川合典子 ブログ

英語教育、英語学習、発音習得、帰国子女の言語習得について書いています。

20年前、初めて日本人の英語は通じていないと知った時。

今のアメリカのテレビにはクローズドキャプションと言う機能がついていて、リモコンのそのボタンを押すと見ているテレビ番組の字幕が出ます。耳の不自由な方でもテレビを楽しめます。

けれども私が最初に夫の赴任についてシカゴに行ったころ(1980年代)にはこの機能はついていませんでした。ですからテレビの字幕を見ることはできませんでした。

シカゴにいたころ、ある日私は、テレビでニュースを見ていました。そうしたら、日本から来た非常に有名な経済界の方が英語で記者会見をしているところでした。この方は英語が堪能なことで、日本では知られていました。

ところが彼は英語で記者会見をしていたのですが、英語字幕がテレビ画面に出ました。わたしはとても驚きました。OLのころ読んだ本に、その経済界の方のエピソードが載っていました。

「彼はアメリカのとても有名な大学でゲストとして講義をしたことがありました。 彼は自分の経営哲学や社会現象をどう見るかなどについてユーモアを交えて英語で話し、学生たちの活発な質問には、「アメリカ人も、XX問題のときは同じ反応をしたでしょう?」とアメリカ社会をよく知っているからこそできる受け答えをし、講義は大変盛況であった。」と書いてありました。

ですから彼の英語の記者会見に英語の字幕がついたのを見て私は驚きました。そして自分なりにその理由を考えてみました。おそらく会社の経営や経済に関心のある学生は彼の話を聞きたいという気持ちが強いので、彼の話を一生懸命理解しようとして聞いていたのでしょう。だから彼の英語が理解できたのだと思います。

けれども、そういうことに特に関心を持っているわけではない、一般のアメリカのテレビの視聴者には彼の英語はわかりにくい、あるいは理解できないという配慮から、英語字幕がつけられたのだろうと思いました。

日本人の英語はもしかしたら通じていないのではないかとはじめて思ったのはこのときでした。学生時代、英会話の授業で話すクラスメートの英語は、リズムもイントネーションも私がいつも聞いている英語とはまったく違いましたけれど、会話の先生(アメリカ人)は一生懸命理解していましたので、私はそういう英語でも通じると思っていました。 けれども、このときから、日本人の英語は普通のアメリカ人には通じないのかもしれないと思うようになりました。

この経済界の方のように、「彼の話だったら、ぜひ聞きたい」と思われるような人なら、英語がどうのこうのは問題ではないでしょう。でも、学業や仕事で、アメリカに行く普通の日本人の場合は「彼がそれで通じたのだからわれわれも日本人の英語で堂々と話そう」などと言うのは、現実から遊離した考え方だと思います。テレビに字幕をつけても記者会見が放送されるほど功績のある人と普通の留学生や駐在員では、相手の対応は当然ながら違います。

留学生や駐在員は英語が通じなければ仕事にはなりませんね。日本語のリズムで話された英語は普通のアメリカ人にはよく理解できませんので、英語のリズムで話す練習をたくさんしてください。リズムと言うのは文章で練習しないと身につきませんので、発音練習はいつも文章の形で行ってください。

語学を学ぶ人はこつこつ努力される方が多いです。ですから、有効な学習方法さえ提示できれば、日本人の英語はもっと上手になると私は思っています。

自分の英語を聞くこと、発音練習を文章で行うこと、こういう風に練習の仕方を変えれば、日本人の英語はもっと上手になると思っています。

初めて「日本人の英語は通じていないのではないか?」と思ってから20年以上がたちました。いま、ブログや「自分で発音を直していく時のヒント」の原稿を書きながら私がいつも想像することがあります。

それは日本人が、世界の舞台で、よく通る声で滑らかに英語を話しながら、活躍している姿です。練習のやり方を変えれば、必ずこういう日が来る。私は夢見るようにそういう姿を想像しては、その日を楽しみに、皆さんに、練習の仕方を変えていただこうと、原稿を書いています。




