川合典子 ブログ

英語教育、英語学習、発音習得、帰国子女の言語習得について書いています。

単語だけの発音練習は「文章の練習をするときのパート練習」として行います。

21日のブログで、

1. 単語だけの発音練習
2. 演説の練習
3. シャドウイング

この3つの発音練習から抜けだしてください、と書きました。  
今日はその一つ目、単語だけの練習について更にお話します。

日本人の英語はぶつぶつ切れます。母音も短いですし、単語一つ一つが切れるので、文章全体がブツブツ切れるように聞こえます。

単語一つで、いつも練習していると、この単語ごとにブツブツ切れる日本語の癖がどんどん助長されます。  文章を言う時も単語を一つ一つ言ってつなげる言い方になります。 

もし、どうしても、文章では発音練習が出来ない、という方は、単語2語ずつでもいいですから、「語をつなげる」という練習を発音練習に取り入れてください。

私自身は、毎朝5400語くらいの音読をしますが、5分毎に気をつけることを設定して練習します。  時には次の5分は「2語を滑らかにつなげることを意識して発音してみよう」と目標を設定することもあります。  たとえ2語でも、つなげることに注意して発音していくととても勉強になります。

ですから、「文章ではどうしても発音練習が出来ない」という人は、単語2個でもいいですから、つなげて発音する練習をしてください。  例えばMethod という単語の発音練習をして言えるようになったら、Easy を前につけて Easy Method と発音練習してみましょう。 (英語が読みにくいようなので、単語のはじめを大文字にしました)

そうすると、Easy の 最後のズィをいったあと、切らないでMethod の発音までもって行く練習になります。  皆さんはEasy を言ったあと、切らないで Methodを発音することなど簡単だと思っているかもしれませんが、ナチュラルスピードでシャドウイングしている人の発音を聞いていると イーズィ の ズィ の所で、すごく短く母音が切れてMethodに移っていきます。(これは音をタッタッタッタと切って発音する日本語の癖が出るからです。)

ちなみに今、非常に急いで Easy Method と言ってみてください。  Easy のズィがとても短く切れて Methodにつながるのが自分でわかると思います。

ですから、2語つなげて言う練習をしながら、母音が短くならずにつながる練習をします。  (母音が短くならないコツは、ズィを言いながら、最後まで唇に力を入れておいてMethod の最初のMの口まで持っていくことです。  唇に力を入れているとズィが短くなりにくいです。  ここで力を抜くとズィはプツッと切れます。)

日本人は母国語の性質から、どうしても音をつなげるのが苦手です。  単語一つの発音練習はブツブツ切れるこの母国語の癖を助長してしまいます。


英語と日本語では文を構成している「音のタイプ」が違います。  
日本語はタッタッタッタと短く切れる音によって構成されています。(日本語だけ話していると、こういう自覚はありませんね。  英語と比べた時、わかります。)

英語の文章は短く切れる音では、構成されていません。  日本語より、何分の一秒かですが、長く保った音がなめらかにつながって構成されています。  (多分、プツプツ切れない音だから、日本語より、何分の一秒か長いのでしょう)  

このように日本語と英語では「文を構成する音」が違うのです。

発音練習では単語一つでなく「音をつなげる」練習をしてください。  つながるときに前の単語の最後の母音がタッタッタと切れる日本語の言い方にならないように次へつなげてください。  また、単語の一番最初の子音が何分の一秒かネイティブより短くならないように注意して発音してください。  日本語の「音のタイプ」でなく英語の「音のタイプ」で話せるように練習してください。  

川合メソッドは単語3つの文章(I like music.)から入りますので、練習自体は難しくありません。  ただし川合メソッドは音を聞く集中力がいります。  また、自分の発音を録音するという手間がかかります。  

完成度の高い発音で話さなければならない必要性があって、そういう集中力と手間も暇も厭わないという方、また、初級であっても将来そういう発音で話したいという強い希望の有る方しか練習を続けられないと思います。  

旅行で英語を使う方、友だちと楽しくしゃべりたい方には、ここまでの練習は必要ないと思いますし、練習も続かないと思います。  2500円という本の値段は決して安くはありませんので、ご購入前にこういうことはきちんと皆さんにお伝えしなければいけないと思っています。  

川合メソッドは発音習得に必要な能力をオールラウンドに鍛えていきます。  「発音のみならず発声まで」、「口のみならず耳まで」、その他にも、違いを認識する頭脳も使います。  これだけ多岐に渡る能力を訓練したら、完成度の高い発音にならざるをえないことは、納得していただけると思います。

私よりかなり若い方で、英語がご専門ではないのですが、中学や高校の時、NHKの語学講座でちょっと英語の発音を勉強しました。という方が知り合いにいます。

彼女に随分前、3月24日のブログhttp://d.hatena.ne.jp/creato-k/20130324に書いたようなことを説明したら、「そうですよね、私は単語と単語の間はどうやってしゃべるんだろうって、よく思ってました。  この練習をしなくていいのかなって、よく思ってました」と言いました。

やはり、本当に「しゃべること」を上手にしたいという気持ちがあって、自分で考えて練習をしていると、こういうことに気づくようになるんですね。  「発音がうまくなるためには、単語の練習をしましょう」とか「何千語を正しい発音で言えるようになりましょう」とか誰かがいっても、自分の発音を聞いて、「何が、だめだから通じる英語に聞こえないのか」そういうことを自分で考えて行かないと、効果のある発音練習の方法は見えてこないんですね。  大事なのは常に感覚を鋭くして、目標を達成するには何が必要かを自分で考えることです。

