川合典子 ブログ

英語教育、英語学習、発音習得、帰国子女の言語習得について書いています。

順を追って学ぶことの重要性。

私が教師になるために大学時代に勉強したものには、教育心理学、教育原理、英語教育法などがありました。  教育心理学の中には発達心理学もありました。  なぜ教師になる人が、こういう勉強をするのかと言えば、生徒の状態をよく知った上でそれに合わせて教えることが大事だからだと思います。

英語教育法でも、生徒の理解に合わせて、教えていくことが非常に重要なことだと教えられました。  私のクラスを教えてくださったのは、後に津田塾大学の学長になられた大束百合子先生でした。

当時、中学校の教科書には2つのタイプの導入の仕方がありました。  一つはThis is a pen. で始まるタイプ。 もう一つは I have a book. で始まるタイプでした。  私が中学生のころはI have a book. で始まる教科書の方が、This is a pen. で始まる教科書より、導入としては難しいと考えている生徒もいました。  どちらの方が良い導入の仕方なのか、話題になったこともありました。

英語教育法の時間、生徒の段階に合わせて教えていくことが大事だという話のときにこのことに触れて、大束先生は、「This is a pen. で始まっても I have a book.で始まっても、どちらも問題はありません。  でも、もし、現在完了で始まる教科書があったら、それは問題だということですね。」とおっしゃいました。 なるほどそういうことなのだ。  と思いました。  

現在完了は日本語にはない表現ですね。 まったく新しい概念を、導入として使うのは適切ではないということですね。  逆にbe動詞でも、一般の動詞でも生徒がよく知っている表現を基本的な形から入れば、どちらであっても生徒には十分理解出来るわけですね。

英語と言うのは順を追って教えていくことがとても大事だと私は思います。  上級者が、英語を英語で理解しているから、初級者にもそれをやらせれば良い、と言う考え方が、機能しないことは前回述べたとおりです。  

おそらく訳読式の授業で、ちっとも生徒の英語力が上がったように見えないので、そういうことが提唱されたのでしょうけれど、それは違います。5月30日のブログhttp://d.hatena.ne.jp/creato-k/20130530を読んでいただければ納得していただけると思います。  学校で正しく英文を読む方法を習ったら、量をこなすことは授業時間内にするのは無理ですね。  大学生くらいになって、自分の時間を使えるようになったら大量の英文を読んでいくようにしていかれたらいいと思います。  そういうことまで授業時間内にするのは無理でしょう。

上級者がやっているから単語の意味を初級の生徒に英語で言わせても、頭の中でやっていることは初級者のままです。

初級者のままならまだいいですけれど、上級者のしていることを初級者が真似をすると、弊害が生まれるものもあります。

それは、上級者が、自分の言いたいことを英語でしゃべっているから、初級者にも自分の言いたいことを英語でしゃべるように最初からやらせることです。

これは自己流の発音が定着するという問題を起こします。

正しい発音、リズム、イントネーションを習得する前に、自己流の発音、リズムで話し始めて時間がたつと、そちらの方が言いやすいので、その後、発音を学んでも結局、自己流の発音から抜け出すことが出来なくなります。  

英語で話せるようになるためには最初から自分の言いたいことを英語で言わせるのではなく、発音の練習を文章ですることです。  その過程で、正しい発音で言える文章を増やして、それを使いながら(一部単語を入れ替えるなどして)しゃべるようにしていくことです。 

自己流の発音で話し始めてしまうと、不可能とは言いませんが、矯正は、かなり難しいです。  

学び方には順序があります。  上級者がやっていることを初級のうちから、何でも真似ることは、後から矯正することが、非常に困難な問題を引き起こします。 (5月19日に書きました、正確に意味を取る練習もそうでした。http://d.hatena.ne.jp/creato-k/20130519) 何かをはしょれば、後で、必ず、そのツケが回ってきます。  そこで、recoverできればまだいいですけれど、英語の場合はrecoverできないものも多いですから、気をつけていただきたいと思います。

