川合典子 ブログ

英語教育、英語学習、発音習得、帰国子女の言語習得について書いています。

川合メソッド実践者からのお手紙

先週、出版社に川合メソッドを実践した方からお手紙が寄せられました。  (以前、私のホームページに掲載してありましたお問い合わせのメールアドレスは現在は削除されて使われておりませんので、封書でいただきました。)

この方からは、以前、勉強方法についてご質問をいただき、お答えしたことがあります。  今回のお手紙は発音習得をなさっている方の参考になることが書いてありましたので、ご本人の許可を得て、掲載させていただくことにしました。  お名前はMさんとなっています。

* * *

川合典子様

お元気ですか?  以前メールで何度か相談させていただいたMです。 

あれから仕事をやめ、妊活を始め英語とは縁遠い生活をしていましたが、先日、語学ボランティアを始めることになりました。

初めの日、自分が発する音に違和感を感じて、次の日から先生のDVDに合わせて発声、発音練習を始めました。

そして、次の週、再びボランティアをしました。するとお客様から、「どこで英語を勉強したの?」とけげんな顔というか不思議な顔で聞かれることが多々ありました。  「学校で習いました。」というと「でも、他の日本人はあなたみたいに話さないよ。」「私はあなたのアクセント好きよ。」「はっきり発音できてて他の日本人と違う。」という信じられないお褒めの言葉をいただくことがありました。  その中には「How was it?」と一言だけ言っただけなのに、そういっていただいたこともありました。

私は精神的に緊張しやすく横隔膜が硬かったので、動くようになるまでかなりかかりました。  でも1週間でまた動いてくれた時は本当にうれしかったです。

まだまだ上達できるところがあるので、練習をストレスにならない程度に続けていきたいと思います。

先生のブログも拝見させていただいております。  先生に出会う前はAEONなどで大金を出しても発音は良くならず、スピーキングが苦痛でした。  今思えば一番初めに習えば遠回りや苦労もしなくて済んだと思います。  なので、初心者の方は、すぐ英会話スクールへ行ってネイティブと話せば上手になると簡単に思わないほうがいいのかもしれません。 

もちろんそれで上達する方もいらっしゃると思います。  ただ、自分の体と耳を鍛えるのは自分という意識は重要かもしれませんね。

私も、ドラマや映画を見ていると、特にコメディーの話し方は普段の話し方とは違うのかな?と思いました。  なので、Youtubeで普通の会話も聞いたりしてバランスをとっています。

先生のメソッドが本当に役立っています。  ありがとうございます。  これからも応援しております。  末筆で失礼しました。

M.O

追伸 私はピラティスも同時に習いました。  おかげで体幹を鍛えて息がすえるようになったと思います。

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お手紙を読んで私も大変うれしく思いました。  この方は川合メソッド1(One)の方をなさった方です。  6月から皆さんとやっていますのは川合メソッド2のほうです。

川合メソッド1(One)というのは、私の著書「英語発音、日本人でもここまでできます。」に書いてある通りに勉強するやり方です。  自分の発音を録音してお手本と比べて直していきます。  少し手間がかかりますが、耳の力が上がりますので、音の特徴がよく把握できるようになり、聞いた通りに発音する能力が高まりますので、非常に流ちょうな発音になります。

こちらのブログで紹介したニューヨークでアメリカ人からも、「きれいな発音ね」と言われた方も川合メソッド1(One)の実践者です。  この方は私の生徒さんですが、私は、レッスンを受ける方にも、自分で自分の発音とお手本の発音を聞き比べて直してきてもらいます。  それでも本人が気づかず、直っていないところをレッスンで指導します。  私がレッスンで指摘する箇所は「続・英語発音、日本人でもここまでできます。」(緑の本)に書いてあります。 日本人が相手に聞こえるように発音できないところは、日本語の癖から来る場合がほとんどですので、生徒さんの発音に問題が出る箇所はだいたい同じですので、この本に書いてある点を参考になさってください。

「自分で発音を聞けない」という方の場合、文全体の発音を聞こうとすると聞けませんが、例えば、Many students play sports. という文のSPORTS  という単語の最初の「S」の音の長さを聞いて下さい。 というと聞ける場合が多いです。  つまり、あるポイントに注意を集中して聞き比べると違いが聞けるようになります。  そうやって練習すると聞く力がだんだん上がってきます。

私は、Mさんのお手紙には、発音を学ぶ人の指針となる重要なことが書かれていると思いました。  それは、

自分の体と耳を鍛えるのは自分という意識は重要

というところです。  何を身に着けるにも言えることですが、「自分でする」という意識を持つことは非常に重要だと思います。  これは、学ぶ人の主体性にもかかわってくることです。  

「自分の体と耳を鍛えるのは自分という意識」をもって学ぶのと、「自分には音は聞けないから他人に聞いてもらって直してもらう」という姿勢で学ぶのでは、何年もたつうちに発音を聞き取る能力は大きく違ってきます。  耳の力は聞くことを他人に任せた瞬間から後退していくからです。  ぜひ、自分の耳で音を聞いて発音を学ぶという姿勢で練習してください。  たとえ、最初は先生に習ったとしても、この姿勢をもって発音練習することは重要です。

