川合典子 ブログ

英語教育、英語学習、発音習得、帰国子女の言語習得について書いています。

それぞれの母国語に適した口の形

弱く発音される末尾のRは、なんとなく英語っぽく聞こえるので、しゃべりながら、無意識に舌に力を入れてこの音を出してしまう方がいますが、そうすると、英語が通じにくくなりますので、気をつけてください。 入れるつもりでなくても、日常、口をあまりあけて発音していない私たちは、ちょっと舌に力を入れたりするだけで、この音が出てしまう場合もありますので、気をつけてください。

アメリカ人は前から見るとあまり口を開けていないように見えるときもありますが、彼らは、口の前のほうを開けていなくても、口の奥の方は日本人より、空間が開いています。 そうでなければあの音質は出ません。(私はシカゴの病院の受付でそのことを知りました。)またそういう空間でしゃべっていると単語のはじめのRなども言いやすいです。

それぞれの国の人がそれぞれの母国語を言いやすい口の形でしゃべっています。 日本語だけ話していると、無意識に、世界中の人がみんな日本語と同じ口の形で話しているような錯覚を持つことがありますが、むしろ口の前も奥もあまり開けない日本語の口の形は、世界の言語の中では少数派かもしれないと、私は思います。

私の声楽の先生は萩原先生です。 先生は英語も堪能ですが、フランス語とイタリア語も演奏家が来日すると通訳のお仕事を依頼されるくらい堪能です。ヨーロッパでの活動も長かったからですね。ドイツ語のオペラもありますから(ザルツブルグで学んでいらしたこともあります)ドイツ語の発音もお出来になります。(でも、私が、シューベルト「魔王」を歌いたいといったら、ドイツ語はなかなか母音にたどり着けないから難しい、とおっしゃっていました。)その先生が、レッスンでオペラの言葉の歌い方を指導されたときこんなお話をしてくれました。

「日本人はとてもおとなしい言葉の話し方をしますが、ヨーロッパやアメリカの人は声も強く口も良く動かしてしゃべります。 多分、ヨーロッパの人たちは言葉が出来てくる過程の中で、いろいろな民族の争いや征服を経験してきたのだと思います。それこそ必死で言葉で伝えなければ、自分の首がはねられてしまう、というような歴史を経験しながら言葉が出来あがってきたのでしょうね。 しゃべり方から一生懸命伝えようとしてしゃべっている、というのを感じます。 しゃべり方の根底にそういう気持ちの強さのようなものを感じます。」とおっしゃったことがありました。

ですから、口の前も奥もあまり開けない日本語のしゃべり方が、どの国の人にも共通の口の形だと思っていると、音を似せていくとき、見逃してしまうことがたくさんあります。

英語は、口の前の方があいていなくても奥はちゃんと開いています。

口の奥だけを開ける練習は日本人がやっても、難しくてあまり効果がありません。 あご全体の力を抜いて、口の前も奥も同時に開ける練習をした方が口の空間が変わります。 生徒さんはたいてい30分位Lonely tiger の練習をやるとあとは自分で練習できるようになります。 

生徒さんはLonely tigerの練習をしたときの深い声の質をよく聞いているので、自分のあごや舌が上がってきた時に、自分で「音質が違う」とすぐわかるようでした。 この「自分で聞いて分かる」と言う状態はとても進歩を早くします。 音質が違ったとき、その場で自分で直せるからです。 Lonely tiger の練習は口の中の上下の間隔を開けて行くのに非常に有効な練習方法です。 

この練習は私が1990年代の前半、シカゴから帰国したときに、シカゴの病院の受付で変わって行った口の形を固定するために毎日やっていた練習方法です。



「あまり口を開けない日本語のしゃべり方は世界の中では少数派かも知れない」このことを、頭の片隅に入れておくと音を似せていく練習をしているとき、自由な発想が浮かぶようになります。 今しゃべっている日本語の口の形に縛られることがなくなりますので、今まで考え付かなかったようなアイデアが湧いてくるようになります。 そうするとちょっと練習に自分だけの独創的な発想を加えられるので、楽しい部分も出てきます。

