川合典子 ブログ

英語教育、英語学習、発音習得、帰国子女の言語習得について書いています。

3ヶ月でぺらぺら

ある英語の勉強会の帰り、通訳の方と帰る電車が一緒になりました。「帰国子女ですか?」と聞かれたので、「違います。」と答えました。そうしたら、どのように発音を勉強したのか聞かれました。

私は、自分が中学時代にやっていた勉強の仕方を説明しました。そして最後に、「練習を始めたころは、そんなに発音が上手になりませんでしたが、“この方法でいいのだろうか?”とか、“いつになったら、上手になるのだろうか?”とか心配することはちっともありませんでした。中学生で物を知りませんでしたから、このように練習すれば、お手本と同じ発音になると何も疑わず、勉強していました。」

と彼女に話しました。すると彼女が「それって、強いことですよね。何も心配しないで勉強を続けていけるって。」といいました。

乗り換えの駅について、そこで彼女とは別れましたが、彼女が言ったことは妙に私の心の中に残りました。勉強をするとき、これで本当にできるようになるのだろうか?と不安を持っていたら、おそらくその勉強を続けるのは難しいだろうと思いました。

それもあって、私は、DVDの中では全部自分が英語をしゃべりました。「こういう練習をすると、こういう発音になります。」とちゃんと学習する人に示すことが、英語学習の不安を少しでも取り除くことになるだろうと思ったからでした。著者が出来ないことは読者も出来るようにはなりませんね。

私は20代のころからカール・ヒルティの「幸福論」が好きで、今もずっと、そばにおいて、時々読みます。(この本に出合ったきっかけは、新聞で「若い人に勧める本」という特集があり、そこで紹介されていたからでした。) その本の中に面白いことが書いてありました。「人は信じることができる根拠があるから信じるのではなく、信じたいから信じるのだ。自分の信じたいことだったら、なんの根拠がなくても簡単に信じるのが人間だ。」と書いてありました。

これはとても面白いと思いました。「3ヶ月でぺらぺら」というような宣伝をよく見ます。「聞き流すだけである日突然、英語が口から飛び出す。」というようなことも聞きます。英語の口の形を訓練することもなく、どうしてある日突然英語がしゃべれるのかわかりませんが、こういう宣伝文句はたくさんあります。

アメリカにいたころ、近くのスーパーマーケットの肉売り場で私の前に並んでいた人のカートに乗せられた赤ちゃんが、一生懸命私に何か言っていました。お母さんはお肉の注文を言っているところでした。

私には赤ちゃんが何を言っているのかよくわからなかったのですが、一生懸命私に何かを言おうとしていることはわかりましたので、(そういう時は真剣に聞いてあげると、子供は言葉を話すようになると、母から言われていましたので、)赤ちゃんの顔を見て、うなづいていました。

戻ってきたお母さんが、私に、「この子はフラワー(お母さんが、お花のブローチをつけていました。)といいたいのだけれど、フロー、フローとしかまだ言えないのです。」と言って笑っていました。それで、口から息を噴出すようにしゃべっていたのですね。(Fの発音)

この赤ちゃんは一生懸命、「flower, flower」と私に言っていたのです。ネイティブの子供でも、こうやって、何回も何回も自分の口で言って練習するのに、どうして日本人の私たちが、聞くだけである日突然英語が口から飛び出すのか私にはよくわかりません。

お箸を持つのだって子供はあんなに練習してできるようになるのに、今までした事もない上の前歯と下の唇で摩擦して音を出すようなことが、一回も練習しないで音を聞くだけで突然出来るようになると、なぜ、信じることができるのだろうととても不思議に思うことがあります。ちょっと冷静になったら、おかしいとすぐわかりますね。

娘は、渡米して半年して、初めてお友達のうちに呼ばれて、遊んでかえってきました。かえってきてから、お友達と遊んだときのことを夢見るように思い出しながら、半日くらい、ずっとThat’s not bad. と言っていました。(多分、お友達がそのとき、そういう言い方をしたのでしょう。)本当にあきもせず、何回も何回も言っていました。

こうやって、だんだん発音を習得していくのです。

でも、ああいう広告を見ると、人は信じたいものを信じるのだなあと思います。3ヶ月でぺらぺらになることを信じたいのですね。聞き流すだけである日突然英語がしゃべれるようになると信じたいのですね。そして信じていればいつかそれが、現実になるとまたまた信じたいのですね。

けれども、事実でないことはどんなに長い間信じても、事実にはなりません。そういう方法を探しまくった後に人は現実を知ることになります。

期待を持って、「3ヶ月でぺらぺらになる方法」を探している間は、わくわくして楽しかったかもしれないです。が、何もしないで、時だけが無駄に過ぎただけです。その間、少しずつでも、学習していれば、少しは英語も上手になったかもしれないのに。

私は、子供たちが英語を身につけていく過程をずっと横で見ていました。8時に学校へ行き3時にかえり、夕食もそこそこに夜遅くまで宿題をやり、それで、一年たっても、「お母さん、私、本当に英語わかるようになるのかな。。。」と心配そうに一日に何度も聞いてきた娘を思い出します。

「3ヶ月でぺらぺら」、「聞くだけである日突然英語が口から飛び出す。」と言うような教材を追いかける人を見ると、私は、「英語学習の袋小路」に入ってしまった。と思います。袋小路と言うのは行き止まりです。それより先には進めません。

そういう勉強を次から次へと試していく人は、海外旅行で、「トイレはどこですか?」「これはいくらですか?」と聞く程度の英語から、上のレベルにはいけなくなります。ずっとそのレベルで、同じところをぐるぐる回ることになります。

