川合典子 ブログ

英語教育、英語学習、発音習得、帰国子女の言語習得について書いています。

川合メソッド2 第一部 終了

6月5日から今日まで皆さんにやっていただきました川合メソッド2、第一部「子音の日本語化を聞き取り、日本語化しない子音で話す練習」は、本日をもって、終了いたします。  4か月間一緒に勉強していただきまして、ありがとうございました。  

日本語は英語と同じグループに分類される言語ではありませんので、私たちが英語の発音を身に付ける際には、日本語とは全く異なる音の特徴を聞いて、身に付けていく必要があります。

子音の日本語化もその一つです。  そしてこれは、自分の耳で聞かなければ理解できない音の違いです。

そういう観点から言うと、もはや「日本人に音は聞ける、聞けない」と議論している場合ではなく、通じる発音で話すためにはこの子音の違いを自分の耳で聞かなければならない、ということです。

そのために私が皆さんにお願いしたいことは3つあります。

一つ目は、発音練習の最初から「自分で音を聞くのだ」という基本姿勢を確立してください。  

たとえ、基本の発音は先生に習うにしても、発音は自分の耳で聞いて習得するという基本的な姿勢を確立してください。  そうでないと、日本語の子音と英語の子音の違いを聞き取れるまで、耳の力を上げていくことができません。  聞くことを他人に任せた途端、耳の力は後退します。  

(注: 基本の発音は一人でも十分習得できます。  むしろ他人に頼らないで、習得していく方が鋭い耳の力を育てられます。  先生に言われた通り発音するより少し時間がかかりますが、その代わり、鋭い耳の力が身に着くので、レッスン終了後も自分でどこまでもネイティブに近い発音にして行くことができます。 2016年9月14日のブログに登場した生徒さんの例をご覧ください。  文中のWの発音の長さも聞き分けて自分で直しています)

二つ目は、発音練習は英語の音だけに集中して、行ってください。  

子音の日本語化はとても小さな音の違いですので、集中しないと聞けるようになりません。  単語の発音練習では、発音記号を見ても結構ですが、単語の発音練習が終わって文章の発音練習になったときは、音以外に注意を散らすものは一切除いて、文章の発音のみに集中して聞いてください。

英文を見ながら発音練習をするのは結構ですが、発音記号を見ながら文章の発音練習はしないでください。  これは非常に重要なことです。  それをすると、実際の英語の音ではなく自分が「こうだと思い込んでいる音」で発音するようになります。  こういう練習をしていると日本語化した子音で話すようになります。  

教材は音楽と一緒に英語を聞くような教材は使わないでください。  お手本の発音がよく聞けないまま発音練習しても、結局、実際の発音ではなく「自分がこうだと思いこんでいる発音」で話すことになります。  これでは子音の日本語化は聞けるようになりませんので、静かに音の聞ける教材で、練習してください。

チャンツ文部科学省ご推薦の小学校英語の副教材だそうですが、「静かにお手本の発音が聞けない」という点で、私は発音練習にはお勧めしません。

三つ目は小さな音の違いを「重要ではない」と切り捨てないでください。

先日、初級者用のCDを聞いていたら「Lesson」が「ウーレッスン」と聞こえました。  「レッスン」の前に聞こえた「ウー」という音は舌先が歯茎についている間に発音された「L」の音です。  こういう時、「レッスン」の前に聞こえた「ウー」の音を「必要ない音」として切り捨てないでください。

なぜ私たちがこの「ウー」の音を「必要ない」と思うかと言えば、日本語にはそのような長さを持った子音がないからです。  日本語の基準から言ったら、この「ウー」の音はいらない音です。  けれども、「日本語ではいらない音」でも、英語では必要な音なのです。

