川合典子 ブログ

英語教育、英語学習、発音習得、帰国子女の言語習得について書いています。

ナチュラルスピードでネイティブと同じに話すには。

(今日のブログは、内容的には「英語発音、日本人でもここまでできます。」の18ページから19ページに書かれていることと同じですので、本を読んでくださった方には重複する内容となります。あらかじめご了承ください。)

英語の発音を学ぶとき、「耳で聞いた音と同じ音を出してください。」と言われても、「どう発音したらいいかわからない。」と言う人の気持ちは私にもわかります。

私もそういわれてできなかったので、中学生の時、NHKラジオの基礎英語を聞いて、発音の仕方を学んだり、教科書にあった発音するときの口の写真を見て参考にしたりしました。 もしかしたら、それは教科書ではなくほかの本で見た写真だったかもしれませんが、今でもその写真をよく覚えています。 白黒の写真でしたが、女性の唇の色がすごく濃かったからです。 そのほうがはっきりわかるからでしょうね。  いずれにしろ基礎的な発音の仕方を習うのは必要なことだと思います。それで、私は、DVDの中で個々の音について、発音の仕方を説明しています。

でも、その発音の仕方を習ったら、そこから先は、じぶんの仕事です。発音してみて、録音し、同じ音がでているかどうかじぶんの耳で確認してください。もし、「何か違う。」と感じたら、もう一度どこが違うのか、聞きなおしてみてください。そうやって、少しずつ、自分で、モデルと同じ音が出せるようにしていってください。

自分の耳で聞いて、じぶんの口で何度も言う、それが同じ音かどうかじぶんの耳でまた、確認する。こういうことを繰り返すのは、食べるときに、口の中で食べ物を何度も噛んでやわらかくするのと、似ています。そのままでは吸収できない食べ物もよくかめば、胃や腸で吸収されやすくなります。

音もこうやって何度も何度も反芻するように、練習していると、「こんな風に発音しているのかな」と言うことがだんだん体で感じられるようになってきます。続けていくと、自分の耳や口になじんだ音の出し方が、手に取るようにわかってきます。

耳で聞いた音と同じ音を発音しようと、易しい文章から練習してきた人は、上級になって、ナチュラルスピードの英語を話すようになったとき、ネイティブと同じに発音できるようになります。

ナチュラルスピードの文章をしゃべるようになってもほとんどの日本人はひとつひとつ単語を発音して、それをつなげて速くしゃべっているだけです。けれども、ナチュラルスピードの文章では、単語と単語のつなぎ目の発音が違ってきます。前の単語の最後の音は後ろの単語のはじめの音が、どういう音かによって、変化します。

たとえば、

at all
at last
at the top

これらのat の「T」は全部、発音のしかたが違います。聞いた音と同じに発音するように練習してきた人は、ナチュラルスピードの英語になっても、こういう微妙な違いをそっくり同じにいえるようになります。(というより、そう発音するから、流れるようなナチュラルスピードでいえるのです。)

単語と単語のつなぎ目の変化をすべて誰かに教えてもらうのは不可能です。日本語もそうですが、言葉が、文章で言われたときの流れるような言い方は、もう、「ここをこうやって」、「そこをああやって」と誰かが言葉で説明して、やり方をわからせることは出来ないのです。  そのくらい微妙な変化だからです。 文章の口の運び方は、もう、自分の耳で聞いて、同じように言おうとしなければ、体得できないくらい微妙な連続した動きだからです。

多くの人は、単語の発音を習えば、それで、文章もいえると思っています。けれども単語と単語がどういうふうにつながるかは、実際の音で学んでいかなければ、身につかないのです。単語がいえれば、文章も自動的にいえると思ったら、間違いです。それはまた、そのための練習が必要です。

この点は、今まで、明らかにわかる連結を除いて、ほとんど教えられることはありませんでした。たぶん、教えられないくらい、たくさんあり、教えられないくらい微妙な動きだからでしょう。自分で聞いて真似をする以外に体得のしようがないのです。ですから、他人に発音を直してもらうだけの人は、ナチュラルスピードの英語をネイティブと同じに言うことはできません。

これができるのは耳で聞いた音と同じ音を口で再生する練習をしてきた人だけです。実際の会話は、文章でしゃべります。単語がつながった文章の発音を練習することなく、会話でネイティブのようにしゃべることは不可能です。