詳しく説明するとまた長くなりますが、端的に言えば、新たな言語が高度に使えるようになる(頭で処理する時間が速くなり、より複雑な文章が、言えるようになる。)ためには、ある程度、脳に負荷がかかる練習が必要になります。(頭の中に新しい回路を作らなければなりませんので。)聞き流すだけでは、このレベルに英語を持っていくことができません。

英語学習の袋小路に入ってしまわないよう、気をつけてください。 
頭は海外旅行の英語止まりになります。

発音は、聞き流すだけでは、まったく習得できません。一度も口を動かさないのですから、当然ですね。

私は赤ん坊も帰国子女も育てましたけれど、どちらも聞き流すだけである日突然、正しい発音で英語(日本語)が口から飛び出しませんでした。

赤ん坊も、帰国子女も何回も口を動かして練習していました。

聞き流すだけで正しい発音でしゃべれるようになる方法は世界中どこにも存在しません。赤ん坊と帰国子女の言語習得をそばでずっと見てきた母親が言うのですから、間違いありません。

発音は若ければ若いほど、早く楽に習得できます。「聞き流すだけでぺらぺら」「3ヶ月でぺらぺら」と言うような実際には存在しない方法を探して、若い時の貴重な時間を無駄にしないで下さい。

口を動かす練習を一回もしないで、ある日突然正しい発音で英語が口から飛び出すなど、絶対にありえないことです。少し冷静になって考えれば誰でもおかしいとわかることです。「そうだったらいいのに。」と言う願望と、実際の事実を区別できる冷静さを取り戻してください。現実は厳しいから見たくないかもしれませんが、思っているほど、厳しくはないです。

まじめに勉強すれば8ヶ月でナチュラルスピードより少し遅い速度ですが、正しい発音で英文を言えるようになります。 発音の基礎は一度身につければ、2度と学びなおす必要はありません。あとはナチュラルスピードでしゃべれるように、徐々にしゃべるスピードを上げていきます。練習を始めてから2年くらいたつと、中学校で習う英文を正しい発音でナチュラルスピードでしゃべれるようになります。




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高校入試で子供たちが親の収入によって差別されない為に以下のお知らせを書かせていただきます。

高校入試のスピーキングテストについて(大学入試のスピーキングテストについても同様です)

高校入試のスピーキングテストは本来文部科学省が学校教育で正しい発音を生徒に教えてから行うべきものです。  しかし、文部科学省が教科書にCDもつけず、正しい発音の仕方も学校で教えないまま、高校入試でスピーキングテストを実施する動きが都立高校などで始まっています。 (大学入試でもスピーキングテストが行われようとしています)  これは、スピーキングスキルの習得を塾や予備校、会話学校に丸投げするものです。  学校で教えていないスキルを入試でテストすることはあり得ません。

これでは経済的に余裕のない、塾や会話学校にいけない家庭の子供は誰にも正しい発音を教えてもらえず、練習するCD(音声モデル)も与えられないまま、高校入試でスピーキングテストをされることになり、明らかに親の収入による進路の差別が始まります。(詳しくは2018年3月8日のブログ「高校入試のスピーキングテストは子供を親の収入で差別するもの」をお読みください。)

皆さんの身近に教育関係者がいらっしゃいましたら、ぜひ「高校入試のスピーキングテストは子供を親の収入で差別するもの」であることをお伝えください。  (大学入試のスピーキングテストについても同じことです)  
15歳で親の収入のために進路を差別されるのでは子供たちがあまりにもかわいそうです。

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英語教育については、下のブログも併せてご参照ください。  日付をクリックすると移動できます。
2017年10月12日
文部科学省 新中学校学習指導要領 英語 「4技能」は全く効果がない(子供たちが通じる発音でスラスラ話せるようになる学習指導要領の見本付き)






高校英語教育を文部科学省の誤解に基づいた方針から守るため、以下のご案内を書かせていただきます。

現在文部科学省が「グローバル化に対応した英語教育改革」の目玉として掲げているCAN-DO方式は、ヨーロッパの人々にはできますが、日本語を母国語とする人にはできない方式です。

文部科学省は「CAN-DO方式が日本人には不可能な方式である」と気づいておりません。  導入されれば教育現場は大変迷惑します。  中止する必要があります。  なぜCAN-DO方式が不可能なのかはこちらのブログをお読みください。

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何度もお願いをしているのですが、アマゾンのページで私の本のランキングを下げて妨害をしている人がやめてくれないので、(詳細はこちらです)しばらく以下の文章を掲載させていただくことにしました。

「本を出版する人は、他の著者の妨害をしない。  他の著者を妨害する人は自分の本も出版できない。」
出版社におかれましては、このことを出版の際、著者に理解していただいてください。

私のランキングを妨害している人は、たぶん、現実を受け入れられないのでしょう。
アマゾンの順位を1ペ―ジ目から2ページ目に下げられ、数日でまた2ページ目から3ページ目に下げられて、私は、この方の激しい妨害に驚いています。 

「学習者に正しい発音を習得してほしい」というのが自分の目標でしたら、他人を妨害する必要はありませんね。  他人を妨害してまで、何を手に入れたいのでしょうか。  ベストセラーの著者という名声ですか。  それなら、もうアマゾンで、ご自身の本はベストセラーに認定されているのですから、それで十分でしょう。  この上何が欲しくて私を妨害するのでしょうか?  もう英語教育とは関係ないことですか。 私は、とても困っています。  

私は、こちらに書いてある3つのことをするのが、目的です。  日本人が子音の日本語化を知っているか、いないかで、通じる英語で話せるか話せないかが、決まります。  ですから、このことを読者の皆さんに理解していただくのは、とても大事なことなのです。  私の仕事の妨害をしないでください。 

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クマさん、ウサギさん、ブタさん、それぞれが持っている旗に書かれたことの理由は、2017年7月30日のブログをご覧になるとわかります。