川合典子 ブログ

英語教育、英語学習、発音習得、帰国子女の言語習得について書いています。

発音能力(4)

人間がコミュニケーションをするとき、いろいろな文章を使います。発音練習した文章だけしゃべっているわけではありません。自分の言いたいことをさまざまな単語を自在に使って話します。

人間には言葉を使う能力があります。たくさんの文章を聞いて同じに言う練習をしていると、自分が何か言いたいとき、その文章を「こういう発音(リズム、イントネーションを含む)で言うのだな」と言うことが分かってきます。私はこういう状態になることがとても重要だと書きました。

自分の言いたい文章を「こういう発音で言うんだな」と分かると、その文章を、耳の中で再生してみることが出来ます。

耳で聞いた音と同じ音を出そうとして、いろいろな口の形を試して、「その音が出るのはこの口の形だ」とわかっている人は、耳の中で再生できたとおり、実際に文章をしゃべることができます。今まで、耳で聞いたようにしゃべる練習をしてきた蓄積があるからです。

口の形だけ習って発音している人は、自分で言いたい文章を言うときには、どう発音したらいいのかわかりません。

耳で聞いてこなかったのですから、耳の中に文章の蓄積はありません。ですから自分が言いたい文章の発音やイントネーションは耳の中に再生できません。

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文章を自分の耳でたくさん聞いて、個々の音はもちろん、イントネーションのパターンを取り込み、リズムのパターンを取り込み、単語と単語のつなぎ目の変化を取り込み、そのような音を出すには自分の口をどういう風に動かしたらよいかを自分の口で特定してきた人は、似たような新しい文章をしゃべろうとしたときも、こういう発音でしゃべるのだというのが耳の中で再生できます。 そして実際にそのようにしゃべることが出来ます。
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初級の方が、発音練習した文章をそのまま、会話に使うのはかまいません。 英語の蓄積がないのですから当然のことです。 けれども最終的な目標が、自分の言いたいことを自在に英語で言うことであれば、今まで発音練習したことがない文章も正しい発音で言える必要があります。その能力を身につけるためには、耳で聞いた英語を口で同じように発音する練習をしていかなければ、出来ません。

私は日本人の英語は日本の外では通じないと皆さんにお話しました。その原因はいろいろありますが、リズムが違うことが大きいといいました。

そして、リズムを習得するためには、発音練習は文章で行わなければならないと言いました。そして、文章の発音と言うのは、人からは教えてもらうことはできない。文章の、音、イントネーション、リズム、単語のつなぎ目は、自分で丸ごと聞かなければ同じようにはいえないと、言いました。

日本人がこんなに英語の発音を練習しているのに、自分の言いたい文章を発音すると、通じないのは、英語でしゃべる仕組みの最後に口から出てきた音だけを練習しているからです。耳で聞こえた音ではなく口の形だけ練習しているからです。これでは発音を習っていない文章は正しい発音で言えるわけはありません。

自分の耳でたくさん英語の文章を聞いて、聞いた音と同じにいう能力を育ててくると、習った以外の文章でも、今まで聞いてきた文章と同じような分野で使われる文章は正しい発音で言えるのです。単語や構文が少し違うだけの文章は、聞いた音と同じにいう能力を育てていけば、初めての文章でも正しい発音で言えるのです。

私は皆さんに発音練習の根本的な認識を変えていただきたいと思っています。
正しい発音で自在にしゃべれるためには、自分の耳で何度も文章を聞き、聞いたとおりに文章を言う「耳と口のつながりを育てる」発音練習をすることが、必要だと理解していただきたいのです。

川合メソッドは覚えるメソッドではありません。 能力を育てるメソッドなのです。「自分で音を聞いて発音して、自分でお手本と自分の発音を比べて直すなんて、何の意味があるの?」と思われるでしょう。「全部自分でやるんじゃ、自分の能力より上の発音はできるようにならないじゃない。」と思うでしょう。

でも、これをしながら、耳と口のつながりを育てているのです。聞いた音と同じように言える力を育てているのです。耳が音をたくさん聞いて、「自分が言いたい文章はこういう発音で言うんだな」と耳の中に聞こえるようになる力を育てているのです。

もちろんこの練習の過程で、聞く力と発音する力も上がっていきます。何回も繰り返し聞いて発音し、モデルと比べて直すことにより、より正確に聞けるようになってきますし、その結果、発音も正確になります。

それに川合メソッドでは、私が発音を習得したときに役に立ったことは全部、私の本や、このブログ、ホームページの「自分で発音を直していく時のヒント」で公開しています。

皆さんのSの発音は、他人から、Sを強く発音しなさいといわれていたころより、2月の発音のヒントを聞いただけで、ずっと上手になったのではないでしょうか。 適切なサポートさえあれば、独学であってもちゃんと聞く力も発音も上手にしていくことができるのです。 

