川合典子 ブログ

英語教育、英語学習、発音習得、帰国子女の言語習得について書いています。

「今日は、この子はパンツを裏返しにはいているの。  だけど、自分一人で、はけたから尊重して、そのまま直さないで、はかせているの」

大学を卒業して、数年経った時、高校のクラスメートで大学卒業と同時に結婚した友人が、親しい友達5、6人をお昼ごはんに招いてくれました。

一生懸命、彼女が作ってくれた美味しいお料理にみんなの話が弾みました。  ご飯が終わって、お茶をいただきながら話していると、話題は彼女の3歳くらいの子供の話になりました。  

まだ誰も子育ての経験などありませんから、彼女の話はとても興味深かったです。  その時彼女が言ったんですね。  「今日は、この子はパンツを裏返しにはいているの。  だけど、自分一人で、はけたから尊重して、そのまま直さないで、はかせているの」と言って、ちょっと笑いました。

私はそれを聞いて、「なるほど」と思いました。  大人の感覚ではパンツは裏返しにはくより、表を正しくはくことが大事です。  間違っていたら、なおすのが、一番いいと普通は考えます。  でも、「自分でパンツをはく」と言う能力を身につけている時期には、「自分ではく」と言う行為ができることが一番大事で、それが出来たことを一番評価するわけです。  

自分ひとりでできたことを「よくできたね」と評価された子供は、「自分のことは自分でやる」と言う能力を喜んで伸ばそうとするのですね。  この場合「裏返しになっているからだめだ」ということをあえて取りざたして、一番身に付けるべき大事なことが出来たことを否定してはならないわけですね。

「そのことが出来るようになる能力を育てる」ということを最も大事な目標とした時、評価するポイントは通常大人がよしとすることとは、必ずしも一致しない場合があります。  大人が大事だと思うことは、この場合、それほど問題にならないわけですね。

川合メソッドを行う時もこういう評価の基準の転換が必要になります。

例えば、お手本と自分の発音を比べて直していく能力を育てようとしている時を考えてみてください。  この時鍛えるべき最も大事な能力とは、

2つの発音の違いを聞いて認識するする能力
どうしたら、同じ発音になるか考える能力
考えたとおりに発音する能力です。

Aさんは自分の発音とお手本の発音を比べたら、自分のI like music. のアイの音が、小さいし、はっきり聞こえないと思った。

だから、思いっきり大きな声で「アイlike music.」と言ってみた。
ところがそれを録音して聞いたら、お手本に比べて自分のアイの発音は随分明るく聞こえた。  お手本の音はそんなに明るい音じゃないし、少し暗くて深い感じがする。  どうしたらそういう音になるか考えていろいろな口の形でアイといってみると、どうもあごの力を抜いて、パカーンとあけた状態で、舌を前に出さないで発音するとお手本と似たアイの音が出てくるようだった。  

それで、今度はそうやってI like music.と発音して録音したら似て聞こえたので、多分英語のI(アイ)はこういう口で発音するのだろうなと思った。  でもここまでわかってくるまでに、録音したり、比べたり考えたりして一時間くらいたってしまった。  今日はI like music. の言い方が前より少し似てきたからこれで練習を終わりにした。  

こういう学び方をした時、私はAさんの学習プロセスを大変高く評価します。

その時、Bさんが来て、「I like music.」と発音したら、先生が、「アイをもっと強くといったから、強く言うようにした。  Like のLがよく聞こえないからもっと強く舌を歯茎につけてと言われたから強く舌を歯茎につけた。  発音がとても上手になった。」といったとします。

Aさんは自分はアイの発音だけで、あんなに時間がかかってしまった。  自分ではお手本に近い発音になったと思っているけど、先生に見てもらったわけではない。  BさんはLike の発音まで、直してもらっている。  自分は一時間やってアイの発音しか出来なかった。  アイの発音だって、本当にこれでいいのかどうなのか分からない。

