川合典子 ブログ

英語教育、英語学習、発音習得、帰国子女の言語習得について書いています。

長い子音を文章のなかで発音できるようにするにはどうしたらよいか。(1)

8月から日本人の英語が通じないのは、基本の音の発音の仕方を知らないからではなく、習った基本の発音が会話になると日本語の子音の言い方にすり替わってしまうからだと説明してきました。

これはホームページの「通じない日本人の発音」のページhttp://creato-k.com/advice-summary-010.htmlをご覧になれば理解していただけると思います。  すり替わるのは本人も気付かないうちに行われていますので、お手本と比べて自分の発音をチェックする練習が必要になります。

この子音のすり替わりは単語で発音練習していると現れません。  
演説のように一つ一つの言葉を強く発音するしゃべり方でもそれほど現れません。  
ナチュラルスピードで、強弱のリズムに乗せてしゃべる会話の文章で現れます。

それではどのように子音の長さを保って文章の発音練習をするかについて、今日はお話したいと思います。

まず、いきなり、文章の中にある単語の最初の子音を長く発音するのは難しいです。  それで、文章の一番最初の子音から練習して行きます。  文章の一番最初の子音なら余裕を持って準備出来ますね。

たとえば、

Let's go to the park.

という文章があったとしたら、最初の単語 (Let's) の最初の子音 (L) を長く言ってみます。  これなら誰でも出来ますね。  リズムへの影響も少ないです。  

舌の先を上の前歯の歯茎にぐっと押し付けて、その状態を保ったままルー(実際には舌がLのポジションにある状態で音を伸ばしてください。  母音は入りません)と伸ばして、

ルーレッツ go to the park.

のように言ってみます。  舌が歯茎から離れるのは「レッツ」の「レ」のところです。  「ルー」のところでは舌先をずっと歯茎につけて、発音してください。   お手本の子音の長さより、少し長くなってもかまいません。  少しどころか、すごく長くなってもかまいません。  この練習の目的は、「日本語とは違う、長さを保って発音する子音の言い方(英語の子音の言い方)」を自分の体に体験させることにあります。

そうすると「子音を長く言う」ということに口が慣れます。  口ばかりでなく、その音を聞いている耳も、長い子音を聞くことに慣れます。 

「耳が慣れる」ということはとても重要なのです。  耳は今まで聞いたことのない「日本語とは違う長さを保つ子音」をここで初めて知るようになります。  こういう長い子音を聞くことに耳が慣れてくると次第に文章の中に入った単語の最初の子音が長いことも、聞けるようになって来ます。

ですからまず、文章の最初の子音を長く言う練習をして、耳、口ともに、長い子音を言うこと(聞くこと)に慣れるようにしてください。  日本語だけ話していたら、死ぬまですることのなかった発音の仕方ですから(ちょっと大げさな言い方ですね)よく慣れてください。

L以外に、Rも文の最初なら練習しやすいです。  ほかにはN, M、 W, F、 Sなども文頭に来た場合は少し大げさになっていいですから長く言う練習をしてください。  その時、長く伸ばした子音をよく聞くことも忘れないでください。

文の最初の子音ですから準備をしっかりして十分長さを保って発音してください。
  

こういう練習を続けていくと、少しずつ文の中にある単語の最初の子音の長さも聞こえるようになります。  Littleという単語などは比較的Lが長く言われますから、聞きやすいと思います。  「リトル」という音の最初に「ルー」というような音を聞いたら、その音を自分が「関係ない音」と無意識に耳から排除してしまわないよう気をつけて聞いてください。  これについては8月10日のブログhttp://d.hatena.ne.jp/creato-k/20130810に書いたMの音の例を参考にしてください。

こうして、文中の単語の最初の子音が長いことも聞けるようになると、「文中でもこういう風に発音するんだ」とわかってきて自分でもいえるようになります。  (自分で分かって来るようになると発音練習に興味もわいてきます)


発音練習ではこうやって細部まで、集中して音を聞くことがとても大事です。  こうして、英語と日本語の子音の長さの違いを聞き取れるようになった人は、「集中して細部まで音を聞かないと、日本人の発音が通じない理由に気づけない」ということが分かってきます。    

また、この2つの子音の長さの違いが聞き取れるようになった人は、「なぜ、お手本と自分の発音を聞いて、違いに気付く練習が必要なのか」その理由も分かってきます。  

音の違いが聞けるようになると、細部まで、発音を聞き取る重要性がよくわかります。


文章の中にある発音の違いを聞き取ることは、文章で音を聞き比べる練習をしないと出来るようになりません。  ですから基本の発音の口の形を教える先生が、必ずしも文章のなかの音の違いを聞けるわけではありません。  (これについては2013年11月6日のブログ「私と同じことを聞き分ける生徒さん」をお読みください)  

逆に、生徒でも、文章の発音を聞き比べる練習をした人は、この文章の中にある子音の長さの違いを聞くことができるようになります。   聞けるようになった人達は、私が、ディスカバリーチャネルで、日本人の研究者が流暢に英語をしゃべった時に子音が短いと感じた事と同じことを日本人の英語を聞いて感じるようになると思います。    (その時は研究者の方々は英語でしゃべっていましたがテレビ画面には英語字幕が出ました)   

