川合典子 ブログ

英語教育、英語学習、発音習得、帰国子女の言語習得について書いています。

日本語のリズムで話された英語は、英語には聞こえない。

3月20日「20年前、初めて日本人の英語は通じていないと知ったとき」http://d.hatena.ne.jp/creato-k/20120320の続編です。

ニュージャージーに赴任して2年が過ぎ、一時帰国したときは私と子供たちは日本の航空会社を利用して帰ってきました。飛行機が成田に着く少し前になって、いつものように、「OO航空をご利用いただきまして、ありがとうございます。(中略)皆様とまた、空の旅でお会いできますことを乗務員一同、楽しみにしております。」というような、機内アナウンスが流れました。日本語のあと、同じスチュワーデスさんが英語で同じ内容を、アナウンスしました。

私にとっては、今まで聞いてきたのと同じ普通の日本人の英語でした。ところが、私の横でうとうとしていた高校生の息子が、がばっと上体を起こして、

「お母さん、これ英語?」と、驚いて聞いてきました。
「そうよ。」
「僕の英語もこういう英語なの?」
アメリカに行ったばかりのころ、あなたにヒストリーの教科書を音読させたころは、こういう読み方だったわよ。」(読むたびに語尾が上がるところ、文の最初が弱いところが似ていました。)

「それって、ヤバイじゃん。。。。。。今の僕の英語は違うよね?」息子はちょっと顔色を変えて、聞きました。
「わからないわ。最近はぜんぜんあなたの音読聞いていないから。」と私は答えました。(一時帰国から戻ったとき、友達と話す息子の英語を聞きましたが、2年前とは全然違っていました。)

このときも私は、ずいぶん驚きました。スチュワーデスさんの英語は特にひどいというわけではありませんでした。よく聞く日本人の英語でした。ただ、デパートの「本日はご来店くださいましてありがとうございます。皆様に催し物のご案内を申し上げます。」と言うようなとてもやわらかいふわふわした言い方でした。

子供の反応に、私は、また、「大学時代、クラスメートの日本語っぽいリズムとイントネーションでも先生(アメリカ人)は理解してくれたけれど、リズムとイントネーションが違う英語は普通のネイティブには英語には聞こえないんだ。」と思いました。

大人になると失礼ですから、「あなたの英語はわかりません。」とは誰も言いません。でも、リズムが日本語っぽい英語は通じません。

日本に来て、日本人の発音に慣れている人ならわかるかもしれませんが、日本人の英語を聞いたことがない人たちには、日本語のリズムで話した英語は「英語には聞こえない。」ようです。

「わかりにくい英語」と言うのではなく、もはや「英語に聞こえない」と言うのがショックでした。しかもその英語は私が学生時代からずっと聞いてきた、日本では当たり前の日本人の英語でした。

アメリカで日本から来た人が英語でスピーチしたら、聞いていたアメリカ人が「彼は日本語でスピーチしている」とずっと思っていたという話をその後、知人から聞きました。

私はそれを聞いて、「やっぱり。。。」と思いました。日本語のリズムで話された英語は日本語に聞こえたのですね。

周りの人が話す外国語を聞いたとき、その外国語を知らなくても、「スペイン語みたい。」「中国語みたい。」とわかることがありますね。それはその言語らしく聞こえるリズムとイントネーションを持っているからです。日本人の英語は英語ではなく日本語のリズムとイントネーションを持っているのですね。

最初にシカゴで「日本人の英語は通じていないのではないか」と思ってから20年近くもたっているのに、またそのことを目の当たりにしました。多分、これは私が、日本の外で、日本人の英語を聞いてきたからわかったことなのだと思います。

「日本人は日本人の英語でいいのだ。」といっている人は、おそらくこういう事実は知らないと思います。日本の中で、日本人の英語を聞いているとこういう経験はしないですね。日本に来るネイティブは一生懸命日本人の英語を理解しようとしてくれますから。

大学生のころの私だって、大学の英会話の先生(アメリカ人)が理解していたから、「日本人の英語は通じる」と何も疑わず、信じていました。でも、日本を出て、留学(学校)でもなく駐在(会社)でもなく、普通のアメリカ社会の中で(テレビの一般の視聴者として、現地の学校で学ぶ子供の母親として)生活してきたら、そうではなかったと知ったわけです。(留学については下に注釈がありますのでお読みください。)

日本語のリズムで話された英語は通じません。これはもう「基本的な音を練習しておけば文章になっても話せる」などという希望的観測は、跡形もなく崩れ去るはっきりした現実です。母国語の影響が最後まで残るリズムとイントネーションが練習もしないで身につくというのが大いなる幻想です。単語の練習のあとにちょこっと練習するくらいでは、とてもとても母国語のリズムから抜け出せません。

こんなにみんなが一生懸命英語を勉強しているのに通じないというのは、非常にもったいないと思います。これは発音(特にリズムとイントネーション)をよくすれば解決する問題です。ですから有効な発音練習の手段を講じていくことはとても重要だと思います。

リズムとイントネーションの練習を、基本の音を習得したら、すぐに開始してください。つまり、基本の音を一通り習ったら、最初から文章(会話の文章です。長文、演説はだめです。)の形で、発音練習してください。そうするとリズムとイントネーションの問題は改善されます。英語のリズムとイントネーションが身につけられます。

日本にいて、外国の人たちと協力して仕事をする場合は、相手も一生懸命日本人の英語を理解しようとしてくれますのでいいですが、これからアメリカに留学する、あるいは仕事で赴任する(特にジョイントベンチャーのように利害が一致する立場でなく、何も知らない相手に自社の製品を売り込んだりする。)場合には英語のリズムとイントネーションで話せるように練習することは大事だと思います。

