川合典子 ブログ

英語教育、英語学習、発音習得、帰国子女の言語習得について書いています。

言語と文化(2) 母国語習得の過程に人工的に介入すること。

文化の違いというのは日本の外に出ないと、感じることはありません。  けれども言葉を身に付ける場合は非常に重要です。  

子供が最初に身に付ける言語(母国語)はどこの国でもその社会に生活する人々がその文化を後ろに持っている言語です。

けれども、今、日本では赤ちゃんが初めて言葉を身に付ける時に、親御さんが大量に英語をインプットしてバイリンガルにしてしまおうという試みをする人もいるということを私は去年(2015年)、初めて知りました。

これは子供の「母国語習得の過程に外国語を持って人工的に介入する」ということですね。  私はこれは非常に危険だと思っています。

それで、私は、2011年10月17日のブログ「帰国子女の英語―帰国後の英語維持」に *幼児英語教育について* と *言語と文化* という2つの項目を2015年に新たに書き加えました。  以下に *幼児英語教育について* の冒頭の部分を転載しますので、お読みください。  

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お母さんが英語で話しかけるとしても、お母さんにとって英語は、日本語のようにその国の文化が体に染みついていて話している言語ではありません。  どういうことかと言いますと、例えばアメリカ人が the Founding Fathers という言葉を聞けば、それについて、学校で学んで、知的に理解していることはもちろんですが、その言葉を聞いたときに体の中に湧き上がってくるイメージや感情があります。  

これは英語だけでなく、どの国の言語にもあります。  フランス人が「フランス革命」と聞けば、心の中に湧き上がる感情があるでしょうし、イギリス人がエリザベス女王と聞けば、胸に感じるものがあるでしょう。  日本人が武士道、と聞けばその言葉の後ろにイメージだけでなく歴史や伝統、生き方まで含めた感覚が瞬時に広がります。

ですから、母国語の言葉には、学校で学ぶ知的な情報だけでなく、時にはその空気や皮膚感覚まで含めた膨大な情報がその後ろに広がっています。

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私は1988年から2006年までの18年間、日本とアメリカを行き来して育つ子供たちの言語習得をそばでつぶさに見てきました。  

子供の外国語習得を専門に研究する方々は、子供の習得する外国語のレベルや学習段階に注目して、研究されると思いますが、私は言語と「子供の生活」、言語と「人間関係の結び方」また、「まったくわからない言語の中に入れられるという危機にあったときの母国語の役割」などを通して、子供の言語習得を見てきました。

「子供の生活体験、学習内容や体験が、時には、皮膚感覚まで含むほど深く子供の体の中に母国語で蓄積している」という意味では、言葉は、その子の生活と切っても切れない関係にあります。  習得する言語のレベルをはかるだけでは済まない部分があるのです。  

母国語習得の過程に外国語を持って、人工的に介入するということは非常に危険なことだと思います。

理由は、今あげました2011年10月17日のブログ「帰国子女の英語 − 帰国後の英語維持について」の真ん中あたりから始まる *幼児英語教育について* とそれに続く(最後の部分) *言語と文化* に書きましたので、どうぞお読みになってください。

日本にずっといらした方々には、思いもかけない理由だと思います。  私はそのブログの中で、「文化を後ろに持たない言語を母国語として、最初に子供にインプットするというのは、人類始まって以来、初めてのことではないか」と書いています。

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来月から数回のシリーズで、大学教育を英語で行うことについて述べたいと思います。     

その際、2011年10月17日のブログの真ん中から後ろに書いてある、*幼児英語教育について* と *言語と文化* に書いてある「言語と子供のかかわり」を読んでおいていただくとわかりやすいと思います。  

「子供にとって言語とは何か」この問題をきちんと理解しておかないと、「大学教育を英語で行う」ことは「中学校の英語の授業を英語で行う」ことと同じように無意味になります。  「それでいったい子供(学生)たちが何を得るのか」まったく的外れな教育になるのです。  的外れならまだいいのですが、私はそれだけでは済まないと思っています。

