川合典子 ブログ

英語教育、英語学習、発音習得、帰国子女の言語習得について書いています。

発声練習

私が初めて、英語の発音と声楽の発声法の類似点について、インターネット上で言ったのは2003年12月11日でした。そのときは、「英語と声楽に何の関連があるのかなあ?」と言うのが、大方の反応で、言っている私の方が、恥ずかしいような思いがしました。それでも、声楽の発声法と英語の発声法の似ている点について、それから時々、書いていました。

最後に発声のことを書いたのは2008年7月8日でしたから5年間くらい、発声のことを言ってきたのですね。 自分が何十年と実際にやってきたことが、今、英語学習をする人の役に立てばいいなあと思って書いていました。

初めて書いた時から、もう10年近くたつのですね。今では多くの人が、英語にはボイストレーニングだ、発声だ、と言うようになりました。 世の中が変わったのだなあと思います。

2006年にアメリカから帰ってきたばかりのころ、英語を忘れたくなかったので、いろいろな勉強会に行きました。あるとき参加した勉強会ではビルの中にある、教室4つ分くらいある大きな会議室で、テーマ別に十数個のグループに分かれてテーマに沿った記事を読みながら話し合いをするようになっていました。

どのグループでも熱心に勉強が進行していたのですが、それぞれのグループが何をやっているかは会議室が大きかったので、ほとんど聞こえませんでした。

ところが私が選んだグループで音読の順番が私に回ってきたとき、私が記事を読みはじめたら、会議室中に聞こえてしまいました。別に大きな声で読もうと思っていたわけではなく、いつも音読しているように読んだだけですが、声が強いので、よく聞こえてしまいました。発声の仕方で、声の強さと言うのはずいぶん違うのだと思いました。

発声練習を行うと、自分のもともとの声が変わります。話すときにいろいろ技巧を駆使して声を変えるというのではなく、何もしなくても普通に発音して、声の強さが変わってきます。 おなかで空気を送ることを始め、声を出すことにかかわる、全身の器官が強く変わるからです。

話すときには、話す内容で頭はいっぱいですから、声のことまで気にしていられませんね。何にも気にしていなくても、強い声が出るように体そのものが変わるのが発声練習の効果です。ですから発音も明瞭になります。ぜひ発声練習を行ってください。


私は、16歳のときから声楽を習ってきましたので、もう40年くらいやっています。 声楽の先生にも、5人ぐらい付きましたので、いろいろな教え方があることも知っています。 その中から、英語学習者には、どういう練習がよいかと言うことも自分が英語をしゃべる時の発声法と比べて、取捨選択して生徒さんに教えています。

例えば腹式呼吸の練習。 歌を歌うときには安定して息を出すことが必要ですので、たいていの先生は、息を大きく吸い込んで、スーと言いながら少しずつはいていく練習をします。 けれども、初めて腹式呼吸を学ぶ人が、この練習を最初にすると、たくさん息を吸うことだけに注意がいってしまいます。

初めて腹式呼吸を学ぶ人は、おなかを使って呼吸するときのおなかの動きを感じ取ることが大事ですので、私はDVDの中で説明したようなやり方で、初めての方に腹式呼吸の指導をしています。これは、萩原先生、お薦めの初めての方への指導法です。

声楽で習うことを何でも、英語学習者に教えればよいと言うことではないんですね。英語発音のために発声練習をする人には英語発音をする人のための発声指導をすることをいつも考えています。

私の生徒さんの中に通訳をやっている人がいますが、彼女は、自分の声が通らないことが気になって、通訳学校在籍中にどこかにボイストレーニングを習いに行こうと本気で考えたことがあったといっていました。たまたまめぐり合った私が発声練習から発音を教える先生だったので、彼女にとってはちょうどよかったようです。 今ではとてもしっかりした声で英語も日本語も話しています。

私のDVDを見ながら練習していただけば英語発音のために発声を学ぶ方には十分だと思います。 日本には、鼻腔への通路が開いている声楽の先生があまりいないことも、私のDVDで練習していただく理由です。 けれども、もし英語のためのボイストレーニングを習おうと考えている方がいたら、習う前にその先生の声、発音を聞かせてもらうことをお薦めします。

生徒は先生の声を聞いて、それがどのような喉や鼻腔の状態から出てきたかを耳で感じ取ります。そして、先生と同じ声になるように自分の体の使い方を変えていきます。ですから、先生の声と言うのは発声法を習う場合はとても重要になります。生徒にとって唯一の手がかりとなります。

萩原先生は歌い手になる人を指導なさる先生ですが、発声法を習得するには、生徒に先生が自分の声を聞かせる、つまり一緒に発声練習するのが一番効果があると言われたことがありました。英語の発声法を身につけるときも同じです。先生の声を聞くことは学習者にとって、非常に大事です。そういう意味では、自分の発音や発声を公開している先生がいいでしょう。


自分の声の強さを変えるには、日本語を話しているときより、大きな声を実際に自分の体に出させていかないと変わりません。実際に大きい声を出すことによって、声を出すことにかかわる全身の器官が強く変わっていくからです。そうすると普通にしゃべっても、大きな声が出るようになります。

