川合典子 ブログ

英語教育、英語学習、発音習得、帰国子女の言語習得について書いています。

青い鳥

8月から私は、「日本人の発音が通じないのは、正しい発音の仕方を知らないからではなく、習ったはずの発音が会話になると日本語の子音の言い方にすり替わるからだ」と解説してきました。  これについてはホームページの「通じない日本人の発音」http://creato-k.com/advice-summary-010.html に詳しく解説してあります。

教師がこの子音のすり替わりを聞きわけることができて、気づいていれば、「生徒に音は聞けない」とは決して言わないと思います。  なぜなら、この子音のすり替わりは学習者が、自分で聞いて気付かないと直せないと分かるからです。

生徒に通じる発音で話せるようになってほしいと教師が願っていたら、必ず、「自分で音を聞いてください。  聞いてそのすり替わりに気付いてください」と言うと思います。


また、日本人の発音がなぜ、「流暢だけれど、なんといっているのか分からない」と言われるのか、その理由を教師が、日本人の発音とネイティブの発音を比べて、違うところを聞き分けていたら、

細かい音の違いよりも英語らしく聞こえることが大事。
細かい音の違いよりも滑らかに言えることが大事。
細かい音の違いよりも速く言えることが大事。

とは言わないと思います。

微細な子音のすり替わりや一瞬でも聞こえないW、Nの音など、細かい音の欠落によって、日本人の英語が通じなくなっていることが、聞いてわかるからです。

ネイティブには、彼らがいつも聞いている通りに日本人が発音すれば通じるのです。  どんなに小さな音でも、彼らがいつも聞く文章にその音が入っていたら、言わなければならないのです。  細かい音だからと言ってこれを落としてしまうから、流暢にしゃべっていても、なんといっているのか分からないと言うことになるのです。

日本語は子音と母音をいつもセットで発音します。  ですから日本語を母国語とする私たちは子音をそれほど長く強くは発音しません。  そして、そういう子音の言い方が当たり前に身に付いた私たちは、基本の発音を習っても、会話になると、自分でも気づかぬうちに子音の言い方が日本語式にすり替わってしまいます。  ほとんど無意識にすり替わります。

私は、学習者自身が、自分で音が聞けるようになる日が、早く来るといいなと思っています。  そうしたら、誤った発音練習をしなくてすむからです。  「細かい音にこだわらないで、英語らしく言うことが大事だ」という誤った発音練習を学習者がしなくてすむからです。

どうぞ、皆さん、自分で聞く力をつけてください。  適切な練習をすれば、学習者は発音の先生と同じかそれ以上に聞く力をつけることが出来ます。(これについてはこちらのブログ「私と同じことを聞き分ける生徒さん」http://d.hatena.ne.jp/creato-k/20131106 を参照してください。)  そして、日本人の英語を通じなくしているこの子音のすり替わりを聞けるようになって、自分で直してください。

能力は何歳からでも、使えば使うほど今より、発達します。  

逆に、誰かに任せてしまう(あるいは機械に任せてしまう)と、衰退します。  特に10代の方はそんなに早い時期から、自分の聞く力を捨ててしまわないでください。  「中学1年生は3年生に比べて、すごく音が聞ける」と教育実習に行った知り合いの大学生が驚いていました。  つまり、使わなければ年々衰退していくということです。

国際化の時代、多くの日本人が、通じる発音を身に着けようと、お金をたくさん払っていろいろなところに行って教えを請うています。  高価な教材や機械を買う方もいます。  でも、本当に通じる発音は

童話のチルチルとミチルが探しに出た「青い鳥」

と同じで、探しに出かけなければならないような、どこか遠くにあるのではなく、皆さんのなかにある「聞く力」「聞いた音と同じに発音する力」を訓練していくことによって、身に付くのです。  何歳からでも訓練できます。

聞く力を向上させる方法は11月2日http://d.hatena.ne.jp/creato-k/20131102のブログに書きました。  発音を自分で聞いて練習することは、今や「する、しないという選択の問題」ではなく、通じる発音を身に付けるためには「しなければならないこと」だと思います。  子音のすり替わりが聞けるようになった人には、自分で聞かずにこれを直すことはできないとお分かりになると思います。  

戦後、だれでも学校で英語を学ぶようになって60年以上、今まで日本人が聞くことができなかった、この子音のすり替わりを新しい時代に活躍する皆さんには聞けるようになっていただきたいと思います。  そして通じる英語を身につけていただきたいと思います。


* * * 発音練習の教材について * * *
発音練習の教材は、普通の会話文をつかってください。  演説や映画のせりふなど、言っている人も聞いている人も、何をしゃべっているかあらかじめ全部分かっているような教材でばかり練習していると「母音の区別をしなくても通じる」「細かい音の違いは重要ではない」と言う誤った錯覚に陥ります。    そうすると、母音の区別や子音のすり替わりを聞けなくなります。

