川合典子 ブログ

英語教育、英語学習、発音習得、帰国子女の言語習得について書いています。

ソクラテス(3)

「何でも先生が教えてくれる」と思っている生徒にアドバイスするのと、「発音は自分で似せていくもの」と思っている生徒にアドバイスするのでは効果がぜんぜん違います。  これは、「自分で発音を直してください」といわれた生徒を教えた事のある教師でないと分からないと思います。

おなかいっぱいの人に食事をあげるのと、昨日から何も食べていない人に食事をあげるのくらい違います。  これは生徒の側に「重要なことを掴み取ろうとする問題意識の鋭さ」があるからです。

私は発音学習に魔法はないと思っていますが、もしあるとしたら、この生徒の内的欲求の強さだろうと思います。  

ソクラテスの言う、「水に顔を押し付けられて、空気がほしいともがく」ほど強烈ではありませんが、いつも心の中に「どうしたら、自分の発音をお手本の発音に似せられるか」という内的欲求を強く持っている生徒に教えると反応がぜんぜん違います。  教えたこと以上のものを彼らは掴み取ります。  そして生徒がこういう状態で学ぶ時、発音の完成度は非常に高くなります。

文章の発音は、どうしても自分で聞かなければ同じにいえない部分があります。  英語と日本語の子音には学習者が、問題意識を持って集中して聞かないと分からない、小さいけれど重大な違いがあるのです。  だから生徒が問題意識を持って集中して音を聞く状態が発音習得には不可欠なのです。  

「先生が文章の発音をそっくり言えるようにしてくれる」と思うこと自体、幻想だと皆さんに知っていただきたいのです。  もし教師が、子音の日本語化を聞けていたら、「生徒が自分で音を聞けなくても、教師の言うとおり発音させれば通じる発音を身に付けられる」などとは思わないだろうと私は思います。  そのくらい微細な違いなのです。  けれども重大なのです。

他人からアドバイスを受けるのも結構です。  でも、基本的に、「聞くのは自分」、「直すのも自分」、その前提で、学習をすると、聞く力、考える力、などを含め自分のトータルな発音習得能力が伸びていきます。  私はこれが通じる発音を身に着けるために不可欠だと思っています。


「生徒に音は聞けないから、先生に聞いてもらって先生の言うとおりに発音すればよい」

私はこういう発音指導のやり方にずっと、疑問を持ってきました。  こういう指導では生徒が「聞いた音と同じに発音する能力」を、どこで育てるのでしょうか。  育てませんね。  生徒には音は聞けないというのですから最初から生徒の聞く能力そのものを否定しているわけです。  人間の体は聞いた音と同じに口でしゃべるように出来ているのですから聞く能力を否定したら、正しい発音でしゃべることなど、不可能だと言っているようなものですね。   

私が、こういう教え方に反対するのは、「生徒に音は聞けない」この姿勢が、日本人が通じる発音を習得するのを強く妨げているからです。   課題の文章だけ先生の指示通りに言わせても、生徒は英語と日本語の子音の言い方の違いも聞けるようにはならないのです。

聞けるようにならなかったら、英語の子音の言い方でしゃべるようにもなれませんからいつまでたっても日本人の英語を聞いたことのない人には通じない発音でしゃべることになります。  だから英語でしゃべっているのに、テレビに英語字幕が出るようなことになってしまうのです。  いまだにそうなのです。

練習をすれば、だれでも音は聞けるようになります。  文章になった時の発音を聞くのは確かに訓練がいります。  でも初級から訓練すればだれでも聞けるようになります。  初級では先生が聞くから上級(ナチュラルスピード)になったら自分で聞きなさいなどということはありえないのです。  自分で音を聞いてください。  英語と日本語の音の違いが聞けるようになれば、日本人はだれでも通じる発音で話せるようになります。

  

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高校入試で子供たちが親の収入によって差別されない為に以下のお知らせを書かせていただきます。

高校入試のスピーキングテストについて(大学入試のスピーキングテストについても同様です)

高校入試のスピーキングテストは本来文部科学省が学校教育で正しい発音を生徒に教えてから行うべきものです。  しかし、文部科学省が教科書にCDもつけず、正しい発音の仕方も学校で教えないまま、高校入試でスピーキングテストを実施する動きが都立高校などで始まっています。 (大学入試でもスピーキングテストが行われようとしています)  これは、スピーキングスキルの習得を塾や予備校、会話学校に丸投げするものです。  学校で教えていないスキルを入試でテストすることはあり得ません。

これでは経済的に余裕のない、塾や会話学校にいけない家庭の子供は誰にも正しい発音を教えてもらえず、練習するCD(音声モデル)も与えられないまま、高校入試でスピーキングテストをされることになり、明らかに親の収入による進路の差別が始まります。(詳しくは2018年3月8日のブログ「高校入試のスピーキングテストは子供を親の収入で差別するもの」をお読みください。)

皆さんの身近に教育関係者がいらっしゃいましたら、ぜひ「高校入試のスピーキングテストは子供を親の収入で差別するもの」であることをお伝えください。  (大学入試のスピーキングテストについても同じことです)  
15歳で親の収入のために進路を差別されるのでは子供たちがあまりにもかわいそうです。

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英語教育については、下のブログも併せてご参照ください。  日付をクリックすると移動できます。
2017年10月12日
文部科学省 新中学校学習指導要領 英語 「4技能」は全く効果がない(子供たちが通じる発音でスラスラ話せるようになる学習指導要領の見本付き)


高校英語教育を文部科学省の誤解に基づいた方針から守るため、以下のご案内を書かせていただきます。

現在文部科学省が「グローバル化に対応した英語教育改革」の目玉として掲げているCAN-DO方式は、ヨーロッパの人々にはできますが、日本語を母国語とする人にはできない方式です。

文部科学省は「CAN-DO方式が日本人には不可能な方式である」と気づいておりません。  導入されれば教育現場は大変迷惑します。  中止する必要があります。  なぜCAN-DO方式が不可能なのかはこちらのブログをお読みください。

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何度もお願いをしているのですが、アマゾンのページで私の本のランキングを下げて妨害をしている人がやめてくれないので、(詳細はこちらです)しばらく以下の文章を掲載させていただくことにしました。

「本を出版する人は、他の著者の妨害をしない。  他の著者を妨害する人は自分の本も出版できない。」
出版社におかれましては、このことを出版の際、著者に理解していただいてください。

私のランキングを妨害している人は、たぶん、現実を受け入れられないのでしょう。
アマゾンの順位を1ペ―ジ目から2ページ目に下げられ、数日でまた2ページ目から3ページ目に下げられて、私は、この方の激しい妨害に驚いています。 

「学習者に正しい発音を習得してほしい」というのが自分の目標でしたら、他人を妨害する必要はありませんね。  他人を妨害してまで、何を手に入れたいのでしょうか。  ベストセラーの著者という名声ですか。  それなら、もうアマゾンで、ご自身の本はベストセラーに認定されているのですから、それで十分でしょう。  この上何が欲しくて私を妨害するのでしょうか?  もう英語教育とは関係ないことですか。  私はとても困っています。  

私は、こちらに書いてある3つのことをするのが、目的です。  日本人が子音の日本語化を知っているか、いないかで、通じる英語で話せるか話せないかが、決まります。  ですから、このことを読者の皆さんに理解していただくのは、とても大事なことなのです。  私の仕事の妨害をしないでください。 

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クマさん、ウサギさん、ブタさん、それぞれが持っている旗に書かれたことの理由は、2017年7月30日のブログをご覧になるとわかります。