2011年10月17日のブログの中にある**幼児英語教育について**と**言語と文化**をお読みになってまず、「子供にとって言語とは何か」を大体で結構ですので、理解していただきたいと思います。  長い文章ですので、日にちを置いて少しずつお読みになってください。

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高校入試で子供たちが親の収入によって差別されない為に以下のお知らせを書かせていただきます。

高校入試のスピーキングテストについて(大学入試のスピーキングテストについても同様です)

高校入試のスピーキングテストは本来文部科学省が学校教育で正しい発音を生徒に教えてから行うべきものです。  しかし、文部科学省が教科書にCDもつけず、正しい発音の仕方も学校で教えないまま、高校入試でスピーキングテストを実施する動きが都立高校などで始まっています。 (大学入試でもスピーキングテストが行われようとしています)  これは、スピーキングスキルの習得を塾や予備校、会話学校に丸投げするものです。  学校で教えていないスキルを入試でテストすることはあり得ません。

これでは経済的に余裕のない、塾や会話学校にいけない家庭の子供は誰にも正しい発音を教えてもらえず、練習するCD(音声モデル)も与えられないまま、高校入試でスピーキングテストをされることになり、明らかに親の収入による進路の差別が始まります。(詳しくは2018年3月8日のブログ「高校入試のスピーキングテストは子供を親の収入で差別するもの」をお読みください。)

皆さんの身近に教育関係者がいらっしゃいましたら、ぜひ「高校入試のスピーキングテストは子供を親の収入で差別するもの」であることをお伝えください。  (大学入試のスピーキングテストについても同じことです)  
15歳で親の収入のために進路を差別されるのでは子供たちがあまりにもかわいそうです。

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英語教育については、下のブログも併せてご参照ください。  日付をクリックすると移動できます。
2017年10月12日
文部科学省 新中学校学習指導要領 英語 「4技能」は全く効果がない(子供たちが通じる発音でスラスラ話せるようになる学習指導要領の見本付き)


高校英語教育を文部科学省の誤解に基づいた方針から守るため、以下のご案内を書かせていただきます。

現在文部科学省が「グローバル化に対応した英語教育改革」の目玉として掲げているCAN-DO方式は、ヨーロッパの人々にはできますが、日本語を母国語とする人にはできない方式です。

文部科学省は「CAN-DO方式が日本人には不可能な方式である」と気づいておりません。  導入されれば教育現場は大変迷惑します。  中止する必要があります。  なぜCAN-DO方式が不可能なのかはこちらのブログをお読みください。

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何度もお願いをしているのですが、アマゾンのページで私の本のランキングを下げて妨害をしている人がやめてくれないので、(詳細はこちらです)しばらく以下の文章を掲載させていただくことにしました。

「本を出版する人は、他の著者の妨害をしない。  他の著者を妨害する人は自分の本も出版できない。」
出版社におかれましては、このことを出版の際、著者に理解していただいてください。

私のランキングを妨害している人は、たぶん、現実を受け入れられないのでしょう。
アマゾンの順位を1ペ―ジ目から2ページ目に下げられ、数日でまた2ページ目から3ページ目に下げられて、私は、この方の激しい妨害に驚いています。 

「学習者に正しい発音を習得してほしい」というのが自分の目標でしたら、他人を妨害する必要はありませんね。  他人を妨害してまで、何を手に入れたいのでしょうか。  ベストセラーの著者という名声ですか。  それなら、もうアマゾンで、ご自身の本はベストセラーに認定されているのですから、それで十分でしょう。  この上何が欲しくて私を妨害するのでしょうか?  もう英語教育とは関係ないことですか。  

私は、こちらに書いてある3つのことをするのが、目的です。  日本人が子音の日本語化を知っているか、いないかで、通じる英語で話せるか話せないかが、決まります。  ですから、このことを読者の皆さんに理解していただくのは、とても大事なことなのです。  私の仕事の妨害をしないでください。 


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クマさん、ウサギさん、ブタさん、それぞれが持っている旗に書かれたことの理由は、2017年7月30日のブログをご覧になるとわかります。