今の自分の発音を聞いて、自分に必要な練習は何か、これを自分で考えてみましょう。  こういうことを自分で考えるようにすると、発音習得のみならず、学習全般の向上を図っていく重要な能力が発達してきます。

今まで日本人が好んでやってきた、

1.単語だけの発音練習
2.演説の練習
3.シャドウイング

この3つが、発音の下手な日本人を作り上げてきたのですから、これからは「どうしたら、自分の発音が上手になるのか」皆さん自身が自分の発音を聞いて、考えていく時が来たのではないかと私は思っています。  「どうすれば、発音がうまくなるのか」それは自分の発音とお手本の発音の違いを自分の耳で聞けばおのずとわかってくることだと思います。

これからは、そうやって自分の感覚を研ぎ澄まして、音と向き合う方々の中から、完成度の高い発音を習得した人が次々に表れて、日本人の発音が変わっていくのだろうと私は思っています。  音を聞けるようになった人から日本人の発音は変わる、と私は思っています。

過去何十年とされてきた単語だけの発音練習は、ブツブツ切れる日本語英語を大量に生み出して来ました。

これからは単語の発音練習は文章を練習するときのパート練習として用いるようにしましょう。  文章を練習するとき、文章の中に含まれる単語を一つ一つ部分練習して、それから文章の練習に入ります。  そうすれば、単語の発音を身につけながら単語をつなげる技術も一緒に身につけられます。

昔の英語学習の環境に比べたら、今はインターネットあり、DVDあり、本当に変わりました。  英語学習の環境がこんなに進歩しているのに、発音練習のやり方だけが、日本語の癖を助長する「単語だけ」という半世紀も前の練習と変わらないのはおかしいです。

慣れ親しんだやり方から抜け出すのは、怖いかもしれませんけれど、それが「発音が上手な日本人」になる道です。  それが一人の歩みから、一人増え、二人増え、やがて、多くの方々がその方向に歩き出してくださることを願って、いつもブログを書いています。




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高校入試で子供たちが親の収入によって差別されない為に以下のお知らせを書かせていただきます。

高校入試のスピーキングテストについて(大学入試のスピーキングテストについても同様です)

高校入試のスピーキングテストは本来文部科学省が学校教育で正しい発音を生徒に教えてから行うべきものです。  しかし、文部科学省が教科書にCDもつけず、正しい発音の仕方も学校で教えないまま、高校入試でスピーキングテストを実施する動きが都立高校などで始まっています。 (大学入試でもスピーキングテストが行われようとしています)  これは、スピーキングスキルの習得を塾や予備校、会話学校に丸投げするものです。  学校で教えていないスキルを入試でテストすることはあり得ません。

これでは経済的に余裕のない、塾や会話学校にいけない家庭の子供は誰にも正しい発音を教えてもらえず、練習するCD(音声モデル)も与えられないまま、高校入試でスピーキングテストをされることになり、明らかに親の収入による進路の差別が始まります。(詳しくは2018年3月8日のブログ「高校入試のスピーキングテストは子供を親の収入で差別するもの」をお読みください。)

皆さんの身近に教育関係者がいらっしゃいましたら、ぜひ「高校入試のスピーキングテストは子供を親の収入で差別するもの」であることをお伝えください。  (大学入試のスピーキングテストについても同じことです)  
15歳で親の収入のために進路を差別されるのでは子供たちがあまりにもかわいそうです。

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英語教育については、下のブログも併せてご参照ください。  日付をクリックすると移動できます。
2017年10月12日
文部科学省 新中学校学習指導要領 英語 「4技能」は全く効果がない(子供たちが通じる発音でスラスラ話せるようになる学習指導要領の見本付き)





高校英語教育を文部科学省の誤解に基づいた方針から守るため、以下のご案内を書かせていただきます。

現在文部科学省が「グローバル化に対応した英語教育改革」の目玉として掲げているCAN-DO方式は、ヨーロッパの人々にはできますが、日本語を母国語とする人にはできない方式です。

文部科学省は「CAN-DO方式が日本人には不可能な方式である」と気づいておりません。  導入されれば教育現場は大変迷惑します。  中止する必要があります。  なぜCAN-DO方式が不可能なのかはこちらのブログをお読みください。

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何度もお願いをしているのですが、アマゾンのページで私の本のランキングを下げて妨害をしている人がやめてくれないので、(詳細はこちらです)しばらく以下の文章を掲載させていただくことにしました。

「本を出版する人は、他の著者の妨害をしない。  他の著者を妨害する人は自分の本も出版できない。」
出版社におかれましては、このことを出版の際、著者に理解していただいてください。

私のランキングを妨害している人は、たぶん、現実を受け入れられないのでしょう。
アマゾンの順位を1ペ―ジ目から2ページ目に下げられ、数日でまた2ページ目から3ページ目に下げられて、私は、この方の激しい妨害に驚いています。 

「学習者に正しい発音を習得してほしい」というのが自分の目標でしたら、他人を妨害する必要はありませんね。  他人を妨害してまで、何を手に入れたいのでしょうか。  ベストセラーの著者という名声ですか。  それなら、もうアマゾンで、ご自身の本はベストセラーに認定されているのですから、それで十分でしょう。  この上何が欲しくて私を妨害するのでしょうか?  もう英語教育とは関係ないことですか。  私はとても困っています。  

私は、こちらに書いてある3つのことをするのが、目的です。  日本人が子音の日本語化を知っているか、いないかで、通じる英語で話せるか話せないかが、決まります。  ですから、このことを読者の皆さんに理解していただくのは、とても大事なことなのです。  私の仕事の妨害をしないでください。 

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クマさん、ウサギさん、ブタさん、それぞれが持っている旗に書かれたことの理由は、2017年7月30日のブログをご覧になるとわかります。