このようにして、正確に聞けるようになった耳と、正確に発音できるようになった口と、聞こえたように言える「耳と口のつながり」が育てられます。 つまり、正しい発音で自在にしゃべる発音能力を丸ごと育てて発音のレベルを上げているのです。 言ってみれば、口から英語の発音が出てくるシステム全体の能力を上げているのです。

英語の発音は、「集中して聞く力」と「聞いた音と同じように発音しようと言う気持ち」があれば、お金をかけなくても、立派に習得できます。

来月のホームページの「自分で発音を直していく時のヒント」も、ぜひ、皆さんの聞く力と発音する力を上げるために役立ててください。




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高校入試で子供たちが親の収入によって差別されない為に以下のお知らせを書かせていただきます。

高校入試のスピーキングテストについて(大学入試のスピーキングテストについても同様です)

高校入試のスピーキングテストは本来文部科学省が学校教育で正しい発音を生徒に教えてから行うべきものです。  しかし、文部科学省が教科書にCDもつけず、正しい発音の仕方も学校で教えないまま、高校入試でスピーキングテストを実施する動きが都立高校などで始まっています。 (大学入試でもスピーキングテストが行われようとしています)  これは、スピーキングスキルの習得を塾や予備校、会話学校に丸投げするものです。  学校で教えていないスキルを入試でテストすることはあり得ません。

これでは経済的に余裕のない、塾や会話学校にいけない家庭の子供は誰にも正しい発音を教えてもらえず、練習するCD(音声モデル)も与えられないまま、高校入試でスピーキングテストをされることになり、明らかに親の収入による進路の差別が始まります。(詳しくは2018年3月8日のブログ「高校入試のスピーキングテストは子供を親の収入で差別するもの」をお読みください。)

皆さんの身近に教育関係者がいらっしゃいましたら、ぜひ「高校入試のスピーキングテストは子供を親の収入で差別するもの」であることをお伝えください。  (大学入試のスピーキングテストについても同じことです)  
15歳で親の収入のために進路を差別されるのでは子供たちがあまりにもかわいそうです。

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英語教育については、下のブログも併せてご参照ください。  日付をクリックすると移動できます。
2017年10月12日
文部科学省 新中学校学習指導要領 英語 「4技能」は全く効果がない(子供たちが通じる発音でスラスラ話せるようになる学習指導要領の見本付き)




高校英語教育を文部科学省の誤解に基づいた方針から守るため、以下のご案内を書かせていただきます。

現在文部科学省が「グローバル化に対応した英語教育改革」の目玉として掲げているCAN-DO方式は、ヨーロッパの人々にはできますが、日本語を母国語とする人にはできない方式です。

文部科学省は「CAN-DO方式が日本人には不可能な方式である」と気づいておりません。  導入されれば教育現場は大変迷惑します。  中止する必要があります。  なぜCAN-DO方式が不可能なのかはこちらのブログをお読みください。

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何度もお願いをしているのですが、アマゾンのページで私の本のランキングを下げて妨害をしている人がやめてくれないので、(詳細はこちらです)しばらく以下の文章を掲載させていただくことにしました。

「本を出版する人は、他の著者の妨害をしない。  他の著者を妨害する人は自分の本も出版できない。」
出版社におかれましては、このことを出版の際、著者に理解していただいてください。

私のランキングを妨害している人は、たぶん、現実を受け入れられないのでしょう。
アマゾンの順位を1ペ―ジ目から2ページ目に下げられ、数日でまた2ページ目から3ページ目に下げられて、私は、この方の激しい妨害に驚いています。 

「学習者に正しい発音を習得してほしい」というのが自分の目標でしたら、他人を妨害する必要はありませんね。  他人を妨害してまで、何を手に入れたいのでしょうか。  ベストセラーの著者という名声ですか。  それなら、もうアマゾンで、ご自身の本はベストセラーに認定されているのですから、それで十分でしょう。  この上何が欲しくて私を妨害するのでしょうか?  もう英語教育とは関係ないことですか。 私は、とても困っています。  

私は、こちらに書いてある3つのことをするのが、目的です。  日本人が子音の日本語化を知っているか、いないかで、通じる英語で話せるか話せないかが、決まります。  ですから、このことを読者の皆さんに理解していただくのは、とても大事なことなのです。  私の仕事の妨害をしないでください。 

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クマさん、ウサギさん、ブタさん、それぞれが持っている旗に書かれたことの理由は、2017年7月30日のブログをご覧になるとわかります。