声と言うのは、部分的に一つや二つのXXX筋を強化しても、変わらないのです。

ぜひ実際に、発声練習をして、しっかりした声の出る体に変えていってください。 最初は鼻腔への共鳴や舌の付け根を下げることは気にしなくて結構です。まず、おなかを使って呼吸をする。おなかから声を出す、この2つのことだけを目標に発声練習をしてみてください。

英語には腹式呼吸が必要だということは昔から言われていました。けれども腹式呼吸だけやって発声練習をしないと、たくさん吸った息をどういう風に声に変えるかと言うことを体が訓練されていないので、息が漏れて、力んでいるだけのような発音になります。 日本では住宅事情があって、声を出せない場合もあるかもしれません。  そういう場合でも、腹式呼吸の練習だけでなく、なるべく練習の数回に一回くらいの割合で結構ですから、発声練習も行ってください。

発声練習は、自分の体で実際にやっていくうちに、いろいろなことがわかってきます。まず、DVDを見ながら一ヶ月練習してみてください。自分の体や声に変化を感じます。それに、声を出すことは、気持ちの発散にもなります。発声練習は、やれば、必ず、その効果が出ます。




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高校入試で子供たちが親の収入によって差別されない為に以下のお知らせを書かせていただきます。

高校入試のスピーキングテストについて(大学入試のスピーキングテストについても同様です)

高校入試のスピーキングテストは本来文部科学省が学校教育で正しい発音を生徒に教えてから行うべきものです。  しかし、文部科学省が教科書にCDもつけず、正しい発音の仕方も学校で教えないまま、高校入試でスピーキングテストを実施する動きが都立高校などで始まっています。 (大学入試でもスピーキングテストが行われようとしています)  これは、スピーキングスキルの習得を塾や予備校、会話学校に丸投げするものです。  学校で教えていないスキルを入試でテストすることはあり得ません。

これでは経済的に余裕のない、塾や会話学校にいけない家庭の子供は誰にも正しい発音を教えてもらえず、練習するCD(音声モデル)も与えられないまま、高校入試でスピーキングテストをされることになり、明らかに親の収入による進路の差別が始まります。(詳しくは2018年3月8日のブログ「高校入試のスピーキングテストは子供を親の収入で差別するもの」をお読みください。)

皆さんの身近に教育関係者がいらっしゃいましたら、ぜひ「高校入試のスピーキングテストは子供を親の収入で差別するもの」であることをお伝えください。  (大学入試のスピーキングテストについても同じことです)  
15歳で親の収入のために進路を差別されるのでは子供たちがあまりにもかわいそうです。

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英語教育については、下のブログも併せてご参照ください。  日付をクリックすると移動できます。
2017年10月12日
文部科学省 新中学校学習指導要領 英語 「4技能」は全く効果がない(子供たちが通じる発音でスラスラ話せるようになる学習指導要領の見本付き)




高校英語教育を文部科学省の誤解に基づいた方針から守るため、以下のご案内を書かせていただきます。

現在文部科学省が「グローバル化に対応した英語教育改革」の目玉として掲げているCAN-DO方式は、ヨーロッパの人々にはできますが、日本語を母国語とする人にはできない方式です。

文部科学省は「CAN-DO方式が日本人には不可能な方式である」と気づいておりません。  導入されれば教育現場は大変迷惑します。  中止する必要があります。  なぜCAN-DO方式が不可能なのかはこちらのブログをお読みください。

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何度もお願いをしているのですが、アマゾンのページで私の本のランキングを下げて妨害をしている人がやめてくれないので、(詳細はこちらです)しばらく以下の文章を掲載させていただくことにしました。

「本を出版する人は、他の著者の妨害をしない。  他の著者を妨害する人は自分の本も出版できない。」
出版社におかれましては、このことを出版の際、著者に理解していただいてください。

私のランキングを妨害している人は、たぶん、現実を受け入れられないのでしょう。
アマゾンの順位を1ペ―ジ目から2ページ目に下げられ、数日でまた2ページ目から3ページ目に下げられて、私は、この方の激しい妨害に驚いています。 

「学習者に正しい発音を習得してほしい」というのが自分の目標でしたら、他人を妨害する必要はありませんね。  他人を妨害してまで、何を手に入れたいのでしょうか。  ベストセラーの著者という名声ですか。  それなら、もうアマゾンで、ご自身の本はベストセラーに認定されているのですから、それで十分でしょう。  この上何が欲しくて私を妨害するのでしょうか?  もう英語教育とは関係ないことですか。 私は、とても困っています。  

私は、こちらに書いてある3つのことをするのが、目的です。  日本人が子音の日本語化を知っているか、いないかで、通じる英語で話せるか話せないかが、決まります。  ですから、このことを読者の皆さんに理解していただくのは、とても大事なことなのです。  私の仕事の妨害をしないでください。 

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クマさん、ウサギさん、ブタさん、それぞれが持っている旗に書かれたことの理由は、2017年7月30日のブログをご覧になるとわかります。