小学校からの英語教育は保護者の強い要望があって、それに押される形で、文部科学省が開始した、という経緯を何年も前に読んだことがあります。 後ろに「小さい頃に英語をやれば、うまくなる」という保護者の気持ちがあると思います。
けれども、授業の中での小学生の発音を聞く限り、小学生からの英語の授業は、カタカナ発音の定着をもたらすだけでした。 子供が、ネイティブと同じ発音になるには、母国語と同じように毎日朝から晩まで大量にその言語を聞く必要があり、週1時間では、発音は変わらない、ということです。
無条件に「子供=ネイティブ発音」ではない、という事実を保護者の皆さんにもよくご理解いただきたいと思います。
この発音を聞く限り、小学校からの英語の授業はやっても無駄です。 無駄というより、カタカナ発音の定着、という害があります。 中学になってから、きちんと発音の基礎を教え、聞いた通りに発音する練習をさせた方が効果的にネイティブに近い発音を習得します。
私は今までテレビやネット上で、発音を習っている小学生の発音を聞いてきました。 そういう子供たちの文章の発音は、単語一つ一つを先生に教わった口の形で言って、それをつなげて文章を言っている、という発音の仕方です。 文章のリズムも日本語のように等間隔です。 英語のように強弱のリズムに乗せて、文の最初から最後まで流れるように発音する、ということがありません。
おそらく、小学生は朝から晩まで英語を聞く母国語のような環境にいれば、文章の発音を丸ごととらえることは出来るのでしょうが、一度にせいぜい数十回しか聞かない外国語学習では、文の最初から最後まで、「なじみのない英語の発音」を把握することができないのだろうと思います。
一方で、私が実際に見た中学生は、自分の耳で聞いた通りに言う、という練習をすれば、かなり、ネイティブに近い発音で、英語のリズムで流れるように言うことが出来るようになりました。
日本人は英語を流れるように言うことができません。 これは母国語の特徴から来ています。 日本語だけ話しているとわかりませんが、他の言語と比べると、日本語は音がブツブツ切れるのがわかります。(著書「英語発音、日本人でもここまでできます。」付属DVDの中で私が実演しています)
声楽の萩原先生は、ドイツでオペラを指導している先生が、「日本人はどうしても言葉がつながらない」と言っていた、と話してくださったことがありました。 また、イタリアにいた時は、日本人同士が話すのを聞いたイタリア人が、「日本語って、カタパタ、カタパタって聞こえるね」と言っていたとも話してくださいました。 アメリカにいた時は「日本人の英語は、ブツブツ切れるね」と息子さんが言ったそうです。
これらはドイツ語、イタリア語、英語を話す人には、日本人の話す言葉がブツブツ切れて聞こえるということを表しています。 母国語がそういう特徴を持っているのです。(日本語だけ話していると、比較の対象がありませんので気が付きませんが) それで、私たちは、英語を流れるように言うことができません。
けれども中学生に基本の発音を教えて、「聞いた通りに発音する」という練習をさせると、文の最初から最後まで、英語のリズムで流れるように言えるようになります。 これは、私が今まで聞いた小学生の英語にはない特徴です。 この中学生の耳と口の力は、日本人全体の発音を向上させるためにぜひ活用したほうがいいと思います。
中学生は小学生に比べると発音練習の仕方が緻密なのです。 英語習得は、大量のインプットによって自然にできる「母国語習得」ではなく、意識的に行われる外国語の「学習」だからです。 中学生は小学生より、学習能力が高いです。
また、文章の発音は意味が分かっていないと、できません。 強く言うところやイントネーションは意味と密接に関係しているからです。 そういう点で、中学生は文の構造もしっかり把握したうえで、発音練習していますから、無理がありません。 教科の宿題であれば、英文を聞いて同じに発音する練習も自分一人で家庭学習でやります。 子供の英語学習のように親が何もチェックする必要はありません。
ですから、中学生で、基本の発音や、日本人の発音が通じなくなる「子音の日本語化」(日本人の子音は短い)について、理屈で説明し、「耳で聞いた通りに発音する」という練習をしてもらうのが、最も効率よく、正しい発音を習得してもらえる方法だと思います。
Youtubeにある小学生の発音を聞く限り、小学校の英語の授業は、無駄です。 無駄というより、カタカナ発音の定着という害があります。 やらない方がいいです。
中学生の耳と口の力を活用すれば、日本人の発音は見違えるほどよくなります。 もう発音で引け目を感じることはなくなると思います。 中学時代に正しい発音を習得するということは、その子たちが大人になるわけですから、日本人全体が正しい発音でしゃべるようになる、ということです。
もちろん英語があまり好きでない子もいますので、全員とはいきませんが、今よりずっと多くの大人が正しい発音で話せるようになるということです。
