川合典子 ブログ

英語教育、英語学習、発音習得、帰国子女の言語習得について書いています。

上級者が自分の言いたいことを英語で言っているから、初級者も最初からそうするのは、自己流の発音が定着してしまうのでやめましょう。

私は5月19日から6回のシリーズで、上級者のやっていることを形だけ初級者が真似しても、頭のなかの活動に於いてはこの2者は全く別物であると明らかにしました。(5月28日ブログ、2つの「英語を英語で理解する」は全然違うことhttp://d.hatena.ne.jp/creato-k/20130528

発音も同じです。

上級者が自分の言いたいことを英語でしゃべっているから初級者も最初から自分の言いたいことを英語で言っていこうとするのは、自己流の発音が定着しますので、誤った学習方法です。


上級者はきちんと発音の基礎を訓練し、典型的なリズムやイントネーションで喋れるようになるまで長期に渡って発音練習して、現在のように喋れるようになっているのです。  また発音練習ばかりでなく、自分の言いたいことがスラスラ英語で頭に浮かんでくるまで、英語学習の方でも、大量の英文を処理してきているのです。

その発音練習や英語学習の積み重ねをしないで、上級者が自分の言いたいことを全部英語でしゃべっているから初級者も同じにやろうとするのは、5月28日のブログでお話したことと同じ、階段の一番下にいながら、階段のトップで上級者がやっていることを形だけ真似していることと同じです。  

同じ「言いたいことを英語でしゃべる」ということをやっていても、発音に焦点を当てた場合、両者は全く違います。  上級者は英語の発音でなめらかに喋り、初級者は、自己流の発音で、たどたどしく喋ります。  発音において両者は全く別物です。 別物だけならまだいいですが、自己流の発音で喋ればしゃべるほどその間違った発音が定着していきます。 

学習者が小学校低学年で、暮らしている国が英語圏だったら、そうやって喋っていてもだんだん発音はネイティブに似てくるかもしれません。  なぜなら、大量の「正しい発音」の英語が耳から入ってくるからです。  

でも日本にいたら正しい発音は自動的に耳から入って来るわけではありません。  日本人の話している英語をたくさん聞いても、音もイントネーションも、リズムも、全然違いますので、正しい音が耳に蓄積するわけではありません。  

むしろ、蓄積するのは母音も子音も短く、リズムが等間隔な日本語のような英語です。  これが英語の音として自分の耳に大量に蓄積してしまうと、ちょっと、お手本の英語を聞いても、話すときに真っ先に頭に浮かんでくる音は日本人の話す英語になります。  一番大事な音の学習の初期に、そんなに日本語に似た英語を耳に蓄積させることは利益より害のほうが大きいと思います。

発音習得には発音習得の正しい道筋があります。
それは最初から自分の言いたいことを英語で言おうとするのではなく、まず、基本の音を習得し、典型的なリズムやイントネーションを持つ短い文を発音練習していくことです。  

易しい典型的なリズムの英語の喋り方から自分の耳に蓄積させていきます。  自分の言いたいことを正しい発音で喋れるようになるのはそういう発音練習と言いたいことが自然に英語で頭に浮かんでくるようになるまで英語学習を積み重ねた結果できることです。  

その積み重ねをする前に、形だけ上級者のやっていることを真似しても、発音習得の観点から見ると益することは何もありません。  自己流の発音が定着して、矯正が難しくなります。

英語教育法の授業で、I have a book. から始めるのが適切なのか This is a pen. から入るのが適切なのか、という問題に大束先生がお答えになったことを書きました。 文の構造を学ぶにも順序があるように、発音の学び方にもきちんとした順序があります。  初級の最初から英語で言いたいことを喋っても発音は英語の発音にはなりません。   
 

初級者はまず、お手本の音をよく聞いて、同じ様に言える文章を増やしていきます。  短くて初級者に言いやすい典型的な英語のリズムで言われる会話文から練習してください。  

単語と単語がつながる時の音の変化は無数にありますので、なるべく多くの文を発音練習して多くのパターンを習得して行きましょう。  文章の種類についても、最初から扇子は全開にしておきましょう。http://d.hatena.ne.jp/creato-k/20130506  そうやって正しい発音で言えるようになった文章からなるべく使って、しゃべるようにして行きましょう。  そうすると、正しい発音で喋れるようになります。

初級の生徒に上級者と同じ事をやらせても、教師には発音が違うことがすぐにわかります。  またスラスラしゃべれるようになるまでには、たくさんの発音練習と英語学習が必要だということも、教師は自分の体験から知っています。  

