川合典子 ブログ

英語教育、英語学習、発音習得、帰国子女の言語習得について書いています。

発音習得の基本姿勢

9月1日マライア・キャリーさんのブログを読んでくださったビジネスマンの方と先週、お話しする機会がありました。

その方は英語とは全く関係ないお仕事をしていらっしゃいますし、お忙しいので、英語の練習はなさったことはないと思います。  けれども解説を見ながら何回もHero の2分38秒のところを聞いていたら、Lの長さが聞き取れたそうです。  

「何回くらい聞いたらわかりましたか?」とお聞きしたら、10回くらい、ということでした。

練習をしていない人でも、何回も聞けば、Lの長さがわかった、というのは私にとってもうれしいことでした。

自分は仕事で英語は使わないけれど、聞けるようになりたいです、とおっしゃっていました。 (お子さんに、「英語の子音には長さがある」と教えてあげたいのだそうです。)

自分がしゃべらなくて、子音の長さのみ聞き取れればいい、という場合は、簡略腹式呼吸の練習や「オーイーの練習」(今はWhere are you ?の練習ですね) は必要ありませんので、子音を長く言う練習(2)のみ行っていただければ大丈夫です。  それも大変なら、電車を待っている間や歩きながら、Lから始まる単語をLを長くして言っていれば、耳が長い子音に慣れてきます。

さらに、今週の火曜日は、私の発音レッスンを数年前に卒業して行った人と話す機会がありました。  彼女は今でも、私のブログを読んでくれていて、「先生の9月1日のブログを読んでいて、私、焦ってしまいました。  私もHero のあの箇所で、Lの発音しか聞こえなかったんです。  いったい川合先生は、何の音のことを言っているのかしら。  私にはLの発音しか聞こえないわ、と焦ったのですが、由紀子ちゃんのことが書いてあって、安心しました」と、笑って話してくれました。

今も、自分の発音を録音して聞いているようで、「Wなんかは、自分では長めに発音しているつもりでも、聞いてみると、そうでもないんですよね。  もっとしっかり言わないとわかりづらいな、と思って、もう少ししっかり長く発音するように、やり直して練習したりしています」と言っていました。  文章に入っているWの長さまで、聞き分けていることに私は感心しました。  (彼女は現在も(2018年)冷蔵庫の前に W や L などの子音から始まる単語を紙に書いて貼っておき、毎朝、それを子音を長く発音している、と言っていました。  やっていないと、唇の力が落ちてしまいますからね。  それと、英語で話すとき、そんなことは気にしていられませんから、無意識でもできるようにしておかなければなりませんからね。)

「発音は自分で身に付けるもの」という基本姿勢を発音練習の最初に持ってもらうと、卒業しても、どんどん自分の力でうまくなって行くのですね。

「Lの発音以外何の音がするの?」と思ったというのですから、彼女の耳は帰国子女の由紀子と同じレベルまで上がってきている、と思いました。  「発音は自分で身に付けるもの」という基本姿勢を持っていると、一人で練習しても能力をどこまでも伸ばしていけるのだな、と思いました。

皆さんに中学生のお子さんがいらしたら、最初に「自分で聞いて身に付けるんだよ」という姿勢で、発音練習を始められると、どこまでも発音のレベルは上がって行きます。  たとえ基本の発音は先生に習ったとしても、この姿勢を持って習うことは重要です。  

先生の言う通り発音する人に比べて、「川合メソッド1」で学ぶ人は、最初の数か月は上手になるのが遅いですが、自分で聞いて直すことをしてきた人は、耳の能力が上がってきますので、彼女のように、どこまでも伸びていきます。

2013年5月6日のブログ「扇子{せんす}を見ると思うこと」というブログを読んでいただくとわかりますが、私は若い時には「生徒に音は聞けない」「日本人には音は聞けない」などと決めつけず、いろいろな能力を伸ばすチャンスを与えてあげた方がいいと思っています。

彼女が由紀子と同じくらい耳の力をつけたことを知って、やはり、「そういう指導法は、生徒の能力を伸ばしてくれた」と、改めて思いました。  



*今日初めて川合典子のブログを読んでくださった方へ*

英語の子音には長さがあります。(日本人が70年聞き取れなかった長さです)  「L」の長さは2016年9月1日のブログを読むとマライア・キャリーさんが発音しているLの長さが聞き取れます。

Sの発音は2012年2月21日のブログを読んでいただくとメリル・ストリープさんが発音するSの長さが聞き取れます。

2016年7月3日のブログでは、私がこの時のメリル・ストリープさんのSの長さを再現しています。

発音練習は演説でなく普通の会話文で行います。  ナチュラルスピードで日本語化しない子音で話す練習は演説ではできません。  日本人が昔から好んでやってきた練習ばかりしていると、日本人の英語を長い間、通じなくさせてきた問題点を克服することができません。