この「ウー」という音を無視してしまうのは「言語の音はすべて日本語の音の中にある」という思い込みがあるからです。  

外国語の発音の中には「日本語にはない音」があるのです。  ですから、小さな音の違いでも、聞き取ったら、その通り、発音してください。  


私の2015年11月8日のブログに、英語の子音と日本語化した子音の比較が音声で載っています。  たぶん、最初にこの比較をお聞きになったとき、多くの方が、「こんな音の違い、どっちだっていいじゃないか」と思われたのではないでしょうか?  皆さんがどっちでも理解できるのは、短い日本語の子音に慣れているからです。  どちらでも、よくわかるからです。

けれども、日本語の子音を聞き慣れていない人は、文章の子音が全部日本語の子音のように短かったら、とても理解するのが大変なのです。

ですから、ちょっとした音の違いでも、重要ではないと無視しないで、聞こえた通りに発音してください。

「小さい音の違いは重要ではない」と無視していると、「なぜ日本人の発音が通じないのか」その理由に気づくことができません。  どんな小さな音の違いも注意深く聞いていると、「ネイティブの発音にあって、日本人の発音にないもの」それが聞こえるようになってきます。  小さな音の違いもしっかり聞いてください。

以上3点に注意して、発音練習を行ってください。 

たとえ先生に発音を習っても、最後は、習ったことも含めて、自分の発音は自分で聞き取って習得していく、という姿勢を確立してください。

中学生のお子さんの場合は、そんなに大ごとにしないで、「基本の発音を学んだら、自分で聞いて、真似していくんだよ」と言えばいいでしょう。  子供は「それが当たり前なんだ、と思えば、当たり前にやって行きます。(2015年4月17日のブログを参照してください)

また、アメリカにいる子供たちがやっている方法をそのまま日本に持ち込んでも、アメリカにいる子供達と同じ発音にはなりません。

私の友人の子供たちも、アメリカでフォニックスをやっていました。  友人は、子供たちが英語が読めるようになるために、フォニックスを習わせたようです。  つづり字と音の関係を学ばせる為です。  アメリカにいる子供は朝から晩まで、大量の英語発音を聞いています。  彼らがネイティブ発音になるのはこの大量のインプットの結果です。  フォニックスの勉強の結果ではありません。  大量の英語を聞いているから、彼らはネイティブ発音になるのです。

発音はたくさん聞いて、耳の中にその音の蓄積ができることによって、同じ発音でしゃべれるようになります。  自分で音を聞かないでネイティブ発音になることはありません。 

日本人の場合、「アメリカでやっていることをそのまま日本に持ち込んでやれば成功する」と考えるのは、文部科学省の「英語で授業」の方針と同じく、英語圏にいる子供が毎日大量の英語を聞いていることを忘れています。 

私たちが発音練習をするとき、発音記号ごとの音一つだけを練習している分には問題は表面化しません。  表面化してくるのは文章の発音になったときです。  ですから「文章の発音を聞いた通り言えるようになること」ここに重点を置いて発音練習することが重要です。

聞くことを他人に任せてしまうと、聞く能力は後退していきます。  常に自分の耳を使って聞こうとするから聞く能力も上がって行くのです。

日本語は英語とは異質な音の体系を持つ言語ですので、よくきいて、耳の能力を常にあげていくよう努力してください。 

川合メソッド2の練習を4か月一緒にしてくださった皆さんには、「日本語と英語の子音の違いは自分で聞かなければ直せない」ということが実感としてお分かりになったと思います。

皆さんは日本人が70年聞くことが出来なかった音を聞き取れるようになり、発音できるようになりました。  これは日本の英語教育において、歴史的な変化だと思います。  今まで日本語の子音で代用して英語を話してきた日本人、その英語がわかりづらいと言われてきた日本人の発音が変わって行く、歴史的変化の始まりだと思います。  それをリードして行かれるのが、今日まで練習をして下さった皆さんです。

私が6年間、子音のことを言っても日本人の発音の大きな変化にはなりませんでした。  けれども、たくさんの皆さんが日本語化しない子音で話すことによって、日本人の英語が通じやすいように変わって行きます。  皆さんはこれから発音の分野でリーダー的存在になって行かれます。  「発音の先生」でも子音の日本語化はお分かりにならない方がたくさんいらっしゃいます。 DVDで日本語化した子音でお手本の発音をしている発音の先生もいらっしゃるくらいですから、皆さんの存在は、貴重だと思います。