その時、頭の中で考えるのもいいですが、じっと音を聞いて、「この音はこうすると出てくるのではないか」と体が感じたことを重点的に追求していくようにすると良い結果につながることが多いです。




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高校入試で子供たちが親の収入によって差別されない為に以下のお知らせを書かせていただきます。

高校入試のスピーキングテストについて(大学入試のスピーキングテストについても同様です)

高校入試のスピーキングテストは本来文部科学省が学校教育で正しい発音を生徒に教えてから行うべきものです。  しかし、文部科学省が教科書にCDもつけず、正しい発音の仕方も学校で教えないまま、高校入試でスピーキングテストを実施する動きが都立高校などで始まっています。 (大学入試でもスピーキングテストが行われようとしています)  これは、スピーキングスキルの習得を塾や予備校、会話学校に丸投げするものです。  学校で教えていないスキルを入試でテストすることはあり得ません。

これでは経済的に余裕のない、塾や会話学校にいけない家庭の子供は誰にも正しい発音を教えてもらえず、練習するCD(音声モデル)も与えられないまま、高校入試でスピーキングテストをされることになり、明らかに親の収入による進路の差別が始まります。(詳しくは2018年3月8日のブログ「高校入試のスピーキングテストは子供を親の収入で差別するもの」をお読みください。)

皆さんの身近に教育関係者がいらっしゃいましたら、ぜひ「高校入試のスピーキングテストは子供を親の収入で差別するもの」であることをお伝えください。  (大学入試のスピーキングテストについても同じことです)  
15歳で親の収入のために進路を差別されるのでは子供たちがあまりにもかわいそうです。

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英語教育については、下のブログも併せてご参照ください。  日付をクリックすると移動できます。
2017年10月12日
文部科学省 新中学校学習指導要領 英語 「4技能」は全く効果がない(子供たちが通じる発音でスラスラ話せるようになる学習指導要領の見本付き)




高校英語教育を文部科学省の誤解に基づいた方針から守るため、以下のご案内を書かせていただきます。

現在文部科学省が「グローバル化に対応した英語教育改革」の目玉として掲げているCAN-DO方式は、ヨーロッパの人々にはできますが、日本語を母国語とする人にはできない方式です。

文部科学省は「CAN-DO方式が日本人には不可能な方式である」と気づいておりません。  導入されれば教育現場は大変迷惑します。  中止する必要があります。  なぜCAN-DO方式が不可能なのかはこちらのブログをお読みください。

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何度もお願いをしているのですが、アマゾンのページで私の本のランキングを下げて妨害をしている人がやめてくれないので、(詳細はこちらです)しばらく以下の文章を掲載させていただくことにしました。

「本を出版する人は、他の著者の妨害をしない。  他の著者を妨害する人は自分の本も出版できない。」
出版社におかれましては、このことを出版の際、著者に理解していただいてください。

私のランキングを妨害している人は、たぶん、現実を受け入れられないのでしょう。
アマゾンの順位を1ペ―ジ目から2ページ目に下げられ、数日でまた2ページ目から3ページ目に下げられて、私は、この方の激しい妨害に驚いています。 

「学習者に正しい発音を習得してほしい」というのが自分の目標でしたら、他人を妨害する必要はありませんね。  他人を妨害してまで、何を手に入れたいのでしょうか。  ベストセラーの著者という名声ですか。  それなら、もうアマゾンで、ご自身の本はベストセラーに認定されているのですから、それで十分でしょう。  この上何が欲しくて私を妨害するのでしょうか?  もう英語教育とは関係ないことですか。  私はとても困っています。  

私は、こちらに書いてある3つのことをするのが、目的です。  日本人が子音の日本語化を知っているか、いないかで、通じる英語で話せるか話せないかが、決まります。  ですから、このことを読者の皆さんに理解していただくのは、とても大事なことなのです。  私の仕事の妨害をしないでください。 

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クマさん、ウサギさん、ブタさん、それぞれが持っている旗に書かれたことの理由は、2017年7月30日のブログをご覧になるとわかります。