=日本人が70年聞けなかった子音の長さが聞けるようになる練習、川合メソッド2=

9月4日から10月1日までの練習

簡略腹式呼吸(水道管呼吸法) 4秒 x 5回
Where are you? の練習  5回        
Lの練習(2) 長いLで例文を言う  3回
Wの練習(2) 長いWで例文を言う  3回
Nの練習(2) 長いNで例文を言う  3回
Rの練習(2) 長いRで例文を言う  3回
Fの練習(2) 長いFで例文を言う  3回
Mの練習(1) 普通のMで例文を言う 5回
Mの練習(2) 長いMで例文を言う  5回

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川合メソッド2の練習を営利目的に使用するのはご遠慮ください。  この練習は、被験者の方々の何か月にもわたる、毎日の練習努力によって、出来上がったものです。  何もやっていない人が、結果だけを営利目的で使用するのはご遠慮ください。

特に出版社、発音を教える方による無断使用は固くお断りいたします。

皆様にそのようなお願いをする理由は、こちらでご覧いただけます。

学習者どうしの情報交換は歓迎します。  どんどん行ってください。




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高校入試で子供たちが親の収入によって差別されない為に以下のお知らせを書かせていただきます。

高校入試のスピーキングテストについて(大学入試のスピーキングテストについても同様です)

高校入試のスピーキングテストは本来文部科学省が学校教育で正しい発音を生徒に教えてから行うべきものです。  しかし、文部科学省が教科書にCDもつけず、正しい発音の仕方も学校で教えないまま、高校入試でスピーキングテストを実施する動きが都立高校などで始まっています。 (大学入試でもスピーキングテストが行われようとしています)  これは、スピーキングスキルの習得を塾や予備校、会話学校に丸投げするものです。  学校で教えていないスキルを入試でテストすることはあり得ません。

これでは経済的に余裕のない、塾や会話学校にいけない家庭の子供は誰にも正しい発音を教えてもらえず、練習するCD(音声モデル)も与えられないまま、高校入試でスピーキングテストをされることになり、明らかに親の収入による進路の差別が始まります。(詳しくは2018年3月8日のブログ「高校入試のスピーキングテストは子供を親の収入で差別するもの」をお読みください。)

皆さんの身近に教育関係者がいらっしゃいましたら、ぜひ「高校入試のスピーキングテストは子供を親の収入で差別するもの」であることをお伝えください。  (大学入試のスピーキングテストについても同じことです)  
15歳で親の収入のために進路を差別されるのでは子供たちがあまりにもかわいそうです。

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英語教育については、下のブログも併せてご参照ください。  日付をクリックすると移動できます。
2017年10月12日
文部科学省 新中学校学習指導要領 英語 「4技能」は全く効果がない(子供たちが通じる発音でスラスラ話せるようになる学習指導要領の見本付き)



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「中学、高校の英語の授業を英語で行う」という誤った学校教育(英語教育)の方針から子供達を守る為、当分の間、下記の文を掲載させていただきます。

英語教育の「戦後」は終わらない

実際の帰国子女の英語習得過程に照らし合わせると、「英語で考える」という指導法は戦後、外国に行くこともほとんどなかった日本人が誤って信じた架空の学習法であることがはっきりわかります。

親の赴任などで、アメリカに連れて行かれた帰国子女の英語習得の過程は、戦後提唱された「英語で考える」指導法とは全く違っていました。

なぜ「英語で考える」指導法が間違ってしまったのかというと、自分の英語習得の過程を後から振り返って提唱したものだったからです。  「日本語訳が悪い」という提唱者の思い込みにあうように後から組み立てられた架空の方法だったからです。  

英語習得を陸上400メートルリレーに例えると、スタートする第一走者には日本語訳は必要です。  ゴール間近の第4走者には日本語訳はいりません。  アメリカ生活が長かった提唱者は、英語習得を振り返ったとき、第4走者の立場でしか英語習得を見られなかったのです。  そして英語を学ぶ第1走者が日本語訳を使っているのを見て、「日本語訳には害がある」と決めつけたわけです。  

一方、帰国子女の観察の方(著書「帰国子女に見る世界に通用する英語力の作り方」に詳しく書きました)はリアルタイムで見た、実際の英語習得過程をそのまま記録したものです。

そこには日本語訳に対する偏見も思い込みもなく、ありのままの英語習得のプロセスがありました。  

これから「英語」を学ぶ人間が「英語」で考えられるわけがないでしょう。  帰国子女の英語習得過程は極めて理にかなった、合理的なプロセスでした。

「戦後」日本人があまり外国語学習を知らなかった時代に人々が誤って信じ込んだ「英語で考える」指導法を21世紀を生きる子供たち(高校生)の英語の授業に、先生方の反対を押し切って、強引に持ち込んだのは、明らかに文部科学省の過失です。  

けれども間違っていると明らかになっても続けているのはもはや過失ではなく「故意」ですね。  故意に間違った高校教育をやらせているのですから罪は一層重いです。

こうしている間にも、高校生が、一日、また一日と文部科学省の誤った方針の犠牲になって行きます。  かわいそうです。  高校時代は一度しかないのですから。

「英語で考える」指導法をやっている限り、英語教育の「戦後」は終わりません。

英語圏で使われている英語の語彙、構文の量を東京ドーム一個分に例えたら、初心者が使う語彙、構文は、ニワトリの卵1個分のようなものです。  ニワトリの卵のような小さな世界で、「Head という単語を日本語訳を使わないで、英語で説明する」などという練習をしてもまったく英語力は上がりません。 

