今年の年末年始のお休みは長いですから、この時期を利用して、発音の練習をしよう、という方もいらっしゃると思います。 そこで、年末のご挨拶よりも、発音練習のコツについてお話ししたほうが、皆さんにとっては役に立つのではないかと思いました。 それで今年最後のブログは、発音練習のコツについてお話し致します。
以前、発音をお教えした方から次のような質問がありました。
「一つ発音教材が終わって、次の発音教材の勉強を始めると、違う人がお手本を読んでいるので、前のお手本と音が違うような気がして、どれが正しい発音なのかよくわかりません。」 これに対して私は次のように答えました。
それぞれのお手本を読んでいるアメリカ人の発音、例えばCat の発音の 「ア」の音の中に含まれる要素を取り出してみるとします。 取り出すと決めた要素が4つ(1,2,3,4)あるとします。 Aさん、Bさん、Cさん・・・・と5人のアメリカ人が「Cat」と、お手本を読んでいたら、そのそれぞれの発音にどの要素があるか調べてみます。
Aさん 1 2 4
Bさん 1 2 3
Cさん 1 4
Dさん 1 3 4
Eさん 1 3
となっていたとします。
この場合、5人のアメリカ人の発音はまったく同じには聞こえません。 いろいろな要素が違うからですね。 でも、どの人にもある音の要素があります。 それは、「要素1番」ですね。 これがCat のアの発音を決定する要素、特徴になります。 それは何かというと、Catのアの音は「舌が前に来た時にでる音」ということです。 5人のCatの発音はまったく同じにはならないけれど、どの人の中にも舌を前に出してアを発音した時の音の特徴があるということです。
もう一つ母音の例を挙げると、 Stop の「ア」なら、口を縦にあけた、「少し暗くて、きれいに澄んだ音」が「Stop の アの音と認識される特徴」すなわち、誰の発音にもある「要素1番」となります。
いろいろなお手本で練習するとき、お手本の発音も自分の発音も、注意深く聞いて、この音の「要素1番」すなわち「その母音を決定づける特徴」を捕まえるように練習してください。 発音練習で聞くのは、この「音を決定づける特徴」です。 たくさん発音練習して、この音の「要素1番」「音を決定づける特徴」が自分の発音で言い表せるようにしてください。 そうすれば、必ず、通じる発音で話せます。
私はこのように説明いたしました。
私は2冊目の本「続・英語発音、日本人でもここまでできます。」の48ページに次のように書きました。
* * *
「この大勢の人が話す母音の中にある発音記号ごとの似通った特徴を、一つの音の特徴として集約させたのが、私が、「英語発音、日本人でもここまでできます。」に付属するDVDチャプター9で解説している音の特徴である。
私は英語を聞いている時、この母音ごとの特徴が、いろいろな人の発音の中に、共通部分を貫く光のように感じられることがある。 わかりやすく言えば、今まで聞いた何千何万というアメリカ人の発音する母音を、私はこの音の特徴ごとに串刺しにして分類し、身に付けてきたのである。 こうすることで、ネイティブが聞いて、その音と認識できる音に確実に近づくことができる。」
* * *
ここで述べた母音の中にある「光が貫く共通部分」が今述べた「どの人の発音にもある、その音を決定づける特徴」すなわち音の「要素1番」です。 私はその特徴をDVDの中で、皆さんに説明しています。
口の形を作るだけではこの特徴は出ません。 耳で聞かないとこの特徴が自分の発音に出ているかどうかは、確認できません。 是非耳を使ってこの特徴を聞いて、自分の発音に取り込んでください。 そうすれば、必ず通じます。
ただここで注意することが一つあります。 日本人がネイティブが発音するときの音の特徴を真似するときは、日本語を母国語とする人独自の調整が必要になります。
ネイティブの先生はCut(切る) の「ア」はリラックスして発音してください、とおっしゃるかもしれませんが、アメリカ人は生まれた時からずっと英語を話していますので、唇の力の入れ方、発声の仕方が日本人とは違います。 ですからアメリカ人はリラックスしてもこの音の特徴は出ますが、日本人はリラックスすると、この音の特徴は出ません。 この音を発音するときは日本人はおなかの力が要ります。
また、ネイティブの先生は、/u/の母音は唇の力を抜いて発音してください、とおっしゃるかもしれませんが、日本人は、唇の力を抜いてしまうとそこで、音が切れます。 日本人はアメリカ人とは話す時の息の使い方、唇の力の使い方が違うからです。 /u/の音は唇の形は保持したまま(つまり、力は抜かないで)息を持続させて次の音につなげないと音がブツブツ切れます。 注意してください。
日本人は日本語を母国語として話していますので、発音する時アメリカ人が当たり前にやっていることが、当たり前にできません。 彼らが力を使わないところでも、日本語を母国語とする人は、多少力を入れて唇を保持しなければならないところがありますので、日本人は日本人なりの工夫が必要になります。 (詳しくは「続・英語発音、日本人でもここまでできます。」に書きました。)
どのような場合でも、口の形だけでなく自分の耳で、音の特徴を捕まえる努力をしながら発音練習していけば通じる発音を身に付けられます。 お手本、自分の発音、どちらも自分の耳で聞いて、音の特徴を確認しながら練習してください。
子音については3冊目の本「帰国子女に見る世界に通用する英語力の作り方」を読んで、日本語化しない子音の発音の仕方を読んでから発音練習に入られるのが、時間を短縮するコツです。 自分が日本語化しないように発音していると、「日本語化した子音と英語の子音の違い」が聞き分けられるようになります。 そうするとLは非常に英語らしい発音を習得できますし、WやRも相手に通じやすく発音できるようになります。
