川合典子 ブログ

英語教育、英語学習、発音習得、帰国子女の言語習得について書いています。

発音の本なのに何で「聞く、読む、書く、」の練習について書いてあるの?

私の本は発音の本なのになんで「聞く、読む、書く」の練習が書いてあるのかわからない方がいらっしゃるようなので、そのことについて今日はお話したいと思います。

今、書店に並んでいる発音の本はみんな発音のことだけしか書いていないので、不思議に思われるのも、無理ないことですね。

以前私は、「英文法は知っていたけれど、どのように教えるのか興味があって、ニュージャージーにいたころ英文法の講座を履修しました。」とブログに書きました。その講座の中で、自分の意見を(英語で)言う練習も行われました。最初は生徒を小さなグループに分けて、意見を言う練習から始まりました。大勢の前では話せない人もいるので、こうやって指導していくのはいい方法だなと思いました。

帰国してから、日本では、自分の意見を英語で言う練習はどのように指導されているのか興味がありましたので、そういう勉強会やセミナーにいろいろ参加してみました。その中には英検一級の2次試験のための講座もありました。 

講座が始まって一ヶ月位たったころ、先生が、「皆さん、もっとfluency を高めてください。 すらすら話せないとだめなのです。」と言われました。そして、「川合さんの英語はfluencyがありますね。こういう風に、皆さんに話してもらいたいのです。」と先生がおっしゃいました。私は突然自分の名前が出たので、びっくりしました。

なぜこんな話をしたかと言うと、英検一級の2次試験を受けるような人でも、すらすら英語で自分の思っていることを言えない人はたくさんいるということを皆さんに知ってもらいたかったからです。

英語をすらすら話すには、今言っている単語の次に何と言う単語を言うのか知っていないとできません。おそらく単語では間に合わないから文章で英語が頭に浮かんでこないとだめでしょうね。それができないと頭で英語を考えながら話していくことになりますので、たどたどしい英語になります。

「たどたどしい」ということは、英語のリズムとイントネーションで言えないということです。聞いている人にとってはとてもわかりにくい英語になります。

もう一つの例を聞いてください。
少し前に、生徒さんが3分間の教材を録音して、送ってきました。2,3箇所発音を直しましたが、あとは母音の区別も正確に言えていましたし、子音もきちんと聞こえました。英語のリズム、イントネーションも出来ていました。

レッスンのとき、私は、「ここまでよく練習しましたね。3分間正しい発音でしゃべるというのはとても大変なことです。私は勉強会などでいろいろな人の英語を聞きますけれど、これが出来る日本人はほとんどいません。もう、私のところに発音を習いに来なくても大丈夫ですよ。」と言いました。

するとその生徒さんが、「いいえ、たとえ音読が正しい発音でできても、私は自分の言いたいことを英語で言おうとすると、たどたどしい英語になってしまって、正しい発音ではしゃべれません。自分の言いたいことが英語で頭に浮かんでくる状態にならなければ、正しい発音でしゃべれないのです。これからは自分の言いたいことが英語で頭に浮かんでくる練習をお願いいたします。」と言いました。

「わかりました。それでは今日からその練習に入りましょう。」と私は答えました。

上の2つの例を読んでいただいて、もうお分かりになったと思いますが、発音の練習だけしていても正しい発音で自分の言いたいことをしゃべれるようにはならないのです。

自分の言いたいことが英語で頭に浮かんでくる状態にならなければ結局そのつど、次に言う英語を考えることになりますから、たどたどしくなります。たどたどしく単語を並べた英語を聞くことは、相手にとっては非常に苦痛です。昨日まで原稿を見ながらしゃべっていた正しい発音とは似ても似つかない発音でしゃべることになるのです。

私は長い経験から発音の練習を何年しても正しい発音でしゃべれないということを知っています。いいたい文章が英語で頭に浮かんでくるようにするには英語力を上げる勉強が不可欠です。ですから私の本は発音の本なのに、英語力を上げる勉強も同時にしていただくようになっています。発音練習だけを何年しても、自分の言いたいことをよい発音でしゃべれるようにはなりません。

頭で英語を処理するスピードを上げる練習をはじめ、fluentに英語をしゃべるためにしなければならないことがあるのです。こういう事実は聞きたくないかもしれませんが、本当のことです。発音練習だけして、言いたいことがfluentにいつでも言えるようになったらいいですが、そういう日は来ないのです。英語力を上げる勉強が必要になります。

初心者の場合は、英語の蓄積がないので、言いたいことを表現する文章をそのまま発音練習して、身につけていくようにします。言いたいことを細部にまで正確に表現できないかもしれませんが、こうやって正しい発音で言える文章をたくさん身につけておけば、ある程度のコミュニケーションは成立します。