最初は日本語訳を使って、どんどん言葉を理解し、出来るだけ早くニワトリの卵から飛び出すことです。  東京ドームのような大量の英語の世界へ早く飛び出すことです。  

そこで大量のインプットをするから、英語のニュアンスも使い方もわかってくるのです。  大量のインプットとそれに続くアウトプットの過程で学習に使った日本語訳は頭の中から消えていきます。  これが本当の英語習得のプロセスです。  きわめて理にかなったプロセスです。

アメリカに行ったばかりのころ「こんなもの、英語でいくら説明されてもわからないんだよ」と言った息子も、「あのころは英語で何を言われても何にもわからなかった」と言った娘も、全文和訳でバイリンガルになって行きました。

戦後、「自分に日本語訳が必要だったこと」を忘れ、「ここはアメリカではない」ということも忘れた人が提唱した架空の「英語で考える」などという指導法をよりによって文部科学省が21世紀の学校教育に持ち込むこむことはないでしょう。

「英語で考える」などという架空の指導法に騙(だま)されている限り、日本の英語教育の「戦後」は終わりません。

(納得できないという方は、2017年11月30日のブログ和文英訳(最終回)松本亨氏が提唱した「英語で考える指導法」はインプットをさせないでアウトプットだけをさせる方法 英語学習者が実際にはできない机上の空論でした」をご覧ください。  また、 2015年12月5日のブログセミの抜け殻」、2015年7月7日のブログ「英語で考える」「英語を英語で理解する」という指導法は、日本でやっても効果はありません。  母国語並みの大量のインプットがありませんから」も参考になさってください)

英語で考えるようになった私の子供たちがアメリカでどういう勉強の仕方をしていたかは2017年3月1日のブログ「先生の宿題のプリント(「英語で考える」ってどういうこと?)をご覧ください。  松本亨氏著「英語で考えるには そのヒケツと練習」という赤い本に書かれている練習が全部フランス語だったら、「石渡誠氏でも仏和辞典を引かなければ、フランス語の意味は分からない」と解説した2017年2月4日のブログ「英語の思考活動」も参考になさってください。

中学、高校の正しい英語教育については2015年10月19日ブログ「川合式英語学習法」をご覧ください。

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高校英語教育を文部科学省の誤解に基づいた方針から守るため、以下のご案内を書かせていただきます。

現在文部科学省が「グローバル化に対応した英語教育改革」の目玉として掲げているCAN-DO方式は、ヨーロッパの人々にはできますが、日本語を母国語とする人にはできない方式です。

文部科学省は「CAN-DO方式が日本人には不可能な方式である」と気づいておりません。  導入されれば教育現場は大変迷惑します。  中止する必要があります。  なぜCAN-DO方式が不可能なのかはこちらのブログをお読みください。

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何度もお願いをしているのですが、アマゾンのページで私の本のランキングを下げて妨害をしている人がやめてくれないので、(詳細はこちらです)しばらく以下の文章を掲載させていただくことにしました。

「本を出版する人は、他の著者の妨害をしない。  他の著者を妨害する人は自分の本も出版できない。」
出版社におかれましては、このことを出版の際、著者に理解していただいてください。

私のランキングを妨害している人は、たぶん、現実を受け入れられないのでしょう。
アマゾンの順位を1ペ―ジ目から2ページ目に下げられ、数日でまた2ページ目から3ページ目に下げられて、私は、この方の激しい妨害に驚いています。 

「学習者に正しい発音を習得してほしい」というのが自分の目標でしたら、他人を妨害する必要はありませんね。  他人を妨害してまで、何を手に入れたいのでしょうか。  ベストセラーの著者という名声ですか。  それなら、もうアマゾンで、ご自身の本はベストセラーに認定されているのですから、それで十分でしょう。  この上何が欲しくて私を妨害するのでしょうか?  もう英語教育とは関係ないことですか。  

私は、こちらに書いてある3つのことをするのが、目的です。  日本人が子音の日本語化を知っているか、いないかで、通じる英語で話せるか話せないかが、決まります。  ですから、このことを読者の皆さんに理解していただくのは、とても大事なことなのです。  私の仕事の妨害をしないでください。 

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私のDVDで発音練習をするときは、耳に注意を集中して音を聞いて下さい。
最初はテキストを見ながら練習していただいて結構ですが、文字に気を取られていると、実際の音よりも自分がこうだと思っている音のまま発音していることが多くあります。

私はDVDの単語の発音の練習のところで、Life や Leg のLの音をほんの一瞬ですが、日本語化しない「長さのあるL」で発音しています。  そういう音をできるだけよく聞いて、同じように言ってください。

Fight や Fin の Fの音も長さをもって発音しています。  Way や Wet の W の音も長さを保持して発音しています。  それを耳でよく聞いて同じように言ってください。
 
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クマさん、ウサギさん、ブタさん、それぞれが持っている旗に書かれたことの理由は、2017年7月30日のブログをご覧になるとわかります。