こんなに微細な長さの違いなのに、この小さな音の違いが、いかに日本人の英語を通じなくするという重大な問題を引き起こしていたか、子音の長さの違いが聞けるようになった人たちには、 よくわかると思います。  

これからは「先生だから」「生徒だから」ではなく、練習して文章の子音の違いを聞けるようになった人が、まだ、子音の長さの違いや子音のすり替わりを聞けない友達に、「ほら、こうやって発音すると英語の子音の長さは日本語の子音の長さとは違うんだよ。」と教えてあげたらいいと思います。


身近な人がお手本を見せてくれると、日本人にはとてもわかりやすいです。  正しく発音しているのが自分の身近な人なら、「自分も当然出来る」と教えてもらった人は思いますね。  先生やネイティブでなくていいのです。  文章の発音を聞く練習をして出来るようになった人が周りの人に教えてあげてください。  そうすれば、日本人の英語が外国の人たちにも理解されやすくなります。  それは、みんなにとって利益になることだと思います。 

生徒でも練習すれば音は聞けます。  ぜひ皆さん、ご自分で音を聞く練習をなさってください。



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高校入試で子供たちが親の収入によって差別されない為に以下のお知らせを書かせていただきます。

高校入試のスピーキングテストについて(大学入試のスピーキングテストについても同様です)

高校入試のスピーキングテストは本来文部科学省が学校教育で正しい発音を生徒に教えてから行うべきものです。  しかし、文部科学省が教科書にCDもつけず、正しい発音の仕方も学校で教えないまま、高校入試でスピーキングテストを実施する動きが都立高校などで始まっています。 (大学入試でもスピーキングテストが行われようとしています)  これは、スピーキングスキルの習得を塾や予備校、会話学校に丸投げするものです。  学校で教えていないスキルを入試でテストすることはあり得ません。

これでは経済的に余裕のない、塾や会話学校にいけない家庭の子供は誰にも正しい発音を教えてもらえず、練習するCD(音声モデル)も与えられないまま、高校入試でスピーキングテストをされることになり、明らかに親の収入による進路の差別が始まります。(詳しくは2018年3月8日のブログ「高校入試のスピーキングテストは子供を親の収入で差別するもの」をお読みください。)

皆さんの身近に教育関係者がいらっしゃいましたら、ぜひ「高校入試のスピーキングテストは子供を親の収入で差別するもの」であることをお伝えください。  (大学入試のスピーキングテストについても同じことです)  
15歳で親の収入のために進路を差別されるのでは子供たちがあまりにもかわいそうです。

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英語教育については、下のブログも併せてご参照ください。  日付をクリックすると移動できます。
2017年10月12日
文部科学省 新中学校学習指導要領 英語 「4技能」は全く効果がない(子供たちが通じる発音でスラスラ話せるようになる学習指導要領の見本付き)





高校英語教育を文部科学省の誤解に基づいた方針から守るため、以下のご案内を書かせていただきます。

現在文部科学省が「グローバル化に対応した英語教育改革」の目玉として掲げているCAN-DO方式は、ヨーロッパの人々にはできますが、日本語を母国語とする人にはできない方式です。

文部科学省は「CAN-DO方式が日本人には不可能な方式である」と気づいておりません。  導入されれば教育現場は大変迷惑します。  中止する必要があります。  なぜCAN-DO方式が不可能なのかはこちらのブログをお読みください。

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何度もお願いをしているのですが、アマゾンのページで私の本のランキングを下げて妨害をしている人がやめてくれないので、(詳細はこちらです)しばらく以下の文章を掲載させていただくことにしました。

「本を出版する人は、他の著者の妨害をしない。  他の著者を妨害する人は自分の本も出版できない。」
出版社におかれましては、このことを出版の際、著者に理解していただいてください。

私のランキングを妨害している人は、たぶん、現実を受け入れられないのでしょう。
アマゾンの順位を1ペ―ジ目から2ページ目に下げられ、数日でまた2ページ目から3ページ目に下げられて、私は、この方の激しい妨害に驚いています。 

「学習者に正しい発音を習得してほしい」というのが自分の目標でしたら、他人を妨害する必要はありませんね。  他人を妨害してまで、何を手に入れたいのでしょうか。  ベストセラーの著者という名声ですか。  それなら、もうアマゾンで、ご自身の本はベストセラーに認定されているのですから、それで十分でしょう。  この上何が欲しくて私を妨害するのでしょうか?  もう英語教育とは関係ないことですか。  私はとても困っています。  

私は、こちらに書いてある3つのことをするのが、目的です。  日本人が子音の日本語化を知っているか、いないかで、通じる英語で話せるか話せないかが、決まります。  ですから、このことを読者の皆さんに理解していただくのは、とても大事なことなのです。  私の仕事の妨害をしないでください。 

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クマさん、ウサギさん、ブタさん、それぞれが持っている旗に書かれたことの理由は、2017年7月30日のブログをご覧になるとわかります。