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高校入試で子供たちが親の収入によって差別されない為に以下のお知らせを書かせていただきます。

高校入試のスピーキングテストについて(大学入試のスピーキングテストについても同様です)

高校入試のスピーキングテストは本来文部科学省が学校教育で正しい発音を生徒に教えてから行うべきものです。  しかし、文部科学省が教科書にCDもつけず、正しい発音の仕方も学校で教えないまま、高校入試でスピーキングテストを実施する動きが都立高校などで始まっています。 (大学入試でもスピーキングテストが行われようとしています)  これは、スピーキングスキルの習得を塾や予備校、会話学校に丸投げするものです。  学校で教えていないスキルを入試でテストすることはあり得ません。

これでは経済的に余裕のない、塾や会話学校にいけない家庭の子供は誰にも正しい発音を教えてもらえず、練習するCD(音声モデル)も与えられないまま、高校入試でスピーキングテストをされることになり、明らかに親の収入による進路の差別が始まります。(詳しくは2018年3月8日のブログ「高校入試のスピーキングテストは子供を親の収入で差別するもの」をお読みください。)

皆さんの身近に教育関係者がいらっしゃいましたら、ぜひ「高校入試のスピーキングテストは子供を親の収入で差別するもの」であることをお伝えください。  (大学入試のスピーキングテストについても同じことです)  
15歳で親の収入のために進路を差別されるのでは子供たちがあまりにもかわいそうです。

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英語教育については、下のブログも併せてご参照ください。  日付をクリックすると移動できます。
2017年10月12日
文部科学省 新中学校学習指導要領 英語 「4技能」は全く効果がない(子供たちが通じる発音でスラスラ話せるようになる学習指導要領の見本付き)





高校英語教育を文部科学省の誤解に基づいた方針から守るため、以下のご案内を書かせていただきます。

現在文部科学省が「グローバル化に対応した英語教育改革」の目玉として掲げているCAN-DO方式は、ヨーロッパの人々にはできますが、日本語を母国語とする人にはできない方式です。

文部科学省は「CAN-DO方式が日本人には不可能な方式である」と気づいておりません。  導入されれば教育現場は大変迷惑します。  中止する必要があります。  なぜCAN-DO方式が不可能なのかはこちらのブログをお読みください。

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何度もお願いをしているのですが、アマゾンのページで私の本のランキングを下げて妨害をしている人がやめてくれないので、(詳細はこちらです)しばらく以下の文章を掲載させていただくことにしました。

「本を出版する人は、他の著者の妨害をしない。  他の著者を妨害する人は自分の本も出版できない。」
出版社におかれましては、このことを出版の際、著者に理解していただいてください。

私のランキングを妨害している人は、たぶん、現実を受け入れられないのでしょう。
アマゾンの順位を1ペ―ジ目から2ページ目に下げられ、数日でまた2ページ目から3ページ目に下げられて、私は、この方の激しい妨害に驚いています。 

「学習者に正しい発音を習得してほしい」というのが自分の目標でしたら、他人を妨害する必要はありませんね。  他人を妨害してまで、何を手に入れたいのでしょうか。  ベストセラーの著者という名声ですか。  それなら、もうアマゾンで、ご自身の本はベストセラーに認定されているのですから、それで十分でしょう。  この上何が欲しくて私を妨害するのでしょうか?  もう英語教育とは関係ないことですか。 私は、とても困っています。  

私は、こちらに書いてある3つのことをするのが、目的です。  日本人が子音の日本語化を知っているか、いないかで、通じる英語で話せるか話せないかが、決まります。  ですから、このことを読者の皆さんに理解していただくのは、とても大事なことなのです。  私の仕事の妨害をしないでください。 

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クマさん、ウサギさん、ブタさん、それぞれが持っている旗に書かれたことの理由は、2017年7月30日のブログをご覧になるとわかります。