川合典子 ブログ

英語教育、英語学習、発音習得、帰国子女の言語習得について書いています。

通じない英語

私は働いていたころの友人数人と今でも年に2回ほど会います。 女性の勉強会(2012年1月11日のブログに書いてあります)をやっていたころの延長で、「例会」と称して、年に2回定期的にあっています。 みんな第一線で仕事をしてきた人たちです。 この前、春にあったとき、「日本人の英語って、日本の外では通じないの。」と言ったら、みんなの反応は「ウッソー!!」でした。 それで、手っ取り早く分かるように、「ご飯、パンって言ってみて。そのNは英語のNじゃないでしょう?」と言ったら、「本当だ。。。」と驚いていました。

日本に来るネイティブが日本人の英語を理解してくれるから、みんなはそうは思っていなかったようです。 でも、10月10日にご紹介した読者の方のメールにもあったように、日本の外に出たら、日本人の英語は通じません。 

留学して英語が変でも面と向かって何も言われないのは2012年4月4日のブログに書いたように学校で「だれだれの英語は〜〜だ」と言ってはいけないと、小さいときから教えられてきたからでしょう。また、大人にそういうことを言うのは失礼だと、思うこともあるでしょう。

私が20年も前にそのことを知っても、誰にも言わなかったのは、おそらく言っても、日本では誰も本気にしてはくれないだろうと思ったからでした。(日本に来るネイティブは日本人の英語を理解してくれるからです) また、私が言わなくても、誰か、海外の事情を良く知っている人が言ってくれるだろうと思っていたからでした。

そして、海外の事情をよく知る方々が、そのことを日本でも、著書などでおっしゃってきたようです。 私自身は、2008年に出版された、水村美苗さんのかかれた「日本語が亡びるとき 英語の世紀の中で」と言う本の中で、そういう方々の著書を知りました。 水村美苗さんも通じない日本人の英語が国益を大きく損なっていることを心配している人々の一人です。

けれども、こうして、いろいろな方が警鐘を鳴らしてきても、20年たっても、30年たっても、日本人の英語が通じないことは、日本国内ではほとんどの人が知らないという状況は変わっていません。

そして、20年たっても、30年たっても、日本人の英語は日本の外では通じないという現実も変わっていません。 日本人は通じる発音で話そうと、その間、大変な努力をしてきたと私は思います。だから書店に行けば私が若いころに見た何倍もの発音の本が置いてあります。 みんなそれを買って一生懸命発音を勉強して来たに違いないのです。なのに日本人の発音は、ちっとも良くなって来なかったのです。

なぜでしょう。

それはやり方が違ったのだと私は思っています。

発音記号ごとの口の形を覚えても英語は通じるようには話せなかったのです。 
単語ごとの発音を練習しても英語は通じるようには話せなかったのです。

通じる英語を話すためには、音のみならず、リズムやイントネーションを含んだ文章の形で発音練習しなければ、ならなかったのです。 また、途中で止まらないで文の最初から最後まで、一気に言うことが必要だったのです。(そうしないと、イントネーションとリズムは違ってきます。)

今からでも遅くはありません。 皆さん、文章を最初から最後まで一気に言う発音練習をしてください。 今まで、何十年もやってきて、まったく役に立たなかったとわかった練習方法はやめましょう。 これからは発音は文章で、最初から最後まで止まらずに言う練習をしましょう。これなら確実に通じます。 文章丸ごと正しい発音で言えるように練習するのですから、必ず通じます。

そのためには、お手本の英文を何度も聞いて、「もう実際に聞かなくてもその英文が耳の中に聞こえる」と言う状態になるまで聞いてください。そうすると、リズムやイントネーションも同じように言えるようになります。  

実際の文章を聞かないで、単語を自分の頭の中で組み立てたリズムとイントネーションでしゃべることは、やめて下さい。自己流のリズムとイントネーションが身についてしまいます。 必ず、実際に話された英語のお手本を使ってください。 

このときに使う文は会話の文にしてください。最もよくリズムとイントネーションが身につきます。 何度も言っているように初心者が最初から最後まで、リズムとイントネーションを把握できない演説や物語などの長文は不可です。 

日本人は努力する人が多いと私は思います。 その努力を正しい方法で積み重ねれば、必ず、発音の問題は乗り越えられます。 

まず、自分でモデルの英文を聞いてください。たくさん聞いたら、自分で言って見ましょう。そうしたら、自分の発音を録音してください。モデルと比べて何が違っているか自分で分かるように練習してください。(川合メソッドは、両者の違いを見つける練習も音3つくらいの易しい単語から練習していきます。)

他人に注意されたとおり言っても、正しい発音はできないのです。
今年2月のホームページでの発音のヒントで取り上げたSの発音の場合も、他人に「Sを強く発音しなさい」と言われている間は、学習する人は、正しく発音できなかったと思います。でも、自分で、モデルと自分のSの発音の「長さの違い」が聞けたら、正しいSの発音でしゃべれたと思います。あの、メリル・ストリープの長いSを自分の耳で聞けば同じように言えたと思います。 他人が注意するのでは、だめなのです。 自分の耳で、「自分の発音はモデルと比べてどう違っているのか」を理解できたとき、発音は正しく変えられるのです。

