川合典子 ブログ

英語教育、英語学習、発音習得、帰国子女の言語習得について書いています。

簡潔な音の説明が文章での発音練習を可能にします。

私が発音練習を始めたのは中学一年生の時、当時、親に買ってもらったテープの教材で、そっくり同じに言う練習をしました。けれども「同じように発音してください」と解説書に書いてあっても、初めて言う音はどう発音したらよいのか分かりませんでした。

それで、当時のNHKラジオの基礎英語を聞いて、先生が説明してくれる発音のしかたを参考にして、同じ音が出るように発音していきました。

そのとき基礎英語の先生がしてくれた説明はとても簡単な説明でした。それをそのまま覚えたり、あるいは、自分で練習して、「暗い音」だとか、「澄んだ音」だとか自分の言葉でそれに変えて、音の特徴を捉えていきました。

大学では、英語の教師を目指す学生には音声学の授業が必修でした。 津田塾大学では、音声学のテキストは原書でした。 その音の解説を読みながら、中学の時から、たったあれだけの注意を守ってきただけなのに、自分の発音の仕方がほとんど、その教科書の記述に当てはまっていたので私は驚きました。

中学生の私がなぜ誰の指導も受けずに大学生までその発音の仕方を続けることができたのか? 理由は2つあります。 

一つ目の理由は

各音の出し方の説明が簡潔だったこと。「鋭く暗く」なんて、すごく簡単な言葉にして特徴を捉えていました。 複雑なことを言われると実際にするのも大変です。でも、簡単なことなら、すぐにできるし覚えます。

二つ目の理由は

それが一つか二つの少ない説明だったこと。一つの音の出し方について、たくさんの説明をいわれると覚えるのも、実際にやるのも面倒です。でも一つか二つなら、文章を発音をしながらでも、覚えていられました。

文章の発音を自分の耳で聞きながら身につけた人には、よくわかると思いますが、一瞬で思い出せない注意は、文章の発音練習には使えないのです。自分でやってみればすぐに分かります。

発音は文章で習得しなければ使えません。文章の練習には、一瞬頭をよぎって、さっと分かる注意でないと、役には立たないのです。

さらにこういう簡単な発音に関する注意は「よくわからない」とか「難しい」と言う心の重荷を引き起こしませんので、時間になれば、さっさとテープレコーダーを取り出して、すぐに発音練習を始められました。 つまり心理的な障害がなかったわけです。

こんな「簡単で少ない説明」しか知らなくて、どうして大学の音声学の教科書の説明とほとんど違わない発音が身についたのかと言えば、最後は耳で音を聞いて同じように聞こえるように発音練習してきたからでした。耳で聞くことはたくさんの詳しい発音の説明より、効果があったわけですね。

簡単な注意と耳で発音チェックをするというやりやすさが、大学生になるまで、その発音の仕方を続けられた理由です。

「発音の説明は簡単に一つか二つ、音は耳で確認」

これが、中学生が一人でもその発音の仕方を大人になるまで続けてこられた理由です。

川合メソッドの各音に対する簡潔な説明は、文章で発音練習することを可能にします。私はいわば、「音にレッテルを貼った」わけです。生徒さんは多分、cut と言う単語を見れば、「鋭く暗く」と言う私の声が、頭をよぎる状態になっていると思います。その声が頭をよぎった瞬間、いつも練習している口の形を無意識にとるわけです。だから、文章で発音練習しても、その音を言うときに単語で練習したとおりに言えるのです。

cutのアの母音=鋭く暗く=単語で練習したときの自分の口の状態 この反応が、cut と言う単語を見たとたん一瞬で起こるように、いわば、条件反射を利用して発音習得を行っているのです。

私は川合メソッドを「発音を研究する人」のためではなく、「正しい発音でしゃべりたい人」のために本にしました。 13歳、14歳の子が、誰の指導も受けずに、一人で大人になるまで練習を続けた経験から作られたメソッドです。誰にでもできます。その秘密は的確で簡潔な音の説明にあります。

