スピードを上げたり、滑らかに言おうとして落ちる音は、たいてい日本人が苦手な発音です。 そういう音は意識して毎回きちんと発音しないと、上級になった時に、聞きにくい発音のまま残ります。 ですから、生徒さんには「お手本で聞こえる音はいつでも、必ず発音する」と言う意識をもって練習していただきます。
でも、初級の最初から完璧な発音は出来ませんね。 そういう時はどういう風に指導しているかと言うと、一つ例をあげてお話します。
私の生徒さんでTHの発音をするのに、毎回5秒くらいかかる生徒さんがいた、と最初の本の85ページに書きました。
そういう時、私は「時間がかかっても結構ですから、正確に発音してください」といって、いつもじっとその生徒さんがいえるまで5秒くらい待っていました。 文の流れがここで止まりますけれど、最初は「正確な発音」が一番大事だと考えていますので、じっと待ちました。
滑らかさや、速さと言うのはこれからいくらでも、練習できるのです。 でも、「正確な発音」は、初級の時から一貫して、「いつでも、必ず正確に発音する」と言う姿勢を貫いていかないと定着しないのです。
「スピードを上げる練習だから、今日は細かいことは多少不明瞭になってもしょうがない」「滑らかに言う練習だから今日は小さな音の違いは多少不明瞭になってもしょうがない」と、たとえ後から細かいところはきちんとできるように練習するつもりでも、こういう意識で練習をしてしまうと、正確な発音をキープしようとする気持ちが低下します。 私は、生徒さんの中で、正確さに対する意識が低下することを一番警戒しています。 「正確さは崩してはいけないもの」と言う意識を生徒さんに持っていただくことは非常に重要だと思っています。
** 細かい音より、英語らしく聞こえることが大事 **
と言う教え方もありますが、この「細かい音」を昨日、説明したWの音に置き換えると、この文章は次のようになります。
** Wの音が聞こえるより、英語らしく聞こえることが大事 **
これは無意味な練習です。 Wの音が聞こえなければ、Would がある、 We がある、 Where がある、と相手の人に分からないからです。 つまり、これは、
** 通じる発音より、英語らしく聞こえることが大事 **
と言っていることと同じです。
こういう練習をしていると現在日本人の英語について言われている
「流暢だけど、何を言っているのか分からない」
と言う英語になります。
私は「流暢だけど、何を言っているのか分からない」と言う英語を話すことだけは、なんとしても避けなければならないと思っています。 お手本から聞こえる音で落としていい音などないのです。 ネイティブはそういう音で聞こえるから内容を正しくつかめるのです。
発音練習で一番大事なのは正確さです。 私はこのことを生徒さんの意識の中にしっかり定着してもらうために、生徒さんが上手にいえないときでも、5秒でも10秒でも待つのです。
やがて生徒さんが私のレッスンを終了して、一人で、ナチュラルスピードの英語が話せるように練習を始めた時も、上手にいえない音を毎回毎回正確に発音しようと、努力を続けてくれるように、私はレッスンの時に5秒でも10秒でも待つのです。
そうすると生徒さんは「川合先生は5秒かかっても、自分が言えるまで、じっと待っていた。 文が止まってもじっと待っていた。 一度の例外もなくじっと待っていた。」とそれが当然なんだと思うようになります。 「時間がかかっても自分で出来るところまで、正確に発音しようと毎回毎回、努力することが発音練習なんだ」と、生徒さんに、それを当然だと思っていただきたいから私はレッスンで生徒さんが言えるまで待つのです。
独習の皆さんにも、このことは一冊めの本の85ページに書きましたので、お伝えしました。 ただ、一度読んだだけでは、なかなか覚えていられないと思いますので、お時間のある時に、何回か本は読み直してみてください。
教える時に「正確さが一番大事です」と言っただけでは生徒さんはいろいろなことを勉強しなければなりませんので、意識の中にしっかり定着させるのは難しいので、こうして、具体的な練習を通して、大事なことをお教えしていきたいと思いました。
最初はうまく出来ない発音でも、毎回一生懸命正確に発音しようと何秒かかっても努力していれば、やがてすばやく言えるようになります。 完璧に出来なくても、自分が出来る一番良い音で発音するように努力をし続ける事が大事です。 そうするとやがていえるようになります。 独習されている皆さんは、ここでしばらく辛抱して、正確な音がいつも出せるように努力を続けてください。
口が思うように動かなくて、お手本とそっくりに言えない期間中もお手本を良く聞いて「最終的にはこういう音が出るようにするんだな。 今は自分は口の準備に5秒もかかってしまうし、摩擦もスムーズに出来ないけれど、最終的にはこういう音がすばやく出せるようにするんだな」と目標とする音を耳でしっかり捉えながら練習を続けてください。 そうすると正しい発音がいえるようになります。
「日本人は流暢にしゃべっていてもなんと言っているか分からない」 現在のこういう状況は練習次第で解決できると思います。
