川合典子 ブログ

英語教育、英語学習、発音習得、帰国子女の言語習得について書いています。

なぜ、英語の本を読むことが英語で考えることに効果があるのか。「意味を成す英文を頭の中に構築する能力」

私が自分の言いたいことが英語で自然に浮かんでくるようになったのは、渡米した翌年の学年の終わりから夏休みにかけて毎日何時間も英語の本を読み続けたときでした。その時の様子はこちらのブログに書いてあります。夫に「まるで、家庭内別居のようだ」といわれながらも毎日大量に英語の本を読んでいたときのことについて書いてあります。  けれども夏休みが終わって、新学期が始まるとまた娘の宿題を手伝わなければならなくなり、一日何時間も本が読めなくなりました。  そこで、私は自分で読む時間がないなら家事をやっている間に聞けるようにと、テープやCDに本の朗読を録音してあるものを図書館で借りて、毎日何時間も聞きました。

けれども結果は、自分で本を読んだときのように英語で言いたいことが頭に浮かんでくるようにはなりませんでした。  この理由を私は最初の本の74ページに次のように書きました。

本を読むとき、単語はただ並んでいるだけです。  それを読んで、主語はこれ、動詞はこれ、この関係代名詞はこの言葉を修飾するなどと決めていくのは自分です。  これは結構大変な作業です。  日本語では当たり前にやっていますが、英語の本を読んで、これが苦もなく出来るには、相当の読書をこなさないと出来ません。  ところがCDで朗読を聞く場合は、読む人が全部その作業をやってくれていますので、じぶんでは意味を取る努力をしなくても良いわけです。  読むのを聞いていれば分かっている人が読んでいるのですからイントネーションやリズムでそのまますんなり意味が入ってきます。  大変な作業のところは読む人がやってくれています。

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つまり、本を読む時には、ただ並んでいるだけの英単語を、意味のある英文に構築していく作業を頭の中でしているわけです。  意味を成し言語としての機能を果たせる英文に頭の中で構築しているわけです。  そして本を読みながら頭の中で意味を成す英文に構築する練習を続けていくと、その力は、やがて、学習者の言いたいことも、「意味を成す英文として構築」するように働きはじめます。 

その結果、読書を続けると言いたいことが英語で頭に浮かんでくるようになるのだろうと私は考えています。

本を読んでいる間中、頭は物言わず並んでいる英単語を意味を成す英文に組み立てる作業に追われています。  1時間読書をしたら、「意味を成す英文」に組み立てる力を一時間ずっと訓練したことになります。  さらに、英作文と決定的に違うのは、この場合、日本語から英文を構築しているわけではなく、本に書いてある英単語から英文を構築している点です。  つまり、頭の中では意味のある英文を構築するプロセスが全部英語で行われている、ということです。

しかし、これをするためには、読む人が、

構文をとらえて正確に英文を読む力を持っていることが前提となります。

その力がないと、本を読んでも英文を正しく構築する練習にならないからです。  フィーリング読みをしないで下さいと私が強く皆さんにお願いするのはこのためです。  

初心者が「英語を英語で理解できる」(つまり知らない言葉を知らない言語で理解できる)などと言う幻想は、きっぱり捨てていただきたいと思います。  初心者が英語で考えられる(知らない言語で考えられる)、と言う幻想もきっぱり捨てていただきたいと思います。 

なぜかと言えば、学習の初期にそういうあいまいな読み方をしていると、正確に英文を読む力がつかないからです。  その力がなければ、英文を正しく読み取ることが出来ず、フィーリング読みになります。  そういう読み方では本を読んでも「正しく英文を構築する力」が育ちません。  その結果、自分の言いたいことを英文に構築する力も育ちません。 あいまいな理解をしていると、自分の口から言いたいことが英語で出てくる日は永遠にやってこないのです。

学習者にとって、一番大事なのは正確に英文の意味が分かることです。  日本語は後から抜いていくことが出来ますが、正確に読む力は初期から育てていかなければ、recover することはほとんど、出来ません。(5月19日のブログを参照してください。)


発音練習のお手本やリスニングの教材では、誰かが英文を読んでくれています。  つまり、すでに誰かが正確に読み取って、読んでくれている文章を口で言ったり、聞いたりしているわけです。  でも、本を読むときは、並んでいる英単語を自分で意味をなす英文に構築しなければなりません。  読書以外に意味のある英文に構築する練習は英作文の練習がありますが、英文に構築するまでに要する時間は本を読む場合は数十秒でしょう。 圧倒的に速いです。  そして、上にのべたように本を読む場合は日本語も入ってきません。

だから本をスピードを上げて読んでいくと、言いたいことが英語で頭に浮かんでくるようになるのだと思います。  

まだ英語で考えられない人は、すでに英語で考えている人がやっていることを真似するよりも、自分の中に、「意味をなす英文を構築する力」を養う読書をして言いたいことが英語で浮かんでくる力を養っていかれるのがいいと思います。  そうすると英語で考えられるようになります。

初心者は英語(よく知らない言語)で考えることも、英語を英語(よく知らない言語)で理解することも出来ません。  この点はしっかり覚えて置いてください。  これについては2015年7月7日のブログ「英語で考える」「英語を英語で理解する」という指導方法は、日本でやっても効果はありません。 母国語並みの大量のインプットがありませんから」をお読みください。  英語で考えたり、英語で理解したり出来るようにしていくことが英語学習です。