日本人は「自分の話している子音が短い」と聞き取れるようにならないと、通じる英語では話せません。  つまり日本人は耳の力を上げる練習をすることなく通じる発音で話せるようにはならない、ということです。

だからと言って、発音習得に大金をかける必要はありません。  聞く練習は自分でできます。  音声の教材と、発音を録音する機器(テープレコーダーかICレコーダー)は揃えなければなりませんが、そのあとは、お金をかけなくても自分で正しい発音は学べます。  このMさんのように「はっきり発音できてて、ほかの日本人とは違う」と言われるような発音を習得することは十分可能です。

発音習得は、ぜひ、自分の耳を使って行ってください。

なおMさんにお送りしました私の返信は次の通りです。

うれしいお手紙をお送りいただきまして、ありがとうございます。
メソッドを実際に行った方の感想はとても説得力があります。
自分の体験から、発音習得には、
「”自分の体と耳を鍛えるのは自分”という意識は重要」とおっしゃっているのは、
今、発音練習をしている方々にとって、とても重要な指針になると思います。

自分の体と耳を自分で鍛える練習をしてきたMさんだからこそ
「他の日本人とは違う英語」を話せるようになられたのですね。  
「他人に教えてもらえばいい」という姿勢でなく、
自分の体と耳を自分で鍛える地道な努力を続けてこられたからこその成果ですね。
私もとてもうれしいです。

しばらくブランクがあったとのことですが、自分の体と耳を使って習得したことは
練習を再開するとすぐに取り戻すことが出来る、ということもわかって
教える立場の私としても、とても勉強になり、うれしく思いました。
お手紙、どうもありがとうございました。

川合典子

発音練習をしている方は、どうぞMさんの体験を参考になさってください。

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高校入試で子供たちが親の収入によって差別されない為に以下のお知らせを書かせていただきます。

高校入試のスピーキングテストについて(大学入試のスピーキングテストについても同様です)

高校入試のスピーキングテストは本来文部科学省が学校教育で正しい発音を生徒に教えてから行うべきものです。  しかし、文部科学省が教科書にCDもつけず、正しい発音の仕方も学校で教えないまま、高校入試でスピーキングテストを実施する動きが都立高校などで始まっています。 (大学入試でもスピーキングテストが行われようとしています)  これは、スピーキングスキルの習得を塾や予備校、会話学校に丸投げするものです。  学校で教えていないスキルを入試でテストすることはあり得ません。

これでは経済的に余裕のない、塾や会話学校にいけない家庭の子供は誰にも正しい発音を教えてもらえず、練習するCD(音声モデル)も与えられないまま、高校入試でスピーキングテストをされることになり、明らかに親の収入による進路の差別が始まります。(詳しくは2018年3月8日のブログ「高校入試のスピーキングテストは子供を親の収入で差別するもの」をお読みください。)

皆さんの身近に教育関係者がいらっしゃいましたら、ぜひ「高校入試のスピーキングテストは子供を親の収入で差別するもの」であることをお伝えください。  (大学入試のスピーキングテストについても同じことです)  
15歳で親の収入のために進路を差別されるのでは子供たちがあまりにもかわいそうです。

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英語教育については、下のブログも併せてご参照ください。  日付をクリックすると移動できます。
2017年10月12日
文部科学省 新中学校学習指導要領 英語 「4技能」は全く効果がない(子供たちが通じる発音でスラスラ話せるようになる学習指導要領の見本付き)


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次に、皆さんのLの練習はいかがですか?
Lが長いとリズムが取りにくいですが、この練習は舌の力をつける効果もありますので、強く舌を歯茎に押し付けて十分長さを保って発音してください。
練習第3週目にあたる、来週くらいから皆さんの発音に変化が出始めますので、もう少し続けてくださいね。

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6月4日から6月24日までの練習内容
3つのLの例文を2つのやり方で言う
練習のときは、ヘッドフォンをつけなくて結構です。

練習(1) 普通の言い方  5回
練習(2) Lが長い言い方 5回
舌に力を入れて強く押し付ける。

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なお、この練習を営利目的で使用することはご遠慮ください。 皆様にそのようなお願いをする理由はこちらでご覧いただけます。

(例) 出版、発音セミナー、発音レッスン、その他。

学習者どうしの情報交換は歓迎します。  ほかの発音学習者に皆さんが教えてあげてください。
 


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私の2冊目の本「続・英語発音、日本人でもここまでできます。」(緑色の本)を購入された方で、CDトラック6,13,18,19にある生徒さんと私の子音の長さの比較がよくわからない方は下のブログを参考にしてください。

2016年7月3日のブログ  子音を長く言う「川合メソッド2」「L」の練習 4週間後 (長いSの例)
2016年9月1日のブログ  RとFの練習 1か月後 マライア・キャリー (長いLの例)
2015年2月1日のブログ  「続・英語発音、日本人でもここまでできます。」付属CDトラック6 例文 Where's my bag? 川合典子には生徒のWの発音はどう聞こえたか。