この練習は、音を聞いて捉えられる、ゆっくりしたスピードからやっていかないとできません。上級になって、いきなりナチュラルスピードの英語から、聞き取ろうと思ってもできません。ですから、私は、初級者のときから、この練習をしてください、と薦めています。初級で使う短い、ゆっくりとした文章から始めれば、文章になるときの微妙な変化も、たいして難しくはないからです。その練習を続けていけば、ネイティブと同じにしゃべれるようになります。

発音練習における耳の重要性については7月23日のブログ「正しい発音とは」に書きましたので、そちらもあわせてお読みください。耳が発音の仕方を教えることについては、7月8日のブログ「機械に発音の判定をさせるということ」に書きましたので、参考にしてください。




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高校入試で子供たちが親の収入によって差別されない為に以下のお知らせを書かせていただきます。

高校入試のスピーキングテストについて(大学入試のスピーキングテストについても同様です)

高校入試のスピーキングテストは本来文部科学省が学校教育で正しい発音を生徒に教えてから行うべきものです。  しかし、文部科学省が教科書にCDもつけず、正しい発音の仕方も学校で教えないまま、高校入試でスピーキングテストを実施する動きが都立高校などで始まっています。 (大学入試でもスピーキングテストが行われようとしています)  これは、スピーキングスキルの習得を塾や予備校、会話学校に丸投げするものです。  学校で教えていないスキルを入試でテストすることはあり得ません。

これでは経済的に余裕のない、塾や会話学校にいけない家庭の子供は誰にも正しい発音を教えてもらえず、練習するCD(音声モデル)も与えられないまま、高校入試でスピーキングテストをされることになり、明らかに親の収入による進路の差別が始まります。(詳しくは2018年3月8日のブログ「高校入試のスピーキングテストは子供を親の収入で差別するもの」をお読みください。)

皆さんの身近に教育関係者がいらっしゃいましたら、ぜひ「高校入試のスピーキングテストは子供を親の収入で差別するもの」であることをお伝えください。  (大学入試のスピーキングテストについても同じことです)  
15歳で親の収入のために進路を差別されるのでは子供たちがあまりにもかわいそうです。

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英語教育については、下のブログも併せてご参照ください。  日付をクリックすると移動できます。
2017年10月12日
文部科学省 新中学校学習指導要領 英語 「4技能」は全く効果がない(子供たちが通じる発音でスラスラ話せるようになる学習指導要領の見本付き)






高校英語教育を文部科学省の誤解に基づいた方針から守るため、以下のご案内を書かせていただきます。

現在文部科学省が「グローバル化に対応した英語教育改革」の目玉として掲げているCAN-DO方式は、ヨーロッパの人々にはできますが、日本語を母国語とする人にはできない方式です。

文部科学省は「CAN-DO方式が日本人には不可能な方式である」と気づいておりません。  導入されれば教育現場は大変迷惑します。  中止する必要があります。  なぜCAN-DO方式が不可能なのかはこちらのブログをお読みください。

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何度もお願いをしているのですが、アマゾンのページで私の本のランキングを下げて妨害をしている人がやめてくれないので、(詳細はこちらです)しばらく以下の文章を掲載させていただくことにしました。

「本を出版する人は、他の著者の妨害をしない。  他の著者を妨害する人は自分の本も出版できない。」
出版社におかれましては、このことを出版の際、著者に理解していただいてください。

私のランキングを妨害している人は、たぶん、現実を受け入れられないのでしょう。
アマゾンの順位を1ペ―ジ目から2ページ目に下げられ、数日でまた2ページ目から3ページ目に下げられて、私は、この方の激しい妨害に驚いています。 

「学習者に正しい発音を習得してほしい」というのが自分の目標でしたら、他人を妨害する必要はありませんね。  他人を妨害してまで、何を手に入れたいのでしょうか。  ベストセラーの著者という名声ですか。  それなら、もうアマゾンで、ご自身の本はベストセラーに認定されているのですから、それで十分でしょう。  この上何が欲しくて私を妨害するのでしょうか?  もう英語教育とは関係ないことですか。 私は、とても困っています。  

私は、こちらに書いてある3つのことをするのが、目的です。  日本人が子音の日本語化を知っているか、いないかで、通じる英語で話せるか話せないかが、決まります。  ですから、このことを読者の皆さんに理解していただくのは、とても大事なことなのです。  私の仕事の妨害をしないでください。 

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クマさん、ウサギさん、ブタさん、それぞれが持っている旗に書かれたことの理由は、2017年7月30日のブログをご覧になるとわかります。