発音練習は、自分が実際に使えるような「普通の会話文」を選んでください。  それを70回くらい練習したら、新しい例文に移って、なるべくたくさんの種類の文章をいえるように練習してください。(何年か前、「70回なんて音読できない」とある高校生の生徒さんに言われてしまいましたので、その場合は10回でも20回でも結構ですから、音読の練習をしてください。)  そうすると、音の特徴をきちんと発音して、言いたいことを正確に伝えることができるようになります。
 

発音練習は、たくさんの例文を使って、そこに共通する母音の区別(特徴)、子音の特徴をまねていきます。  この明確な目標がないとただの「ものまね」になります。  「ものまね」はやがて、個人のくせのまねが入ってきますので、発音練習とは異質な練習となります。  そうならないよう、最初は標準的な英語で録音された、音の特徴がつかみやすい英語学習用の教材を使って、なるべく多くの例文を練習してください。  そうするとそれらに共通する基本の音の特徴が発音できるようになり、言いたいことを正確に伝えられるようになります。



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高校入試で子供たちが親の収入によって差別されない為に以下のお知らせを書かせていただきます。

高校入試のスピーキングテストについて(大学入試のスピーキングテストについても同様です)

高校入試のスピーキングテストは本来文部科学省が学校教育で正しい発音を生徒に教えてから行うべきものです。  しかし、文部科学省が教科書にCDもつけず、正しい発音の仕方も学校で教えないまま、高校入試でスピーキングテストを実施する動きが都立高校などで始まっています。 (大学入試でもスピーキングテストが行われようとしています)  これは、スピーキングスキルの習得を塾や予備校、会話学校に丸投げするものです。  学校で教えていないスキルを入試でテストすることはあり得ません。

これでは経済的に余裕のない、塾や会話学校にいけない家庭の子供は誰にも正しい発音を教えてもらえず、練習するCD(音声モデル)も与えられないまま、高校入試でスピーキングテストをされることになり、明らかに親の収入による進路の差別が始まります。(詳しくは2018年3月8日のブログ「高校入試のスピーキングテストは子供を親の収入で差別するもの」をお読みください。)

皆さんの身近に教育関係者がいらっしゃいましたら、ぜひ「高校入試のスピーキングテストは子供を親の収入で差別するもの」であることをお伝えください。  (大学入試のスピーキングテストについても同じことです)  
15歳で親の収入のために進路を差別されるのでは子供たちがあまりにもかわいそうです。

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英語教育については、下のブログも併せてご参照ください。  日付をクリックすると移動できます。
2017年10月12日
文部科学省 新中学校学習指導要領 英語 「4技能」は全く効果がない(子供たちが通じる発音でスラスラ話せるようになる学習指導要領の見本付き)



高校英語教育を文部科学省の誤解に基づいた方針から守るため、以下のご案内を書かせていただきます。

現在文部科学省が「グローバル化に対応した英語教育改革」の目玉として掲げているCAN-DO方式は、ヨーロッパの人々にはできますが、日本語を母国語とする人にはできない方式です。

文部科学省は「CAN-DO方式が日本人には不可能な方式である」と気づいておりません。  導入されれば教育現場は大変迷惑します。  中止する必要があります。  なぜCAN-DO方式が不可能なのかはこちらのブログをお読みください。

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何度もお願いをしているのですが、アマゾンのページで私の本のランキングを下げて妨害をしている人がやめてくれないので、(詳細はこちらです)しばらく以下の文章を掲載させていただくことにしました。

「本を出版する人は、他の著者の妨害をしない。  他の著者を妨害する人は自分の本も出版できない。」
出版社におかれましては、このことを出版の際、著者に理解していただいてください。

私のランキングを妨害している人は、たぶん、現実を受け入れられないのでしょう。
アマゾンの順位を1ペ―ジ目から2ページ目に下げられ、数日でまた2ページ目から3ページ目に下げられて、私は、この方の激しい妨害に驚いています。 

「学習者に正しい発音を習得してほしい」というのが自分の目標でしたら、他人を妨害する必要はありませんね。  他人を妨害してまで、何を手に入れたいのでしょうか。  ベストセラーの著者という名声ですか。  それなら、もうアマゾンで、ご自身の本はベストセラーに認定されているのですから、それで十分でしょう。  この上何が欲しくて私を妨害するのでしょうか?  もう英語教育とは関係ないことですか。  私はとても困っています。  

私は、こちらに書いてある3つのことをするのが、目的です。  日本人が子音の日本語化を知っているか、いないかで、通じる英語で話せるか話せないかが、決まります。  ですから、このことを読者の皆さんに理解していただくのは、とても大事なことなのです。  私の仕事の妨害をしないでください。 

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クマさん、ウサギさん、ブタさん、それぞれが持っている旗に書かれたことの理由は、2017年7月30日のブログをご覧になるとわかります。