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英語教育について

文部科学省の英語教育の方針は、効果がありません。

1)現在、高校生が行っている「英語で授業」は効果がありません。  (理由はこちら
2)「CAN-DOリスト形式」は効果がありません。 (理由はこちら
3)「4技能」は効果がありません。  (理由はこちら
4)現在、小学校の英語教育で子供たちが話しているのは、英語の発音ではありません。 (理由はこちら
5)大学教育を英語で行うと日本の学問は壊滅的な打撃を受けます。 (理由はこちら
以上の理由により、文部科学省の方針は効果がありません。

「発音」、「語順」、「英語で考える」、それぞれを習得する方法は2015年10月19日のブログ「川合式英語学習法」をご覧ください。


「英語で考える」を提唱した松本亨氏の主張について

松本亨氏の「英語で考えるためには日本語訳を使ってはいけない」という主張は2006年、私の子供たちが全文和訳でバイリンガルになった事実によって否定されました。 

また松本亨さんの書いた「英語で考える本」「英語で考えるには そのヒケツと練習」という本に書いてある練習をしても英語で考えるようにはなりません。(2月4日のブログ「英語の思考活動」、3月1日のブログ「先生の宿題のプリント「英語で考える」ってどういうこと?」を参照してください)

英語で考えるようになりたかったら、少しまとまった英文を読んで、内容を日本語の思考力を使って考え、それを英語で表現するように練習していくことです。  初期の学習者は、英文を読むときに日本語を排除したら、まったく思考活動はできません。

私の子供たちは、教科書に書いてあることをわかろうとして、必死に日本語に訳して理解して行きました。  「必死でわかろうとする気持ち」とともに英文を読んでいったわけです。  意味が分からないまま英文を何回読んでも先生のおっしゃることは分かるようにはならないからです。  

Je suis Charlie. と母国語で言うフランス人が I am Charlie.という言語を学ぶとき、母国語の思考力を持ち込んでいないはずはないでしょう。  日本人は誤った指導法を50年も信じて、大きく後れを取りました。  初期の学習者が母国語を排除して、何回英語を読んでも思考活動など起きません。  

そんなことをするより、たくさんの単語を和訳でさっさと覚えて、こちらのブログに書いてあるように、鶏の卵のような小さな英語の世界から、東京ドームのような大きな英語の世界に早く飛び出すことです。  そうやって大量の英語を処理していけば、介在させた日本語は消えていきます。  

少しの英語を「日本語を使わず理解する」などという気休めのような勉強をしていないで、覚えることは母国語でさっさと覚えて、大量の英語の世界に早く飛び出すことです。

英語で考えるようになることは、英語の言語体系を頭に作っていくことですから、大量のインプットなしにはできません。  それも、音声のインプットだけではできません。  それは著書「帰国子女に見る世界に通用する英語力の作り方」に書いた通りです。 


発音習得について

自分の耳を使いましょう。
日本人は耳の力を上げないと、自分の子音が短いことに気づけません。
通じる発音で話せるようになるためには必ず自分の耳で発音を聞きましょう。

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何度もお願いしているのですが、アマゾンのページで私の本のランキングを下げて妨害をしている人がやめてくれないので、(詳細はこちらです)しばらく以下の文章を掲載させていただくことにしました。

「本を出版する人は、他の著者の妨害をしない。  他の著者を妨害する人は自分の本も出版できない。」
出版社におかれましては、このことを出版の際、著者に理解していただいてください。

私のランキングを妨害している人は、たぶん、現実を受け入れられないのでしょう。
アマゾンの順位を1ペ―ジ目から2ページ目に下げられ、数日でまた2ページ目から3ページ目に下げられて、私は、この方の激しい妨害に驚いています。 

「学習者に正しい発音を習得してほしい」というのが自分の目標でしたら、他人を妨害する必要はありませんね。  他人を妨害してまで、何を手に入れたいのでしょうか。  ベストセラーの著者という名声ですか。  それなら、もうアマゾンで、ご自身の本はベストセラーに認定されているのですから、それで十分でしょう。  この上何が欲しくて私を妨害するのでしょうか?  もう英語教育とは関係ないことですか。  

私は、こちらに書いてある3つのことをするのが、目的です。  日本人が子音の日本語化を知っているか、いないかで、通じる英語で話せるか話せないかが、決まります。  ですから、このことを読者の皆さんに理解していただくのは、とても大事なことなのです。  私の仕事の妨害をしないでください。 

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私のDVDで発音練習をするときは、耳に注意を集中して音を聞いて下さい。
最初はテキストを見ながら練習していただいて結構ですが、文字に気を取られていると、実際の音よりも自分がこうだと思っている音のまま発音していることが多くあります。

私はDVDの単語の発音の練習のところで、Life や Leg のLの音をほんの一瞬ですが、日本語化しない「長さのあるL」で発音しています。  そういう音をできるだけよく聞いて、同じように言ってください。

Fight や Fin の Fの音も長さをもって発音しています。  Way や Wet の W の音も長さを保持して発音しています。  それを耳でよく聞いて同じように言ってください。

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子音を少し早めに言う練習は2017年7月30日のブログの最後「発音練習について」をご覧ください。