日本人が70年聞けなかった音を皆さんはたった4か月で聞き取れるようになりました。  しかも私は直接、発音指導はしていません。  皆さん自身で聞き取って子音の違いを理解できるようになられたのです。

聞こうとすれば自分で音は聞けるのです。  どうぞこれからも、文章の発音を自分の耳で聞いて、聞いた通り発音する練習を続けてください。


*今日初めて川合典子のブログを読んでくださった方へ*

英語の子音には長さがあります。(日本人が70年聞き取れなかった長さです)  「L」の長さは2016年9月1日のブログを読むとマライア・キャリーさんが発音しているLの長さが聞き取れます。

Sの発音は2012年2月21日のブログを読んでいただくとメリル・ストリープさんが発音するSの長さが聞き取れます。

発音練習は演説でなく普通の会話文で行います。  ナチュラルスピードで日本語化しない子音で話す練習は演説ではできません。  日本人が昔から好んでやってきた練習ばかりしていると、日本人の英語を長い間、通じなくさせてきた問題点を克服することができません。

練習を第一部のみで終了される方はあと4か月くらい下の簡単な練習を継続してください。 新しい発音の仕方が定着するには8か月くらいかかります。  一日1種類の練習で結構です。  せっかくつけた舌の力、唇の力を定着させないと、もったいないですから。

=日本人が70年聞けなかった子音の長さを聞き取る練習=

月曜日  長いLの練習(2)  3回
火曜日  長いNの練習(2)  3回
水曜日  長いWの練習(2)  3回
木曜日  長いFの練習(2)  3回
金曜日  長いMの練習(2)  3回
土曜日  長いRの練習(2)  3回
日曜日 (A)Where are you? の練習5回
(B)簡略腹式呼吸の練習(5秒x5回)
(A)(B)を一週間交代で行ってください。  簡略腹式呼吸は5秒x5回で行ってください。(4秒から5秒に増えています)

Where are you? の練習と簡略腹式呼吸の練習は隔週で大丈夫ですか、という質問があると思います。  週日の練習で唇の力とおなかの力を意識して使ってください。  Wの練習の時は、意識して唇の力を使ってください。  Fの練習の時は息をたくさん吸っておなかの力を使って発音してください。  土曜日のRの練習は特に丁寧に行ってください。

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6月5日より今日まで、4か月間にわたり、一緒に練習していただきまして、ありがとうございました。

明日は、川合メソッド2 第二部 「英語の音質で話す練習」についてお話しいたします。


なお、川合メソッド2の練習を営利目的で使用するのはご遠慮ください。

皆様にそのようなお願いをする理由は、こちらでご覧いただけます。

学習者どうしの情報交換は歓迎します。  どんどん行ってください。



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高校入試で子供たちが親の収入によって差別されない為に以下のお知らせを書かせていただきます。

高校入試のスピーキングテストについて(大学入試のスピーキングテストについても同様です)

高校入試のスピーキングテストは本来文部科学省が学校教育で正しい発音を生徒に教えてから行うべきものです。  しかし、文部科学省が教科書にCDもつけず、正しい発音の仕方も学校で教えないまま、高校入試でスピーキングテストを実施する動きが都立高校などで始まっています。 (大学入試でもスピーキングテストが行われようとしています)  これは、スピーキングスキルの習得を塾や予備校、会話学校に丸投げするものです。  学校で教えていないスキルを入試でテストすることはあり得ません。

これでは経済的に余裕のない、塾や会話学校にいけない家庭の子供は誰にも正しい発音を教えてもらえず、練習するCD(音声モデル)も与えられないまま、高校入試でスピーキングテストをされることになり、明らかに親の収入による進路の差別が始まります。(詳しくは2018年3月8日のブログ「高校入試のスピーキングテストは子供を親の収入で差別するもの」をお読みください。)

