川合典子 ブログ

英語教育、英語学習、発音習得、帰国子女の言語習得について書いています。

Nの発音

中学一年のときに英語の発音学習を始めました。教材の最初のレッスンにThey are coming from Denver. という文章がありました。

私のそのころの練習の仕方は、まず、単語を発音記号の音ひとつひとつを習ったとおりに発音してみる、そのあと、音をつなげて単語として、発音してみる。それから、文章の形でいってみて録音し、それを聞いて、モデルの英語と比べて発音を直す。というものでした。(文章の形で言うときにはもう、発音記号は見ません。 耳でよく聞いて聞こえたとおりに文全体を発音する練習をしました)

文章で言ってお手本と比べてみたとき、Denver という単語の発音が、なんか違うなあと思いました。何が違うんだかよくわからなかったのですが、何回も言ってみて、そういえば、Nのとき舌の先が、上の歯茎についていない、と気づきました。単語の練習で、発音記号一つ一つを正しい発音で発音していたときにはつけていたのに。。。。

それで、They are coming from Denver. といいながら、DenverのNのところで舌を上の歯茎につけようとするのですが、そういうしゃべり方はしたことがないので、何回やっても、舌を歯茎につけられませんでした。しょうがないので、舌の先を歯茎につけざるを得ない音をNの次に持ってくれば、いやでも言えるようになるだろうと思って、考えてみました。

そうしたら、あったのです。「D」です。Dを言おうとすれば、いやでも舌は、歯茎につきます。それで、DenDver と発音練習することにしました。これなら、いやでもNの発音のときに舌が歯茎につきました。

それで、靴を磨くときも、掃除をするときも、DenDver, DenDverと暇さえあれば、発音練習をしていました。 今まで、したことのない舌の動きなどすぐにできるわけはありませんから、何日も何日も続きました。考えてみれば変な練習方法ですね。でも、中学生で、物を知りませんから、ない知恵を絞って、やっと発見した練習方法でした。私は大真面目で、そうやって練習していました。

これは、当時、同じ勉強部屋だった姉にはすごく迷惑だったようです。シカゴの赴任から戻って、実家に挨拶に行ったとき、みんなで食事をしました。 そうしたら姉が姪たちのまえで、「典子おばちゃんの発音練習はすごくうるさかったのよ。そういえば、DenDver, DenDverって、よく練習していたけれど、あの発音はいえるようになったの?」と聞かれました。25年たっても姉が忘れられないほど、うるさかったわけです。

この練習方法がよかったかどうか私にはわかりませんが、今はちゃんとNが入ってDenverといえるようになりました。この類の経験を私はたくさんしていますので、生徒さんにとって文章で発音するとき、何が難しいか、よくわかります。

文章の発音を直していくことはひとつのトレーニングですので、自分が、やったことがないと、生徒さんの発音は直せませんし、教えられません。文章を聞いて、自分の発音と比べて、つなぎ目や、日本語の癖に自分で、気づいて、直した経験がないと、生徒さんの文章の発音は直せません。そういう人はあまりいませんので、私は皆さんに、「自分でやったほうが、早いです。」というわけです。そういう練習をやったことがなければ、文章の発音に関してはみんな同じスタートラインに立っているようなものなのです。

それに、そこまで、自分で音を聞くと、人間の耳は、聞いた音を同じに言うには、発声器官をどう動かしたらいいかを体に教えてくれるので、発音が上手になってきます。「動きが手に取るようにわかる。」という状態になってくるわけですね。(このあたりのことは7月8日のブログ、「機械に発音の判定をさせるということ。」に書きましたので、参考にしてください。)

自分で話す言葉は、自分の耳でよく聞いて、習得しましょう。 そのとき、必ず、文章の形で、丸ごと聞いて、自分も同じように言う練習をしてください。これはひとつの訓練ですから、回を重ねるごとに誰でも上手になっていきます。

高校の数学の先生が、数学の学習について「足し算を習ったら、ものすごく難しい足し算までやってから、引き算を習うわけではありませんね。やさしい足し算を習い、やさしい引き算をならい、そして、年齢が上がっていくにしたがって、足し算も、引き算も難しいものに変わっていくわけです。」といったことがありました。

発音練習もこれに似ています。。完璧な単語の発音になってから、あるいは難しい単語が発音できるようになってから、文章の発音練習に移るのは、あまりお勧めできません。一語、一語はっきり完結する発音で、耳や口が固まります。

基本の音が言えるようになったら、Stop it. というような2語文からでもいいですから、文章を「一連の音」として発音する練習をしてください。一連の音として発音するのが、耳にも、口にも最初から自然だと思えるようにしてください。(注1)