この場合は「日本人は日本人の英語でよい」と言う姿勢は、かなりマイナスです。そういう英語では彼らには理解できないからです。リズムとイントネーションはぜひ練習して身につけてください。そのためには単語だけや歌でする発音練習はもうやめてください。文章(会話の文章です。長文、演説はだめです。)で発音練習してください。

注釈**(留学の場合は日本語のような英語で話しても、それをどうのこうの言われることはないと思います。 学校ではお互いをrespectすると言うのが先生も生徒も、もっとも大事なこととして位置づけられています。娘の学校で配布された生徒の行動の指針を書いた冊子を読みましたら一番最初にこのことが書いてありました。

私が一時、イギリス英語に興味があったとき、娘に「クラスメートでイギリス英語で話す子はいるの?」と聞いたら、「“だれだれの英語は〜〜だ。”というのは、学校では言ってはいけないことなんだよ。ママ。」と言われました。

ただ相手が「聞きづらい」、「わからない」、となると困るので、リズムやイントネーションはきちんと身につけて留学した方がいいと思います。)**

皆さんにも、なぜ私が、単語だけの発音練習が、役に立たないと思うようになったか、お分かりいただけたと思います。「自分の英語が通じないことさえ知らない日本人は、どんどん世界から置いていかれてしまう。」と、私は強い危機感を感じています。皆さん、ぜひ発音練習のやり方を変えてください。言葉のリズムが違う日本人には、単語だけの発音練習では、役に立たないと知ってください。




* * *


====================================


高校入試で子供たちが親の収入によって差別されない為に以下のお知らせを書かせていただきます。

高校入試のスピーキングテストについて(大学入試のスピーキングテストについても同様です)

高校入試のスピーキングテストは本来文部科学省が学校教育で正しい発音を生徒に教えてから行うべきものです。  しかし、文部科学省が教科書にCDもつけず、正しい発音の仕方も学校で教えないまま、高校入試でスピーキングテストを実施する動きが都立高校などで始まっています。 (大学入試でもスピーキングテストが行われようとしています)  これは、スピーキングスキルの習得を塾や予備校、会話学校に丸投げするものです。  学校で教えていないスキルを入試でテストすることはあり得ません。

これでは経済的に余裕のない、塾や会話学校にいけない家庭の子供は誰にも正しい発音を教えてもらえず、練習するCD(音声モデル)も与えられないまま、高校入試でスピーキングテストをされることになり、明らかに親の収入による進路の差別が始まります。(詳しくは2018年3月8日のブログ「高校入試のスピーキングテストは子供を親の収入で差別するもの」をお読みください。)

皆さんの身近に教育関係者がいらっしゃいましたら、ぜひ「高校入試のスピーキングテストは子供を親の収入で差別するもの」であることをお伝えください。  (大学入試のスピーキングテストについても同じことです)  
15歳で親の収入のために進路を差別されるのでは子供たちがあまりにもかわいそうです。

====================================

英語教育については、下のブログも併せてご参照ください。  日付をクリックすると移動できます。
2017年10月12日
文部科学省 新中学校学習指導要領 英語 「4技能」は全く効果がない(子供たちが通じる発音でスラスラ話せるようになる学習指導要領の見本付き)





高校英語教育を文部科学省の誤解に基づいた方針から守るため、以下のご案内を書かせていただきます。

現在文部科学省が「グローバル化に対応した英語教育改革」の目玉として掲げているCAN-DO方式は、ヨーロッパの人々にはできますが、日本語を母国語とする人にはできない方式です。

文部科学省は「CAN-DO方式が日本人には不可能な方式である」と気づいておりません。  導入されれば教育現場は大変迷惑します。  中止する必要があります。  なぜCAN-DO方式が不可能なのかはこちらのブログをお読みください。

* * *

何度もお願いをしているのですが、アマゾンのページで私の本のランキングを下げて妨害をしている人がやめてくれないので、(詳細はこちらです)しばらく以下の文章を掲載させていただくことにしました。

「本を出版する人は、他の著者の妨害をしない。  他の著者を妨害する人は自分の本も出版できない。」
出版社におかれましては、このことを出版の際、著者に理解していただいてください。

私のランキングを妨害している人は、たぶん、現実を受け入れられないのでしょう。
アマゾンの順位を1ペ―ジ目から2ページ目に下げられ、数日でまた2ページ目から3ページ目に下げられて、私は、この方の激しい妨害に驚いています。 

「学習者に正しい発音を習得してほしい」というのが自分の目標でしたら、他人を妨害する必要はありませんね。  他人を妨害してまで、何を手に入れたいのでしょうか。  ベストセラーの著者という名声ですか。  それなら、もうアマゾンで、ご自身の本はベストセラーに認定されているのですから、それで十分でしょう。  この上何が欲しくて私を妨害するのでしょうか?  もう英語教育とは関係ないことですか。 私は、とても困っています。  

私は、こちらに書いてある3つのことをするのが、目的です。  日本人が子音の日本語化を知っているか、いないかで、通じる英語で話せるか話せないかが、決まります。  ですから、このことを読者の皆さんに理解していただくのは、とても大事なことなのです。  私の仕事の妨害をしないでください。 

* * *

* * * 


クマさん、ウサギさん、ブタさん、それぞれが持っている旗に書かれたことの理由は、2017年7月30日のブログをご覧になるとわかります。