皆さんの身近に教育関係者がいらっしゃいましたら、ぜひ「高校入試のスピーキングテストは子供を親の収入で差別するもの」であることをお伝えください。  (大学入試のスピーキングテストについても同じことです)  
15歳で親の収入のために進路を差別されるのでは子供たちがあまりにもかわいそうです。

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英語教育については、下のブログも併せてご参照ください。  日付をクリックすると移動できます。
2017年10月12日
文部科学省 新中学校学習指導要領 英語 「4技能」は全く効果がない(子供たちが通じる発音でスラスラ話せるようになる学習指導要領の見本付き)




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「中学、高校の英語の授業を英語で行う」という誤った学校教育(英語教育)の方針から子供達を守る為、当分の間、下記の文を掲載させていただきます。

「中学、高校の英語の授業を英語で行う」という方針のもとになった「英語で考える」という指導法は、提唱者自身も実際に行っていない指導法です。  「英語で考える本」(松本亨著 英友社)67ページに、提唱者自身も学習開始から7年目までは「日本語訳を使って」英語を学習したと書いています。


文部科学省は「英語で考える」などという「詐欺のような指導法」(このようなきつい言葉を使う理由はこちらのブログの最後をご覧ください)を学校教育に持ち込むのはやめてください。  

英語を学ぶ際に、日本語訳を使っても害はありません。
どんなに偉い先生が提唱しても嘘(うそ)は嘘です。 
今、その嘘を本気にした人たちが高校に持ち込んだ「英語で授業」のために多くの高校生が犠牲になっています。 


川合典子が見た英語習得の真実は次の通りです。
バイリンガルの基礎も日本語訳で出来あがった。
最初に日本語で英語の意味、文の構造を説明されたからこそ英語が理解できた」

明らかに事実に反しているのですから「英語で考える」などという詐欺のような指導法を提唱するのはやめてください。  

生徒に対して無責任です。

(中学、高校の正しい英語教育はこちらです)

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高校英語教育を文部科学省の誤解に基づいた方針から守るため、以下のご案内を書かせていただきます。

現在文部科学省が「グローバル化に対応した英語教育改革」の目玉として掲げているCAN-DO方式は、ヨーロッパの人々にはできますが、日本語を母国語とする人にはできない方式です。

文部科学省は「CAN-DO方式が日本人には不可能な方式である」と気づいておりません。  導入されれば教育現場は大変迷惑します。  中止する必要があります。  なぜCAN-DO方式が不可能なのかはこちらのブログをお読みください。

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何度もお願いをしているのですが、アマゾンのページで私の本のランキングを下げて妨害をしている人がやめてくれないので、(詳細はこちらです)しばらく以下の文章を掲載させていただくことにしました。

「本を出版する人は、他の著者の妨害をしない。  他の著者を妨害する人は自分の本も出版できない。」
出版社におかれましては、このことを出版の際、著者に理解していただいてください。

私のランキングを妨害している人は、たぶん、現実を受け入れられないのでしょう。
アマゾンの順位を1ペ―ジ目から2ページ目に下げられ、数日でまた2ページ目から3ページ目に下げられて、私は、この方の激しい妨害に驚いています。 

「学習者に正しい発音を習得してほしい」というのが自分の目標でしたら、他人を妨害する必要はありませんね。  他人を妨害してまで、何を手に入れたいのでしょうか。  ベストセラーの著者という名声ですか。  それなら、もうアマゾンで、ご自身の本はベストセラーに認定されているのですから、それで十分でしょう。  この上何が欲しくて私を妨害するのでしょうか?  もう英語教育とは関係ないことですか。  

私は、こちらに書いてある3つのことをするのが、目的です。  日本人が子音の日本語化を知っているか、いないかで、通じる英語で話せるか話せないかが、決まります。  ですから、このことを読者の皆さんに理解していただくのは、とても大事なことなのです。  私の仕事の妨害をしないでください。 

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クマさん、ウサギさん、ブタさん、それぞれが持っている旗に書かれたことの理由は、2017年7月30日のブログをご覧になるとわかります。