川合典子 ブログ

英語教育、英語学習、発音習得、帰国子女の言語習得について書いています。

読者の方からのご質問ー日本語の維持はどうしましたか?

読者の方からのもう一つのご質問は「アメリカにいた間、娘の日本語の維持はどうしていましたか」ということでした。

娘の日本語は補習校に毎週土曜日通って維持していました。  前にも書きましたが、娘の通っていた現地のミドルスクールは宿題が多く、アメリカ人の保護者からも「先生方は連絡を取り合って、宿題の量を調節してください」と、要望が出されるくらいたくさん宿題が出ました。

5年生のお母さんが、校長先生と語る会で、「私が子供のころは宿題は自分一人でできました。  親に手伝ってもらわなければできないような宿題は、出ませんでした。  ミドルスクールに入学したら、難しくて子供一人ではできない宿題ばかりです」と訴えていました。  校長先生は、小学校から入学したばかりの生徒には配慮が必要ですね、とお答えになっていました。

学校が終わって、娘を車に乗せて帰るときに、一緒に遊ぶ友達も乗せて帰ってきたら、その子のお母さんから、「宿題をさせてから遊ばせてください」と電話があったこともありました。  私もそのお母さんの気持ちはよくわかりました。  とにかく量が多いし、難しいし、大変でした。

ですから、週日はとても日本語の勉強まで手が回りませんでした。  補習校では毎週漢字のテストがありましたので、金曜日に漢字を勉強していました。  補習校でも、期末試験はあったようでそういう時には数学や歴史も勉強していました。

けれども日常使っていない言語を「維持する」のはとても難しかったですね。  日本にいた時と同じレベルで日本語の維持はできませんでした。  滞在3年目に入ったとき、何がきっかけだったか覚えていませんが、娘の日本語を聞いた時に、私は「娘の頭の中に占める日本語と英語の割合が、逆転し始めた」と感じたことがありました。

娘の日本語が本当の意味で上達したのは日本に帰って来てからでした。  日本に帰って高校に入学し、日常生活や授業で日本語を使うようになってやっと日本語を読んだり書いたりすることが十分できるようになりました。

高校3年生のとき、受験が終わって暇なときに世界史の教科書を音読させたら、その時はすらすら読めました。  言葉を身に付けるのはやはり長い時間がかかります。

今回ご質問をくださった方が、小学生のお子さんについて
「帰国して2年、日本語が上達した分、英語への興味をなくして英語を学習するだけのエネルギーがありません」とお書きになっていらっしゃいました。

私は子供が、アメリカ、日本、どちらに適応するのも2回ずつ見ましたが、子供は今いる社会でよいと思われる行動を無意識に身に付けて、そこの社会に適応していきます。

わかりやすい例で言えば、私の息子は日本にいた時は授業中、手を上げて先生の質問に答えることなど、全くしない子でした。  ところがアメリカに行って3か月くらい、まだ片言しか英語が言えないような時期に、「今日、化学の時間に手を上げて先生の質問に答えた」と言うのを聞いてびっくりしたことがあります。  (たぶん先生の質問はとても易しい質問だったと思います。)

アメリカでは先生が通知表に付けた評価について、異議を唱える保護者も多いらしく、どういう基準で成績をつけるかは保護者にもBack to School Night という学年最初の保護者会で説明されます。

成績をつける時に考慮するのは、例えば、「テスト70%、授業への参加20%、ノートや宿題の提出10%」などと各先生から説明があります。  この割合は先生によって違います。  けれども、そこには必ず、「授業への参加」という項目があります。  ですから生徒たちにとって、手を上げて授業中発言するのは普通のことなのでしょう。  

その学校で、友達を作ったり、授業に参加したりして、その社会の一員になるためには、その社会で良しとされる行動を子供は無意識にとっていくのだと思います。

そうやってその社会に受け入れられて、その社会の一員になり、そこでの生活の基盤ができてくると、子供は精神的に安定します。  だからまず「その社会に適応すること」が言葉の面だけでなく、精神的にもとても大事なことだと思います。 