今までの発音練習の基準から言ったら、こんなふうに思うのではないでしょうか。

これは大人が、パンツは表側にはいている時に初めてきちんとはけていると言える、と言う評価基準を持つのと同じですね。

けれども、AさんとBさんがそれぞれの練習を2年続けたあとの結果はどうでしょうか。  Aさんは聞いた発音と同じ発音で話すことができるようになります。  Bさんは、自分の発音を先生に聞いてもらって、正しいかどうかチェックしてもらいます。  自分の言いたいことを自在に正しい発音で言えるようになるにはAさんのような練習をしていくことが必要です。

13日に続きます。

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高校入試で子供たちが親の収入によって差別されない為に以下のお知らせを書かせていただきます。

高校入試のスピーキングテストについて(大学入試のスピーキングテストについても同様です)

高校入試のスピーキングテストは本来文部科学省が学校教育で正しい発音を生徒に教えてから行うべきものです。  しかし、文部科学省が教科書にCDもつけず、正しい発音の仕方も学校で教えないまま、高校入試でスピーキングテストを実施する動きが都立高校などで始まっています。 (大学入試でもスピーキングテストが行われようとしています)  これは、スピーキングスキルの習得を塾や予備校、会話学校に丸投げするものです。  学校で教えていないスキルを入試でテストすることはあり得ません。

これでは経済的に余裕のない、塾や会話学校にいけない家庭の子供は誰にも正しい発音を教えてもらえず、練習するCD(音声モデル)も与えられないまま、高校入試でスピーキングテストをされることになり、明らかに親の収入による進路の差別が始まります。(詳しくは2018年3月8日のブログ「高校入試のスピーキングテストは子供を親の収入で差別するもの」をお読みください。)

皆さんの身近に教育関係者がいらっしゃいましたら、ぜひ「高校入試のスピーキングテストは子供を親の収入で差別するもの」であることをお伝えください。  (大学入試のスピーキングテストについても同じことです)  
15歳で親の収入のために進路を差別されるのでは子供たちがあまりにもかわいそうです。

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英語教育については、下のブログも併せてご参照ください。  日付をクリックすると移動できます。
2017年10月12日
文部科学省 新中学校学習指導要領 英語 「4技能」は全く効果がない(子供たちが通じる発音でスラスラ話せるようになる学習指導要領の見本付き)





高校英語教育を文部科学省の誤解に基づいた方針から守るため、以下のご案内を書かせていただきます。

現在文部科学省が「グローバル化に対応した英語教育改革」の目玉として掲げているCAN-DO方式は、ヨーロッパの人々にはできますが、日本語を母国語とする人にはできない方式です。

文部科学省は「CAN-DO方式が日本人には不可能な方式である」と気づいておりません。  導入されれば教育現場は大変迷惑します。  中止する必要があります。  なぜCAN-DO方式が不可能なのかはこちらのブログをお読みください。

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何度もお願いをしているのですが、アマゾンのページで私の本のランキングを下げて妨害をしている人がやめてくれないので、(詳細はこちらです)しばらく以下の文章を掲載させていただくことにしました。

「本を出版する人は、他の著者の妨害をしない。  他の著者を妨害する人は自分の本も出版できない。」
出版社におかれましては、このことを出版の際、著者に理解していただいてください。

私のランキングを妨害している人は、たぶん、現実を受け入れられないのでしょう。
アマゾンの順位を1ペ―ジ目から2ページ目に下げられ、数日でまた2ページ目から3ページ目に下げられて、私は、この方の激しい妨害に驚いています。 

「学習者に正しい発音を習得してほしい」というのが自分の目標でしたら、他人を妨害する必要はありませんね。  他人を妨害してまで、何を手に入れたいのでしょうか。  ベストセラーの著者という名声ですか。  それなら、もうアマゾンで、ご自身の本はベストセラーに認定されているのですから、それで十分でしょう。  この上何が欲しくて私を妨害するのでしょうか?  もう英語教育とは関係ないことですか。  私はとても困っています。  

私は、こちらに書いてある3つのことをするのが、目的です。  日本人が子音の日本語化を知っているか、いないかで、通じる英語で話せるか話せないかが、決まります。  ですから、このことを読者の皆さんに理解していただくのは、とても大事なことなのです。  私の仕事の妨害をしないでください。 

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クマさん、ウサギさん、ブタさん、それぞれが持っている旗に書かれたことの理由は、2017年7月30日のブログをご覧になるとわかります。