これに関連した内容は2015年3月13日のブログ「キーワードと耳の力(一つのことが出来るように練習していくと、なぜ全体が出来るようになるのか。)」にも書いてあります。 こちらも、参考にしてください。




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高校入試で子供たちが親の収入によって差別されない為に以下のお知らせを書かせていただきます。

高校入試のスピーキングテストについて(大学入試のスピーキングテストについても同様です)

高校入試のスピーキングテストは本来文部科学省が学校教育で正しい発音を生徒に教えてから行うべきものです。  しかし、文部科学省が教科書にCDもつけず、正しい発音の仕方も学校で教えないまま、高校入試でスピーキングテストを実施する動きが都立高校などで始まっています。 (大学入試でもスピーキングテストが行われようとしています)  これは、スピーキングスキルの習得を塾や予備校、会話学校に丸投げするものです。  学校で教えていないスキルを入試でテストすることはあり得ません。

これでは経済的に余裕のない、塾や会話学校にいけない家庭の子供は誰にも正しい発音を教えてもらえず、練習するCD(音声モデル)も与えられないまま、高校入試でスピーキングテストをされることになり、明らかに親の収入による進路の差別が始まります。(詳しくは2018年3月8日のブログ「高校入試のスピーキングテストは子供を親の収入で差別するもの」をお読みください。)

皆さんの身近に教育関係者がいらっしゃいましたら、ぜひ「高校入試のスピーキングテストは子供を親の収入で差別するもの」であることをお伝えください。  (大学入試のスピーキングテストについても同じことです)  
15歳で親の収入のために進路を差別されるのでは子供たちがあまりにもかわいそうです。

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英語教育については、下のブログも併せてご参照ください。  日付をクリックすると移動できます。
2017年10月12日
文部科学省 新中学校学習指導要領 英語 「4技能」は全く効果がない(子供たちが通じる発音でスラスラ話せるようになる学習指導要領の見本付き)




高校英語教育を文部科学省の誤解に基づいた方針から守るため、以下のご案内を書かせていただきます。

現在文部科学省が「グローバル化に対応した英語教育改革」の目玉として掲げているCAN-DO方式は、ヨーロッパの人々にはできますが、日本語を母国語とする人にはできない方式です。

文部科学省は「CAN-DO方式が日本人には不可能な方式である」と気づいておりません。  導入されれば教育現場は大変迷惑します。  中止する必要があります。  なぜCAN-DO方式が不可能なのかはこちらのブログをお読みください。

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何度もお願いをしているのですが、アマゾンのページで私の本のランキングを下げて妨害をしている人がやめてくれないので、(詳細はこちらです)しばらく以下の文章を掲載させていただくことにしました。

「本を出版する人は、他の著者の妨害をしない。  他の著者を妨害する人は自分の本も出版できない。」
出版社におかれましては、このことを出版の際、著者に理解していただいてください。

私のランキングを妨害している人は、たぶん、現実を受け入れられないのでしょう。
アマゾンの順位を1ペ―ジ目から2ページ目に下げられ、数日でまた2ページ目から3ページ目に下げられて、私は、この方の激しい妨害に驚いています。 

「学習者に正しい発音を習得してほしい」というのが自分の目標でしたら、他人を妨害する必要はありませんね。  他人を妨害してまで、何を手に入れたいのでしょうか。  ベストセラーの著者という名声ですか。  それなら、もうアマゾンで、ご自身の本はベストセラーに認定されているのですから、それで十分でしょう。  この上何が欲しくて私を妨害するのでしょうか?  もう英語教育とは関係ないことですか。 私は、とても困っています。  

私は、こちらに書いてある3つのことをするのが、目的です。  日本人が子音の日本語化を知っているか、いないかで、通じる英語で話せるか話せないかが、決まります。  ですから、このことを読者の皆さんに理解していただくのは、とても大事なことなのです。  私の仕事の妨害をしないでください。 

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クマさん、ウサギさん、ブタさん、それぞれが持っている旗に書かれたことの理由は、2017年7月30日のブログをご覧になるとわかります。