なお、「英語発音、日本人でもここまで出来ます。」のDVD のレッスン1,2,3の例文が難しい、という方は中学1年生の教科書を例文の代わりに使っても結構です。 ニューヨークの学校でアメリカ人のクラスメートからも、「あなたの発音きれいね。」とか「女優さんの発音みたい」と言われた生徒さん(3冊目の本に書いた生徒さんです)は、英語力は上級者でしたが、発音は中学1年の教科書で練習しました。 この場合は基本の発音の練習を一か月やりましたら、中学1年の教科書のレッスン1(文章)から発音練習に使ってください。 中学1年生の教科書なら誰でも、無理なくできます。
教科書ガイドと付属CDを書店で買えばすぐに始められます。 ただ、教科書ガイドとCDは4月になると、どの書店にもおいてあるのですが、今の時期はおいていない書店もあるかもしれません。 今朝、大きな書店に電話で聞いて見ましたら、そこにはおいてありました。
中学1年の教科書のような文では易しすぎて、しゃべれるようにならないのではないか、と心配される方もいるかも知れませんが、その心配はありません。
中学1年の教科書は、簡単な文章ですが、発音に関しては、その後英語を話すのに必要な「基本の音」と「音のつながり方」をすべて含んでいます。 正確に言うと、中学1年生の教科書にある音のつながり方を聞いて同じように言う力を育てれば、英文を聞いて同じに言う能力は身に付けられるということです。 ですから中学1年の教科書の発音をマスターすれば、英語を話すための発音の基本はすべて身に付けられます。
中学1年の教科書は文型や語彙については初歩のレベルですが、発音については基本の音もつながり方も(スピードが少し遅い点を除けば)完璧に習得できます。 心配ありません。 見方を変えると、中学1年生の教科書で学ぶことは、最もやさしい例文で、発音の基礎は全て学べるということですので、大変効率的です。 是非、やってみてください。
12月24日のブログの続きは、1月15日に掲載いたします。
今年一年、ブログをお読みいただきまして、どうもありがとうございました。
* * *
====================================
高校入試で子供たちが親の収入によって差別されない為に以下のお知らせを書かせていただきます。
高校入試のスピーキングテストについて(大学入試のスピーキングテストについても同様です)
高校入試のスピーキングテストは本来文部科学省が学校教育で正しい発音を生徒に教えてから行うべきものです。 しかし、文部科学省が教科書にCDもつけず、正しい発音の仕方も学校で教えないまま、高校入試でスピーキングテストを実施する動きが都立高校などで始まっています。 (大学入試でもスピーキングテストが行われようとしています) これは、スピーキングスキルの習得を塾や予備校、会話学校に丸投げするものです。 学校で教えていないスキルを入試でテストすることはあり得ません。
これでは経済的に余裕のない、塾や会話学校にいけない家庭の子供は誰にも正しい発音を教えてもらえず、練習するCD(音声モデル)も与えられないまま、高校入試でスピーキングテストをされることになり、明らかに親の収入による進路の差別が始まります。(詳しくは2018年3月8日のブログ「高校入試のスピーキングテストは子供を親の収入で差別するもの」をお読みください。)
皆さんの身近に教育関係者がいらっしゃいましたら、ぜひ「高校入試のスピーキングテストは子供を親の収入で差別するもの」であることをお伝えください。 (大学入試のスピーキングテストについても同じことです)
15歳で親の収入のために進路を差別されるのでは子供たちがあまりにもかわいそうです。
====================================
英語教育については、下のブログも併せてご参照ください。 日付をクリックすると移動できます。
2017年10月12日
文部科学省 新中学校学習指導要領 英語 「4技能」は全く効果がない(子供たちが通じる発音でスラスラ話せるようになる学習指導要領の見本付き)
高校英語教育を文部科学省の誤解に基づいた方針から守るため、以下のご案内を書かせていただきます。
現在文部科学省が「グローバル化に対応した英語教育改革」の目玉として掲げているCAN-DO方式は、ヨーロッパの人々にはできますが、日本語を母国語とする人にはできない方式です。
文部科学省は「CAN-DO方式が日本人には不可能な方式である」と気づいておりません。 導入されれば教育現場は大変迷惑します。 中止する必要があります。 なぜCAN-DO方式が不可能なのかはこちらのブログをお読みください。
* * *
何度もお願いをしているのですが、アマゾンのページで私の本のランキングを下げて妨害をしている人がやめてくれないので、(詳細はこちらです)しばらく以下の文章を掲載させていただくことにしました。
「本を出版する人は、他の著者の妨害をしない。 他の著者を妨害する人は自分の本も出版できない。」
出版社におかれましては、このことを出版の際、著者に理解していただいてください。
私のランキングを妨害している人は、たぶん、現実を受け入れられないのでしょう。
アマゾンの順位を1ペ―ジ目から2ページ目に下げられ、数日でまた2ページ目から3ページ目に下げられて、私は、この方の激しい妨害に驚いています。
「学習者に正しい発音を習得してほしい」というのが自分の目標でしたら、他人を妨害する必要はありませんね。 他人を妨害してまで、何を手に入れたいのでしょうか。 ベストセラーの著者という名声ですか。 それなら、もうアマゾンで、ご自身の本はベストセラーに認定されているのですから、それで十分でしょう。 この上何が欲しくて私を妨害するのでしょうか? もう英語教育とは関係ないことですか。 私はとても困っています。
私は、こちらに書いてある3つのことをするのが、目的です。 日本人が子音の日本語化を知っているか、いないかで、通じる英語で話せるか話せないかが、決まります。 ですから、このことを読者の皆さんに理解していただくのは、とても大事なことなのです。 私の仕事の妨害をしないでください。
* * *
* * *
クマさん、ウサギさん、ブタさん、それぞれが持っている旗に書かれたことの理由は、2017年7月30日のブログをご覧になるとわかります。