そのために発音練習は文章で行います。単語だけで発音練習していると、リズムとイントネーションは身につけられません。リズムとイントネーションは一番最後まで、母国語の影響が残ります。

日本語が堪能な外国の方々でも、リズムとイントネーションは母国語の影響が残っている方が多いのはそういう理由です。ですからリズムとイントネーションは一番たくさん練習しなければならないものです。

発音練習を単語だけですることは無意味です。一番練習する必要のあることを除外して練習していることになります。何ヶ月も単語の練習だけして最後に文章の練習を少しするようなやり方ではとてもリズムとイントネーションは身につけられません。

基本の発音を覚えたら、すぐに文章の練習に入ってください。




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高校入試で子供たちが親の収入によって差別されない為に以下のお知らせを書かせていただきます。

高校入試のスピーキングテストについて(大学入試のスピーキングテストについても同様です)

高校入試のスピーキングテストは本来文部科学省が学校教育で正しい発音を生徒に教えてから行うべきものです。  しかし、文部科学省が教科書にCDもつけず、正しい発音の仕方も学校で教えないまま、高校入試でスピーキングテストを実施する動きが都立高校などで始まっています。 (大学入試でもスピーキングテストが行われようとしています)  これは、スピーキングスキルの習得を塾や予備校、会話学校に丸投げするものです。  学校で教えていないスキルを入試でテストすることはあり得ません。

これでは経済的に余裕のない、塾や会話学校にいけない家庭の子供は誰にも正しい発音を教えてもらえず、練習するCD(音声モデル)も与えられないまま、高校入試でスピーキングテストをされることになり、明らかに親の収入による進路の差別が始まります。(詳しくは2018年3月8日のブログ「高校入試のスピーキングテストは子供を親の収入で差別するもの」をお読みください。)

皆さんの身近に教育関係者がいらっしゃいましたら、ぜひ「高校入試のスピーキングテストは子供を親の収入で差別するもの」であることをお伝えください。  (大学入試のスピーキングテストについても同じことです)  
15歳で親の収入のために進路を差別されるのでは子供たちがあまりにもかわいそうです。

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英語教育については、下のブログも併せてご参照ください。  日付をクリックすると移動できます。
2017年10月12日
文部科学省 新中学校学習指導要領 英語 「4技能」は全く効果がない(子供たちが通じる発音でスラスラ話せるようになる学習指導要領の見本付き)






高校英語教育を文部科学省の誤解に基づいた方針から守るため、以下のご案内を書かせていただきます。

現在文部科学省が「グローバル化に対応した英語教育改革」の目玉として掲げているCAN-DO方式は、ヨーロッパの人々にはできますが、日本語を母国語とする人にはできない方式です。

文部科学省は「CAN-DO方式が日本人には不可能な方式である」と気づいておりません。  導入されれば教育現場は大変迷惑します。  中止する必要があります。  なぜCAN-DO方式が不可能なのかはこちらのブログをお読みください。

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何度もお願いをしているのですが、アマゾンのページで私の本のランキングを下げて妨害をしている人がやめてくれないので、(詳細はこちらです)しばらく以下の文章を掲載させていただくことにしました。

「本を出版する人は、他の著者の妨害をしない。  他の著者を妨害する人は自分の本も出版できない。」
出版社におかれましては、このことを出版の際、著者に理解していただいてください。

私のランキングを妨害している人は、たぶん、現実を受け入れられないのでしょう。
アマゾンの順位を1ペ―ジ目から2ページ目に下げられ、数日でまた2ページ目から3ページ目に下げられて、私は、この方の激しい妨害に驚いています。 

「学習者に正しい発音を習得してほしい」というのが自分の目標でしたら、他人を妨害する必要はありませんね。  他人を妨害してまで、何を手に入れたいのでしょうか。  ベストセラーの著者という名声ですか。  それなら、もうアマゾンで、ご自身の本はベストセラーに認定されているのですから、それで十分でしょう。  この上何が欲しくて私を妨害するのでしょうか?  もう英語教育とは関係ないことですか。 私は、とても困っています。  

私は、こちらに書いてある3つのことをするのが、目的です。  日本人が子音の日本語化を知っているか、いないかで、通じる英語で話せるか話せないかが、決まります。  ですから、このことを読者の皆さんに理解していただくのは、とても大事なことなのです。  私の仕事の妨害をしないでください。 

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クマさん、ウサギさん、ブタさん、それぞれが持っている旗に書かれたことの理由は、2017年7月30日のブログをご覧になるとわかります。