ご質問者のお子さんはそれがきちんとできていらっしゃるのですから、何も心配はいらないと思います。  私は小学生の英語を維持してもあまり意味はないと思っています。  その理由は2011年10月17日のブログに書きました。

子供はどんな才能を持っているかわかりませんから英語だけでなく、本人の興味のあることをいろいろやらせてあげてください。



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高校入試で子供たちが親の収入によって差別されない為に以下のお知らせを書かせていただきます。

高校入試のスピーキングテストについて(大学入試のスピーキングテストについても同様です)

高校入試のスピーキングテストは本来文部科学省が学校教育で正しい発音を生徒に教えてから行うべきものです。  しかし、文部科学省が教科書にCDもつけず、正しい発音の仕方も学校で教えないまま、高校入試でスピーキングテストを実施する動きが都立高校などで始まっています。 (大学入試でもスピーキングテストが行われようとしています)  これは、スピーキングスキルの習得を塾や予備校、会話学校に丸投げするものです。  学校で教えていないスキルを入試でテストすることはあり得ません。

これでは経済的に余裕のない、塾や会話学校にいけない家庭の子供は誰にも正しい発音を教えてもらえず、練習するCD(音声モデル)も与えられないまま、高校入試でスピーキングテストをされることになり、明らかに親の収入による進路の差別が始まります。(詳しくは2018年3月8日のブログ「高校入試のスピーキングテストは子供を親の収入で差別するもの」をお読みください。)

皆さんの身近に教育関係者がいらっしゃいましたら、ぜひ「高校入試のスピーキングテストは子供を親の収入で差別するもの」であることをお伝えください。  (大学入試のスピーキングテストについても同じことです)  
15歳で親の収入のために進路を差別されるのでは子供たちがあまりにもかわいそうです。

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英語教育については、下のブログも併せてご参照ください。  日付をクリックすると移動できます。
2017年10月12日
文部科学省 新中学校学習指導要領 英語 「4技能」は全く効果がない(子供たちが通じる発音でスラスラ話せるようになる学習指導要領の見本付き)

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高校英語教育を文部科学省の誤解に基づいた方針から守るため、以下のご案内を書かせていただきます。

現在文部科学省が「グローバル化に対応した英語教育改革」の目玉として掲げているCAN-DO方式は、ヨーロッパの人々にはできますが、日本語を母国語とする人にはできない方式です。

文部科学省は「CAN-DO方式が日本人には不可能な方式である」と気づいておりません。  導入されれば教育現場は大変迷惑します。  中止する必要があります。  なぜCAN-DO方式が不可能なのかはこちらのブログをお読みください。

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何度もお願いをしているのですが、アマゾンのページで私の本のランキングを下げて妨害をしている人がやめてくれないので、(詳細はこちらです)しばらく以下の文章を掲載させていただくことにしました。

「本を出版する人は、他の著者の妨害をしない。  他の著者を妨害する人は自分の本も出版できない。」
出版社におかれましては、このことを出版の際、著者に理解していただいてください。

私のランキングを妨害している人は、たぶん、現実を受け入れられないのでしょう。
アマゾンの順位を1ペ―ジ目から2ページ目に下げられ、数日でまた2ページ目から3ページ目に下げられて、私は、この方の激しい妨害に驚いています。 

「学習者に正しい発音を習得してほしい」というのが自分の目標でしたら、他人を妨害する必要はありませんね。  他人を妨害してまで、何を手に入れたいのでしょうか。  ベストセラーの著者という名声ですか。  それなら、もうアマゾンで、ご自身の本はベストセラーに認定されているのですから、それで十分でしょう。  この上何が欲しくて私を妨害するのでしょうか?  もう英語教育とは関係ないことですか。  私はとても困っています。  

私は、こちらに書いてある3つのことをするのが、目的です。  日本人が子音の日本語化を知っているか、いないかで、通じる英語で話せるか話せないかが、決まります。  ですから、このことを読者の皆さんに理解していただくのは、とても大事なことなのです。  私の仕事の妨害をしないでください。 

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クマさん、ウサギさん、ブタさん、それぞれが持っている旗に書かれたことの理由は、2017年7月30日のブログをご覧になるとわかります。