発音もその一つです。

初級者はまず、文章で発音練習して、正しい発音で言える文を自分の中にたくさん蓄積して行きましょう。  それが正しい発音で話せるようになる練習のしかたです。




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高校入試で子供たちが親の収入によって差別されない為に以下のお知らせを書かせていただきます。

高校入試のスピーキングテストについて(大学入試のスピーキングテストについても同様です)

高校入試のスピーキングテストは本来文部科学省が学校教育で正しい発音を生徒に教えてから行うべきものです。  しかし、文部科学省が教科書にCDもつけず、正しい発音の仕方も学校で教えないまま、高校入試でスピーキングテストを実施する動きが都立高校などで始まっています。 (大学入試でもスピーキングテストが行われようとしています)  これは、スピーキングスキルの習得を塾や予備校、会話学校に丸投げするものです。  学校で教えていないスキルを入試でテストすることはあり得ません。

これでは経済的に余裕のない、塾や会話学校にいけない家庭の子供は誰にも正しい発音を教えてもらえず、練習するCD(音声モデル)も与えられないまま、高校入試でスピーキングテストをされることになり、明らかに親の収入による進路の差別が始まります。(詳しくは2018年3月8日のブログ「高校入試のスピーキングテストは子供を親の収入で差別するもの」をお読みください。)

皆さんの身近に教育関係者がいらっしゃいましたら、ぜひ「高校入試のスピーキングテストは子供を親の収入で差別するもの」であることをお伝えください。  (大学入試のスピーキングテストについても同じことです)  
15歳で親の収入のために進路を差別されるのでは子供たちがあまりにもかわいそうです。

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英語教育については、下のブログも併せてご参照ください。  日付をクリックすると移動できます。
2017年10月12日
文部科学省 新中学校学習指導要領 英語 「4技能」は全く効果がない(子供たちが通じる発音でスラスラ話せるようになる学習指導要領の見本付き)




高校英語教育を文部科学省の誤解に基づいた方針から守るため、以下のご案内を書かせていただきます。

現在文部科学省が「グローバル化に対応した英語教育改革」の目玉として掲げているCAN-DO方式は、ヨーロッパの人々にはできますが、日本語を母国語とする人にはできない方式です。

文部科学省は「CAN-DO方式が日本人には不可能な方式である」と気づいておりません。  導入されれば教育現場は大変迷惑します。  中止する必要があります。  なぜCAN-DO方式が不可能なのかはこちらのブログをお読みください。

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何度もお願いをしているのですが、アマゾンのページで私の本のランキングを下げて妨害をしている人がやめてくれないので、(詳細はこちらです)しばらく以下の文章を掲載させていただくことにしました。

「本を出版する人は、他の著者の妨害をしない。  他の著者を妨害する人は自分の本も出版できない。」
出版社におかれましては、このことを出版の際、著者に理解していただいてください。

私のランキングを妨害している人は、たぶん、現実を受け入れられないのでしょう。
アマゾンの順位を1ペ―ジ目から2ページ目に下げられ、数日でまた2ページ目から3ページ目に下げられて、私は、この方の激しい妨害に驚いています。 

「学習者に正しい発音を習得してほしい」というのが自分の目標でしたら、他人を妨害する必要はありませんね。  他人を妨害してまで、何を手に入れたいのでしょうか。  ベストセラーの著者という名声ですか。  それなら、もうアマゾンで、ご自身の本はベストセラーに認定されているのですから、それで十分でしょう。  この上何が欲しくて私を妨害するのでしょうか?  もう英語教育とは関係ないことですか。  私はとても困っています。  

私は、こちらに書いてある3つのことをするのが、目的です。  日本人が子音の日本語化を知っているか、いないかで、通じる英語で話せるか話せないかが、決まります。  ですから、このことを読者の皆さんに理解していただくのは、とても大事なことなのです。  私の仕事の妨害をしないでください。 

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クマさん、ウサギさん、ブタさん、それぞれが持っている旗に書かれたことの理由は、2017年7月30日のブログをご覧になるとわかります。