川合典子 ブログ

英語教育、英語学習、発音習得、帰国子女の言語習得について書いています。

読者の方からの質問(2)

昨日掲載いたしました読者の方からのご質問に対する私の回答は下のような内容でした。 メールをそのまま、転載いたします。

* * * * *


1年2ヶ月も地道に練習を続けてくださって私もとてもうれしいです。

それではご質問にお答えいたしますね。

最終的にどのような仕事に英語を使いたいかによって、
日本語を介在させるかさせないかが決まってきます。

通訳や翻訳を目指す方は常に英語と日本語を関連付けて
学んでいくことになります。 
したがって、日本語訳をつくり、日本語訳を見て英語が
言えるようになる練習も必要になりますね。

もう一つは留学やアメリカ人のいる会社などで働く場合で、
自分が英語を理解できれば特に日本語に訳す必要がない場合です。

この場合は、日本語訳をノートに書いてみるのは、
そのほうが理解がしっかりするのであれば、
それでも良いと思います。 
I have a book. This is a pen. のように、
たくさん言っていると日本語訳は頭から消えていきます。

けれども、日本語訳を見て英語を言う練習は、
違う方法に変えてみた方が英語が使いやすくなると思います。
私がやってきた方法なのですが、それを説明します。

たいてい、英語学校のテキストはある状況の中で
交わされるいくつかの会話がその内容になっていると思います。

それでしたら、全文の意味が分かったところで、
最初から最後まで(長かったら途中で分けて2パートにしても結構です。)
その場面で言われる会話全体を暗記して言えるようにします。 
翌週自分が覚えているかどうかチェックするときも、
最初から最後まで、全文を言えるかどうか、チェックします。

つまり一つ一つの文を日本語を見て言うのではなく、
ある状況で交わされる会話をそのまま最初から最後まで、
言えるように暗記します。

どうしてこういうことを私がしてきたかと言いますと、
一つの理由は、日本語を介在させると、
やはり頭の英語処理のスピードが落ちます。 
もう一つの理由は、ある状況で言われる英語を、
状況を感じながら(日本語をはさまず、)あたかも自分がそこで
英語をしゃべっているように練習しておくと、
同じ状況に置かれたときに、そういう英語の文章が、
自然に頭の中に浮かんで口に出てくるようになります。 
私は練習した英語がそれと似たような状況になったとき
良く口から出てくることがありました。

ですから日本語訳をきっかけにして英訳を言うより、
会話文が言われた状況をかんじながら英語を暗記しておく方が、
英語が使えるようになると思います。 

私はあまり「日本語を見て英語を言う」という練習はしませんでした。 
記憶に残っているのは、大学3年生のときに履修した、
時事英語のクラスの試験の時には、減点法で非常に厳しく
採点されましたので、新聞の日本語から一字一句間違えず、
英文を言えるように練習しましたが、それ以外は、
日本語訳から英語を言うという練習はあまりしたことがありません。 
いつも日本語を挟まずに会話全体を、言われた状況を感じながら、
言えるようにする練習をしていました。 
その方が覚えた英語を使いやすいと思います。 
自然に英語が口から出てくるようになります。

その時でも、自分が言っている英文の意味は最初にしっかり
分かっていてくださいね。 
初期の学習でフィーリング読みしてしまうと、
英語力の伸びが止まります。 
(これは2冊目の本に書きましたので、もうお分かりだと思います。)


最後にお話しておきたいのは、英語は最初のうちはどうしても
暗記しなければなりませんが、そのやりかたに注意をしてください、
と言うことです。

英文を暗記しようと思って、読むと、発音が崩れます。 
次に言う単語を必死に覚えて口から出てくるようにしますので、
発音にかまっていることが出来なくなります。 
リズムは日本語のようになりますし、イントネーションも日本語に似てきます。
子音も小さくなり、口の開け方は狭くなり、音は美しさを失い、
文はリズムと関係ないところで切れたり引き伸ばされたりします。

学生時代は暗記するものが多かったので、私は自分の英語がこういう風に
変わってしまうのがいやでたまりませんでした。 
こんな発音で自分の口から英語が出てくることがとてもいやでした。

それで、どうしたかと言いますと、
英文は暗記しようとして、読まないことに決めました。  
暗記しなければならない文章を50回でも60回でも100回でも読んで、
その結果、自然に口からその文章が出てくるようにしました。 
私が川合メソッドの練習過程で「70回言う」と言うステップを入れているのは、
私自身のこういう経験から来ています。 

暗記しようとして声に出して言うのではなく、正しい発音で繰り返し
70回言って、その結果、正しい発音のまま暗記が出来た。
と言う状態に持っていってもらいたいのです。
(中学の教科書の文章はたいてい70回くらい繰り返すと覚えました。
ですから、川合メソッドでは70回繰り返して言っていただくことになっています。)

