川合典子 ブログ

英語教育、英語学習、発音習得、帰国子女の言語習得について書いています。

手に取るようにわかる

皆さんは英語を聞いたとき、しゃべっている口の中の動きが手に取るようにわかる、と言う感覚を感じられたことがありますでしょうか?

自分の発音を録音して、お手本と比べて直していく作業を繰り返していますと、最初は「このお手本の音はどうやったら出るのだろう」と、自分の口の中をいろいろ変えて音を出していきますね。  そうすると、自分の口をどうするとどういう音が出るかがわかってくるだけでなく、その口の形に移動するとき、たとえば、舌が歯と擦れ合ってどのような音がでたか、まで聞こえて来る時があります。 

そうやって、注意深く小さな音まで聞いて練習していると、お手本の音を聞いたときにその口の形を作るために移動して来る舌が歯と擦れ合うような音まで、聞こえるようになります。  そうするとお手本の発音を聞いたときに、そのとき口の中で起こっている動きが手に取るようにわかってくるようになります。

ひとつ例を挙げて説明しますね。 http://www.youtube.com/watch?v=GNEcQS4tXgQ

Youtubeの上のページに行くと、バーバラ・ストライサンドのThe Way We Were と言う曲が聞けます。(この曲はいくつもアップされていますが、上のURLは450万以上のアクセスがある動画です。)  川合メソッドでは歌で発音練習はいたしませんが、(理由は2冊目の本の74ページに書いてあります)この曲は非常にゆっくりで、説明しやすいので、例にとりました。  お話しするのは子音の口の動きのみです。  母音は歌を使うと、きちんと習得できないものがありますので、母音には言及しません。 

なお、曲はヘッドフォンを着けて聞いてください。  着けないと聞こえない音がありますので、手に取るようには聞こえませんのでつけて聞いてください。   耳を傷めないよう、ボリュームの調整をして聞いてください。

バーバラさんの発音する歌詞を聞いていると前の単語の最後の子音から次の単語の最初の音へ移行するときの舌の動きがよく聞こえます。 バーバラさんの「of the」というときの舌や唇の動きも音からよくわかります。 「k」や「d」の破裂の仕方がよくわかります。  laughter というときの「f」から「t」への口の動きもよくわかります。


このように聞いた音から手に取るように口の中で起こっていることがわかるようになります。  そういう感覚をつかんで発音すると、発音はとって付けたような発音から、自分の口になじんだ発音に変わっていきます。   

音の解説を学ぶことも結構です。  鏡を見てお手本の口の形と比べることも結構です。  時にアドバイスをもらうことも結構です。  でもそういうものは最終的に自分の耳で聞く音と結び付けてください。  こういう口の状態のとき、こういう音が出ている、と聞いている音と結び付けてください。  「聞いた音と同じに発音する耳と口のつながりをつくる」これが川合メソッドの目標です。  この力を自分の中に育ててください。  そうすると、ナチュラルスピードで話される英語を聞きながら、自分もいろいろな文をネイティブと同じ発音でしゃべれるようになります。

余談ですが、私はアメリカにいるときに「名探偵コナン」の英語版を使って、発音練習をした時期がありました。  何回も練習するのですから飽きない教材がよいと思ったのです。  一つの話を3ヶ月くらい同時音読していました。  (この時、毎日英語版の「名探偵コナン」見ている私に息子が「お母さんがそんなに漫画が好きだなんて知らなかった」と言った話はブログのどこかに書きましたね。)  

そのころ、息子のハイスクールで、大学進学のための保護者向け説明会が夜、行われました。  夫と出席しました。  劇場のように座席が円形に並んだ講堂に保護者を集めて、最初に担当の先生が、挨拶を始めたとき、その口の動かし方が、私が「名探偵コナン」で聞いていた英語とそっくりでした。  口の奥の空間を大きく取りながら、唇と口角に力を入れて、口角でバウンドするように強弱のリズムで言う口の動かし方がそっくりでした。  

私はその日の朝も、その英語を聞きながら同時音読していました。  先生の挨拶を聞いているうちに私は自分が、立ち上がってそこで先生と一緒に「同時音読」を始めてしまうのではないかと一瞬思ったほど、先生の英語を聞くと同じように口が、今にも動こうとしてしまうのを感じました。  うそのような話ですが、ちょっとボーっとしていたら、本当にやりだしてしまいそうだったので、座席の手のところをぐっと握り締めて、「ここは学校の説明会なのだからね。」 と自分に言い聞かせました。  (立ち上がってはだめよ。と心の中で言いました。)

繰り返し行われた習慣と言うのは、条件反射的に働きます。  自分がいつも聞いては同じにしゃべろうと練習していた英語と似たような音を聞けば、聞いた瞬間、口は同じようにしゃべろうと勝手に動き出そうとするんですね。  言ってみれば、この先生の英語は条件反射のベルのように私に作用したわけです。  

聞いた英語と同じ発音でしゃべる、そういう練習をしていると、まわりのネイティブが話している英語を聞くと、同じような英語でしゃべりだそうとするのですね。  「聞くと手に取るように口の動きがわかる」この状態で、毎日毎日聞いたとおりに発音する練習をしていると、自分の耳と口にそういう仕組みが出来上がります。

