発音に似せていくプロセス」を自分ですることです。  だから、「正しい発音に似せていく力」が育ちます。  すると上級になって、ネイティブが話している英語をたくさん聞くと、自分の言いたいこともネイティブと同じ言い方で聞いたとおりに言えるようになります。   この音の蓄積が耳の中にないと、同じようにはしゃべれません。 

川合メソッドで鍛えるのは聞いたとおり言える能力です。  この能力は実際に自分で音を似せていくプロセスをやりながら、向上します。  それをご理解いただける方に川合メソッドは実践していただきたいと思います。

何でも、人に任せてやってもらうと言うことは、自分の能力はどんどん後退するということです。  いろんなことを自分でやって、試して、考えて、調べて、判断して、自分の能力を伸ばしてください。  自分でやってみると、いろいろなことがわかります。  

特に「日本語を母国語とする人は通じる発音にするためにはどこを気をつけたらよいか」あまり発音の本には書かれていないことですが、実際にはどうしてもこれは知っておかなければなりません。  自分の発音をいつも、録音して聞いていると、そういうことが、自分の体でよくわかってきます。  

今まで、お手本の発音は聞いても、自分の発音を聞くことはほとんどなかったと思います。  だから、日本語を母国語とする人の癖(くせ)もわからなかったのだと思います。  

お手本と同じくらい自分の発音も比べてよく聞いてみましょう。  そうすると、日本語を母国語とする人の発音が、なぜ、聞きにくいのか、どうすれば、直せるのか、自分でわかってきます。  これは発音の教本を勉強しているだけではわからないことです。  けれども、これを聞いて知ることは通じる英語をしゃべるために絶対に必要なことなのです。  日本語を母国語としている自分の発音も今日から、お手本と比べて、よく聞いてください。  いろいろなことがわかってきますよ。

* * *


====================================


高校入試で子供たちが親の収入によって差別されない為に以下のお知らせを書かせていただきます。

高校入試のスピーキングテストについて(大学入試のスピーキングテストについても同様です)

高校入試のスピーキングテストは本来文部科学省が学校教育で正しい発音を生徒に教えてから行うべきものです。  しかし、文部科学省が教科書にCDもつけず、正しい発音の仕方も学校で教えないまま、高校入試でスピーキングテストを実施する動きが都立高校などで始まっています。 (大学入試でもスピーキングテストが行われようとしています)  これは、スピーキングスキルの習得を塾や予備校、会話学校に丸投げするものです。  学校で教えていないスキルを入試でテストすることはあり得ません。

これでは経済的に余裕のない、塾や会話学校にいけない家庭の子供は誰にも正しい発音を教えてもらえず、練習するCD(音声モデル)も与えられないまま、高校入試でスピーキングテストをされることになり、明らかに親の収入による進路の差別が始まります。(詳しくは2018年3月8日のブログ「高校入試のスピーキングテストは子供を親の収入で差別するもの」をお読みください。)

皆さんの身近に教育関係者がいらっしゃいましたら、ぜひ「高校入試のスピーキングテストは子供を親の収入で差別するもの」であることをお伝えください。  (大学入試のスピーキングテストについても同じことです)  
15歳で親の収入のために進路を差別されるのでは子供たちがあまりにもかわいそうです。

====================================

英語教育については、下のブログも併せてご参照ください。  日付をクリックすると移動できます。
2017年10月12日
文部科学省 新中学校学習指導要領 英語 「4技能」は全く効果がない(子供たちが通じる発音でスラスラ話せるようになる学習指導要領の見本付き)




高校英語教育を文部科学省の誤解に基づいた方針から守るため、以下のご案内を書かせていただきます。

現在文部科学省が「グローバル化に対応した英語教育改革」の目玉として掲げているCAN-DO方式は、ヨーロッパの人々にはできますが、日本語を母国語とする人にはできない方式です。

文部科学省は「CAN-DO方式が日本人には不可能な方式である」と気づいておりません。  導入されれば教育現場は大変迷惑します。  中止する必要があります。  なぜCAN-DO方式が不可能なのかはこちらのブログをお読みください。

* * *

何度もお願いをしているのですが、アマゾンのページで私の本のランキングを下げて妨害をしている人がやめてくれないので、(詳細はこちらです)しばらく以下の文章を掲載させていただくことにしました。

「本を出版する人は、他の著者の妨害をしない。  他の著者を妨害する人は自分の本も出版できない。」
出版社におかれましては、このことを出版の際、著者に理解していただいてください。

私のランキングを妨害している人は、たぶん、現実を受け入れられないのでしょう。
アマゾンの順位を1ペ―ジ目から2ページ目に下げられ、数日でまた2ページ目から3ページ目に下げられて、私は、この方の激しい妨害に驚いています。 

「学習者に正しい発音を習得してほしい」というのが自分の目標でしたら、他人を妨害する必要はありませんね。  他人を妨害してまで、何を手に入れたいのでしょうか。  ベストセラーの著者という名声ですか。  それなら、もうアマゾンで、ご自身の本はベストセラーに認定されているのですから、それで十分でしょう。  この上何が欲しくて私を妨害するのでしょうか?  もう英語教育とは関係ないことですか。  私はとても困っています。  

私は、こちらに書いてある3つのことをするのが、目的です。  日本人が子音の日本語化を知っているか、いないかで、通じる英語で話せるか話せないかが、決まります。  ですから、このことを読者の皆さんに理解していただくのは、とても大事なことなのです。  私の仕事の妨害をしないでください。 

* * *

* * * 


クマさん、ウサギさん、ブタさん、それぞれが持っている旗に書かれたことの理由は、2017年7月30日のブログをご覧になるとわかります。