英語を発音する口の訓練は単語でしようと、文章でしようと体が新しい音に慣れてくるまでの期間はほぼ同じです。文と言っても、Good morning. I’m Ann. Stop it. などと言うような短い文から始めれば、Australia などと言う難しい単語の発音を練習するよりはずっと簡単です。

難しい単語の発音を練習するのだったら、易しい、短い「文章」の発音を練習したほうがずっといいです。なぜなら、「単語の発音練習」と「一連の音」として発音する練習を、同時に行えるからです。文は習ったそばから、会話に使えます。文章で言えるようになったときは、単語の発音は、もちろんとても上手になっています。

(注1)
Stop it. は私が初めて聞いた、娘の英語でした。「スタペェド」(「タ」がすごく大きい音でした。)みたいに言っていました。多分、子供たちどうしで、ふざけていて、それがやり過ぎたときに「やめて!」という意味で、使っていたのでしょう。
あとから、娘は、「最初のころは、みんなの言うことを真似して言っていた。」といっていました。単語からでなく、つながる音が、最初から、自然に体に入っていったのですね。




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高校入試で子供たちが親の収入によって差別されない為に以下のお知らせを書かせていただきます。

高校入試のスピーキングテストについて(大学入試のスピーキングテストについても同様です)

高校入試のスピーキングテストは本来文部科学省が学校教育で正しい発音を生徒に教えてから行うべきものです。  しかし、文部科学省が教科書にCDもつけず、正しい発音の仕方も学校で教えないまま、高校入試でスピーキングテストを実施する動きが都立高校などで始まっています。 (大学入試でもスピーキングテストが行われようとしています)  これは、スピーキングスキルの習得を塾や予備校、会話学校に丸投げするものです。  学校で教えていないスキルを入試でテストすることはあり得ません。

これでは経済的に余裕のない、塾や会話学校にいけない家庭の子供は誰にも正しい発音を教えてもらえず、練習するCD(音声モデル)も与えられないまま、高校入試でスピーキングテストをされることになり、明らかに親の収入による進路の差別が始まります。(詳しくは2018年3月8日のブログ「高校入試のスピーキングテストは子供を親の収入で差別するもの」をお読みください。)

皆さんの身近に教育関係者がいらっしゃいましたら、ぜひ「高校入試のスピーキングテストは子供を親の収入で差別するもの」であることをお伝えください。  (大学入試のスピーキングテストについても同じことです)  
15歳で親の収入のために進路を差別されるのでは子供たちがあまりにもかわいそうです。

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英語教育については、下のブログも併せてご参照ください。  日付をクリックすると移動できます。
2017年10月12日
文部科学省 新中学校学習指導要領 英語 「4技能」は全く効果がない(子供たちが通じる発音でスラスラ話せるようになる学習指導要領の見本付き)






高校英語教育を文部科学省の誤解に基づいた方針から守るため、以下のご案内を書かせていただきます。

現在文部科学省が「グローバル化に対応した英語教育改革」の目玉として掲げているCAN-DO方式は、ヨーロッパの人々にはできますが、日本語を母国語とする人にはできない方式です。

文部科学省は「CAN-DO方式が日本人には不可能な方式である」と気づいておりません。  導入されれば教育現場は大変迷惑します。  中止する必要があります。  なぜCAN-DO方式が不可能なのかはこちらのブログをお読みください。

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何度もお願いをしているのですが、アマゾンのページで私の本のランキングを下げて妨害をしている人がやめてくれないので、(詳細はこちらです)しばらく以下の文章を掲載させていただくことにしました。

「本を出版する人は、他の著者の妨害をしない。  他の著者を妨害する人は自分の本も出版できない。」
出版社におかれましては、このことを出版の際、著者に理解していただいてください。

私のランキングを妨害している人は、たぶん、現実を受け入れられないのでしょう。
アマゾンの順位を1ペ―ジ目から2ページ目に下げられ、数日でまた2ページ目から3ページ目に下げられて、私は、この方の激しい妨害に驚いています。 

「学習者に正しい発音を習得してほしい」というのが自分の目標でしたら、他人を妨害する必要はありませんね。  他人を妨害してまで、何を手に入れたいのでしょうか。  ベストセラーの著者という名声ですか。  それなら、もうアマゾンで、ご自身の本はベストセラーに認定されているのですから、それで十分でしょう。  この上何が欲しくて私を妨害するのでしょうか?  もう英語教育とは関係ないことですか。 私は、とても困っています。  

私は、こちらに書いてある3つのことをするのが、目的です。  日本人が子音の日本語化を知っているか、いないかで、通じる英語で話せるか話せないかが、決まります。  ですから、このことを読者の皆さんに理解していただくのは、とても大事なことなのです。  私の仕事の妨害をしないでください。 

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クマさん、ウサギさん、ブタさん、それぞれが持っている旗に書かれたことの理由は、2017年7月30日のブログをご覧になるとわかります。