発音練習では、
「聞こえた通りに発音する」
「お手本の英語で聞こえた音は、いつでも、必ず発音する」と言う意識を持ち続けてください。
そうすると正しい発音が定着します。
* * * 発音練習について * * *
発音練習の基本となる「音を聞く力」をつけるにはどうしたらよいか。 それはポイントを絞って、聞くことです。 何も知らずに2年間発音練習をするのと、このポイントを意識して練習するのとでは上級になった時の発音がぜんぜん違います。
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高校入試で子供たちが親の収入によって差別されない為に以下のお知らせを書かせていただきます。
高校入試のスピーキングテストについて(大学入試のスピーキングテストについても同様です)
高校入試のスピーキングテストは本来文部科学省が学校教育で正しい発音を生徒に教えてから行うべきものです。 しかし、文部科学省が教科書にCDもつけず、正しい発音の仕方も学校で教えないまま、高校入試でスピーキングテストを実施する動きが都立高校などで始まっています。 (大学入試でもスピーキングテストが行われようとしています) これは、スピーキングスキルの習得を塾や予備校、会話学校に丸投げするものです。 学校で教えていないスキルを入試でテストすることはあり得ません。
これでは経済的に余裕のない、塾や会話学校にいけない家庭の子供は誰にも正しい発音を教えてもらえず、練習するCD(音声モデル)も与えられないまま、高校入試でスピーキングテストをされることになり、明らかに親の収入による進路の差別が始まります。(詳しくは2018年3月8日のブログ「高校入試のスピーキングテストは子供を親の収入で差別するもの」をお読みください。)
皆さんの身近に教育関係者がいらっしゃいましたら、ぜひ「高校入試のスピーキングテストは子供を親の収入で差別するもの」であることをお伝えください。 (大学入試のスピーキングテストについても同じことです)
15歳で親の収入のために進路を差別されるのでは子供たちがあまりにもかわいそうです。
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英語教育については、下のブログも併せてご参照ください。 日付をクリックすると移動できます。
2017年10月12日
文部科学省 新中学校学習指導要領 英語 「4技能」は全く効果がない(子供たちが通じる発音でスラスラ話せるようになる学習指導要領の見本付き)
高校英語教育を文部科学省の誤解に基づいた方針から守るため、以下のご案内を書かせていただきます。
現在文部科学省が「グローバル化に対応した英語教育改革」の目玉として掲げているCAN-DO方式は、ヨーロッパの人々にはできますが、日本語を母国語とする人にはできない方式です。
文部科学省は「CAN-DO方式が日本人には不可能な方式である」と気づいておりません。 導入されれば教育現場は大変迷惑します。 中止する必要があります。 なぜCAN-DO方式が不可能なのかはこちらのブログをお読みください。
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何度もお願いをしているのですが、アマゾンのページで私の本のランキングを下げて妨害をしている人がやめてくれないので、(詳細はこちらです)しばらく以下の文章を掲載させていただくことにしました。
「本を出版する人は、他の著者の妨害をしない。 他の著者を妨害する人は自分の本も出版できない。」
出版社におかれましては、このことを出版の際、著者に理解していただいてください。
私のランキングを妨害している人は、たぶん、現実を受け入れられないのでしょう。
アマゾンの順位を1ペ―ジ目から2ページ目に下げられ、数日でまた2ページ目から3ページ目に下げられて、私は、この方の激しい妨害に驚いています。
「学習者に正しい発音を習得してほしい」というのが自分の目標でしたら、他人を妨害する必要はありませんね。 他人を妨害してまで、何を手に入れたいのでしょうか。 ベストセラーの著者という名声ですか。 それなら、もうアマゾンで、ご自身の本はベストセラーに認定されているのですから、それで十分でしょう。 この上何が欲しくて私を妨害するのでしょうか? もう英語教育とは関係ないことですか。 私はとても困っています。
私は、こちらに書いてある3つのことをするのが、目的です。 日本人が子音の日本語化を知っているか、いないかで、通じる英語で話せるか話せないかが、決まります。 ですから、このことを読者の皆さんに理解していただくのは、とても大事なことなのです。 私の仕事の妨害をしないでください。
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クマさん、ウサギさん、ブタさん、それぞれが持っている旗に書かれたことの理由は、2017年7月30日のブログをご覧になるとわかります。