川合典子 ブログ

英語教育、英語学習、発音習得、帰国子女の言語習得について書いています。

中学、高校の英語の授業は生徒が最もよく理解できる日本語で行う

6月1日、7月6日、7月7日のブログで、「英語で考える」「英語を英語で理解する」という指導法の問題点を述べました。

日本人が何十年も信じてきた「英語習得に日本語訳を使うと害がある」 − これは、なんら客観的な根拠があって言われたことではありませんでした。  7年間、日本語訳を使って英語を勉強した「英語で考える」という勉強法の提唱者がそう考えた、というだけのことです。(「英語で考える本」 松本亨 英友社 67ページ)  客観的な根拠はありません。

「7年間」と言えば、英語学習で言えば今の大学生の段階に当たります。  レベル的にはこの指導者が日本語を抜いていくちょうど良い時期だったのではないかと思います。

私はもともと、「大学生から日本語を抜いていく段階に入ります」と著書「帰国子女に見る世界に通用する英語力の作り方」の中で述べていました。  やはり大学生の段階なら無理なく日本語を抜いていけた、ということをこの指導者の例で確認しました。

日本語を抜くにも適切な時期というものがあります。  最初から抜くのは最初から(発音練習をしないで)しゃべらせるのと同様、問題を引き起こします。


実際の初級者の英語習得について言えば、「小学5年生と中学3年生の私の子供たちは日本語訳を使って、日本語で英語を教えられた時、最もよく英語を理解した」というのが事実です。  これが子供たちの実際の英語習得過程でした。  私の子供達だけでなく、30年近くESLの先生として、英語が母国語でない生徒に英語を教えてきた先生も「私が教えた日本人の子供たちは全員、最初は教科書を日本語に訳して勉強していました。」とおっしゃっていました。

バイリンガルも、最初は日本語訳を使って英語をよく理解したからこそ出来上がったのです。  今ではペラペラ英語を話している子供たちも、その出発点は日本語訳を使った、日本語での英語の意味の理解でした。  日本語訳があったからこそ彼らは英語がよく理解出来るようになったのです。 

バイリンガルの出発点も「英語を日本語に訳して理解すること」だったのです。

中学、高校の英語の授業は生徒が最もよく理解できる日本語で行うことです。  帰国子女も理解できなかった「英語で授業」などやってもこの先、高い英語力を積み上げる基礎は出来ません。  中学高校レベルでは日本語で授業を行った時、最も効果が上がります。  そうやって、わかるようになった英語を正しい発音で定着させます。

もし私が、高校の英語の授業を英語で受けていたら、私は、2013年5月19日のブログ「高校生の皆さんへ」に書いた生徒さんと同じ問題を抱えて、今でも英語理解に苦労していたと思います。  今の英語力もなかったと思います。

最初は母国語で、正確に英語を理解することが、その後の高い英語力の土台を作ります。  大学生の段階で、日本語を抜いていくことができるのも、中学、高校で、日本語で正確に英語が理解できるようになっているからこそ出来ることです。

* * *

日本で「英語を英語で理解する」という指導法を初心者に行うことの無意味さについては2015年12月5日のブログセミの抜け殻」も合わせて参考にしてください。



====================================


高校入試で子供たちが親の収入によって差別されない為に以下のお知らせを書かせていただきます。

高校入試のスピーキングテストについて(大学入試のスピーキングテストについても同様です)

高校入試のスピーキングテストは本来文部科学省が学校教育で正しい発音を生徒に教えてから行うべきものです。  しかし、文部科学省が教科書にCDもつけず、正しい発音の仕方も学校で教えないまま、高校入試でスピーキングテストを実施する動きが都立高校などで始まっています。 (大学入試でもスピーキングテストが行われようとしています)  これは、スピーキングスキルの習得を塾や予備校、会話学校に丸投げするものです。  学校で教えていないスキルを入試でテストすることはあり得ません。

これでは経済的に余裕のない、塾や会話学校にいけない家庭の子供は誰にも正しい発音を教えてもらえず、練習するCD(音声モデル)も与えられないまま、高校入試でスピーキングテストをされることになり、明らかに親の収入による進路の差別が始まります。(詳しくは2018年3月8日のブログ「高校入試のスピーキングテストは子供を親の収入で差別するもの」をお読みください。)

皆さんの身近に教育関係者がいらっしゃいましたら、ぜひ「高校入試のスピーキングテストは子供を親の収入で差別するもの」であることをお伝えください。  (大学入試のスピーキングテストについても同じことです)  
15歳で親の収入のために進路を差別されるのでは子供たちがあまりにもかわいそうです。

====================================


英語教育については、下のブログも併せてご参照ください。  日付をクリックすると移動できます。
2017年10月12日
文部科学省 新中学校学習指導要領 英語 「4技能」は全く効果がない(子供たちが通じる発音でスラスラ話せるようになる学習指導要領の見本付き)



* * *

高校英語教育を文部科学省の誤解に基づいた方針から守るため、以下のご案内を書かせていただきます。

現在文部科学省が「グローバル化に対応した英語教育改革」の目玉として掲げているCAN-DO方式は、ヨーロッパの人々にはできますが、日本語を母国語とする人にはできない方式です。

文部科学省は「CAN-DO方式が日本人には不可能な方式である」と気づいておりません。  導入されれば教育現場は大変迷惑します。  中止する必要があります。  なぜCAN-DO方式が不可能なのかはこちらのブログをお読みください。

* * *

何度もお願いをしているのですが、アマゾンのページで私の本のランキングを下げて妨害をしている人がやめてくれないので、(詳細はこちらです)しばらく以下の文章を掲載させていただくことにしました。

「本を出版する人は、他の著者の妨害をしない。  他の著者を妨害する人は自分の本も出版できない。」
出版社におかれましては、このことを出版の際、著者に理解していただいてください。

私のランキングを妨害している人は、たぶん、現実を受け入れられないのでしょう。
アマゾンの順位を1ペ―ジ目から2ページ目に下げられ、数日でまた2ページ目から3ページ目に下げられて、私は、この方の激しい妨害に驚いています。 

「学習者に正しい発音を習得してほしい」というのが自分の目標でしたら、他人を妨害する必要はありませんね。  他人を妨害してまで、何を手に入れたいのでしょうか。  ベストセラーの著者という名声ですか。  それなら、もうアマゾンで、ご自身の本はベストセラーに認定されているのですから、それで十分でしょう。  この上何が欲しくて私を妨害するのでしょうか?  もう英語教育とは関係ないことですか。  

私は、こちらに書いてある3つのことをするのが、目的です。  日本人が子音の日本語化を知っているか、いないかで、通じる英語で話せるか話せないかが、決まります。  ですから、このことを読者の皆さんに理解していただくのは、とても大事なことなのです。  私の仕事の妨害をしないでください。 

* * *

* * * 


クマさん、ウサギさん、ブタさん、それぞれが持っている旗に書かれたことの理由は、2017年7月30日のブログをご覧になるとわかります。