川合典子 ブログ

英語教育、英語学習、発音習得、帰国子女の言語習得について書いています。

英検一級の2次試験とNHK「クローズアップ現代」

前にも書きましたが、私は英語のきれいな音に魅せられて英語学習を始めたので、コンテストや資格試験には、興味がありませんでした。(12月2日のブログ「自分の好きなこと」http://d.hatena.ne.jp/creato-k/20111202 に書いてあります。)

学生時代、私の大学には学外の方から英語や数学(数学科がありました。)の家庭教師の依頼があると掲示板に張り出されて、学生はその中から選んで家庭教師のアルバイトをしました。私も学生時代からそうやって英語を教えていました。

夫に2回目のアメリカ赴任の辞令が出たとき、娘は小学校5年生、息子は中学3年生でした。娘は英語はまったく知りませんでしたので、私はこの子が英語を習得していく過程はつぶさに観察しようと決めました。

英語を教えていると、生徒さんが英語をマスターするまで、とても大変なのがよくわかります。ですから、もし娘の英語習得過程で、何か参考になることがあったら、日本に戻って、また英語を教えるとき、生徒さんに教えてあげたいと思いました。

予想したとおり、娘の英語習得過程には日本の学習者の参考になることがたくさんありました。帰国が決まったとき、その経験を生かして、日本でまた英語を教えたいと思いました。

夫にそのように言ったら、「今の時代、昔より、一般の人の英語のレベルはかなり高くなっている。公立中学で英語の教師の経験があっても、英検一級くらいは持っていたほうがいいよ。」と言われました。自分も学生時代にとっていたので、そう思ったのでしょう。

それで、娘の高校の入学式が終わって、翌月声楽の発表会が終わってから、英検一級を受験することにしました。試験まであと一ヶ月あったので、過去問をいくつか解いてみました。どんな問題が出るか知っていないといけないと思ったからです。

それから試験まであと2週間と言うときになって私がやったのは次のようなことでした。

ひとつの過去問を自分のできる最速のスピードで最初から最後まで音読することでした。答えが書いていないただの過去問題です。その問題だけを最初の単語のセクションから、最後のエッセイの選択肢まで、とにかく猛スピードで音読しました。音読が終わったら、何分何秒かかったか書いておきます。翌日それよりも5秒でも10秒でも短縮できるよう、また猛スピードで問題文(選択肢などもすべて含む)を最初から最後まで音読しました。こうして、一回の試験問題を、最初に音読したときより30秒くらいは短縮できるように毎日音読していきました。

なぜこんなことをしたのかと言うと、一級の問題文のようなタイプの英語を頭で処理するスピードを上げたかったからです。英語にもいろいろなタイプの英文があります。小説、説明文、論説など、いろいろあります。一級の問題に出るタイプの英文を処理するのに慣れておこうと思ったのです。

一次試験が終わり、2次試験になったとき、私のした勉強は次のようなものでした。縦8センチ、横13センチくらいのカードを用意します。(ノートのように7ミリくらいの間隔で横線がひいてあります。)それに一枚ずつ、過去に出題されたスピーキング試験のテーマを書いていきます。

家の仕事が一段落して、座れたとき、そのカードを一枚テーブルの上において、そのテーマに関してしゃべれるだけ英語でしゃべります。しゃべることは筋道が立っていなくてもいいです。それについて知っていること(断片的な事実でもいいです。)それについて自分が思うこと、感じること、何でもいいですから、とにかくしゃべれるだけ英語でしゃべります。

2次試験はスピーキングの試験ですから、しゃべれなければ、その土俵にも上がれませんので、この段階ではとにかく、間をおかずにしゃべることを訓練します。

一枚目のカードで言うことが出尽くしたら2枚目のカードを見て、またしゃべれるだけ英語でしゃべります。

そうやってしゃべっていると、これは、試験に使えそうだなと言う文がいくつか出てきます。そう思った文はカードに鉛筆で記入します。しゃべっているうちにこれは、ちゃんと調べて事実を確認したほうがいいなと思うようなことも出てきます。そうしたらカードに書いておいて、あとで調べます。

調べた結果わかったことをカードに記入します。ある現象が若い人たちの間に現れ始めた年代を調べたときもありましたし、引用した本の著者名を確認したりもしました。カードのスペースがなくなったら、裏に記入します。それでも足りなくなったら2枚目のカードを用意し、ホチキスで一緒にとめておきます。

出かけるときはこのカードをいつも持っていって、電車を待っているときなどにちょっと見ては、英語で言ってみたり、スピーチの流れを考えたりしました。

こうすると、そのテーマに関することはそのカードを見れば、事実も、自分の意見もすべてわかることになります。英検の2次のテーマは内容は違っても、世の中に与える影響などが大きいものが取り上げられていますから、そのアプローチの仕方は参考になります。

こうして何回もカードを見てしゃべることを繰り返していくと、だんだん考えがまとまってきます。そうしたら、スピーチをする流れに沿って要点を英語で箇条書きにしておきます。自分の意見を言ったら、それをサポートする例や事実は最低でも2つくらいは用意しておきます。

試験の前の日には25,6のテーマについて、一応自分の考えを英語でしゃべれるような状態になっています。また、そのテーマについてのミニ資料は全部カードの中に納まっています。

勉強のやり方は人それぞれですので、私のやり方で何か自分もしてみたいと思う点があれば参考にしてください。

それから、英検一級の2次試験を受験する前にNHK総合テレビ毎週月曜日から木曜日、7時30分から放送している、「クローズアップ現代」という番組を少し見ておくと参考になります。キャスターは国谷裕子さんです。