こうなると、もう、「先生に教えられたとおりの口の形にする」とか、そういう次元の話ではないんですね。  聞いた音と同じ音を出そうとする人間の体の中の仕組みを使って英語の発音で話し出そうとする能力を作っているわけです。  川合メソッドが作ろうとしているのはこういう能力なのです。

ぜひ自分の発音を録音してお手本と比べて発音練習してください。  それが、手に取るように口の動きがわかって、条件反射のようになるまで、やってみてください。  ネイティブと同じ英語で話せるようになります。  

8月28日に書いたお相撲さんの例で言えば、土俵下で、第三者から、英語山の情報をいくら集めても、この耳と口のつながりはできません。   自分の耳で聞いて、聞こえたとおり言う練習をしないと、この仕組みは体の中にできません。  

最初はどんなに下手でも結構です。  「自分の耳で聞いたとおり発音する」この力を使い始めてください。  日本人が長い間、眠らせてきたこの力を起こして使ってください。  自分が持っている言語習得の能力が、動き始めます。  新しい時代に活躍される皆さんには、新しい力が必要です。



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高校入試で子供たちが親の収入によって差別されない為に以下のお知らせを書かせていただきます。

高校入試のスピーキングテストについて(大学入試のスピーキングテストについても同様です)

高校入試のスピーキングテストは本来文部科学省が学校教育で正しい発音を生徒に教えてから行うべきものです。  しかし、文部科学省が教科書にCDもつけず、正しい発音の仕方も学校で教えないまま、高校入試でスピーキングテストを実施する動きが都立高校などで始まっています。 (大学入試でもスピーキングテストが行われようとしています)  これは、スピーキングスキルの習得を塾や予備校、会話学校に丸投げするものです。  学校で教えていないスキルを入試でテストすることはあり得ません。

これでは経済的に余裕のない、塾や会話学校にいけない家庭の子供は誰にも正しい発音を教えてもらえず、練習するCD(音声モデル)も与えられないまま、高校入試でスピーキングテストをされることになり、明らかに親の収入による進路の差別が始まります。(詳しくは2018年3月8日のブログ「高校入試のスピーキングテストは子供を親の収入で差別するもの」をお読みください。)

皆さんの身近に教育関係者がいらっしゃいましたら、ぜひ「高校入試のスピーキングテストは子供を親の収入で差別するもの」であることをお伝えください。  (大学入試のスピーキングテストについても同じことです)  
15歳で親の収入のために進路を差別されるのでは子供たちがあまりにもかわいそうです。

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英語教育については、下のブログも併せてご参照ください。  日付をクリックすると移動できます。
2017年10月12日
文部科学省 新中学校学習指導要領 英語 「4技能」は全く効果がない(子供たちが通じる発音でスラスラ話せるようになる学習指導要領の見本付き)




高校英語教育を文部科学省の誤解に基づいた方針から守るため、以下のご案内を書かせていただきます。

現在文部科学省が「グローバル化に対応した英語教育改革」の目玉として掲げているCAN-DO方式は、ヨーロッパの人々にはできますが、日本語を母国語とする人にはできない方式です。

文部科学省は「CAN-DO方式が日本人には不可能な方式である」と気づいておりません。  導入されれば教育現場は大変迷惑します。  中止する必要があります。  なぜCAN-DO方式が不可能なのかはこちらのブログをお読みください。

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何度もお願いをしているのですが、アマゾンのページで私の本のランキングを下げて妨害をしている人がやめてくれないので、(詳細はこちらです)しばらく以下の文章を掲載させていただくことにしました。

「本を出版する人は、他の著者の妨害をしない。  他の著者を妨害する人は自分の本も出版できない。」
出版社におかれましては、このことを出版の際、著者に理解していただいてください。

私のランキングを妨害している人は、たぶん、現実を受け入れられないのでしょう。
アマゾンの順位を1ペ―ジ目から2ページ目に下げられ、数日でまた2ページ目から3ページ目に下げられて、私は、この方の激しい妨害に驚いています。 

「学習者に正しい発音を習得してほしい」というのが自分の目標でしたら、他人を妨害する必要はありませんね。  他人を妨害してまで、何を手に入れたいのでしょうか。  ベストセラーの著者という名声ですか。  それなら、もうアマゾンで、ご自身の本はベストセラーに認定されているのですから、それで十分でしょう。  この上何が欲しくて私を妨害するのでしょうか?  もう英語教育とは関係ないことですか。  私はとても困っています。  

私は、こちらに書いてある3つのことをするのが、目的です。  日本人が子音の日本語化を知っているか、いないかで、通じる英語で話せるか話せないかが、決まります。  ですから、このことを読者の皆さんに理解していただくのは、とても大事なことなのです。  私の仕事の妨害をしないでください。 

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クマさん、ウサギさん、ブタさん、それぞれが持っている旗に書かれたことの理由は、2017年7月30日のブログをご覧になるとわかります。