ですから私は、初級者は上級者のやっていることを真似するのではなく、それができるように順を追って、学んでくださいと皆さんにお願いします。  順序を取り違えると、矯正するのが、不可能な場合もありますので、この点は十分気をつけていただきたいと思います。
  

文の構造を学ぶときも、発音を学ぶときも、「易しいものから難しいものへ」これが英語教育の基本です。   そして、この順番で学んだ時、学習者は最もよく発音を身に付けることができますので、学習の効果が上がります。  

学習者の英語力の発達に合わせて行なっていくのが、効果的な英語教育です。


  

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高校入試で子供たちが親の収入によって差別されない為に以下のお知らせを書かせていただきます。

高校入試のスピーキングテストについて(大学入試のスピーキングテストについても同様です)

高校入試のスピーキングテストは本来文部科学省が学校教育で正しい発音を生徒に教えてから行うべきものです。  しかし、文部科学省が教科書にCDもつけず、正しい発音の仕方も学校で教えないまま、高校入試でスピーキングテストを実施する動きが都立高校などで始まっています。 (大学入試でもスピーキングテストが行われようとしています)  これは、スピーキングスキルの習得を塾や予備校、会話学校に丸投げするものです。  学校で教えていないスキルを入試でテストすることはあり得ません。

これでは経済的に余裕のない、塾や会話学校にいけない家庭の子供は誰にも正しい発音を教えてもらえず、練習するCD(音声モデル)も与えられないまま、高校入試でスピーキングテストをされることになり、明らかに親の収入による進路の差別が始まります。(詳しくは2018年3月8日のブログ「高校入試のスピーキングテストは子供を親の収入で差別するもの」をお読みください。)

皆さんの身近に教育関係者がいらっしゃいましたら、ぜひ「高校入試のスピーキングテストは子供を親の収入で差別するもの」であることをお伝えください。  (大学入試のスピーキングテストについても同じことです)  
15歳で親の収入のために進路を差別されるのでは子供たちがあまりにもかわいそうです。

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英語教育については、下のブログも併せてご参照ください。  日付をクリックすると移動できます。
2017年10月12日
文部科学省 新中学校学習指導要領 英語 「4技能」は全く効果がない(子供たちが通じる発音でスラスラ話せるようになる学習指導要領の見本付き)





高校英語教育を文部科学省の誤解に基づいた方針から守るため、以下のご案内を書かせていただきます。

現在文部科学省が「グローバル化に対応した英語教育改革」の目玉として掲げているCAN-DO方式は、ヨーロッパの人々にはできますが、日本語を母国語とする人にはできない方式です。

文部科学省は「CAN-DO方式が日本人には不可能な方式である」と気づいておりません。  導入されれば教育現場は大変迷惑します。  中止する必要があります。  なぜCAN-DO方式が不可能なのかはこちらのブログをお読みください。

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何度もお願いをしているのですが、アマゾンのページで私の本のランキングを下げて妨害をしている人がやめてくれないので、(詳細はこちらです)しばらく以下の文章を掲載させていただくことにしました。

「本を出版する人は、他の著者の妨害をしない。  他の著者を妨害する人は自分の本も出版できない。」
出版社におかれましては、このことを出版の際、著者に理解していただいてください。

私のランキングを妨害している人は、たぶん、現実を受け入れられないのでしょう。
アマゾンの順位を1ペ―ジ目から2ページ目に下げられ、数日でまた2ページ目から3ページ目に下げられて、私は、この方の激しい妨害に驚いています。 

「学習者に正しい発音を習得してほしい」というのが自分の目標でしたら、他人を妨害する必要はありませんね。  他人を妨害してまで、何を手に入れたいのでしょうか。  ベストセラーの著者という名声ですか。  それなら、もうアマゾンで、ご自身の本はベストセラーに認定されているのですから、それで十分でしょう。  この上何が欲しくて私を妨害するのでしょうか?  もう英語教育とは関係ないことですか。  私はとても困っています。  

私は、こちらに書いてある3つのことをするのが、目的です。  日本人が子音の日本語化を知っているか、いないかで、通じる英語で話せるか話せないかが、決まります。  ですから、このことを読者の皆さんに理解していただくのは、とても大事なことなのです。  私の仕事の妨害をしないでください。 

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クマさん、ウサギさん、ブタさん、それぞれが持っている旗に書かれたことの理由は、2017年7月30日のブログをご覧になるとわかります。