通じる発音を身につけることは出来ます。 努力を正しい方法で積み重ねていけば必ずできます。 自分の耳で聞けたことは言えるのです。 自分の耳で認識したことは直せるのです。自分の耳と口、両方の力を使って、文章で発音を習得して下さい。必ず通じる発音でしゃべれるようになります。

***英語学習のヒント***

リスニングの練習も大事ですが、聞いているだけでは、日本の良いもの、優れているもの、役立つものを世界の人々に知ってもらうことはできません。 発信すること、アピールすることは、これからの日本にとって、とても重要だと思います。そのためには、通じる英語でしゃべることがどうしても必要です。 これは日本の産業にとっても、とても重要なことだと思います。 

通じる英語をしゃべる為には、自分のしゃべった英語をまず、録音して聞いてください。自分の英語の本当の姿を知らなければ、直すこともできません。耳は、かつて、言語習得の中枢に居た器官なのです。耳を言葉の習得から排除しないで下さい。これについては英語学習に役立つ過去のブログ http://d.hatena.ne.jp/creato-k/20110531(7)「機械に発音の判定をさせるということ」をお読みください。なおSの発音については(6)をお読みください。





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高校入試で子供たちが親の収入によって差別されない為に以下のお知らせを書かせていただきます。

高校入試のスピーキングテストについて(大学入試のスピーキングテストについても同様です)

高校入試のスピーキングテストは本来文部科学省が学校教育で正しい発音を生徒に教えてから行うべきものです。  しかし、文部科学省が教科書にCDもつけず、正しい発音の仕方も学校で教えないまま、高校入試でスピーキングテストを実施する動きが都立高校などで始まっています。 (大学入試でもスピーキングテストが行われようとしています)  これは、スピーキングスキルの習得を塾や予備校、会話学校に丸投げするものです。  学校で教えていないスキルを入試でテストすることはあり得ません。

これでは経済的に余裕のない、塾や会話学校にいけない家庭の子供は誰にも正しい発音を教えてもらえず、練習するCD(音声モデル)も与えられないまま、高校入試でスピーキングテストをされることになり、明らかに親の収入による進路の差別が始まります。(詳しくは2018年3月8日のブログ「高校入試のスピーキングテストは子供を親の収入で差別するもの」をお読みください。)

皆さんの身近に教育関係者がいらっしゃいましたら、ぜひ「高校入試のスピーキングテストは子供を親の収入で差別するもの」であることをお伝えください。  (大学入試のスピーキングテストについても同じことです)  
15歳で親の収入のために進路を差別されるのでは子供たちがあまりにもかわいそうです。

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英語教育については、下のブログも併せてご参照ください。  日付をクリックすると移動できます。
2017年10月12日
文部科学省 新中学校学習指導要領 英語 「4技能」は全く効果がない(子供たちが通じる発音でスラスラ話せるようになる学習指導要領の見本付き)




高校英語教育を文部科学省の誤解に基づいた方針から守るため、以下のご案内を書かせていただきます。

現在文部科学省が「グローバル化に対応した英語教育改革」の目玉として掲げているCAN-DO方式は、ヨーロッパの人々にはできますが、日本語を母国語とする人にはできない方式です。

文部科学省は「CAN-DO方式が日本人には不可能な方式である」と気づいておりません。  導入されれば教育現場は大変迷惑します。  中止する必要があります。  なぜCAN-DO方式が不可能なのかはこちらのブログをお読みください。

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何度もお願いをしているのですが、アマゾンのページで私の本のランキングを下げて妨害をしている人がやめてくれないので、(詳細はこちらです)しばらく以下の文章を掲載させていただくことにしました。

「本を出版する人は、他の著者の妨害をしない。  他の著者を妨害する人は自分の本も出版できない。」
出版社におかれましては、このことを出版の際、著者に理解していただいてください。

私のランキングを妨害している人は、たぶん、現実を受け入れられないのでしょう。
アマゾンの順位を1ペ―ジ目から2ページ目に下げられ、数日でまた2ページ目から3ページ目に下げられて、私は、この方の激しい妨害に驚いています。 

「学習者に正しい発音を習得してほしい」というのが自分の目標でしたら、他人を妨害する必要はありませんね。  他人を妨害してまで、何を手に入れたいのでしょうか。  ベストセラーの著者という名声ですか。  それなら、もうアマゾンで、ご自身の本はベストセラーに認定されているのですから、それで十分でしょう。  この上何が欲しくて私を妨害するのでしょうか?  もう英語教育とは関係ないことですか。 私は、とても困っています。  

私は、こちらに書いてある3つのことをするのが、目的です。  日本人が子音の日本語化を知っているか、いないかで、通じる英語で話せるか話せないかが、決まります。  ですから、このことを読者の皆さんに理解していただくのは、とても大事なことなのです。  私の仕事の妨害をしないでください。 

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クマさん、ウサギさん、ブタさん、それぞれが持っている旗に書かれたことの理由は、2017年7月30日のブログをご覧になるとわかります。