英文の正確で速い読み方については私の2冊目の本「続・英語発音、日本人でもここまでできます。」の92ページに書きました。
参考になさってください。

また、これから英語の本を読む練習を始める人のための「英文読書能力養成プログラム」を私の3冊目の本「帰国子女に見る世界に通用する英語力の作り方」の中に書きました。  アメリカの小学校低学年が読むレベルの本から始めて、大人の読む本まで、7冊の本を読んでレベルを上げていきます。  どうぞ、このプログラムを活用なさってください。


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私はOLだったころ、どうやったら、自分の言いたいことが自然に英語で頭に浮かんでくるようになるのだろうと、いろいろなことをやりました。  英語の教師でしたから大学を卒業するまでに英文はたくさん暗記しました。  でも、それだけでは言いたいことを言うのに十分ではありませんでした。  言いたいことが自然に英語で頭に浮かぶにはどうしたらいいのか、あのころの私は書店に行って本を買っては、そこに書いてある通りに勉強しました。(当時は今のようにたくさんの本はありませんでした)  けれども、言いたいことが自然に英語で浮かんでくるようにはなりませんでした。  そして、結婚して2度目の赴任先で、眼科医から「来年は老眼鏡を作りましょうね」と言われて、もう先は長くないから今までしたくて出来なかった英語の本の読書をしようと思って、朝から晩まで本を読んでいたら、自分が若いころなりたかった「言いたいことが英語で頭に浮かんでくる」状態を経験しました。  皆さんは試行錯誤や回り道無しにどうぞこの状態にまっすぐ、なってください。




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高校入試で子供たちが親の収入によって差別されない為に以下のお知らせを書かせていただきます。

高校入試のスピーキングテストについて(大学入試のスピーキングテストについても同様です)

高校入試のスピーキングテストは本来文部科学省が学校教育で正しい発音を生徒に教えてから行うべきものです。  しかし、文部科学省が教科書にCDもつけず、正しい発音の仕方も学校で教えないまま、高校入試でスピーキングテストを実施する動きが都立高校などで始まっています。 (大学入試でもスピーキングテストが行われようとしています)  これは、スピーキングスキルの習得を塾や予備校、会話学校に丸投げするものです。  学校で教えていないスキルを入試でテストすることはあり得ません。

これでは経済的に余裕のない、塾や会話学校にいけない家庭の子供は誰にも正しい発音を教えてもらえず、練習するCD(音声モデル)も与えられないまま、高校入試でスピーキングテストをされることになり、明らかに親の収入による進路の差別が始まります。(詳しくは2018年3月8日のブログ「高校入試のスピーキングテストは子供を親の収入で差別するもの」をお読みください。)

皆さんの身近に教育関係者がいらっしゃいましたら、ぜひ「高校入試のスピーキングテストは子供を親の収入で差別するもの」であることをお伝えください。  (大学入試のスピーキングテストについても同じことです)  
15歳で親の収入のために進路を差別されるのでは子供たちがあまりにもかわいそうです。

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英語教育については、下のブログも併せてご参照ください。  日付をクリックすると移動できます。
2017年10月12日
文部科学省 新中学校学習指導要領 英語 「4技能」は全く効果がない(子供たちが通じる発音でスラスラ話せるようになる学習指導要領の見本付き)





高校英語教育を文部科学省の誤解に基づいた方針から守るため、以下のご案内を書かせていただきます。

現在文部科学省が「グローバル化に対応した英語教育改革」の目玉として掲げているCAN-DO方式は、ヨーロッパの人々にはできますが、日本語を母国語とする人にはできない方式です。

文部科学省は「CAN-DO方式が日本人には不可能な方式である」と気づいておりません。  導入されれば教育現場は大変迷惑します。  中止する必要があります。  なぜCAN-DO方式が不可能なのかはこちらのブログをお読みください。

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何度もお願いをしているのですが、アマゾンのページで私の本のランキングを下げて妨害をしている人がやめてくれないので、(詳細はこちらです)しばらく以下の文章を掲載させていただくことにしました。

「本を出版する人は、他の著者の妨害をしない。  他の著者を妨害する人は自分の本も出版できない。」
出版社におかれましては、このことを出版の際、著者に理解していただいてください。

私のランキングを妨害している人は、たぶん、現実を受け入れられないのでしょう。
アマゾンの順位を1ペ―ジ目から2ページ目に下げられ、数日でまた2ページ目から3ページ目に下げられて、私は、この方の激しい妨害に驚いています。 

「学習者に正しい発音を習得してほしい」というのが自分の目標でしたら、他人を妨害する必要はありませんね。  他人を妨害してまで、何を手に入れたいのでしょうか。  ベストセラーの著者という名声ですか。  それなら、もうアマゾンで、ご自身の本はベストセラーに認定されているのですから、それで十分でしょう。  この上何が欲しくて私を妨害するのでしょうか?  もう英語教育とは関係ないことですか。  私はとても困っています。  

私は、こちらに書いてある3つのことをするのが、目的です。  日本人が子音の日本語化を知っているか、いないかで、通じる英語で話せるか話せないかが、決まります。  ですから、このことを読者の皆さんに理解していただくのは、とても大事なことなのです。  私の仕事の妨害をしないでください。 

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クマさん、ウサギさん、ブタさん、それぞれが持っている旗に書かれたことの理由は、2017年7月30日のブログをご覧になるとわかります。