今世の中で起こっている問題について、問題の性質、世の中への影響、それに対してどういう解決策が考えられるのか、解決策それぞれの長所と短所、などが要領よくまとめられています。産業、経済の分野、外国との関係、医療、さまざまな問題が取り上げられています。その問題へのアプローチの仕方が、2次試験のスピーチの構成の参考になります。

2次試験の前は、いろいろなことに関心を持って、日常生活で目にすることにちょっと心を留めて英語で言ってみたりするといいと思います。

私の場合は、試験の前の週に娘が見ていたテレビ番組が参考になりました。私たちがシカゴにいたころとても話題になったO.J.シンプソンの事件を特集(と言ってもバラエティー番組の中の一つの話題でした。)していました。

私は、夕食後それを一緒に見ながらあのころを思い出しました。裁判の場所をどうするかとか、陪審員をどう選ぶかとか、連日、テレビはその話題一色でした。「ああ、陪審員制度を採る国はこういうところがたいへんなんだなあ。」と私もずいぶん考えさせられました。そうして、こういう問題があってもなお、陪審員制度がなぜアメリカでとられ続けてきたのかも考えたりしました。

試験のとき、もうすぐ日本でも陪審員制度が導入されるときだったので、そのことも、問題の選択肢の中に入っていました。私はそれを選び、あの時シカゴで思ったことを試験官とのやり取りのなかで、述べました。前の週、娘とそのテレビを見たとき、忘れていたいろいろなことを思い出していたので、試験官とのやり取りはスムーズに終わりました。

いつもより、ちょっと意識して、何かきっかけがあったときは、それを考えておくと、役に立つと思います。




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高校入試で子供たちが親の収入によって差別されない為に以下のお知らせを書かせていただきます。

高校入試のスピーキングテストについて(大学入試のスピーキングテストについても同様です)

高校入試のスピーキングテストは本来文部科学省が学校教育で正しい発音を生徒に教えてから行うべきものです。  しかし、文部科学省が教科書にCDもつけず、正しい発音の仕方も学校で教えないまま、高校入試でスピーキングテストを実施する動きが都立高校などで始まっています。 (大学入試でもスピーキングテストが行われようとしています)  これは、スピーキングスキルの習得を塾や予備校、会話学校に丸投げするものです。  学校で教えていないスキルを入試でテストすることはあり得ません。

これでは経済的に余裕のない、塾や会話学校にいけない家庭の子供は誰にも正しい発音を教えてもらえず、練習するCD(音声モデル)も与えられないまま、高校入試でスピーキングテストをされることになり、明らかに親の収入による進路の差別が始まります。(詳しくは2018年3月8日のブログ「高校入試のスピーキングテストは子供を親の収入で差別するもの」をお読みください。)

皆さんの身近に教育関係者がいらっしゃいましたら、ぜひ「高校入試のスピーキングテストは子供を親の収入で差別するもの」であることをお伝えください。  (大学入試のスピーキングテストについても同じことです)  
15歳で親の収入のために進路を差別されるのでは子供たちがあまりにもかわいそうです。

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英語教育については、下のブログも併せてご参照ください。  日付をクリックすると移動できます。
2017年10月12日
文部科学省 新中学校学習指導要領 英語 「4技能」は全く効果がない(子供たちが通じる発音でスラスラ話せるようになる学習指導要領の見本付き)





高校英語教育を文部科学省の誤解に基づいた方針から守るため、以下のご案内を書かせていただきます。

現在文部科学省が「グローバル化に対応した英語教育改革」の目玉として掲げているCAN-DO方式は、ヨーロッパの人々にはできますが、日本語を母国語とする人にはできない方式です。

文部科学省は「CAN-DO方式が日本人には不可能な方式である」と気づいておりません。  導入されれば教育現場は大変迷惑します。  中止する必要があります。  なぜCAN-DO方式が不可能なのかはこちらのブログをお読みください。

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何度もお願いをしているのですが、アマゾンのページで私の本のランキングを下げて妨害をしている人がやめてくれないので、(詳細はこちらです)しばらく以下の文章を掲載させていただくことにしました。

「本を出版する人は、他の著者の妨害をしない。  他の著者を妨害する人は自分の本も出版できない。」
出版社におかれましては、このことを出版の際、著者に理解していただいてください。

私のランキングを妨害している人は、たぶん、現実を受け入れられないのでしょう。
アマゾンの順位を1ペ―ジ目から2ページ目に下げられ、数日でまた2ページ目から3ページ目に下げられて、私は、この方の激しい妨害に驚いています。 

「学習者に正しい発音を習得してほしい」というのが自分の目標でしたら、他人を妨害する必要はありませんね。  他人を妨害してまで、何を手に入れたいのでしょうか。  ベストセラーの著者という名声ですか。  それなら、もうアマゾンで、ご自身の本はベストセラーに認定されているのですから、それで十分でしょう。  この上何が欲しくて私を妨害するのでしょうか?  もう英語教育とは関係ないことですか。 私は、とても困っています。  

私は、こちらに書いてある3つのことをするのが、目的です。  日本人が子音の日本語化を知っているか、いないかで、通じる英語で話せるか話せないかが、決まります。  ですから、このことを読者の皆さんに理解していただくのは、とても大事なことなのです。  私の仕事の妨害をしないでください。 

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クマさん、ウサギさん、ブタさん、それぞれが持っている旗に書かれたことの理由は、2017年7月30日のブログをご覧になるとわかります。