発音は最初に教える時に正しく習得すれば、その後は何も問題はありませんが、カタカナ発音になって時間が経過してしまうと、発音矯正はとても大変です。 発音習得の面から見ると、小学校の英語の授業=カタカナ発音の定着ですから、これは、やめるべきです。
こんなに小さいうちからカタカナ発音では、子供たちがかわいそうです。 子供たちは楽しそうに英語を勉強している、と言っても、その後、発音矯正という重荷を背負っていくのなら、真の意味で、生徒のためにはなりません。
明日に続きます。
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高校入試で子供たちが親の収入によって差別されない為に以下のお知らせを書かせていただきます。
高校入試のスピーキングテストについて(大学入試のスピーキングテストについても同様です)
高校入試のスピーキングテストは本来文部科学省が学校教育で正しい発音を生徒に教えてから行うべきものです。 しかし、文部科学省が教科書にCDもつけず、正しい発音の仕方も学校で教えないまま、高校入試でスピーキングテストを実施する動きが都立高校などで始まっています。 (大学入試でもスピーキングテストが行われようとしています) これは、スピーキングスキルの習得を塾や予備校、会話学校に丸投げするものです。 学校で教えていないスキルを入試でテストすることはあり得ません。
これでは経済的に余裕のない、塾や会話学校にいけない家庭の子供は誰にも正しい発音を教えてもらえず、練習するCD(音声モデル)も与えられないまま、高校入試でスピーキングテストをされることになり、明らかに親の収入による進路の差別が始まります。(詳しくは2018年3月8日のブログ「高校入試のスピーキングテストは子供を親の収入で差別するもの」をお読みください。)
皆さんの身近に教育関係者がいらっしゃいましたら、ぜひ「高校入試のスピーキングテストは子供を親の収入で差別するもの」であることをお伝えください。 (大学入試のスピーキングテストについても同じことです)
15歳で親の収入のために進路を差別されるのでは子供たちがあまりにもかわいそうです。
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英語教育については、下のブログも併せてご参照ください。 日付をクリックすると移動できます。
2017年10月12日
文部科学省 新中学校学習指導要領 英語 「4技能」は全く効果がない(子供たちが通じる発音でスラスラ話せるようになる学習指導要領の見本付き)
高校英語教育を文部科学省の誤解に基づいた方針から守るため、以下のご案内を書かせていただきます。
現在文部科学省が「グローバル化に対応した英語教育改革」の目玉として掲げているCAN-DO方式はヨーロッパの人々にはできますが、日本語を母国語とする人にはできない方式です。
文部科学省は「CAN-DO方式が日本人には不可能な方式である」と気づいておりません。 導入されれば教育現場は大変迷惑します。 中止する必要があります。 なぜCAN-DO方式が不可能なのかはこちらのブログをお読みください。
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何度もお願いをしているのですが、アマゾンのページで私の本のランキングを下げて妨害をしている人がやめてくれないので、(詳細はこちらです)しばらく以下の文章を掲載させていただくことにしました。
「本を出版する人は、他の著者の妨害をしない。 他の著者を妨害する人は自分の本も出版できない。」
出版社におかれましては、このことを出版の際、著者に理解していただいてください。
私のランキングを妨害している人は、たぶん、現実を受け入れられないのでしょう。
アマゾンの順位を1ペ―ジ目から2ページ目に下げられ、数日でまた2ページ目から3ページ目に下げられて、私は、この方の激しい妨害に驚いています。
「学習者に正しい発音を習得してほしい」というのが自分の目標でしたら、他人を妨害する必要はありませんね。 他人を妨害してまで、何を手に入れたいのでしょうか。 ベストセラーの著者という名声ですか。 それなら、もうアマゾンで、ご自身の本はベストセラーに認定されているのですから、それで十分でしょう。 この上何が欲しくて私を妨害するのでしょうか? もう英語教育とは関係ないことですか。
私は、こちらに書いてある3つのことをするのが、目的です。 日本人が子音の日本語化を知っているか、いないかで、通じる英語で話せるか話せないかが、決まります。 ですから、このことを読者の皆さんに理解していただくのは、とても大事なことなのです。 私の仕事の妨害をしないでください。
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クマさん、ウサギさん、ブタさん、それぞれが持っている旗に書かれたことの理由は、2017年7月30日のブログをご覧になるとわかります。