英語学習に暗記はつき物ですが、
私はこういう理由から暗記目的の練習はしませんでした。 
いつも発音練習を繰り返して、その結果、
文章が自然に暗記できてしまった、と言う状態に持っていくようにしました。

A子さんは子ども英会話講師の面接のとき、
「張りのある声で、すごく流暢に話されますね。」とほめられたそうですね。 
今、英語を話している日本人の中で、「張りのある声」「流暢」
(つまり滑らかに話せている)、この二つを満たせる人は少ないと思いますので、
一人でここまで発音練習を続けていらした努力はとても立派だと思います。
どうぞ、その発音を大事にしてくださいね。 

それから、A子さんのメールをブログで紹介させていただいてもいいでしょうか? 
きっと川合メソッド実践中の方の励みになることと思います。

川合典子

* * * * * 

以上が私の返事でした。 
同じような疑問を持っていらした方は、どうぞご参考になさってください。




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高校入試で子供たちが親の収入によって差別されない為に以下のお知らせを書かせていただきます。

高校入試のスピーキングテストについて(大学入試のスピーキングテストについても同様です)

高校入試のスピーキングテストは本来文部科学省が学校教育で正しい発音を生徒に教えてから行うべきものです。  しかし、文部科学省が教科書にCDもつけず、正しい発音の仕方も学校で教えないまま、高校入試でスピーキングテストを実施する動きが都立高校などで始まっています。 (大学入試でもスピーキングテストが行われようとしています)  これは、スピーキングスキルの習得を塾や予備校、会話学校に丸投げするものです。  学校で教えていないスキルを入試でテストすることはあり得ません。

これでは経済的に余裕のない、塾や会話学校にいけない家庭の子供は誰にも正しい発音を教えてもらえず、練習するCD(音声モデル)も与えられないまま、高校入試でスピーキングテストをされることになり、明らかに親の収入による進路の差別が始まります。(詳しくは2018年3月8日のブログ「高校入試のスピーキングテストは子供を親の収入で差別するもの」をお読みください。)

皆さんの身近に教育関係者がいらっしゃいましたら、ぜひ「高校入試のスピーキングテストは子供を親の収入で差別するもの」であることをお伝えください。  (大学入試のスピーキングテストについても同じことです)  
15歳で親の収入のために進路を差別されるのでは子供たちがあまりにもかわいそうです。

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英語教育については、下のブログも併せてご参照ください。  日付をクリックすると移動できます。
2017年10月12日
文部科学省 新中学校学習指導要領 英語 「4技能」は全く効果がない(子供たちが通じる発音でスラスラ話せるようになる学習指導要領の見本付き)




高校英語教育を文部科学省の誤解に基づいた方針から守るため、以下のご案内を書かせていただきます。

現在文部科学省が「グローバル化に対応した英語教育改革」の目玉として掲げているCAN-DO方式は、ヨーロッパの人々にはできますが、日本語を母国語とする人にはできない方式です。

文部科学省は「CAN-DO方式が日本人には不可能な方式である」と気づいておりません。  導入されれば教育現場は大変迷惑します。  中止する必要があります。  なぜCAN-DO方式が不可能なのかはこちらのブログをお読みください。

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何度もお願いをしているのですが、アマゾンのページで私の本のランキングを下げて妨害をしている人がやめてくれないので、(詳細はこちらです)しばらく以下の文章を掲載させていただくことにしました。

「本を出版する人は、他の著者の妨害をしない。  他の著者を妨害する人は自分の本も出版できない。」
出版社におかれましては、このことを出版の際、著者に理解していただいてください。

私のランキングを妨害している人は、たぶん、現実を受け入れられないのでしょう。
アマゾンの順位を1ペ―ジ目から2ページ目に下げられ、数日でまた2ページ目から3ページ目に下げられて、私は、この方の激しい妨害に驚いています。 

「学習者に正しい発音を習得してほしい」というのが自分の目標でしたら、他人を妨害する必要はありませんね。  他人を妨害してまで、何を手に入れたいのでしょうか。  ベストセラーの著者という名声ですか。  それなら、もうアマゾンで、ご自身の本はベストセラーに認定されているのですから、それで十分でしょう。  この上何が欲しくて私を妨害するのでしょうか?  もう英語教育とは関係ないことですか。  私はとても困っています。  

私は、こちらに書いてある3つのことをするのが、目的です。  日本人が子音の日本語化を知っているか、いないかで、通じる英語で話せるか話せないかが、決まります。  ですから、このことを読者の皆さんに理解していただくのは、とても大事なことなのです。  私の仕事の妨害をしないでください。 

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クマさん、ウサギさん、ブタさん、それぞれが持っている旗に書かれたことの理由は、2017年7月30日のブログをご覧になるとわかります。